ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
一同を乗せた車が廃倉庫が遠目で見える場所で停止する
「犯罪を食い止めるために協力するエージェントと警察官。映画のようでワクワクしますね!」
「アンタらエージェントだったのか。それなら部長さんの実力もコールサインが必要なことも納得だな。」
「メイド部は仮の姿。実態はセミナー直属の凄腕エージェント!という訳です。」
(凄腕って自分で言うのか。まぁ相応の力があるのも事実か。)
「おい、警察官のお前ならあの倉庫、どう乗り込む?」
何かを見透かしたように悪戯な笑みを浮かべるネルに問われる
「あんな袋小路に自分から突っ込んでくれたんだ。"正面から殴り込む"一択だろ!!!」
「よっしゃぁ!テメェら、ぶっ潰しにいくぞっ!!!」
ネルを先頭に全員で倉庫へ乗り込む
中にはヘルメット姿の生徒が十数人ほどでドローンを弄くり回していた
その他に高所の足場にも数名確認できる
「対象を確認。殲滅を開始します。」
「ゼロワン!バルカン!ドローンを安全な場所に移してくれ。」
「「了解!」」
カリンの狙撃とネルの連射でドローンへの道が開く
近づいてくるヘルメットも体術で容易く退ける
「よしドローン確保。」
ゼロワンが1機、武器を持たないバルカンが2機を抱えて倉庫の外へ出そうとするが
「バルカン、手違いでミサイルの照準が全て貴方にロックオンされてしまいました。」
「え?」
ゼロスリーの警告と同時に小型ミサイルが一斉に飛来するが、ミサイルに背を向けドローンを守る
その爆破の衝撃に相手も巻き込まれるが奇跡的にドローンと倉庫も無事であった
「ドローンは...無傷だ....」
「チッしぶとい奴だ。アカネのミサイルまで耐えるのかよ、頑丈すぎんだろ。」
「リーダー、それは誤射された仲間に言うセリフじゃない。」
呟くネルが最後の1人を仕留め戦闘が終わる
「申し訳ありません。普段はあのような誤射は無いのですが...」
「別に平気だ、爆破されるのは慣れてる。」
「....警察というのはやはり大変なのですね。服もまたボロボロになってしまいましたし戻り次第、替えのメイド服をご用意させていただきます。」
「申し訳ないと思ってんなら普通の服にしてくれよ...」
事後処理に取り掛かる一同を横目に隣に転がるヘルメットを手に取る
ヘルメットには斧で頭を割られている頭蓋骨の横顔の意匠が施されていた
(ダセェ...でもドクロってとこが引っかかんだよなぁ...)
「バルカン、後処理終わったしさっさと帰るぞ。」
「なあ部長さん。」
「んだよ。」
「ドクロを象った校章の学園ってあったりするか?」
「あ?お前なぁ...キヴォトスに幾つ学園があると思ってんだよ。それに他所の校章なんて覚えてられっかよ。」
「そうか.....」
「2人とも、戻りますよ。」
倉庫の出入り口からのアカネの呼びかけに従い廃倉庫を後にする
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「凄いわ....C&Cの任務の後に請求書を見なくていい日が来るなんて。本気でC&C兼セミナー会計としてミレニアムに転入しない?」
「ミサイルの衝撃をキョウタロウが全て受け止めてくれたからな...」
「転入なんかしねえぞ?あと流石にこの状況で勧誘はねぇだろ。」
生徒会室では盗難事件を振り返るユウカと、その眼前でカリンとアスナに全力で拘束されるキョウタロウとミニスカートを突きつけるアカネ、その姿を愉快気に眺めるネルがいた
「ほら、このスカートもきっと似合いますから遠慮なさらず。」
「ああ、私たちが保障しよう。」
「次は三つ編みも試そうよ!」
「似合う似合わないじゃなく、俺のプライドが許さない。」
(この2人、力が入れづらいように腕を拘束してやがる、振り払えねぇ)
「ならミレニアムの制服にする?」
「どのみちミニスカじゃねえか!ロングならまだ履けるがミニは絶対にお断りだ!お前らは俺を着せ替え人形だとでも思ってんのか?」
「全く、仕方ありませんね。新前の我儘を受け入れるのも先輩の役目です。今回だけですよ☆」
「メイド服を着るのがな!!!」
結局ロングスカートを履くという事で落ち着きアカネがスーツとコートを手直してくれることとなった
「直してる間にドローンは俺が返してくるよ。」
「ご協力、感謝します。」
生徒会室からエンジニア部の部室へと向かう
ドローンを積んだリヤカーを引くメイド
そんな姿は道ゆく生徒の注目の的となる
「あんな人この学園にいたっけ?」
「さあ?でもすごく綺麗な人だね。モデルさんみたい。」
「メイド服ってことはメイド部の新入部員かな。」
自身の姿をこれ以上晒したく無いかのように食い気味に部室へ入る
「ドローンを取り返してくれてありがとう。丹精込めて作ったものだから助かっ....た...よ....」
言葉と同時にこちらへ振り向くウタハが固まる
「言いたいことはあるだろうが何も言わないでくれ。」
「私も人の趣味にとやかく言うつもりはないよ。」
他の2人も集まったことでヒートアップしていくがなんとか弁明に成功する
「なるほど、あの時の騒音は君だったのか。すまないね、君が丸腰になってしまうことを失念していたよ。お詫びと言ってはなんだが、好きな武器を持っていってくれて構わないよ。」
ウタハが作業台に掛けられた布を取り払う
作業台には武器が4つ
白と黒のボディに赤いラインが入ったマグナム、弓の様な形状で繋がっている大小2つの緑色のナイフらしきもの、マゼンタとシアンの塗装が互いを引き立て合うエレキギター型の武器、スライド機構がついた紫色の剣のようなチェーンソー
「どれも珠玉の逸品だ。好きなものを選ぶといい。」
(うわ〜テンション上がるぅー。これ誰がどう見てもアレじゃねえか。)
(とれにするかなぁ?チェーンソー....は物騒過ぎるし却下。ギターも弾けないから却下。ナイフは器用じゃないから却下。なら消去法で)
「これだな。」
白いマグナムを手に取る
「それを選ぶならこれを渡さないとね。」
ヒビキから腕ほどの長さのロングバレルと取手の付いた丸いアタッチメントを渡される
そこへすかさずコトリの説明が入る
「そのロングバレルを取り付ければレールガンの要領でマグナムの射程と威力を大幅に引き上げ、スナイパーライフルのように取り回すことも可能になります。そのアタッチメントは貴方のランチャーに取り付ける予定のバッテリーパックを応用したもので取り付ければ単発のレーザーを放てるようになります!」
満足そうに笑みを浮かべるキョウタロウを微笑まし気に眺めるエンジニア部
「気に入ってもらえたようで何よりだよ。」
「では、ドローンの返却も済みましたから俺はこれで。」
「ありがとねー。」
マグナムを片手で遊ばせ部室を去る
(今度こそ、今度こそヴェリタスに行くぞ。でも、ネルから逃げてる途中に手土産無くしちまった...失礼だけど手ぶらで行くしかないか。)
そのままヴェリタスの部室へ辿り着きノックをしようとするが中から声が掛かる
「失礼します。」
中へ入るとモニターの前に座るショートヘアの生徒と卓を囲んでドーナツを食べる3人の生徒がいた
「君のことはモニターを通じて見てたよ。追いかけられて女装までして大変そうだったね。でも似合ってるよ。」
白髪の生徒が憐れみの目を向ける
「ハレ、似合ってるのは事実だけどそんな目で人を見ない。」
「どこまで見てんだよ。あとそのドーナツって...」
「ドアの前まで君が持ってくるのを見てたから貰ったよ。」
「手土産として持ってきたからいいけどさ。」
「うちの子達が勝手な事してごめんね。私はヴェリタス副部長の各務チヒロ。今日はどんなご用件で。」
「ヴァルキューレ公安局の喜悠凪キョウタロウ。今日は日頃からヴァルキューレのセキリュティの面倒見てもらってる礼にと思って、挨拶もかねてな。」
「よかった〜。逮捕されちゃうかと思ったよ〜。」
赤髪の生徒が安堵の声を漏らす
「そこの赤髪はそんなに疾しいことしてるのか?」
「あの子はマキ。グラフィティが好きで学園や街中の至る所に描いてるの。」
「そりゃ、立派な器物破損だな。商店街の方でも問い合わせが何度かあったよ。」
「私も注意はしてるんだけど....」
「でも商店街の人からは好評だったぞ。殺風景だったけど彩りが出て良い客寄せになってるって。」
「コタマ先輩!とうとうあたしの芸術が理解される時が来たよ!」
コタマと呼ばれた生徒は黙りを決め込んでドーナツを頬ばる
「まあ、今日は挨拶に来ただけだ。」
「そう、おたが大変そうだけど頑張ろう。」
「何か困ったことがあれば連絡してくれ。俺ならすぐに動けるから。」
4人の見送りを受けてヴェリタスを去る
そのままアカネからスーツとコートを受け取り、帰り支度に入る
「とうとう、この学園を去ってしまうのですね。でもご安心ください、貴方は名誉メイド部員として我々の一員です。」
「何をどう安心すれば良い?」
「どうせ近いうちにまた来んだろ?そんときはお互いに正真正銘の全力だからな!」
「勘弁してくれや。」
「お願いだからそれだけはやめて!校舎が大変なことになっちゃうから!」
「次来るまでには沢山アクセサリーを用意しておこう。」
「まったねーー!」
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(今日は果てしなく長い1日だったな。)
帰路に着く頃には日の入り間近だった
(結局ミサイルが飛んできて先生が死にかけるくらいしか思い出せてねえし、もっと何かがあったはずなんだよなあ。)
(ドクロの意匠も妙に引っかかるし、また明日詳しく調べる必要があるな。でも今は)
『はい、もしもし。』
「キリノ、今日上がったらご飯いかないか?」
『良いですね!どこにしましょうか。』
ご機嫌な夕食で1日を終えた