ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
「はぁ....はぁ、振り切りましたかね...?」
「一旦は振り切れましたがまたすぐに追手が来る恐れがあります。」
「シロコちゃん、書類はちゃんと持ってますか?」
「目当ての書類はしっかり持ってる。」
「へ?なんじゃこりゃ!?カバンの中に.....札束が!?」
「うえええええっ!?シロコ先輩、現金を盗んじゃったの!?」
「銀行の人が勝手に勘違いして入れただけで......」
"ねぇ、キョウタロウ?震えてるけど大丈夫!?"
「キョウタロウ?大丈夫ですか?しっかりしてください!」
荷物を確認する皆の横でペロロを纏ったキョウタロウが震えていた。
(ま、まずい.....このスーツ、めちゃめちゃ動きやすいが、絶望的に呼吸が出来ない、視界が霞む、声すら出せない。なんか便利屋も来てるし、あ、もう駄目だ....)
糸が切れた様にその場に倒れ動かなくなる。
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「...........っ!」
真っ白なベッドの中で目を覚ます。
"おはよ、ここはアビドスの保健室だよ。"
"急に倒れちゃったから心配で...."
「迷惑かけて、すいません。」
"こっちこそ、気づけなくてごめんね。"
「銀行から奪った書類の中身はどうでした?あと、現金がどうとかも薄らと聞こえたんですけど。」
"手に入ったお金はあの場で手放すことになったから心配しないで。"
"書類の件は結果から言うともう真っ黒。"
"銀行だけじゃなくて。カイザーって言う凄く名の通った企業もグルの可能性大。"
「どうしましょうかね....」
(本編の記憶もっと覚えてれば楽なんだろうが....)
"ヒフミちゃんとキリノちゃんがそれぞれの学校に伝えに行ってくれたよ。"
「それは良かっ.....キリノ帰っちゃったんですか?」
"え......うん。で、でも出発する直前まで看病してくれてたよ。"
「それはそれで嬉しい」
「そういえば、アビドスのみんなは....」
"みんなは午後から自分たちのしたい事をするんだって。"
"キョウタロウもそうしたら?"
「そうですね。ではお言葉に甘えて。」
校舎を出ると同時にある場所へ電話を掛ける。
「あ、リーダー?」
『はい。どうかしましたか?』
「何も聞かずにマーケット中の手榴弾をかき集めてて欲しい。出来れば今すぐ。」
リーダーは渋々その要請に応じる
『全く...貴方の考えが理解できる日が来るとは思えません。まぁ、やりますけど。』
「助かるよ。集め終えたら、柴関ラーメンが見えてかつ、一際高い建物の屋上に置いてくれ。」
『ホントに意味不明ですが、わかりました。』
そうして電話を切る。
「俺の記憶が正しければ、風紀委員会とかいう激ヤバ集団が来るはずだ。それまではラーメンでも食べるか。」
自ら渦中に近づいている事は知る由もない。
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「来たあ!!いただきまーす!」
「ひ、ひとりにつき1杯....こんなに贅沢してもいいんですか?」
「アビドスさんとこのお友だちだろう。替え玉が欲しけりゃ言いな。おっ、キョウタロウちゃんもいらっしゃい。好きなとこに座んな。」
先客として卓を囲む便利屋に背を向ける形でカウンター席に座る
「「げっ....」」
ムツキとアルの発した声に反射的に振り返る。
「誤解を生まない為に言うけど、別にこの店でどうこうしようってつもりはないから。」
「いやすまん。俺もまさか、あんな声上げられるとは思ってなかっただけだ。」
微妙な空気が流れるが大将の豪快な笑いで吹き飛ぶ。
「仲のいいこった。」
「.....じゃない。」
アルが何かを小さく呟く。その直後に呟きは怒号へと変わる。
「友だちなんかじゃないわよぉーーー!!」
「わかった!!何が引っかかってたのかわかったわ!問題はこの店、この店よっ!」
「おいおい、急にどうした?お宅の社長は御乱心か?」
「いや....多分、違うと思う....」
「私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!!アウトローっぽく!!」
「なのにこの店にいたら、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!」
「学生なんだからそれに越した事はねぇだろ。」
キョウタロウの言葉を無視し、アルの言葉にハルカが続く。
「それって.....こんなお店はぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?良かった、ついにアル様のお力になれます。」
「起爆装置?なんでそれを.....」
(これは確実にまずい....)
寸前でこの後に起こる事を脳の奥から掘り起こし、最速で動く。
「大将、全身に力を入れて衝撃に備えてくれ。」
カウンターから厨房へ乗り込み、脱いだコートで大将を包み、抱き抱えるように身を丸める。
「ハルカ、ちょ、ちょっと待っ....
ドゴゴゴゴゴゴゴーーーーン!
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一方、学校へ集まっていた対策委員会も事態を察知していた。
「前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」
「10kmってことは、市街地?まさか襲撃!?」
「衝撃波の形状からするとC4爆弾の連鎖反応と思われます。
砲撃や爆撃ではないですね.....もう少し確認してみます!」
皆、動揺しつつも冷静さを失わずに対処にあたる。
「柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」
「はあ!?どういうこと!?何であの店が狙われるのよ!」
「憶測は後でも遅くない。まずは何か手を打たないと!」
「ホシノ先輩には私から連絡します、出動を!!」
「ど、どうなっちゃったのよ!!大将....無事でいて....」
皆、不安を押し殺し現場へ急行する。
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「ゴホッ、ゴホッ....うわあ、建物がなくなっちゃったよ?」
「ケホッ....これは一体....」
「アルちゃん、マジで?マジでぶっ潰しちゃったの?」
「あ....?....う、え?」
煙が立ち込める更地に便利屋と力無く横たわるキョウタロウとその側に大将の姿を対策委員会の面々が確認する。
「おい!しっかりしてくれ!」
大将が体を揺すり意識を取り戻す。そこに対策委員会も合流する。
「嘘でしょ!?なんでアンタは1人で出歩くたびに爆破されるのよ!これで3回よ?」
「んなモン、俺が1番知りてぇよ。」
「そう責めんでやってくれ。爆発から身を挺して庇ってくれたんだ。」
「2人とも、まずは安全なところへ。」
大将たちの無事を確認するとセリカが怒りの形相で便利屋へ向き直る。
「あんたたち....!!よくもこんなひどいことを!!」
「こ、これでわかったでしょう、アビドス!私がどんなに悪党かを!」
2人を避難させたノノミもやってくる。
「2人とも近くのシェルターへ案内済みです。」
「ってことは、大暴れしてもいいってことね?」
セリカの目が便利屋を射抜かんとするほどに鋭くなる。
「あんたたち、許さない。ぜーったいに許さないから!!」
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避難したかに思われていたキョウタロウは大将とノノミの目を盗み、連絡を取りながらある場所へ走っていた。
「ホントにキヴォトスの人間の身体ってすげぇな、2km以上を全力疾走しても息が上がらないんだからな。」
『無駄口を叩く労力を走ることに回してください。』
やがて一際高さのあるビルへ辿り着き、最上階の屋上へ直行すると大量の手榴弾が準備されていた。
その横に双眼鏡で柴関ラーメンの方向を観察するリーダーとその側近が待機していた。
「遅かったですね。キョウタロウさんがもたもたしてる間に、便利屋68が鎮圧されてアビドスとゲヘナの風紀委員会が交戦を開始しましたよ。」
「だからヴァルキューレは昼行燈ってバカにされるんですよ。」
「むしろそのタイミングまで待つつもりだったから良いんだよ!」
2人の冷たい視線を無視して屋上に張られた金網を破壊する。
「これなら問題ないな。早速始めるぞ。」
ビルへ向かう最中に伝えていた計画を実行移す。
側近がピンと安全レバーを抜いた手榴弾を渡し、受け取ったキョウタロウが力任せに風紀委員会の方向へぶん投げる。
「皆さん!南方約2km先から正体不明の飛翔物体が接近しています!注意してください!」
アヤネの警告の直後に手榴弾が風紀委員陣営の中心に落下し爆発する。
「な、なんだ!?」
「新手か!?」
「どうしました!?」
風紀委員会は忽ち混乱に陥る。その合間も手榴弾の雨は止まず、混乱に乗じて対策委員会も一気に仕掛ける。
「あれは、手榴弾?」
「ずっと風紀委員の方を狙ってますね。味方、なのでしょうか。」
「好都合じゃない!このまま押し切るわよ!」
アビドスの猛攻により風紀委員会を退ける。
「アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします。」
『それは私から答えさせていただきます。こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。』
アヤネの問いに応答すると共に青髪の生徒がホログラムに映し出される。
同時にキョウタロウから先生へと連絡が入る。
「もしもし先生、スピーカーにして目の前の行政官と話をさせてください。」
"わ、わかった"
「あー、テス、テス、マイクのテストです。」
『その声....公安局の人間が一体何の用ですか?』
「覚えててくれて嬉しいねぇ。」
呆れた様な声に剽軽さを全面に出した声で応える。
「まぁ、今日はちょいとばかし交渉がしたくてな。」
『....顔も出さずに遠くから手榴弾を投擲してくるような卑怯者と交渉することなどありません。』
「あれってキョウタロウだったんだ。」
「シェルターに避難させたはずですが...」
「だって俺の顔見たらお前ら、頭に血が昇って暴走してただろ?報復だ、公務執行妨害だ、って周りなんて気にも止めずに戦闘行為に及ぶのは想像に難くないよな?」
図星なのかアコが声を荒げる。
『自覚はあるようですね!あなたのせいで風紀委員に甚大な被害が出たのですよ!?忘れたとは言わせませんよ!』
"キョウタロウは何をしでかしちゃったの?"
先生の疑問の声に怒りに燃えるアコが答える
『彼が犯罪者を追っていた風紀委員の部隊を壊滅させたんですよ!全員半月は病院から出て来れずにその間、ゲヘナの治安は過去最低レベルですよ!?』
キョウタロウは知らないがその中にはイオリも含まれていた。
「知るかこっちからしたら、D.U.まで兵隊歩かせた時点で風紀委員会だろうが関係なく犯罪者だ。容赦はしない。」
「てかそろそろ交渉の内容に進まないか?」
『こんな輩が警察なんて......』
埒が明かないと確信したのか強引に話を進める
「単刀直入に、俺もエデン条約の調印式に出席したい。」
『はぁ!?』