ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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青い夢に続きを

本部を襲ったその足で公安局を訪れる

 

日は沈み込み事務所にも数人しか残っていなかった

 

「あ、お疲れ様です。今はアビドスに居るとお聞きしましたがどうかされましたか?」

 

「今からアビドスに戻るけど、もうアビドス行きの電車は出てないからな。バイク借りてく。あと、この書類出しといてくれ。」

 

 

書類とヴァルキューレの腕章を差し出す

 

「はい。承りまし....って!これは!?腕章まで....」

 

「じゃ、あとは頼んだ。」

 

「ち、ちょっと待ってください!あ....行っちゃった...」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一台のバイクがけたたましいエンジン音を響かせながら夜明けのアビドス郊外を駆る

 

(PMCの本拠地は砂漠のど真ん中。そこまではまだまだ距離があるが、昨日の夜から飛ばしてるせいで燃料も心許ない。やっぱシロコのロードバイク回収しとくべきだったかな...)

 

 

若干の後悔を感じているとバイクに備え付けられた無線機へ通信が入る

 

『こちら尾刃、直ちに応答しろ。』

 

(マジかよ...まだ日も昇りきってないってのに...)

 

「こちら"元"公安局の喜悠凪です。どうぞ。」

 

『言いたい事は山ほどあるが、昨日の退学届、あれはどういうつもりだ?』

 

「どうもこうも、流石に公安局の人間が一企業に殴り込もうなんてまずいでしょ。」

 

『お前はシャーレとしてアビドスに出向いていたはずだろう。』

 

「ええ、ですから出動のための書類も必要ありません。でもこれから個人で企業を潰そうって人間が公安局の所属なんて知れ渡ったら、絶対に尾を引くと思いますよ。」

 

「俺は局長ほど頭が切れるわけじゃありません。アビドスを助けて、局長たちにも迷惑をかけない方法がこれしか見つかりませんでした。」

 

『.....お前の退学届は受理しない。』

 

「はい?」

 

『日付が変わるまで除名処分とする。お前の独断専行で迷惑が掛かるのは今に始まった事でもないだろう。報告書はしっかり提出してもらうからな。』

 

「反省文じゃないんですね。了解。」

 

『それとバイクの燃料が少なくなったら、ハンドルバーの中央にあるスイッチを押せ。エンジンからモーターに動力が切り替わる。』

 

「何から何までありがとうございます。」

 

 

通信を切りバイクの速度を更に上げる

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

太陽が空の真上に差し掛かる頃にようやく砂漠が見えてくる

 

キョウタロウの左手にはトリニティの生徒と榴弾砲、更にその向こう側にPMCの兵を撃破していく風紀委員の姿があった

 

(トリニティはきっとヒフミの報告だろうが、なんで風紀委員会まで)

 

 

よそ見をしているの隙を狙ってPMCの兵が砲撃を行うがそれをスレスレで躱わす

 

「あっぶねぇ、たった1人に何百人の兵を差し向けるなんて、もうなりふり構ってられないってか。」

 

 

兵を認知したキョウタロウも素早く臨戦態勢をとる

 

右手にランチャーを構え、空いた右ハンドルに足を掛ける

 

狙いは雑兵ではなく迫撃砲と遠距離武器を持った兵士

 

目的は殲滅ではなく正面突破のためその弊害となる兵士を優先的に撃破していき、攻撃によって空いた空間をバイクの速度を更に上げ駆け抜けていく

 

やがてPMC理事と先生、対策委員会、それを取り囲む兵士たちが見えてくる

 

「みんなぁ!待たせたぁ!」

 

"キョウタロウ!?"

 

屋根まで砂に埋もれた家屋を利用して高く飛び上がり、そのまま砲撃で周囲の兵士を一掃する

 

「よう、理事さん。話は聞いたぜ。市街地を滅茶苦茶にしたらしいじゃないか。」

 

「あの土地は正式にカイザーの物となったのだ。私有地で何をしようが勝手だろう。」

 

「私有地だろうが市民や生徒に銃向けるとか正気とは思えないな。」

 

「生徒だと?最後の生徒会である小鳥遊ホシノがアビドスを退学した今、アビドスの生徒会は消えたも同然だ。そこにいる奴らは最早、生徒でも何でもない。」

 

「勝ち誇ったように声を上げるのは構わないが、ブラックマーケットだとタカを括らずもう少し慎重になるべきだったな。」

 

「なにを今更、負け犬の遠吠えというやつか?」

 

「いや、お前が運び屋代わりに使ってた銀行員がヴァルキューレ本部で全部吐いてくれたよ。それによりカイザーコーポレーションにも正式に立ち入り調査が行われる。カイザー系列のアンタもただじゃ済まないぞ。」

 

 

理事が一瞬動揺する

 

「ヴァルキューレの本部?ということは貴様、警察か?」

 

「元な。それと小鳥遊ホシノも返してもらおうか?お前らがホシノを騙して誘拐紛いのことをしたのも全部聞いてんだよ。」

 

「そいつらの主張を鵜呑みにするつもりか?」

 

「少なくともアンタの言葉の10000倍は信用できるさ.....いやすまん、0に何を掛けても0か。悪かったよ。」

 

 

険しい表情だった対策委員会の顔が綻び、笑みに変わる

 

「ちょ、キョウタロウ、ちゃんと空気読んで発言しなさいよ。」

 

「キョウタロウって妙に抜けてるところあるよね。」

 

「私も同感です☆」

 

 

和んだ空気を引き裂くように理事が声を上げる

 

「全兵力を以てコイツらを始末しろ!!」

 

 

理事の声と同時に四方の兵が迫るが近づいた者から順に薙ぎ倒され、あっという間に全滅する

 

「さあ、ホシノの居場所を吐け。」

 

「何故だ!なぜお前たちはそこまで....お前たちのせいで、計画がっ!!!私の計画があぁあっ!!!」

 

「お前らのくだらない計画なんて対策委員会の想いに比べたら、吹けば飛ぶ塵みたいなモンだろ。」

 

「ふん、あんたみたいな下劣で浅はかなやつが何をしようと、私たちの心は折れたりしないわよ!!!」

 

「はい!あなたみたいな情けない大人に、私たちは負けません!絶対に!」

 

 

蹲る理事が徐に言葉を発する

 

「おい、警察官、確かヴァルキューレは万年、資金繰りに困っていたはずだ。どうだ?カイザーが全面的に支援してやる、だからコイツら共々この件から手を引け。」

 

「悪いな、俺は今、警察じゃないんだわ。それに仮に警察のままであってもお前のやろうとしてる事はな、"賄賂やるから生徒への横暴を見逃してくれ"って事だぞ?そりゃ流石に筋が通らねぇだろよ。諦めな。」

 

「キョウタロウ!ホシノ先輩、あっちのバンカーの地下だって!アヤネちゃんも来てる。」

 

「すぐ行く。おい理事、最後にありがたい言葉を教えてやる、"不味い飯屋と悪が栄えたためしはない"お前らが何を企んでようが必ずぶっ潰してやるよ。」

 

 

理事を切り捨て皆のもとへ向かう

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、これ開かないんだけど!?」

 

「俺が開ける。」

 

 

バンカーの扉へ何度も拳を叩きつける

 

ガジャン

 

「「「「ホシノ先輩!!」」」」

 

「え?....どうして...だって、私は.....」

 

"言いたい事は沢山あるけどまずは、おかえり。"

 

「先生!セリフ横取りしないでよ!」

 

「おかえり、ホシノ先輩。」

 

「おかえりなさい、です!」

 

「ホシノ先輩、おかえりなさい!」

 

"ほら、キョウタロウもそんな遠くにいないで!こっちおいで!"

 

 

いつの間にか離れていたキョウタロウが気まずそうに近づく

 

「なに浮かない顔してんのよ。」

 

「冷静になって色々考えてたんだよ。もっと早く気付いてたらこんな大事にはならなかったんじゃないかって。」

 

「違いますよ?こういう時は終わり良ければ全て良しと言うんです☆」

 

「うん、シャーレの2人が来なかったら、きっともっと大変なことになってた。」

 

"キョウタロウもあのセリフを言っちゃって!"

 

「その...おかえり。」

 

「何だかみんな、期待に満ちた表情だけど...全く、仕方ないなぁ.....

 

 

 

 

ただいま。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ねぇキョウタロウ?公安局の報告書をわざわざ生活安全局で作る必要なくない?」

 

「なに言ってんだ、あっちとこっちでやるとでは作業効率はダンチだぞ?」

 

 

キリノが箱を片手にパトロールから戻ってくる

 

「キョウタロウ、アビドスでの任務ご苦労様です!これコーギータウンに新しいケーキ屋さんが出来たので買ってきました。みんなで食べましょう!」

 

「俺がコーヒー淹れてくるよ。」

 

「キリノ、今朝のニュース見た?」

 

「はい、カイザーコーポレーションに連邦生徒会が立ち入り調査に踏み込んだとか。」

 

「結局、本部は証拠を明け渡すだけで行動に出てはくれなかったね。」

 

 

盆にカップを乗せたキョウタロウが戻る

 

「キョウタロウ、報告書にあるカイザーPMCという企業はどうなったのですか?」

 

「そこの理事が生徒誘拐事件の容疑者として指名手配。コーポレーションの方も関係なしと主張して、即座に理事を解雇したから営業は完全に停止してる。」

 

 

報告書に目を通し続ける

 

「土地の方はカイザー所有のままなのですね。」

 

「取引自体は違法性も無かったからな。けど借金の利子は大幅に下がったらしいぞ。まあ、借金の額は変わらなかったらしいが。」

 

「2人とも、あんま駄弁ってるとケーキ溶けちゃうよ。」

 

「はわわわ、早く食べちゃいましょ!」

 

 

キリノが勢いよくフォークを口へ運ぶ

 

その姿を見た瞬間にキョウタロウの動きがピタリ止まる

 

(なんですか〜?この神々しいまでのフォルムは!頬を若干膨らました愛らしいご尊顔は!この笑顔を守るためなら全てを敵に回したって構わない。)

 

「キョウタロウ?そんなジロジロ見られると食べづらいというか....」

 

 

その声に応じるように両腕に顔を伏せる

 

(なんですか〜?そんな顔を赤らめちゃ.... もう 変な声しか出ませんよ....)

 

「?やはり任務終わりで疲れているのでしょうか?」

 

「幸せを噛み締めてるだけだよ。」

 

 

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