ところで話は変わりますが、読み専だった私が書くようになってから、
評価って嬉しいんだなぁと、実感しました。
なので、お気に入り登録した小説をイチから読み返して、
少しずつ自分も評価させていただこうかなあと思います。
何事も自分ごとにならないとわからないもんですね。
開いた自動扉から恐る恐る廊下に出る。
あたりを見渡すが、他に部屋はない。
主張しすぎない調度品と、足元をわずかに照らしている暖かみのあるフットライトが、洗練された雰囲気を作り出している。
部屋の広さからして、わかってはいたが、どうやら1フロア全て自室らしい。スイートルームみたいだ。
エンディング後、Vの自室になるペントハウスと比べると見劣りするが、なかなかに広い。
ライトアップされた壺を横目に、通路の奥にあるエレベーターまで歩く。
どうやらここは最上階らしい。
さて、まずは腹ごしらえだな。
世界観に合わせて、合成肉やら何を使っているのかわからない屋台飯を食べてみてもいいが、記念すべき最初の食事だ。
どうせならうまいものが食べたい
うーん。
あ、悩んでいるうちに、エレベーターが来たようだ。
まあ、ビークルを走らせている間に、きっといい店が・・・
しまった、い、移動手段を考えてなかった。
勢いだけで飛び出し、あわやうろうろと彷徨うところだった。
あぶない、あぶない。
こんな美女が夕暮れ時に独り歩きしていたら、すぐさま連れ去られて、あーんなことやこーんなことをされてしまう。
いかんいかん。
冗談(ガチ)はともかく、突然スカベンジャーやメイルストロームに襲われないとも限らない。
ここはしっかりと移動手段を用意していくべきだな。
エレベータから出て、壁にもたれかかると、NC ビークルデータベースを開く。
視界に映し出されたリストを見ると、そこにはゲーム内でコンプした愛車の数々。
何やら見覚えのない物騒なビークルもあるが・・・
今は放っておこう。
サイバーパンク2077は危険な世界だ。
ギャングが犇めき合い、鎬を削る。
一般人など、抗争に巻き込まれただけで簡単にお陀仏だ。
街のあちこちでカツアゲや強盗、殺人が行われ、場合によっては法と秩序を司るNCPDまでもが一般人を食い物にしている。
そんな世界で生き残る方法があるとしたら、それは強くあることだ。
そうじゃなければ、この街にのまれて朝日を拝むこともないだろう。
ましてや、私のような美女などいいカモだ。
断じて自画自賛ではない、ないったらない。
まあもちろん、今の装備だったら、その辺のチンピラは何人いようが返り討ちにできる自信があるが。
停車中のビークルが襲われる可能性もある。
カリバーンやナザレに乗って、夜のナイトシティを駆け巡るのもいいが、ここは安全第一でいこう。
装甲は必須、加えて、襲撃を受けて悪路に逃げ込む可能性もあるとなると・・・
よし、決めた、愛用していたコイツにしよう。
配車サービスに繋げて、アパートの下に呼ぶ。
改めて、エレベーターに乗り込み、1階を選択する。
ビークルは安全第一で選んだが、どうしようもなく自分の内側に熱を感じる。
なにせ、ゲームだった頃の愛車に乗れるのだ、こんなに興奮することはない。
・・・・・・う、運転できるだろうか。
前世?では、ドライブが趣味でそれなりに自信があるんだが。
この世界での運転とはまた別の話。
ま、まあこの体のスペックを信じるしかないか。
興奮やら不安やら言葉にならない静かな激情に悶えていると、1階についたようだ。
ドアが開くとそこは、間違いなくコーポプラザのアパートだ。
セキュリティゲートの向こう側は、群雄割拠のナイトシティ、か。
この街に飲み込まれないように、背筋を伸ばし、堂々と生きよう。
さながら月面の一歩を歩むように、万感の思いを込めて歩き始めた。
セキュリティゲートの赤い光を潜り抜ける。
さあ、見ていろナイトシティ!俺の、いや私の伝説を刻み込ん「テディ様」
「うわっ」
び、びっくりしたぁ。思わず声が出た。
「申し訳ございません、驚かせてしまいましたか。」
私の自分語りを遮った声の主は、すぐそばに腰掛けていた。
見事な姿勢を維持し、申し訳無さそうにこちらを見つめる彼女は、このアパートの受付嬢だ。
「こ、こちらこそ、すまない。考え事をしていたもので。」
妙に上ずった声が出てしまうが、この体に慣れていなからしょうがないのだ。
「そうでしたか。これからお出かけですか?」
「ああ、少し小腹がすいてね。これからどこかで食事がしたいと思うんだが・・・」
彼女は接客のプロフェッショナルらしく、私の失態には気づかないふりをしてくれている。
その優しさが少々、つらい。
「よろしければ、ご要望に沿う店舗をご提案させていただきますが、いかがでしょうか?」
これは僥倖だ。渡りに船とはまさにこのこと。
「ぜひ頼むよ。そうだな、堅苦しいのは苦手でね、そういったお店はあるかな。」
「ふふふ。承知いたしました。」
私がひょうきんに応えると、彼女は口元に手をやり、おかしそうに微笑む。
PCでリストを探してくれているのだろう、カウンターによりかかりながら、彼女を観察する。
笑い方一つとっても気品があって素敵だ。
間違いなく、コーポプラザにふさわしい人材といえる。
なにより中々の美人だ。
ただ如何せん、残念なことが一つだけある。
彼女はそのすべての肌が金色なのだ。
言っては悪いが、全身金色なせいでC◯POにしか見えない。
佇まいはまさしく一流なだけに、金色の肌がなんだかシュールだ。
「こちらなどはいかがでしょう。ドレスコードはありませんが、落ち着いた雰囲気のお店です。併設するバーもお楽しみいただけるかと。」
そういうと、失礼なことを考えている私に、データチップを差し出してくれた。
そのまま読み取ってみると、なかなかの高級店のようだが、一部の裕福な傭兵も利用するようだ。
この格好でうろついても違和感はないだろう。
うん、満点だな。言うことはない。
彼女はこちらの装備を見て、入りやすい高級店を選んでくれたようだ。
この短時間でまさにベストな回答といえる。
「いいね、ここにするよ。これはお礼だ。」
彼女に手首を差し出すと、応えるように手首を差し出し、こちらと合わせる。
値段は、そうだな、1000€$くらいでいいか。
「っ、ありがとうございます。」
先程までの完璧さはどこへやら、いささか動揺が見て取れる。
だが、それもほんの僅かな時間だけで、すぐに仮面を被り直している。
ふむ。どうやら金額に驚いたようだが、多すぎただろうか。
しまったな、資産を考えると大した金額でもないため、渡してしまった。
コーポプラザの一等地で勤務する彼女にとっても大金だとしたら、良からぬことを考えて情報を渡しかねない。
彼女がそんなことをするとも思っていないが、ここはナイトシティ。
なにか、打開策を考える必要があるが。
「君の働きぶりは、いまのでわかったよ。そこで頼みたいことがあるんだ。」
「、なんでしょうか。」
私の言葉に少しだけ警戒が隠せていない。
「いや、なに、そんな大したことじゃないよ。」
彼女の警戒をほぐすように、手を振りながら笑って話す。
「実は、あまり外に出ないせいか、店には明るくなくてね。バーや嗜好品を嗜む店をピックアップしてほしいんだ。チップにはその前金分も入れてある。」
「そういうことでしたか、かしこまりました。過分な評価に感謝いたします。」
話を聞いて納得したのか、彼女は改めてこちらに頭を下げてくれた。
「あまり急がないから、可能なら仕切っているギャングも調べてくれ。私は揉め事は嫌いでね。」
「かしこまりました。」
彼女はちらっと私の腰元につくホルスターを見たが、余計な詮索はしないようだ。
うんうん。実力はあるが、不用意に揉め事に顔を突っ込むことはない凄腕傭兵とでも思ってもらえたかな。
「それじゃ、よろしく頼むよ。成功報酬は期待していてくれ。」
彼女に背を向け、気安く腕を振りながら歩き始める。
自分語りはしばらく自重しよう。
次に予想外のことがあったら、また変な声が出る。
「いってらっしゃいませ、テディ様」
きっと、うやうやしくお辞儀をしているであろう彼女を背に、玄関から出た。
緊張して偉そうな態度で話したせいで、ジョイトイの姉ちゃんがいる店を教えてくれって言えなかった。
ちくしょう。
自分で探すしかない、か。
はあ。
心からのため息が漏れた。
4話です。次話は構想練り終わっていますし、続けて書きます。
他の投稿者の方はすごいですね、一話の文章量や表現の巧みさが身にしみる。
自分は3000字くらいで細かくやっていこうかと思います。