ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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カミングアウト

 

 

 

「...........んん....?」

 

 

古聖堂とは違う、アルコールと薬品の入り混じった匂いで目を覚ます

 

点滴が何本も体から伸び、左脚はこれでもかと言うほどにギプスがガッチリと巻かれていた

 

そのうちベッドの隣でうたた寝をするキリノも目を覚ます

 

「キョウタロウ....!起きたのですね!本当に良かったです!!!」

 

「うん、ってマッテ!ちょっ!痛いいたいイタイ.....けど嬉しい

 

「あ、えっと、すいません!お医者さん呼んできます。」

 

 

キョウタロウの側を離れ病室を出ていく

 

(キリノに抱きつかれちゃった......)

 

 

しばらくして先生と犬の医者を引き連れたキリノが戻り、ざっくりとした触診が始まる

 

「どこか気になる箇所はありますか?」

 

「いえ、強いて言うなら左脚ですかね。」

 

「あぁ、痺れてるでしょ?筋繊維がズタズタで骨にも信じられないくらい亀裂がありましたから。」

 

"後遺症とかは大丈夫なんですか?"

 

「ええ安心して下さい。ゆっくり時間をかけて治せば問題ありません。しかし完治するまでは激しい運動は控えて下さいね。」

 

「良かったですね。キョウタロウ。」

 

「まあ、一先ずは安心か。」

 

「本当に安心しましたよ。運ばれてきた時は病院中大騒ぎでしたよ?廊下に跡を残すほどの出血に心臓も止まりかけてたんですから。私としても、もう助からないと思いましたから。」

 

"2週間!2週間も目覚めなかったんだからね!.......でも、生きててくれてありがと。"

 

「本当に、もう無茶な真似はやめて下さいよ.....」

 

「迷惑かけて、すいません。」

 

「ははは、顔色もいい様ですし、経過観察にしても良いかもしれませんね。詳しくはまた後日ということで。」

 

"「「ありがとうございます。」」"

 

 

担当医が退室し、入れ替わるようにある3人が入ってくる

 

「「失礼します。」」

 

「....入るわ。」

 

(うわぁぁ、1番会いたくなかった面子だなぁ...)

 

 

病室に入ってきたのは険しい顔のヒナとナギサ、そしてシノンの3人

 

"2人ともそんな怖い顔してどうしたの...."

 

「今日は、そこの警察官に話があるの。」

 

「私も同じく。目覚めたばかりで礼節さを欠いていることは重々承知ですがどうしても聞かなければならないので。」

 

「単刀直入に聞くわ。なぜ古聖堂にいたの?言っとくけど妙な誤魔化しは通用しないから。」

 

"それ、私も気になってた。"

 

 

有無を言わせない威圧感を込めながら言葉を発するはヒナをまじまじと見つめた後、徐に口を開く

 

「俺も聞きたいんだが.....

 

「聞いているのはこちらです。答えて下さい。」

 

 

痺れを切らしたナギサが強引に遮るが無理矢理続ける

 

「黙って聞けっての、風紀委員長が言ってた誤魔化しは効かないってどういう意味だ。」

 

「.....シノン。」

 

「は、はいぃ!少々お待ちください!」

 

 

ヒナの威圧感に当てられたシノンがあくせくと取り出したのは1枚の写真

 

そこに写っていたのは屋根の上でランチャーを持ちながら目を瞑るキョウタロウだった

 

「こんなもの、クロノスならすぐにすっぱ抜きそうなのに私たちにだけ見せてきたわ。」

 

「この直後にミサイルを迎撃する貴方が映像で残っています。さあ、こちらは全て話しました。貴方の番ですよ。」

 

(やっちまったぁ....まぁ、仕方ねえか。)

 

 

キョウタロウも観念したように話始める

 

「つまり、お二方は俺がミサイルを飛ばした奴と繋がってると思ってるわけだな?」

 

「ええ、貴方、アコ達がアビドスに来た時に自分も調印式に出席したいと言ったらしいし、そう考えるのが妥当。」

 

「トリニティでもミカさんが暴動を起こした際、その場に居合わせていたそうではありませんか。」 

 

(嘘だろ!?まさかのここに来て、やる事なす事全部が裏目に出やがった!)

 

「ボサッとしてないで、早く答えて。」

 

 

内心の焦りを面には出さずにいるが思考は止まりかけていた

 

(仕方ねえ、キリノも先生もいるけど白状した方が良さそうだな。)

 

「.......犯人を知っちゃあいるが、繋がってるわけじゃない。」

 

「どういう事?」

 

「突拍子も無い話だが、2人は俺が未来の出来事をほんの少しだけ知ってるって言ったら信じるか?」

 

「はい?」

 

「.....私は、信じます。貴方もセイアさんのような未来予知ができるという事ですか?」

 

「予知とは違うな。見えるわけじゃくなく、文字通り知ってるだけ。まあ、知ってるって言ってもその記憶も抜けてる部分がかなりある。実際、先生が死にかけた原因はその瞬間になるまで思い出せなかったしな。」

 

「つまりはミサイルが飛んでくる。その記憶だけが残ってたわけね。仮に貴方がミサイルの対処をしなかった場合はどうなってたの?」

 

「調印式に出席したゲヘナもトリニティもほぼ壊滅状態になって大混乱。その上、先生は凶弾で死にかける。全部を信じてくれなんて言わない。ただ、そうなってたかもくらいで考えててくれ。」

 

 

険しかった2人の表情が徐々にほぐれていく

 

「そう、ならそうする。信じ切る事は出来ないけど先生を助けたのは事実かもしれないから。」

 

「そうかい.....そういえば調印式が襲撃された訳だけど、条約の方はどうなったんだ?」

 

「それなら先生が条約を書き換え、混乱の中でもなんとか履行してくれました。」

 

 

先生の方は目をやると自信満々の笑顔でVサインを作っていた

 

(流石先生。)

 

「では、私たちはこれで。」

 

「最後にひとついいかしら?」

 

「なんだ?」

 

「襲撃した奴らは何が目的だったかわかる?」

 

「過去に受けた激しい弾圧と迫害への報復。」

 

「そうですか.....」

 

 

途端にナギサが顔に影を落とす

 

「ナギサは思い当たることがある様だな。ヒナの方は....もっと知りたきゃ万魔殿を強請ってみな。」

 

「そう、ありがとう。」

 

「重傷の体でご対応いただき、ありがとうございます。」

 

 

深々と礼をし、2人だけが退室していく

 

2人が去るのを見届けた後、シノンが一気に腰を落とす

 

「レポートより緊張した〜〜。」

 

「私はまだ、状況が飲み込めません...」

 

「シノンがあんなスキャンダルを公表せずに、2人に見せるだけで留めるなんてな。」

 

「確かに。いつもなら、ある事ない事流すクロノスが.....」

 

「私だって道徳を忘れてはいません!日頃からキョウタロウさんには助けてもらってるんですから。」

 

"キョウタロウっていろんな事してるんだね。"

 

「はい。危険な場所の中継なんかでは、護衛として付いて来てもらっているんです。」

 

「てか、先生はあっさりと飲み込んでるみたいですけど.....」

 

"どんな秘密を抱えていたとしても、受け入れる。それが私の信条だから。"

 

「やっぱ先生は立派ですね。」

 

 

その後も4人で雑談を続けていると先生のスマホがなる

 

"なんだろ...."

 

 

目を左右に忙しなく動かしこちらへ向き直る

 

"さっきの話にチョロっと出てきた、セイアって娘覚えてる?"

 

「ええ。確か未来予知が出来るっていう。」

 

"明日、2人で話がしたいんだって。セイアちゃんも自由に動けないから、キョウタロウに直接来てほしいみたい。"

 

「そうですか、構いませんよ。」

 

"じゃあ、返信しとくね。"

 

「あ、シノン、キリノ、今日の事は内密に頼むぞ?」

 

「「流石にこんな事は無闇矢鱈に言いふらしませんよ!」」

 

「だといいけどなぁ.....」

(先生達に負けてアリウスは行方をくらましたみたいだし、名前は忘れちまったが元凶の大人も尻尾を掴めないままだ。問題は山積みだが少しづつ消していくしかないな。)

 

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