ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
早朝のシャーレオフィスで書類仕事に勤しむ2人の生徒の姿があった
「もう!先生ってば、領収書は全部出してって口酸っぱく言ったのに引き出しの奥に大量にあるじゃない!」
「..........」
「って!何よコレ!首輪3000円にバニー衣装4万円分っていかがわしさ満載じゃない!」
「.......なあ気持ちは理解できるが、デスクワークぐらいもう少し静かに出来ないか?」
「いつもはこんなんじゃないわよ、大体そっちの書類整理も進んでるのかしら?」
「終わったよ。」
疑いの眼差しで隣に積まれた大量の書類から数枚取り目を通す
「ホントに終わってる....警察ってだけあってやるわね。ねぇ、良ければセミナーに入らない?」
「書類仕事に慣れてるだけだ。あと断る。」
「あっそう。そういえば、先生は昨日からはトリニティ総合学園に出向いてるけど、貴方は代行から先生のボディーガードを任されてたのよね?」
「あぁ、その事なんだけどな....」
途端に遠くを見つめる
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"キョウタロウ!トリニティってお嬢様学校らしいね!"
"どんなキラキラした子達に会えるかな?久しぶりにヒフミちゃんにも会えるね。"
「トリニティ自治区の依頼は受けても生徒会からの依頼を受けた事は無かったですからね。」
浮き足立つ先生と普段と変わらないキョウタロウがトリニティへと歩みを進める
そしてトリニティの門をくぐった2人の視線の先にはお嬢様学校とは程遠い景色が広がっていた
"え?ナニゴト!?"
「歓迎は、されてるんですかね。」
2人の視線の先には戦車10台、榴弾砲25基、黒い制服に身を包んだ正義実現委員会のメンバーが総出で待機していた
(今から戦争でも始まるのか?怖...あの正実の人めちゃくちゃ睨んでくるじゃん。てかヘイロー溶けてる?大丈夫か?)
血の滴ったようなヘイローを持つ生徒と睨み合っていると、奥から純白の制服を着た2人の生徒が姿を見せる
「ねぇねぇ、貴方が色んなトコで噂になってるヴァルキューレの猛獣だよね!」
「ミカさん、ここは厳粛な場ですので少々お静かに。」
「もう〜ナギちゃん固いよ〜?せっかくシャーレの2人が来てくれてるんだからもっと歓迎してあげなよ。」
ミカと呼ばれた生徒の声を聴き流しナギと呼ばれた生徒が前は出る
"貴女が今回依頼してきた桐藤ナギサちゃん?"
「はい。トリニティの生徒会であるティーパーティーのホストを務めております。桐藤ナギサです。」
"それで...後ろの戦車とかはなに?"
「ティーパーティーには常日頃から真偽不明の情報が流れてくるのです。その中に彼の情報もありましたので。」
ナギサの鋭い視線がキョウタロウへ向けられる
「情報によれば貴方はゲヘナの風紀委員会を退けるほどの力をお持ちで、何度も対立しているとか。そのように他方から恨みを買っている恐れのある方を関わらせる訳にはいかないのです。」
「今回の件は中立の立場であるシャーレだからこそ依頼できるのです。」
"でもキョウタロウは連邦生徒会から私のボディーガードを任されてるよ?"
「その点はご心配なく。トリニティ内での先生の身の安全はティーパーティーが保証致します。ですので、喜悠凪キョウタロウさんにはお引き取り願います。」
"でも....."
「いいですよ、先生。俺が多少なりとも恨みを買っているのは事実ですから。帰って書類整理でもしてますよ。」
「御理解いただき感謝します。」
「えー!もう行っちゃうの!?警察ならではの面白い裏話とか聞けると思ったのにー。」
軽くお辞儀をしてトリニティを去る
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「って事があったんだよ。先生はそのまま、補習授業部って部活の顧問になったらしい。」
目線が隣に座る生徒へ向き直る
「正直、トリニティの対応は正解だと思うわ。」
「俺はなんだと思われんてんだ?」
「うーん.....災害?」
「.........」
全てを諦めたように背もたれに限界まで体を預ける
(エデン条約のこと何も聞けてねぇなぁ。調印式のときにミサイルが飛んできて先生が死にかけたり甚大な被害が出るとこまでは何となく覚えてるが、これはゲームじゃないんだ。先生も他のみんなも命ある生き物でコンティニューもリトライもない。ミサイルだけは何としてでも阻止しなくちゃならない。それに大事な箇所が抜けてる気がする。)
「ずいぶん思い詰めてるじゃない。トリニティの対応がそんなにショックだった?」
隣から投げられた言葉に思考から引き戻される
「いや、別のことだよ。」
(ウジウジ悩んでも仕方ないか。"ジーッとしててもドーにもならねぇ"って言葉もあるくらいだ。今できることをやってこう。)
「なあ、会計さん。」
「早瀬ユウカよ!いい加減覚えなさい!」
「ミレニアムのエンジニア部って本当に何でも作れるのか?」
「まあ、あの子達なら予算が許す限りやるんじゃないかしら。」
「よしっ!アンタはそこで請求書と格闘してな。ミレニアムに行ってくる。」
「え?ちょっと!少しは手伝いなさいよ!」
怒鳴り声を無視してオフィスを飛び出していく
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道中、妨害を仕掛ける不良をいなし手土産の菓子折りを買った後ミレニアムサイエンススクールに到着する
「ネットに校内マップを出してるなんて便利だな。ここがエンジニア部か。」
門の先に全戦力が待機しているなんて事もなく容易に目的地へ辿り着く
コンコン
「入ってくれて構わないよ」
ドアの奥から聞こえる声に促され中へ入る
「その腕章、ヴァルキューレの生徒が来るなんて珍しいね。」
「貴女がエンジニア部部長の白石ウタハでしょうか。」
「その通り。それで今日はどんなご依頼かな。」
奥からもエンジニア部と思しき生徒が2人やってくる
「今日はこの2本のランチャーを改造して欲しくて来ました。」
作業台を挟んだ3人の前にランチャーを差し出す
「具体的にどういった改造をご所望かな?」
「巨大なミサイルを撃ち落とせるほどのレーザーが出せるようにして欲しいんです。」
「なるほど。ではまず、ランチャーの内部構造を見てから判断させて欲しい。詳しく見ても構わないかい?」
「ええ、どうぞ。」
ランチャーを抱えたまま3人共目を皿にようにして吟味する
「すごいねコレ、連結機構じゃない?」
「砲弾の装填方法もかなり独特ですね。」
「この構造だとバックブラストが発生しないと思うが...」
「じゃあ、発射時の反動を100%生身で受け止めてるってことですか!?」
「コレは改造のしがいがあるな。」
3人は満足したようにキョウタロウへ目線を戻す
「面白いものを見せてもらったよ。改造する上での不都合も少ないよ。ここでザックリと説明していこうか。」
その言葉に1番身長の低い生徒が反応する
「説明ならこの私に任せてください!!!!」
その後3時間に及ぶ説明会が開かれた
結論としては見た目はそのまま、レーザーを撃てるよう内部を少しいじり、予備の砲弾を格納した状態でランチャー本体に取り付けられた鉄箱を大容量のバッテリーパックへ置き換える
バッテリーパックにレーザーの出力を調整するスライド式のトリガーを設ける
さらにバッテリーと鉄箱を付け替えれば普段通りのミサイルランチャーとしても使える
「以上がランチャー改造のおおまかな設計です。ただ一つどうにもならない事がありまして...」
「レーザーを最大出力で撃った場合は、砲身が焼き付いてしまって冷めるまで砲撃する事が出来なくなってしまうんだ。」
「改造には約1週間を要する。それまで預かっていても問題ないかい?」
「ええ、問題ありません。1週間後に改造にかかった費用を持って来ます。あと良ければ3人で食べてください。」
様々な焼き菓子が詰められた箱を置いて部室を後にする
「あと用事があるのはヴェリタスか、直接出向くのは初めてだな。」
ヴァルキューレのセキリュティに関して普段から世話になっている為、御礼を兼ねて伺おうとマップを見ながら校内を進む
「廊下の突き当たりを曲がったところか。」
最後まで場所に間違えがないようマップを見ながら角を曲がるが
「あだっ!」
(ん?今何かにぶつかったか...)
辺りを見渡しても声の主が見当たらない
「おい、下だ。」
足元に目をやるとメイド服の上にスカジャンを羽織った生徒が尻餅をついていた
「悪い悪い、(マップに気を取られて)見えてなかった。」
ぶつかってしまった生徒を丁寧に立ち上がらせ、その先のドアへ手を伸ばそうとするが
「おい待てよ。」
苛立ちを全面に引き出した声に呼び止められる
「"見えてなかった"だぁ?いい度胸だな.....
ぶっ殺すぞッ!!!」