ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
アリウス自治区へ向かう道すがら、更地となった古聖堂を歩く2人の目の前で1台のトラックが停車する
中からはブラックマーケットチームのリーダーが降りてくる
「お久しぶりです。頼まれた物持ってきましたよ。」
「いつの間に呼んでいたんだ?」
「病院出る前にちょいとな。」
リーダーの手には細長く黒い棒状のモノとそれなりの長さのコンパウンドボウ
「急に持ってこいなんて言うもんですから、手入れが行き届いていないかもしれませんので悪しからず。」
「構わないよ、ありがとな。ここら辺は何が起こるか分からないから早く離れた方がいい。」
「そうしたいのは山々ですが、ちょっとマズそうですね。」
リーダーの目線の先には、雨で霞む景色の奥から無数のアリウス生が近づいてくる
皆一様に視線を右左へ忙しなく動かし、辺りを警戒するような素振りを見せる
「こちらの存在には気付かれていないようだな。」
「肩慣らしには丁度いい。」
1人のアリウス生へ向け矢をつがえ、弓を引き絞ると同時に滑車が小さく軋む
手を離せば矢はほんの少しの風切り音と共にアリウス生へと真っ直ぐに向かい命中と同時に爆発する
「な、なんだ!?敵襲か!?」
「だが、なんの音も無かったぞ!?」
「探せ!近くにいるはず....ぐわっ!」
混乱するアリウス生を1人ずつ的確に狙い撃っていき辺りのアリウス生を全滅させる
「久しぶりたけど案外イケるもんだな。」
「寧ろ以前よりも精度が上がってる気がしますね。」
「ブラックマーケットにいた頃よりは確実に成長してるってこった。」
「....見える限りで敵はいない。」
「よし、道はお前が分かるんだよな?」
「その通りだが、道は時間ごとに変わってしまう。」
「ならさっさと乗り込むか。リーダーも遠くまでありがとな。」
「いえ、そちらこそお気を付けて。」
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「ブルルルラックホールが吹き荒れるぜえぇぇぇーー!!!!」
「おい!叫んでどうする!押し寄せて来るぞ!」
地下に乗り込んだ2人を待ち受けていたのは大量のアリウス生
物陰に身を潜めるサオリに対し、キョウタロウは叫びながら金棒を振り回し手当たり次第に敵を伸していく
「こんなに待ち伏せされて、スニーキングなんて出来ねえだろ?こうなりゃ潔く正面突破だ!」
「それもそうか....仕方ない。」
サオリも飛び出し本格的な攻撃を始める
「おい!増援を呼べ!コイツを何としてでも止めろ!」
「好きなだけ呼びな。呼ぶなら呼んだだけ叩き潰してやるからよ。」
奥から増援が雪崩れ込む
「その男は殺すなよ。だがマダムは生捕りならどんな手段でも構わないとのことだ。」
「ですが銃弾が効きません!迫撃砲で対処します。」
指示を出された1人が砲門を向けるが、発射より先に放たれた矢が砲身の中へ入り込み爆発を起こす
同じ要領で他の迫撃砲も次々に潰していく
「さあ、まだやるか?」
「貴様ぁぁ.....ぐっ!」
「は?なんだ?」
銃を向けるアリウス生達が遠くからの発砲音と共に倒れていく
「この射撃は、もしや....ヒヨリ、大丈夫か!?」
「リ、リーダー....どうしてここに?」
物陰からおどおど身を出すヒヨリと目が合う
「....え、ええっ!どうしてリーダーがその人と一緒に!?つ、ついに天罰の時がやってきてしまったんですね?やっぱり、私は終わりなんだ....」
「おい、ヒヨリ....
「そうですよね、よくよく考えたら当然ですよね。重傷でぐったりしてた所をいきなり撃たれたら怒髪天モノですよね。勝手にアリウスで死なれるより、自分の手で裁きたいですよね。場合によっては死よりも辛い....きっと口にするのも憚られるような鬼畜の所業を受けることに.....うわぁぁぁぁぁぁああん!もう終わりです....まだやりたい事も、読みたい雑誌もたくさんあったのに.....。」
「.......」
「アイツはいつもあんな感じなのか?」
「いや、あそこまででは....
「.....仮にそうだとしても、リーダーがその男の子と一緒にいるのはどうしてでしょうか?....ああ、私完全に理解しました。してしまいました。リーダーはその人に脅されているんですね!?リーダーも苦痛だらけの人生で、可哀想に....
「お前を助けに来たんだよ!あんまふざけた事抜かしてるとぶっ飛ばすぞ!」
「ヒェェ....って、え?.....え?わ、私を...ですか?な、何故?も、もしかして記憶喪失とかですか?私たちが誰なのか、分からないとか.....?」
「失礼な奴だな。お前を記憶喪失にしてやろうか?あぁ?」
「....コイツの言うとおりだ。えっと....」
「キョウタロウだ。」
「キョウタロウが私たちを手助けしてくれる。」
「本当....なんですか?私たちは許されないことをしたと思うんですけど.....実はとても優しい....?」
「自覚があるようで良かったよ。俺はお前らを牢屋に放り込むために助けてやるんだ、勘違いすんな。」
「こんな事を言っているが、助けてくれるのは事実だ。」
「....身体中穴だらけでもピンピンしてた人が仲間だと頼りになりますね。」
(本気で殴りたくなってきた.....)
「あとはミサキ1人だが、手掛かりは何も無いな。」
「ミサキさんがどこにいるかは、なんとなく見当がつきます。」
「俺はお前らに追て行くしかないってこ.....!?」
異変を感じ振り向くと砲弾が3人の方向へ放たれていた
近くまで寄っていたヒヨリを突き飛ばしながら金棒を振るい砲弾の軌道を逸らす
「本当にしぶとい....」
「ミ、ミサキさん.....!?」
「ここに居たのか。」
「案外早く揃ったな。」
「リーダーにヒヨリに、ターゲット....まあ、話は聞いてたよ。まさかリーダーが、ね......それに、アンタもそれを受け入れたんだ。」
「だったらなんだ?」
「私たちは、アンタをマダムに突き出せば自治区に戻れる。ヒヨリもリーダーも同じ話を聞かされてるはず。」
「ああ、そう言われたな。目的を達成すれば私たちの裏切りを許す、と。」
「さっきので分かったでしょ、いつ後ろから引き金を引くか分からないのに、アンタはそれでも私たちを助ける気でいるの?しかも、それが自分を殺そうとした相手なのに?」
「話、聞いてたんだろ?引き摺ってでも連れて行くぞ。」
「呆れた。姫を救うのは無理。アリウス自治区に潜り込んでどうするの?姫がいるバシリカに辿り着くために、4人で戦うの?アリウスの全生徒と?しかも日が昇るまでに?それに彼女は、私たちすら知らない武器を用意しているはず。」
「帰る場所もないこの世界に取り残されて、泥水を啜って生きるだけの....この無意味で苦しい人生が続くだけでしょ?苦痛ばかりだった人生を引き伸ばして...そこに価値があるの?」
「.....そんなもん知らねえし、お前の人生観を否定するつもりもない。俺のことはいくらでも裏切ってくれていい。けど今だけは守らなきゃいけないものを間違えないでくれ。」
「..........何言ったって結局姫を助けるんだね。わかったよ.....リーダーがいくなら、従う。だけど無理だって判断したら、私は容赦なくアンタを裏切るよ。」
「それで良いさ。」
「姫の救出に手を貸してくれるんだな。」
「まあ....今回も最後までお供するよ。」
全員が揃い、場の空気も先ほどと比べ幾分か軽くなった気もする
「呆気なく揃ったな....俺の心配を返せよな....」
「え!?心配してくれてたんですか!?えへへ.....やっぱり、貴方は優しいですね。」
「牢屋にぶち込む時に1人でも欠けてたら意味がねぇから、仕方なく助けてやるんだよ。」
「コレが俗に言う、ツンデレってヤツなんですね。まあ、私は俗世のことなんてあんまり知らないんですけど。」
「.....やっぱお前記憶喪失にするわ。」
「ヒィィィイイ!」
金棒を遊ばせヒヨリに迫るが、意外にもミサキが止めに入る
「遊んでないでとっとと行くよ。ルートが変わるまでまだ時間はあるけど、マダムが何の対策もしないとは思えないんだから。」
「2人とも気を引き締めろ。
弓矢と金棒(棍棒)が武器ということで、主人公の神様のモチーフはヘラクレスでやらせてもらってます。