ダンジョンに遊園地の支配人が居るのは間違っているだろうか?   作:驚楽園の売店員

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支配人のお遊び

 

ここでは迷惑がかかる、という事で『豊饒の女主人』の庭先を貸してもらい、アイズとアルレキーノは向かい合う。

 

「全力、なんで出さないの?」

 

アイズは不満げなまま、アルレキーノを見つめる。

 

「全力を出せば、多分ですが…勝てる人は少ないかと」

 

その言葉に、アイズは余計ムスーっとした顔になる。

 

「まぁ、軽い勝負ですのでお互い胸を借りる程度の気持ちでやりましょう」

 

そう言うとアルレキーノは指を鳴らす。

 

「《招待状を送りましょう》」

 

そう言うと、アイズや団員、ロキの前に【アメイジング・タイムチケット】が現れる

 

「《ようこそ、夢のような遊園地へ》」

 

その言葉と共に、景色は一変する。

 

アルレキーノの足元を中心として光が溢れ、世界を塗り潰す(・・・・・・・)

庭先だった視界が、見る間に遊園地の中へと変化する。

 

その遊園地には誰も居ない。

 

誰も乗せずに走るレーシングカー、古風な乗り物が回るメリーゴーランド、走り続けるキンキラジェットコースター…など

 

無人の遊園地は、人が居ない不気味さに反してキラキラと“アトラクション"は輝く

 

「な、なんだ!?世界が変わった!?」

 

動揺する団員と、スッと目を細めてアルレキーノを見るロキ

 

「あそこで戦うのは私は苦手なんですよ、やはりお客様はもてなしてこそですので」

 

実際アメイズメントはフィールド魔法がないと若干戦いにくかったりするが、別になくてもアトラクション罠とアルレキーノを持って来たらギリなんとかなったりする。

 

「…そうなんだ。じゃあやろう」

 

そう言ってアイズは剣を構える

 

それに対してアルレキーノは杖を出し、クルクルと回す

 

「《テンペスト》」

 

最初に動いたのはアイズだった。

 

トンと軽く地面を蹴れば、その身に風が纏われ徐々に加速する。

 

しかし、突撃して来るのを見ても、アルレキーノは平然としていた。

 

「では、我が遊園地のアトラクションをお見せしましょう!《A・∀・VV》(アメイズ・アトラクション・ヴァンキッシュヴァイキング)!」

 

迫るアイズは不意に体が引き寄せられる感覚を覚える。

 

ふと目線をそちらへ向ければ、巨大な海賊船と、その入り口を開けるコミカの姿があった。

 

「それでは、行ってらっしゃい!」

 

そう言ってアルレキーノが手を振れば、アイズの纏う風は消え、アイズは海賊船の中へと吸い込まれる

 

パタン、と扉を閉めたコミカは、懐中時計をチラリと見つめ、アルレキーノへと伝える

 

「恐らく5分程になります」

 

「仕方ないね!」

 

そう言う通り、《A・∀・VV》はゆらゆらと揺れているが、中では破壊音がするので、早々に破壊して脱出しそうではある。

 

すると、5分程度で船の窓からアイズが飛び出し、風を纏いながらその剣をアルレキーノへ振り下ろす。

 

そして、そこまで見ていたロキが声を上げる

 

「いやちょっと待たんかい!?なんであの船にアイズたん吸い込まれたんや!」

 

「まぁまぁ、そうカリカリするよりも、アトラクション楽しんだ方がお得ですよー?」

 

ふんがー!と怒るロキに、誰かが声をかける

 

その声にロキは飛び退き、団員達は自分達が居るにも関わらずロキへと接近したその者に武器を向けた。

 

「うわわ、今日のお客様は殺気立ってますねぇ…」

 

「ディライア、今日は支配人お遊びの日です…それとこの方々はお客様ではありません」

 

「あれ?そうなんです?」

 

いつの間にか居たコミカに告げられ、ディライアは首を傾げながらぴょんっと跳ねてロキと団員達から離れる

 

「あ、自己紹介まだでしたよねー、私はディライア!コミカやブーフォと一緒に支配人を支えるキャストなのだー!」

 

えっへん、とコミカの話をスルーして胸を張って言うディライアに、コミカは無表情なままストンと手刀を頭は落とす。

 

「…今はキャストとして振る舞わなくてオッケーです、お客様ではありませんので」

 

「…そうですか、お客様ではないならいいですね…鎮圧は?」

 

コミカのその言葉に、ディライアはすっと無表情になり抑揚の少ない声で話す

 

「しませんよ、下手に暴れないのなら、ですが」

 

「了解」

 

その異様な光景に、ロキと団員達は警戒する。

 

「いえいえ、遊園地で遊ばずに暴れるような方は鎮圧対象でして!今回はお客様ではないと言う事なのですこーしだけ扱いが難しいんですよー!」

 

ニコニコと笑顔になって言うディライアを見て溜息を吐くコミカはチラリとアルレキーノの方を見る

 

「…そろそろ決着が着きそうですね」

 

そう言う通り、アイズは息を荒げながら悔しそうにアルレキーノを見つめ、アルレキーノは無傷のままポンポンと埃を払っていた。

 

「ふむ、冒険者というのはこのくらいというわけですか」

 

そう言う周りには、若干壊れたジェットコースター、光り輝きながらグルグル回るメリーゴーランドがあった。

 

「苦戦するかと思いましたが…そこまででしたね」

 

そう言うとアルレキーノは指を鳴らす

 

そうするだけで《アメイズメント・プレシャスパーク》は溶けるように消えていく

 

「では支配人!お気を付けて〜!」

 

「…私も一度戻ります。…くれぐれも怪我をしないようにお願いします」

 

笑顔で手を振るディライアと、ジト目でそう言い残すコミカは、プレシャスパークと同じように消えて行った。

 

ロキファミリアの団員達は、元の庭先に戻って安堵する者、アルレキーノを見て警戒する者の二つに分かれていた

 

「さてと…」

 

そしてこの状況を作ったアルレキーノはお腹をさすってこう言った。

 

「…このお店のオススメってありますか?」

 

ぐぅぅ…と腹の虫を鳴らして笑うその姿に、団員とロキは少しだけ毒気が抜かれた。

 

「…いいわ、奢ったる。代わりにあの空間も、あの乗り物の事も話してもらうで」

 

ジッとそう言うロキに、アルレキーノは苦笑した。

 

その後、『豊饒の女主人』からは

 

なんやそのデタラメ能力!?おかしいやろ!!

 

という感じの、ロキのツッコミが度々響いたらしい

 

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