ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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突破口

"お体の調子は如何ですか?"

 

「心配いらねえよ。キョウタロウが守ってくれたお陰で殆ど無傷だ。本人も調子良さそうだしな。」

 

「爆破程度でどうにかなるほど、俺の身体は柔じゃありませんよ。」

 

 

病院の一室で2人仲良く隣接したベッドに寝かされていた

 

「なんでキョウタロウまで入院してるの?」

 

"検査入院ってやつだよ。"

 

「短期間で3回の爆撃と激しい戦闘を仕掛けられたので身体に異常が無いか診なければなりませんから。」

 

「でも、レントゲンも精密検査も問題無かったろ?」

 

 

起き上がろうとするもノノミに押さえつけられる

 

「身体は大丈夫でも休憩は必要です!大人しく寝ててください。」

 

 

有無を言わせぬ圧を漂わさるノノミに従うほか無かった

 

(確か、このタイミングで土地の権利がカイザーのものだって、大将からのカミングアウトがあったはず....)

 

 

そんな思考を電話のコールが遮る

 

「どうした?フブキ。」

 

『お、キョウちゃ〜ん、アビドスの観光楽しんでる〜?』

 

 

ホシノとはまた別のベクトルで気の抜けた声が耳元で響く

 

「呑気なやつだな.....こっちは遊びじゃないんだ、下らない用件なら切るぞ。」

 

『ちょいちょい、結構重大なやつだよ?』

 

 

先程とは打って変わって真剣な声色になる

 

『キリノがアビドスから持ち帰ってきた書類あったでしょ?』

 

「ああ、上層部には伝わったか?」

 

『それがね、上の人たちは出所不明の怪しい書類は証拠とは認められない、だって、話も聞いてもらえずに突っぱねられたの。生活安全局ならともかくカンナ局長の言い分も徹底無視。』

 

「...わかった。すぐそっちに戻る。上層部には俺がナシつけるよ。」

 

『上は何がなんでも認めないと思うけど....』

 

「動かぬ証拠を叩きつけてやるから、心配すんな。」

 

 

電話を切り勢いよく立ち上がる

 

「という訳で先生、一旦D.U.へ戻らせていただきます。もしかしたら時間がかかる可能性もありますが....」

 

"こっちの心配はしなくていいよ。キョウタロウは自分のやるべき事をやり遂げて。"

 

「キョウタロウ、駅までは私のロードバイク使って。」

 

「助かるが、良いのか?大事なものだろ?」

 

「アビドスの為に動いてくれてる人にこれくらい出来なきゃ、それこそ不義理。」

 

「爆撃には気をつけるのよ!」

 

「分かってる....ありがとな。」

 

 

病院を飛び出し、駅へとロードバイクを走らせる

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お疲れ様です。キョウタロウ。」

 

 

明らかに覇気がないキリノといつもと変わらないフブキに出迎えられる

 

(キリノがここまでシオシオになるなんて....覚悟してろよ上層ども....)

 

「それでさ、電話で言ってた『動かぬ証拠』ってなんなのさ?」

 

「実行犯を上層部の前に突き出すんだよ。」

 

「「実行犯?」」

 

「最速で捕まえる、早速向かうぞ。」

 

「向かうって何処に....」

 

「銀行。」

 

「「....?」」

 

「事情は後で説明する。4日以内にはアビドスに戻りたいんだ、だから今はいち早く実行犯を上層部の奴らに突き出す。」

 

「こりゃ、面倒ごとに首突っ込んじゃったかな...」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なるほど、犯罪組織に直接お金を流していた、あの『頭に焦げ跡がある銀行員』を捕縛すれば良いのですね!」

 

「でも、そいつを見たのはアビドスでしょ?」

 

「確かに.....D.U.内で見つかるのでしょうか?」

 

「もちろん見つかるさ。アビドスに来た時の車のナンバープレートにD.U.の銀行の車にしか付けられない文字列があったのを覚えてる。」

 

「よく見てますね。でも、D.U.と分かる車で闇銀行に出入りするなんてとことん開き直ってますね。」

 

 

それから銀行を遠目から監視できる地点での張り込みが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3日目になりましたが、中々見つかりませんね。」

 

(昨日のメールでPMCとやり合ったせいで利子が跳ね上がったって報告も受けた。早いとこカイザーどもをなんとかしないと....)

 

「銀行も一つだけって訳じゃ無いし、骨が折れるね。」

 

「たが、全部を定期的に見るより一つに絞った方が断然良い。」

 

 

それから数時間後に目的の銀行員が姿を見せる

 

「居ました!銀行へ入って行きます!」

 

「あとはアイツが出てくるタイミングで捕らえる。」

 

 

空が赤みがかり始めた頃に例の銀行員が屋外へ出てくる

 

「ふぅ...やっと終わった、最近外回り多いしノルマも段々厳しくなるし良い事ないなぁ....ガハッ!へ!?なになに!?」

 

 

転倒と同時に一瞬で手足を拘束される

 

「お前には何もかも洗いざらい吐いてもらうぜ。」

 

「ヴァルキューレの本部に向かうぞ。運転するから、2人はコイツ見張っててくれ。」

 

「「了解(しました!)」」

 

 

 

 

本部へと車を走らせる中フブキに問われる

 

「ねえ、今更だけどこれって普通に一般市民を拉致してるって事だよね?」

 

「まあな。」

 

「ますます上層部に取り合ってもらえないんじゃないの?」

 

「その点は問題ありません。この方には余罪が沢山ありましたから。」

 

「そう。それに上層部の奴らには嫌でも出張ってもらうさ。」

 

「いつの間にそんな準備を...」

 

「張り込みと並行して捜査局にな。」

 

 

そのまま車を走らせ本部の目の前まで辿り着く

 

「2人は車で待機、俺が連絡したら来てくれ。」

 

「滅多な事じゃ出てこない人達をどう引き摺り出すのさ?」

 

「良い質問だなフブキ。上の人間に手っ取り早く会いたい時ってのはな、問題を起こせば良いんだよ。」

 

 

ドアの前に立つキョウタロウは握り拳を作り、勢いよく目の前に突き出す

 

中からは騒がしい声が絶え間なく発せられる

 

「上層部の皆さーん、俺と少しお話しましょー。来ないならこっちから行きますよー。」

 

 

キョウタロウが声を張り上げた瞬間に全体が静まり返る

 

「....来ないな、館内放送も無し、じゃあ遠慮なく。」

 

幹部たちが集まる部屋へと突き進む

 

当然、本部である為防衛システムも存在している

 

部屋へと続く通路には何重にも防護扉が降ろされるがそんなものはお構い無しと次々に殴り抜けていく

 

 

 

 

 

「あわわわわ、あんな事して大丈夫なのでしょうか...」

 

「私たちもとっとと行こうか。」

 

 

ロビーに居た他のヴァルキューレ生が呆気に取られている合間に銀行員を担ぎキョウタロウの後を追う

 

キョウタロウは一足先に幹部たちの元へと辿り着きそのまま扉を破壊する

 

「失礼しまあす。公安局の喜悠凪キョウタロウでえす。」

 

「貴様!どういうつもりだ!」

 

「話はフブキから聞きましたよ。物的証拠じゃ満足できないってゴネてるらしいので、証人も連れてきましたよ。」

 

 

追いついた2人が幹部の前に銀行員を座らせ、集金帳簿を突き出す

 

「は?...え?」

 

 

向き合った銀行員と幹部の顔は困惑に満ちていた

 

「さぁ、この書類に関すること、全部吐け。じゃなきゃお前の余罪全部ここでバラす。」

 

「こ、こ、こんな帳簿、私は知らな...

 

「業務上横領罪。」

 

「へ?」

 

 

キョウタロウが淡白な声で手元の書類を読み上げる

 

「私文書偽造、背任、不正請求、マネロン....

 

「ちょちょちょ、ま、待て!?」

 

 

慌てて制止を試みるがもう手遅れだろう

 

「これ全部、捜査局も認めてるものだ。」

 

「あ、あぁ....」

 

「それは全て、事実なのか?」

 

 

幹部が事実確認を行うも呻くのみで全く要領を得ない中少しづつ言葉を漏らす

 

「.....はい、全て事実です。アビドスから徴収した利子を横流ししました.....」

 

「やっと認めたか...それで、お偉いさん方?この事実、どう受け止めますか?」

 

 

一瞬の沈黙を引き裂くように告げる

 

「駄目だ。」

 

「確かに、その銀行員は処罰の対象だが、肝心の集金帳簿の出所は分からないまま、それに自白だけではまだ足りん。最も、その自白すら強要されたものである可能性がある。貴様ならやりかねんからな...」

 

 

キョウタロウが呆れた様にため息を吐く

 

「ブラックマーケットの闇銀から奪ったんだよ。」

 

「は?え?.....き、貴様ァ!闇銀行に襲撃を仕掛けたのか!?あそこは無法地帯という訳では無いんだぞ!?そんな場所にましてや公安局の人間が無許可で押し入ったと知れたら....いや、まだその銀行員が本件に関わっていると立証された訳では無い!」

 

 

自信満々に人差し指を突き出す幹部に怯む事なく続ける

 

「そこまで言うならいいぜ。フブキ『あれ』見せてやってくれ。」

 

 

フブキが室内のPCにSDカードを差し込みある映像を映し出す

 

そこには闇銀の前で現金のやり取りをする銀行員の姿が映し出される

 

「最近の監視カメラは凄く画質が良いなぁ。ほら、この銀行員の頭の焦げ跡とか目の前にいるやつと瓜二つだ。」

 

 

「こ、こんな物映像を加工すればどうにでもなる!」

 

「それはあり得ません!」

 

 

キリノが即座に否定する

 

「この映像が入ったSDカードは書ききり型撮影媒体といって記録された映像、画像の加工及び消去の一切が不可能なんです。」

 

「まあ、そう言う事だ。さっきからやけに銀行員を庇う様な発言が目立つが、そこまでカイザーに肩入れする事情でもあるのか?」

 

「ぐぬぬ...わ、わかった映像と帳簿は正式に証拠として受理する。しかし、お前もよく考えろ。法を守るべき警察が法を破ってまで要求を押し通すなんて、何のために法があるのか...

 

「その法を自分勝手に解釈して好き放題やるやつを止めるのが警察の役目だろうが。アンタらゲヘナの連中が無許可でドンパチやっても何の対応もしなかったな。」

 

「それすらできない様なら終わりだぞ?」

 

 

一息つき2人に向き直る

 

「悪いキリノ、フブキ、俺はこのままもう一度アビドスに向かう。諸々の説明は任せてもいいか?」

 

「はい!本官にお任せください!」

 

「あとはよろしく頼む。」

 

 

本部を去る背中を皆が見送る

 

 

 

 

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