あまりアイデアがなかったからです。見切り発車ですいません。
前回のあらすじ
自分語り→サイバーパンク再プレイ→キャラメイク→全クリ→寝て起きると…?
"・・・・"
"・・・・・・"
"・・・・・・・・PIPIPI"
"PIPIPI PIPIPI PIPIPI PIPIPI"
"聞いたことがない電子音"で、徐々に意識が覚醒する。
頭に響く電子音を遠ざけるように、布団を頭までかぶる。
なんだか、妙にいい匂いがする。
それに、ずいぶん柔らかい肌触りだ。
布団の中にいると、不思議と落ち着く。
目覚めかかっていた意識が、ゆっくりとまた、沈んでいこうとしている。
"PIPIPI PIPIPI PIPIPI"
先ほどより、鮮明な電子音が頭に響く。
五感が刺激され、徐々にまどろみから抜け出す。
どうやら、いつの間にやら寝ていたようだ。
なんだか、いつもより頭がすっきりしている。
そうだ、昨日は明け方までサイバーパンクをしていたんだ。
泥のように眠った日は、大抵、寝すぎて頭が痛いのに。
不思議と、寝不足の倦怠感も、鈍く響く頭痛も、全く感じなかった。
本格的に、意識が覚醒してきて、脳が回転し始める。
何時だろうか。
とりあえず、またあの喧しいアラームが鳴る前に解除しよう。
ん、?
アラーム、?
わざわざ休日に、アラームなんてかけただろうか。
二度寝をあきらめきれず、布団の中から枕元に手を伸ばす。
手探りでスマホを探すが、空振りに終わった。
大方、ベッドと壁の隙間に落としたのだろう。
これまた手探りで、左手を伸ばす。
やけにベッドの端が遠く、二、三、身じろぎして腕を張る。
胎児のように丸まっていた身体は、すっかりうつぶせに。
枕に顔をうずめても、全く苦しくなかった。
ようやく、ベッドの端をとらえた左手は、すぐに空振った。
おかしい。あるはずの壁がないのだ。
ベッドを動かすほど、寝相が悪かったんだろうか。
しかたなく、のそのそと体を持ち上げる。
ふと、うつ伏せから起き上がるためにベッドについた手が、目に留まる。
綺麗な手だ。
ひどく女性的で、色白の肌とほっそりとした指。
マニュキュアだろうか、カラフルな色合いが、白磁の指に映えていた。
「・・・え?・・エッ!?」
一度目は、目の前の手に。
二度目は、漏れ出た自分の声に。
驚きの"声"が思わず漏れる。
"聞いたことがない声"に戸惑って、上体をはねさせた。
すっかり覚醒した意識が、それらに気付いた。
目の前の、赤い壁も。
観葉植物だろうか、ライトアップされた竹のオブジェも。
自身を囲うように、頭上に展開されているホログラムも。
金の額縁に入れられ、存在感を放つ絵画も。
視界に映るすべてが、未知だった。
先ほどから、脳がフル回転している。
だが、この未知を表現する言葉も、納得のいく答えも、何一つでてこなかった。
声にならない声をあげながら、掌を食い入るように見る。
先ほどは、死角だったから気づかなかった。
幾何学模様の、滑り止めのようなものが掌の三分の一ほどを覆っていた。
手根部には、なにやら端子のようなものがついている。
滑り止めのようなものを指でなぞると、
おかしなことに、触っている感覚も、触られている感覚も、鮮明に感じる。
そのまま指をなぞらせ、端子のようなものを爪でカリカリとかいてみると、ケーブルのようなものが出てきた。
もう、驚きにつられて不思議と声が出てしまった。
「な、なななn、なんじゃこりゃあああああ!!!」
甲高い声からは想像もできないセリフが、漏れ出た。
予感につられて、立ち上がると"一目散に"洗面所に向かった。
目の前にはぽかんと口を開け、間抜け面をしている美人がいた。
透き通るような肌に、見事なフェイスライン。
鮮やかなグラデーションと、ウェーブのかかったボブヘア。
うっすらと濡れるような下唇が、いじらしい。
そして、切れ長で大きな瞳と目が合う。
青く、いや碧く光る瞳を、真正面から捉えて、数秒、時が止まる。
もはや、聞き取ることができない奇声をあげながら、尻もちをついた。
ちゃんと痛かった。
どれくらい経っただろうか。
謎の既視感を感じる、知らない部屋でソファに腰を落とし、考えに耽っていた。
すっかり冷静さを取り戻した頭とは反対に、胸中には困惑が広がっている。
寝ぼけているわけではなかった。
バカな夢だと、寝ぼけているんだと、すべてを洗い流すように顔を洗い、
滴る水の冷たさと、変わらず鏡越しにこちらを見つめる美女が教えてくれた。
その後は、フラフラとおぼつかない足取りで、ソファまで来たのは覚えている。
置いてあったビンの中身を飲み尽くし、随分と経った。
既視感のある部屋。
視界の端に映るデスクには、ワイドモニターが置かれている。
パソコン、のようだ。
これはもはや既視感、ではない。
これは記憶領域が作り出すデジャヴ、ではない。
なぜか、一直線に向かことができた洗面所。
ふらふらと、呆然としながらも、自然と座ることができたソファ。
現実を突きつけられるようで、意図的に無視していたパソコン。
この部屋のすべてに見覚えが、いや、記憶があった、
そしてなにより、"鏡に映る彼女"、いや・・・、
"私"を、"俺"は知っている。
うつむいていた顔を持ち上げて、目の前のテレビに意識を集中する。
直後、先ほどまでは待機状態だったTVが起動した。
"~愛が弾ける!ニコーラ!"
ちょうど、CMが流れている。
キャッチーなドリンクのCMだ。
何気ない映像が、自分を現実に引き戻した。
そうだ、"俺"は、徹夜でクリアしたゲームの"キャラ"になっていた。
うすうすと、気づいてはいた。
頭では理解しつつも、心が、"俺"が、ついていかなかったのだ。
長く、長く息を吐き、立ち上がる。
視界の外に追いやっていたパソコンを立ち上げる。
キーボードなんてない、意識をやれば、自然と操作ができた。
先ほどのテレビのように、自然と"わかる"
メールボックスには、いくつかのスパムと契約に基づいた定期メールがある。
すべて英語だが、違和感なく読める。
さかのぼっていくと、どうやらこの部屋は買い上げているようで、お礼のメールがあった。
メールの文面には、管理者からの定型文とともに、名前があった。
"ご購入いただき誠にありがとうございます、テディ様"と。
間違いない、使用していたアカウントネームだ。
どうやら、そういうことらしい。
何の因果か、はたまた神の悪戯か、"俺"はゲームの世界に迷い込んだのだ。
文章量は少ないですが、精一杯、"俺"くんの困惑を表現させていただきました。
週末は旅行に行くので、次話は来週以降かと思います。
本作への感想も、皆様のサイバーパンクでのミスやバグなどのおもしろネタも、
どちらもお待ちしております。