ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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愛や痛みが違っても

 

 

 

 

「ねぇ、ホントに邪魔しないでくれるかな?」

 

「なら力ずくで何とかしてみろよ。得意技だろ?」

 

 

金棒とアサルトライフルとで鍔迫り合いの形になるが見る見るとミカに押されていく

 

「そんなに震えた身体でよく啖呵なんて切れたね。さっきから君の攻撃全然当たんないし。」

 

「それでも引くわけにはいかないんでね。」

 

「今だ!奴の足を狙え!」

 

 

アリウス生の銃口が一斉に2人へ向く

 

「今の状況のそれは洒落にならん!」

 

 

ミカのライフルを受け流しそばに落ちた瓦礫へ金棒を振りかぶる

 

飛ばされた礫がアリウス生の銃を弾き落とす

 

「大人しく寝てな!」

 

 

そのままアリウス生の方へ踏み込み一網打尽にする

 

(まずい...全身が痺れて力が入らねぇな。それに....)

 

 

霞む視界にはミカと2人を包囲するユスティナ

 

(いや大丈夫だ、俺ならいける。やれる!)

 

 

金棒を握り締め走り出しミカに接近した瞬間、視界の端に青白い閃光を捉えた直後に高温と衝撃が襲う

 

そして濃く舞い上がった煙を掻き分け鉄塊が現れる

 

薙ぎ払うように振られた鉄塊はキョウタロウの頭を確実に捉えてしまう

 

壁に打ちつけられたキョウタロウに立ち上がる暇も与えず再度放たれた閃光が周囲を包む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....クリア。出るぞ。」

 

「本当に置いてきちゃいました...大丈夫なんでしょうか.....」

 

「そんなこと、今更考えたってどうにもならないでしょ。」

 

「....もうすぐ至聖所だ。」

 

 

目的地へと歩みを進める3人へ何処からともなく声がかけられる

 

『思いの外、早く辿り着きそうですね。....それもあの男に自らの業を全て押し付けたからでしょうか。』

 

 

サオリは俯いたまま黙り込む

 

『貴女たちを狙ってここへ来た聖園ミカやアリウス生全てを相手取りながら今も血を流していますよ?』

 

『このままでは命を落としてしまうのも、最早時間の問題でしょう。まあ、私としては死んでしまった方が好都合ですが。』

 

「.....何故だ、再三生捕りにしろと命令していただろ。」

 

『本来の目的はあの男の記憶でしたので生捕りが望ましくあったのですが、そのような手間をかける必要はありません。』

 

「何をするつもりだ。」

 

『簡単ですよ。あの男を殺し、その死体を元に複製すれば良いのです。そうすれば、あの男の記憶だけでなく、力も得ることが出来る。貴女たちも疑問だったはずです、何故事前に計画を把握されていたのか。』

 

『考え得るのは、アリウスにすら届く情報網を持っている。若しくは未来が見えているか。目論見が外れたとしても戦力としては申し分ありません。』

 

「いくらなんでもゲスすぎでしょ。」

 

 

ベアトリーチェとスクワッドの3人が話し込んでいる最中、壁が崩れ粉塵の中からキョウタロウが吹き飛ばされてくる

 

サオリが駆け寄り上体を起こすが、顔の右半分を覆い隠すほどに頭から血を流していた

 

「おい!返事をしてくれ!」

 

「サオリか...悪りぃな、他のユスティナとアリウスはなんとかなったんだが.....アイツはヤバい....」

 

 

キョウタロウが指を指し示す先では何者かが煙の中からゆっくりと歩み寄る

 

その姿はユスティナの様式を取ってはいるが、明らかに他とは違う雰囲気を醸し出す

 

『ユスティナ聖徒会において最も偉大と謳われた“聖女バルバラ„を元に複製した個体です。対シャーレにと思っていたのですが、貴方を殺す為に行使することに決めました。』

 

「サオリ姉さん!来ます!」

 

 

2人を射程内に捉えたバルバラがヒヨリの狙撃を諸共せずに跳躍し掃射を浴びせる

 

当然、満身創痍の身体では避けられるはずはないが間一髪でサオリがキョウタロウを抱え射線上から身を外す

 

「借りるぞ。」

 

 

サオリが金棒を握り締め着地の隙を狙いバルバラへと打ち込む

 

その一撃で大きく横へ飛ぶバルバラにキョウタロウが矢を筒ごと投げつけ、それに合わせたミサキの射撃で周囲を崩しバルバラを生き埋めにする

 

「その頭は、バルバラにやられたのか。」

 

「そうだ。それにミカの奴も....って噂をすれば。」

 

 

バルバラに続きほぼ無傷のミカも煙の奥から歩いてくる

 

立ちあがろうとするも、力の入らない左脚から崩れ落ちる

 

「無理だよ。その身体じゃ、どうやっても。」

 

 

侮蔑も嘲笑もなく唯々憐れみを込めた声で断言する

 

「やってみなきゃ、わかんねぇだろ?」

 

「そんな根性論今どき流行らないよ。....それに何でそこまでしてスクワッドを助けようとするの?スクワッドがいなくなっても君が困るわけじゃないのに。」

 

「確かにな。コイツらが死んだって俺の人生には何の影響もないかもしれない。でも“自分は無関係だ„って目を背けて突っぱねたら、コイツらの尊厳は、魂はどうなる?」

 

「は?」

 

「俺はスクワッドの苦しみも、痛みも少しだって理解してやれない。でもひとつだけ解ったことがある。」

 

「アイツらはどんな形であれ家族の為に動ける人間だって。そんな人間がろくでなしに良いように利用されて終わりだなんて悲しすぎるだろ。だから、出来ることなら助けてやりたいって思ったんだ。」

 

「なにそれ....ずるいよ。サオリたちは二度目があるの?私はチャンスを得るどころか、大事なものも帰る場所も全部失くなったのに!」

 

 

足を引き摺りながらミカへと近づき正面から向き合う

 

「そんなわけないだろ。本当に大事なモンってのは簡単に消えたりしない。今は周りが暗すぎて見えなくなってるだけなんだよ。」

 

「....だとしても、私はもうやり直せない。セイアちゃんを殺しかけて、ボロボロの君を痛めつけて、先生との約束も....何もかもメチャクチャにして破滅に向かうのも運命だって受け入れるしかない......」

 

「大丈夫、険しい道でもお前は孤独じゃない。少なくとも先生はお前を切り捨てたりなんか絶対にしない。もしもの時は俺も手を貸す。どこまで力になれるかはわかんねぇけど。」

 

「.....君は優しいね。けどいいよ、私にそんな資格は無いから。不幸を振り撒くだけの魔女はもう消えるよ。

 

 

 

 

 

 

 

........今までごめんね。」

 

「待ってくれ!」

 

 

背を向け立ち去ろうとするミカをサオリが止める

 

「ミカ...本当に、すまなかった....謝って済むことではないのは重々承知だ。純粋だったお前をドス黒い憎悪で染めてしまったのは私だ。」

 

 

頭を下げたまま言葉を続ける

 

「本当のお前は、純粋にアリウスと和解して手を取り合う未来を願う人間だ。だが私は、その善意を踏み躙りお前を歪めた。私は一生を費やしてでも償いきれないことをしてしまった。」

 

「だから、お前が言っていたように、奪われた分を私から奪ってくれて構わない。いや、奪ってくれ。」

 

「.......無理だよ。出来ない。」

 

 

嗚咽混じりに答える

 

「貴女は....私だから。私も貴女みたいに、そんな機会を望んでいたから、前に進もうとする貴女の結末をここで決めてしまったら、私に救いなどないと、自ら証明する事になってしまうから。」

 

「ミカ、私は......

 

『戯言もそこまでになさい。』

 

 

冷酷な声が再び響き渡る

 

「チッ、つくづく空気の読めねぇバアさんだな。」

 

『黙って聞いていれば、チャンスだの助けるだの、その先に待つのは虚しさだと何度も教えたはずですよ?』

 

「そんな下らない思想なんて豚も食わねぇよ。」

 

『....貴方は救世主にでもなったつもりですか?貴方には平和を齎すことなど出来ない。』

 

「そんなの当たり前だ。平和はってのはな、誰か1人が齎すものじゃない。ひとりひとりがその想いを胸に生きていける世界だってことを、周りに流されて生きるうちに忘れていくだけなんだ。」

 

『........ 興が冷めました。見世物はここまでといたしましょう。儀式を始めるとしましょうか。』

 

「そんな!?た、太陽はまだ昇ってないのに....。」

 

 

ヒヨリの悲嘆に応えるよう、ベアトリーチェは言葉を続ける

 

『何を勘違いしているのですか?私が日が昇るまで待つとでも?いいえ、遊びは終わりです。ロイヤルブラッドのヘイローは、もう間もなく破壊されるでしょう。』

 

『そして、その神秘の欠片を通じ、私は高位の存在となるのです。』

 

「や、やめろ!!......姫!!アツコ!!」

 

 

サオリの叫びにベアトリーチェの声が続くことはなかった

 

その後にできた静寂を破るように瓦礫からバルバラが起き上がる

 

「寝坊助野郎がやっと起きやがったか。」

 

「アレは私が引きつけるよ。私が引きつけている間にアツコを助けに行って。」

 

 

ミカが銃を構え一歩前へ出る

 

それに合わせ金棒を拾ったキョウタロウも並ぶ

 

「...もう何も言わない。けど気をつけなよ?さっきは手も足も出てなかったんだから。」

 

「あんなモン、ラッキーパンチが当たっただけ。それに俺を殺すために来たんなら乗ってやるよ。」

 

 

バルバラは最初と同じく跳躍と掃射を行う

 

キョウタロウもまた着地を狙い金棒を振る

 

バルバラは左手に持つガトリングで防御するが、金棒は止まることなくバルバラを打ち抜く

 

そのまま不安気な顔を浮かべるサオリ達へ向き直る

 

「この通り、俺は大丈夫だ。ほら行けよ、片をつけてこい。」

 

「.....ああ!!」

 

 

立ち上がるバルバラを見据え金棒を正眼に構える

 

「来な。ゾンビもどきなんざ返り討ちにしてやるよ。」

 

 

 

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