ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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信頼は勝ち取るのでなく育むもの

「皆さん、お疲れ様です。」

 

「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ様。」

 

 

みんなで仲良くアビドス高等学校へ帰還。

早朝からアビドスへやって来てそこから3時間程度でヘルメット団絡みの事案があっさり終わってしまった。現時刻は正午。

 

"こんなに早く終わるなんて思ってなかったよ!"

 

「...やっぱり、負けたままではいられない。キョウタロウは私とあっち向いてホイで勝負すべき。」

 

「勝負ならまた近いうちに出来るだろうから、飯にしないか?」

 

「....!大食い?それとも早食い?」

 

「普通に飯だよ、勝負から離れろよ...」

 

「拳を交えて親睦を深めるなんて、青春だねえ〜。」

 

「別に交えてないでしょ!でも人ってあんな短時間で仲良くなれるものなのね。」

 

"仲良きことは美しきかな"

 

「ようやく火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです。」

 

「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!」

 

「ありがとう、先生!キョウタロウ!この恩は一生忘れないから!」

 

「大袈裟だな....って借金?アンタら借金まで抱えてんのか?」

 

"詳しく教えてくれる?"

 

「あの実は、私たちアビドスは....」

 

「ま、待って!!アヤネちゃん、それ以上は!」

 

「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃなければ疾しいことでもないし、それに先生は私たちを助けてくれた大人でしょ〜?」

 

「そ、そりゃそうだけど、先生もキョウタロウも結局部外者だし!」

 

「確かに先生や一介の生徒がパパっと解決してくれるような問題じゃないけどさ。でも、この問題に耳を傾けてくれる大人は、先生くらいしかいないじゃーん?」

 

「相談してみたら、案外どうにかなるかもよ〜?それとも何か他にいい方法があるのかなー、セリカちゃん?」

 

「で、でも、さっき来たばっかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?それに、ヴァルキューレ生のキョウタロウだって今初めて知ったみたいじゃない!警察ならそれくらい何とかならなかったわけ!?」

 

「...........」

 

 

セリカに捲し立てられる。直後にキョウタロウの顔に翳りが出る。仮にも警察という立場にいながら小さな危機には対処できても、最大の課題には全く力になれない事実。剽軽気味に振る舞う姿しか見えなかったアビドスの面々にとって、暗い顔をしたキョウタロウはどの様に映ったのだろうか。

 

「もう!とにかく、私は認めないから!」

 

 

セリカは荒々しくドアを閉めながら教室を去っていく。

 

 

「私、様子を見てきますね。」

 

 

ノノミもセリカに次いで教室を出る。

 

「えーと、簡単に説明すると…この学校、借金があるんだー。まあ、ありふれた話だけどさ。」

 

「文面上では9億6235万円...これが私たち対策委員会が返済しなくてはならない金額です。」

 

 

その後、なぜ現在の状況へ至ったか、解決できなければどうなってしまうのかの説明がなされた。

 

砂嵐を克服するために資金が必要だったこと、真っ当な融資先が無かったこと、悪徳金融に頼るしかなかったこと、それでも改善の見込みはなく悪化の一途をたどり決死の思いでシャーレへ手紙を出したこと。

 

「私たちの力だけでは、毎月の利息を返済するので精一杯で、弾薬も補給品も、底をついてしまっています。」

 

「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生たちが初めて。」

 

「で、2人のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー。」

 

「もしこの委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしなくていいからねー。話を聞いてくれただけでもありがたいし。」

 

"いや、私たちにも手伝わせてよ。ここで貴女達を見捨てるなんてことしたら、お天道様の下を歩けなくなっちゃう。"

 

「へえ、先生も変わり者だねー。こんな面倒なことに自分から首を突っ込もうなんて。」

 

「良かった.....「シャーレ」が力になってくれるなんて。これで私たちも、希望を持っていいんですよね?」

 

「そうだね。希望が見えてくるかもしれない。」

 

(希望か....)

 

「でもまずはご飯、食べにいこう。」

 

"まだ、飲食店が残ってるの?"

 

「とりあえず出発〜、多分ノノミちゃん達もいるだろうから。」

 

 

そうして辿り着いた店が『柴関ラーメン』

 

(何かと不憫な目に遭ってた記憶が薄らある。)

 

「いらっしゃいませ、って何でみんな揃ってくるのよ!」

 

「らっしゃい!ほらセリカちゃん、注文取って。」

 

「皆さん、こちらですー。」

 

ノノミに促されテーブル席の奥へ座る。

 

「ご、ご注文をどうぞ。」

 

「セリカちゃん、もっと笑顔で!」

 

 

大将の柴犬に茶々を入れられる。

 

注文を終えると、テーブルを仕切るすりガラスの向こうで山の様に盛られたラーメンを分け合う4人の会話がかすかに聞こえてくる。

 

「ちょっと!なんでヴァルキューレの猛獣がアビドスに来てるのよ!」

 

「ん"ふっ」

 

"むせちゃって、どうかした?"

 

 

先生とアビドスの皆は会話に夢中で隣の声は聞こえない様だ。

 

「いえ、なんでもありません。」

 

(隣の4人、明らかに俺の話だよな?ヴァルキューレの猛獣なんて俗称、俺以外に使わないだろ。ボヤッと見える制服の色からして、ゲヘナか?どこまで噂になってんだよ....)

 

 

しばらくキリノに知れたらと最悪のケースを考えていたが、先生の大人のカードでご馳走になるラーメンを前にして余計な思考は頭の隅へと追いやられた。

 

「先生のおかげで節約出来ました。ありがとうございます。」

 

「キョウタロウの懐事情って厳しい?」

 

「まあな。俺が病院送りにした不良生徒の入院費とか大半は上からの補助が入るんだが、基本は給与から天引きされる。」

 

「え....」

 

"急に生々しい話しないでよ。"

 

 

アビドスの面々と過ごす時間はあっという間に過ぎていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

日も落ちて来た頃、キョウタロウは散歩がてら物思いに耽っていた。

 

(セリカの言ったことは紛れもなく事実だな...武 力はあっても事件を未然に防いだことは一度だってない、全部行き当たりばったりで強引に解決して来ただけだ。)

 

(先生や他のみんなはそれぞれ自分たちの成すべきことを明確に分かっていて、自分にしかできない方法で今をより良くしようとしてるってのに...)

 

ふと意識を戻すとどこからか、セリカの声が聴こえる。

 

「ふざけないで。私がそう簡単に折れると思ったら大間違いなんだから。」

 

 

そして、近くの物陰からヘルメット姿の集団がセリカを着けていた。

 

「あいつか?」

 

「はい、そうです。アビドス対策委員会のメンバーです。」

 

(ヘルメット団か、懲りずに兵隊送り続けて、そこまでしてアビドスの校舎が欲しいのか?)

 

 

そうしている間にも死角から湧いて来たヘルメット団とセリカの交戦が始まるかに思われたが、セリカの足元が爆発する。

 

「ケホッ、ケホッ....」(対空砲?違う....この爆発音はFlak41改......?)

 

 

遠目にセリカへ狙いを定める機関砲が見える。その瞬間、脇目も振らずに全速力でセリカの元へ駆ける。

 

「セリカァァァ!伏せろォォォーーーーー!」

 

 

セリカを庇う体勢でキョウタロウが対空砲の直撃を受け、それでも衝撃を抑えきれずにそのまま2人の意識を刈り取る。

 

「コイツって、前哨基地を潰してくれた奴ですよ。ここでやっちまいますか?」

 

「いや、この程度でいいだろう。車に乗せろ、ランデブーポイントへ向かう。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「んん.....ここは、暗い、音からして、車の中?腕も足も縛られてる....」

 

「あ、お目覚めか怪我とか無いか?」

 

 

セリカの向かい側に手足を鎖で固めら、服もボロボロ、体中から血を流したキョウタロウが横たわっていた。周りをよく見ると血塗れのバットや鉄パイプが転がっていた。

 

「あ、アンタこそ!何でそんな血まみれなのよ....」

 

「基地潰した報復とか言ってたな。心配しなくても見た目ほど酷くはないさ。」

 

「な、なんで、アンタの怪力ならそんな鎖引き千切れるでしょ!どうして逃げたり反撃しなかったのよ!?」

 

「下手に動いてセリカにヘイト向いたらどうすんだよ。それに..... なんの罪も無いやつが震えて泣いてんのを見捨てられるなら警察なんてやってないっての。」

 

「......キョウタロウ、お昼のことはごめん。」

 

「いいんだよ、セリカの言ったことは事実だ。俺にはまだ警察官としての苦労も努力も実力も足りてない。でもいつか実現してみせる。」

 

「手足縛られてなかったらカッコいいセリフなのに...」

 

 

誘拐されたとは思えないほど軽い雰囲気の会話をしていると爆発音と共に荷台の扉が勢いよく開けられる。砂に埋もれた線路や電車が放棄されている状況から、砂嵐の影響が大きい郊外であることが予想できる。

 

 

「セリカちゃん、キョウタロウさん発見!生存確認しました!」

 

「こちらも確認した、半泣きのセリカと血みどろのキョウタロウ発見!」

 

「な、泣いてなんかないわよ!」

 

「キョウタロウ。」

 

「捨てられた猫みてぇに泣いてた。」

 

「もう!うるさいっ!うるさいっ!うるさーい!」

 

「なんか、2人の空気が柔らかくなってる。」

 

"それより血みどろって、ホントに大丈夫!?"

 

「見た目ほどの問題はありません。それよりよく居場所が分かりましたね。」

 

"フフン!やる時はやるんだよ!"

 

(切り替えはや)

 

「まだ油断は禁物。トラックは制圧したけどまだここは敵陣のど真ん中だから。」

 

「だねー。人質を乗せた車両が破壊されたって知ったら、敵さん怒り狂って攻撃してくるよー。」

 

「前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認!さらに巨大な重火器も多数確認しました!徐々に包囲網を構築しています!」

 

「これ、キョウタロウのランチャー。来る途中で拾って来たけど、しんどいなら休んでて良いよ。」

 

「いや、アイツらには拉致、監禁、傷害、あと違法火器の所有の容疑も線に入れて処罰が必要だ。ま、半分くらい私怨だけどな。」

 

「うへ、元気そうじゃーん?それじゃー、せっかくだから包囲網を突して帰りますかねー。」

 

"今だけは、ホントに無茶したら許さないからね!"

 

「解ってますよ。それじゃもう一仕事、気合い入れていきましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キリノ要素、全くねえな
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