ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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束の間の休息

 

 

「や〜っぱ、大量に届いてらぁ....」

 

 

シャーレオフィスでトリニティの各施設の修繕費が記された請求書を処理していた

 

「こちらトリニティから届いた請求書を、今日はなんと、天ぷらにですね...

 

「ヤギかテメェは。下らねぇこと言ってる暇あんならとっとと仕事終わらせろよ。」

 

「分かってるって...てかなんで部長さんが居んだよ。」

 

「今日はアタシもシャーレの当番として来たんだよ。」

 

「いつのまにシャーレに入部してたんだよ.....」

 

 

キョウタロウを尻目に漫画を読み耽るネル

 

「それよりもお前、合格祝いだか何だかでトリニティにお呼ばれしてんだろ?モタモタしてて良いのかよ。」

 

「...そうだった、う〜ん...請求書なんて後から片せば良いか。そんじゃ、トリニティに行ってくる。」

 

「自由な奴だな...」

 

 

オフィスを出ていくのを確認してネルがある人物へ連絡を入れる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

                先生、ター坊が今

                そっちに向かった

 

 

りょ〜か〜い☆

今からアカネが迎えにくるって

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

トリニティ旧校舎の一室に先生と補習授業部、C&Cに加えてウタハ、キリノ、チヒロの姿があった

 

「校舎の至る所にマイクとカメラを仕掛けたけど、これから何がはじまるの?」

 

"良い質問だねチヒロちゃん、これからキョウタロウのガス抜き作戦が始まるんだよ。"

 

「ガス抜き?」

 

"うん、詳しくは言いないけどトリニティの一件以来、少し思い詰めてる様子があってね。"

 

「確かに、シャーレにいる間もテンションおかしかったしな。」

 

"それで今日は『合格祝いに行ったら会場がお化け屋敷になってました』ドッキリをするの。"

 

「なあ先生、部長に喧嘩を売るような人間がお化けを怖がるのか?」

 

「キョウタロウはお化けに対しては凄く怖がりですよ。」

 

 

カリンの疑問にキリノが答える

 

「にわかに信じ難いな。」

 

「中等部のとき、違反者がお化け屋敷に逃げ込んだのを見て追跡をやめたぐらいですから。」

 

"そうゆこと。それに今回はエンジニア部とヴェリタスの最新機器のテストも兼ねてるから、大義は我らにあり!"

 

「噂をすればなんとやら。ターゲットがやってきたみたいだよ。」

 

 

裏口を監視するモニターにキョウタロウの姿が映る

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「正面玄関が壊れてるからって裏に来たけど....」

 

 

裏口の玄関には鈍色の鉄扉が設けられていた

 

「裏の玄関ですらガッチガチのセキリュティなんて、やっぱトリニティって金持ちなんだなぁ。」

 

 

事前に先生から伝えられた解除コードをテンキーに打ち込み、何の疑いもなく校舎へ入る

 

「暗いな、旧校舎だから必要な場所以外は電気つかねぇのかな。」

 

 

______

 

"ウタハちゃん、まずはどんな仕掛けなの?"

 

「先鋒はホログラムで作った人影だ。これでギミックを仕掛けたフロアまで誘導する。」

 

"よーし、やっちゃって!"

 

ウタハの説明通りに廊下の突き当たりを人影が横切る

 

______

 

 

 

(....なんだ今の、アリウスの残党か?...だとしたらまずいな。)

 

 

微塵の迷いもなく人影の跡をつけるが廊下を曲がったところですぐに見失ってしまう

 

(逃げ足の早い奴だ、ケータイも圏外だし教室をひとつひとつ虱潰しにするしかないか....)

 

 

すぐ手前の教室に入ろうとした瞬間、バラバラと音を立て自分の周囲に落ちる物に目が釘付けになる

 

ホワァァァァァァァァァァーーーー!

 

 

_______

 

 

だはははははは!こいつぁ、傑作だな!」

 

「アハハ!意外と可愛いとこあるじゃん!」

 

"軽めのやつでもこんなに驚くなんて。"

 

「『血糊のついた腕の模型を大量に落とす』は大成功だね。」

 

「可哀想だけど凄く面白いです。」

 

_______

 

 

視界に無数の腕を捉え、恐怖のあまり息を切らしながら教室へ押し入る

 

「な、なんだよ...今の腕...ふざけんなよ....ッッッ!」

 

 

机に手を掛け立ち上がると妙にリアルな人体模型と目が合う

 

「い.....良い体してんね。」

 

 

気が休まった途端に奥の窓に夥しい数のの血の手形が張り付く

 

ヤハーーーーーーーーーーー

 

 

そのまま教室を飛び出していく

 

 

________

 

 

「やっ..べ.....息が...できねぇ....」

 

「あの手形はどうやって?」

 

「あそこの窓を極薄のモニターに取り換えて映し出したんだよ。」

 

「流石、我が校が誇るエンジニア部ですね。」

 

"キリノからどれくらいの怖がるかは聞いてるよね?"

 

「もちろんさ。他の教室を走り抜けてしまう事も考慮して、廊下にもギミックは沢山仕掛けてあるとも。」

 

 

________

 

 

ウタハの言葉通り道中の教室を通り過ぎてしまうが、廊下の至る所に仕掛けられた小型スピーカーから発せられる笑い声、叫び声、複数の走る足音がそこらに響き渡り、冷静さを奪っていく

 

キョウタロウは目と耳を塞ぎ一心不乱に走り抜けとある教室の扉を突き破る

 

「ハァ...ハァ....ピアノに...譜面台?音楽室か、こんなのホラーの定番じゃねえか.....」

 

 

項垂れるキョウタロウの予感は的中し、ピアノがひとりでに音を奏で、誰とも知れない肖像画がガタガタと震え出す

 

ヴワ"ァ"ーーーーーーーーーーーー!!!

 

 

 

______

 

 

「フフフ、怯えた姿はまるで子犬ですね♡」

 

「まあ、猛獣とはほど遠いけれども....」

 

"うけるw"

 

「そろそろ終盤でしょうか?」

 

「..................」

 

「とうとう部長は笑いすぎて声すら出なくなってしまいましたね。」

 

「聖園ミカと対峙した時でさえ、顔色ひとつ変えず冷静だったはず.....」

 

______

 

 

様々なギミックが仕掛けられた廊下を駆け抜け、夕陽が差し込む正面玄関へと辿り着く

 

正面玄関には夕陽を眺めるように、こちらに背を向けるヘイローの無い少女が1人佇んでいた

 

少女の姿を視認した時点でキョウタロウの心臓ははち切れんばかりに脈動していた

 

「……………ロー………だい………」

 

「な、なんだって?」

 

 

 

 

 

「……イロー………ちょ………い………」

 

 

 

 

 

 

「ヘイロー、ちょぉ〜〜だああぁ〜〜〜い?」

 

 

振り向きながら手を伸ばしそう発する少女の顔に目は無く、本来目があるはずの位置にはただの闇が渦を巻いていた

 

その姿を見た瞬間、キョウタロウは叫ぶでも怯えるでもなく、背を向ける

 

その直後に足元が抉れるほどの力で踏み込み裏口まで全力疾走する

 

あっという間に裏口に到着し、ガッチリと閉じた鉄扉を叩き壊して外へ飛び出す

 

(今のは....なんだ?何かは分からないが....人間じゃないのは確実だ.....)

 

 

息を切らしながら地面に横たわるキョウタロウのもとへ、プラカードを手に先生達がやってくる

 

"ドッキリ大成功〜〜"

 

「ドッキリ....?」

 

"そう、エンジニア部とヴェリタスの機器の試運転も兼ねてドッキリを仕掛けたの。最近、思い詰めてるようだったから良い気分転換になればと思って...."

 

「じゃあ今までの奴は、全部ニセモノ?」

 

「そうですから安心してください。お化けなんか居ませんから。」

 

「よかった....ホントに....心臓が潰れるかと思った....」

 

「ハハハ、どれが1番怖かったか、良ければ聞かせてくれないかい?」

 

「そんなもの、1番最後の正面玄関のやつだろ。」

 

"正面玄関?"

 

「ほら、正面玄関にいた女の子だよ。」

 

「ん?私達は正面玄関にギミックはひとつも仕掛けていないよ?」

 

「は?」

 

「『は?』ってお前が監視カメラの付けてない玄関につっぱしっ見えなくなったから、ここまで来たんだぞ?」

 

「え....だって、正面に『ヘイローちょうだい』って目の無い女の子が居て.....ていうか、なんでこんなに陽が明るいんだ?正面玄関には夕陽が差し込んでたぞ?」

 

 

大人数にも関わらずキョウタロウの言葉を最後に誰も声を出そうとしない

 

"......みんな、校舎の荷物速攻でまとめてシャーレに帰るよ。片付けの際は必ず3人1組で、且つ全員が見えるように行動すること。"

 

「「「「「「「はい!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

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