ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
「お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。全て現金でお支払いいただきました、以上となります。」
「来月もよろしくお願いします。」
利息を回収した車両が校舎を離れていく。
同時に寝起きのキョウタロウが皆のもとへやってくる
「ふぁぁ....おはよぅ、今のは?」
「おはようございます。先ほど今月の利息を払い終えたところです。」
「まあ、死ぬまで返済できる気はしないけど。」
「コメントしづらいったらありゃしない。利息の支払いってのは、普通窓口か口座からの引き落としじゃないのか?」
「普通はそうなんですが....どうしました?そんな訝しむような顔をして。」
「いや、今金を回収していった銀行員、ブラックマーケットに頻繁に出入りしてた奴だなーって思って。」
「どういうこと?」
「あぁ、あのロボットの頭の後ろ、そこに俺が昔付けたコゲ跡があった。」
「なんでキョウタロウがそんなことを?」
「皆んなには言ってなかったな。俺、小さい頃はブラックマーケットに住んでたんだよ。俺がかの頃に襲った連中の1人がさっきの銀行員。」
「じゃあ、あの銀行員は相当に怪しいわけかー。」
「わざわざ現金輸送車を手配していたのも関係があるかも知れません。」
「これはもう、ブラックマーケットへ直接乗り込んで調べるしかないねー。」
「賛成。ブラックマーケットのプロフェッショナルがいるなら心強い。」
「思い立ったが吉日、早速出発だよ。」
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「ここがブラックマーケット......」
「わあ☆すっごい賑わってますね!」
「アビドスから入るとこの区域に出んのか。」
「この辺は普段見ないようなへんちくりんな品物が多いねー。」
"ブラックって感じはしないね。"
名前とは裏腹の圧倒的な規模と雰囲気に皆、思考を次々と言葉にしていく。
「皆さん、油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわからないんですよ。」
アヤネが皆を律すると同時に銃声と悲鳴が響き渡る。
「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでください一!!」
純白の制服と珍妙な鳥のリュックを背負う生徒が、不良生徒に追いかけられていた。
しかし、流石警察と言うべきかキリノとキョウタロウが素早く、追われている生徒と不良生徒の間へ入り込む。
「待ちなさい!トリニティの生徒を追いかけてどうするつもりですか!」
「んなモン決まってんだろ。そいつ拉致って学校に身代金をたっぷり要求すんだよ!」
「どうだ、おまえらも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は.....ガフッ!」
「悪人は懲らしめないとです☆」
ご丁寧に説明している隙をつきノノミとシロコが不良2人を制圧する。
「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした。」
「お嬢様学校の生徒がこんなとこにいちゃ格好の的だぞ。迷い込んできたのか?」
「迷ってる訳ではなくて、探し物があって来たんです。」
そう言うと、カバンから口にアイスを押し込まれている鳥のキャラクターの写真を皆に見せる。
「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。」
「ペロロちゃん可愛いですよねえ!私も大好きです!」
「中々に独創的なルックス...ですが悪くないですね。本官は好きな部類です。」
"なんとも言えない可愛さが感じられる顔だね。"
「え....キm
「ね?可愛いでしょう?」
「ハイ!トテモカワイイトオモイマス!」
(とてつも無い威圧感...局長にも匹敵するんでねえか?)
「この限定ペロロ様がブラックマーケットで取引されていると聞いたのですが、中々見つからなくて...」
「ならブラックマーケットの物流に詳しい奴らの所に案内するよ。」
ブラックマーケットの入り組んだ道を慣れたように進むキョウタロウに続いていくと紺色の下地に3本の赤い爪痕が描かれた看板が掛けられた路地裏へと入っていく。開けた場所へ出るとキョウタロウが声を張る。
「おーーい!全員集合ーーーー!」
奥、建物の中、至る所から20人ほどのスケバン姿の生徒達が集まってくる。
「え!?どういうこと!?」
セリカの声も意に介さずスケバンの生徒達がキョウタロウの前で整列し、一斉に声を上げる。
「お疲れ様ですッ!キョウタロウさんッ!」
「ホントにどういうこと....?」
「端的に言ったら、俺の部下達だ。」
「つまりキョウタロウは警察を務める傍らでブラックマーケットの不良を束ねる裏のドンってワケだね〜。」
「そんな後ろ暗いことなんてねぇよ。」
そんな発言をするホシノの隣でキリノがわなわなと震えている。
「キリノ?どうかしたのか?」
「す、スキャンダルです!全員逮捕です!」
「待て待て待て待て待て待て」
「ムッ、止めるということはやはりやましいことが...」
「とりあえず話し合おう?」
「.....わかりました。」
キリノが渋々手錠を下す。
「確かにコイツらがグレーゾーンの住人なのは事実だが、皆んなが望んでそうなった訳じゃない。そうならざるを得なかったヤツばかりなんだよ。」
"キリノ、私からもどうか....."
「納得はしました。ですが本官の前で犯罪を行えば即刻逮捕です!」
「アイツらはそんな事しないから、心配無用だ。」
2人の会話が一段落つくとトリニティ生からの声が掛かる。
「あ、あの私の探し物の件なんですけど...」
「あ、悪い悪い、あの写真貸してくれ。えっと名前は...」
「ペロロ様です!」
「いやキャラの名前じゃなくて....」
「あ!ごめんなさい、私は阿慈谷ヒフミです。」
ヒフミから受け取った写真をスケバンの1人へ渡す。
「最近、こんな風にアイスで窒息しそうな鳥のぬいぐるみが出回ってないか?」
「いやー、わかんないっスね。ちょっと調べてみます。」
スケバンと共に皆が建物の中へと進んでいく。
建物の中には監視モニターや通信機器の一式が備え付けられていた。
「キョウタロウ、横領の罪で逮捕します!」
「待て待て待て待て待て」
「確かにここにある機材はヴァルキューレの物だがな、全部壊れて備品登録を抹消したから好きにしていいって貰い受けた機材なんだよ!」
「でも、どれも完璧に動作しているように見えますが。」
「直したの!ブラックマーケットって案外部品が揃うから、直せたんだ。信じてくれよぉ.....」
キョウタロウを尻目にスケバンがヒフミの元へ駆け寄る。
「いろんなルートを探ったんすけど、見つかりませんでした。力になれずすいません。」
「丁寧にどうも。気にしないでください。」
「あとキョウタロウさんの耳に入れておきたいことが。」
スケバンがキョウタロウへ向き直る。
「最近、便利屋68と名乗る4人組がマーケット内で騒ぎを起こしているとチームBからの報告がありました。」
"チーム?"
「はい。この規模のチームがあと2つ。合計3つのチームがあるんです。」
"一警察官が持っていいコミュニティなの?"
「それだけキョウタロウさんに守られている人間は大勢いるってことですよ。」
「もしかして、キョウタロウがブラックマーケットの不良に対処できてるのってこの監視体制があるからなの?」
「ええ。3つのチームでマーケットの状況を監視、共有して素早くキョウタロウさんに伝達されるようになってるんです。」
「やっぱりキョウタロウは裏のドンなんだね。」
「まぁ、便利屋の件はなんとかするさ。それと、闇銀行に見慣れない奴が来たらすぐ連絡を寄越すように他のチームにも共有しててくれ。」
「了解しました。」
大した情報を得られないままキョウタロウ達は路地裏を後にする。