ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
"あの子達はどんな経緯でチームを作ったの?"
ブラックマーケットを散策していると先生が問いかける。
「きっかけは中等部の頃、ブラックマーケットの見回りの時でしたね。アイツらも元々はただの不良生徒でした。」
"ってことはやっぱり病院送りにしたの?"
「いえ、その前に泣いて謝られたので。」
「聞けば学校を退学になったり、寮に帰りづらくなったりしたヤツばっかで少しいたたまれなくなったんです。それで、人が増えるにつれて俺が小さい頃に使ってた3箇所の寝床に電気とかガスが通るようにして暮らせるようにしたんです。」
「そうしてきた子達が今のチームを作ってたんですか?」
「まあな、俺も最初は3つもチームができるなんて思ってもなかったよ。裏を返せばそれだけ表で生きづらくなった奴がいるわけだもんな。理由も皆んな全然違ってたし。」
「本官はキョウタロウを誤解していました。キョウタロウもまた人々のためを思っての行動だったのですね!」
「裏のドンじゃないんだ。残念....」
「分かってもらえたら良いんだよ。」
妙に白けるシロコ、瞳をこれでもかと輝かせるキリノ、苦笑いを浮かべるキョウタロウ、それらを微笑ましげに眺める先生達。
その後も調査と会話に花を咲かせ、合間に食べ歩きを楽しんだりと学生らしい姿がそこにはあった。
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「ここまでで何の情報も無しか...」
「もう数時間は歩きましたよね.....」
「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げてるよー。」
「ここまで情報がないなんてありえません.....妙ですね。販売ルート、保管記録、すべて何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします。」
「確かに。チームの情報網にすら何ひとつとして引っ掛からないのは普通じゃない。」
「そんなに異常なことなの?」
「異常ってより、度が過ぎてるって感じか。」
「ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです。」
「例えば、あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です。」
「今朝、キョウタロウが言ってたね。」
「聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです。また、犯罪によって獲得された財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる。」
「そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか。」
「その通りです。まさに銀行も犯罪組織なのです。」
会話が途切れると同時にキョウタロウへ一本の電話が届く。
「どうした?」
『キョウタロウさん、今闇銀の近くにいますよね?』
キョウタロウが束ねるチームのリーダーからの電話だった。
キョウタロウが通話をスピーカーへと切り替える。
「ああ、居るがそれがどうかしたか?」
『マーケットガードが一般の現金輸送車を護送しているんですが、それが闇銀の前で止まってるんです。』
「ほ、本当ですね!車もカイザーローンのものです!」
「静かに、誰か降りてくるぞ。」
「今月の集金です。」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを。」
「さあ、開けてくれ。今月分の現金だ。」
銀行員から現金を受け取ったヘルメットの生徒が闇銀へと入っていく。
「さっきの銀行員、キョウタロウの言ってた頭に焦げ跡があるロボットだ。」
「こりゃ、ほぼ間違いない。カイザーと闇銀の癒着だな。」
『マーケット内の情報統制と関係あるかもしれませんし、何よりアビドスの件の解決に繋がるかと。』
「物的証拠がないのが惜しいが、アビドスのみんなが返してた借金はそのまま闇銀に横流しされてた訳だ。」
「じゃあ何?私たちはブラックマーケットに、犯罪資金を提供してたってこと!?」
「証拠の一つでもあれば...」
キリノが悔しげに言うががそこでヒフミのまさしく鶴の一声が上がる。
「あ!さっきサインしてた集金確認の書類、それを見れば証拠になりませんか?」
「それです!」
「さすが名門のトリニティ。」
「あはは....でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし、無理ですね。無数のマーケットガードに強固なセキュリティを誇る銀行の中となると....」
「ホシノ先輩、ここは例の方法しか。」
「なるほど、あれかー。あれなのかぁー。」
皆が続々と番号の刺繍された覆面を被り始める。
「あ、あのう。全然話が見えないんですけど....『あの方法』って何ですか?」
「単純明快、銀行を襲う。」
「「えぇぇぇぇ!」」
キリノとヒフミが同時に驚愕の声を張る。
「ちょ、ちょっと待ってください!流石に本官は認めることは出来ません!取り返しのつかないことになってしまうんですよ!」
キョウタロウがキリノの目真っ直ぐ見据える。
「キリノ、犯罪なんて犯したら取り返しのつかないことになるなんてのはコイツらが1番よく分かってる。」
「でしたら尚更....」
「でもな、コイツらのする事は私利私欲のためでも誰かを陥れたいからでもない。護るべきものがあるからやるんだよ。」
「警察やってるとさ、どうしても真っ当な手段じゃ救えない人間も見えちまうんだよ。俺もそうだったから。」
「護るためですか....わかりました。ですが条件があります。一つ目が怪我人を出さないこと、もう一つが持ち出すものは書類だけ。お金は盗ってはいけません!」
「ありがとうなキリノ」
2人の間に流れていた緊張感が薄れていく。
"なんだか疲れたような顔してるけど大丈夫?"
「慣れないことはするモンじゃないですね。」
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「銀行を襲うことは決まったけど、キョウタロウとキリノとヒフミの覆面を準備してない。」
「キリノちゃんは後方支援に回ってもらいましょう。ヒフミちゃんの覆面は、これにしましょう☆」
ノノミが5と書かれた紙袋をヒフミに被せる。
「似合ってますよ☆」
「雰囲気は正真正銘のボスって感じだねー。」
「う、うああ......わ、私、もう生徒会の人たちに合わせる顔がありません........」
「ヒフミとキリノはどうにかなったが俺はどうなる?素顔で入ろうモンなら1発でバレるし。紙袋もうひとつあったりしないか?」
「ないねー。どうせならこのまま乗り込んでバレたら全部キョウタロウのせいにしちゃおっかー。」
「あ、あの、顔を隠したいならピッタリの物待ってます。」
ヒフミがカバンの体積を遥かに超えるであろう大きなペロロ人形を出す。
「これは人形ではなくアトラクションスーツです。アトラクション用ということで飛んだり跳ねたりしても壊れないほどに丈夫なんですよ!」
「....ホントに着るのか?」
「今姿を隠したいならこれしかありません!さぁ!早く着てください!」
ヒートアップしたヒフミに半ば強引に着せられる。
「ほぉ!.....おぉ!」
「着心地は悪くないな、むしろ最高だ.....」
ペロロスーツのフィット感を確かめるキョウタロウとその様子を連写するヒフミ
「ん。これで問題解決。」
『似合ってますよ。キョウタロウさん。』
「お前いつまで通話してんだよ。」
リーダーがさりげなく会話に割り込む。
『そんな事はどうでも良いんです。なにかペロロらしい動きしてみてくださいよ。』
「それ良いですね!こう、腕をパタパタとしてみてください!」
「事が済んだらやってやる。だからさっさと銀行を襲うぞ。」
「警察の口から出て良い文言じゃないねー。」
『数刻前に便利屋68も闇銀の中へ入っていた事も確認済みです。お気をつけて。』
"よし、みんな!怪我なく銀行を襲うよ!"
「でも、どうやって中に攻め込みましょうか....」
「んなモン決まってんだろ。キリノはマーケットガードにバレないよう、人払いを頼む。これ、リーダーと繋がってる携帯も持っててくれ。」
そう言い残しペロロ姿のキョウタロウが闇銀の正面玄関へ堂々と進んでいき、それに皆も続く。
ドアの目前まで迫ると、渾身の力で蹴り抜く。その反動で枠ごと銀行の奥へ飛んでいく。
「さぁ!さぁ!さぁ!痛い目見たくなかったら動くなよ!」
「全員その場に伏せなさい!持っている武器は捨てて!」
「あ、あはは...みなさん、絶対にケガしちゃいけないので....伏せてくださいね。」
キョウタロウ以外がそれぞれ銃を構えて銀行内へ乗り込む。
(便利屋もいるって話だったが向こうで大人しくしてる様だし、放っておいても大丈夫か。)
「さあ、そこのあなた、このバッグに入れて。少し前に到着した現金輸送車の....
「わっ、わかりました!何でも差し上げます!現金でも、債券でも、金塊でも、いくらでも持ってってくださいっ!!」
「そ、そうじゃなく....集金記録を....」
「どっ、どうぞ!これでもかと詰めました!どうか命だけは!!」
書類の他にも大金を詰められ動揺する皆の隙をついて待機していたマーケットガードが押し寄せてくるが
「動くなっつったろがぁぁぁーー!」
待合のベンチでマーケットガードを薙ぎ払いふっ飛ばす。
キョウタロウの腕力に耐えられず、振り抜いたベンチが直撃とともに粉々になる。
「え!?脆っ!?」
「ペロロタロウ、ブツは確保した。これ以上の戦闘は不要だよ。」
「おい、今なんt
「それじゃ逃げるよー!全員撤収!」
「け、ケガ人はいないようですし...すみませんでした、さよならっ!」
その後、マーケットガードの追跡を力業で押し切り、アヤネとチームリーダーのオペレーションのもとキリノと先生と合流し、ブラックマーケット外れまで離れて行く。