ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
バルバラへ向け金棒を振り下ろそうとする
それに対しバルバラは学習したのか、両腕の火器を交差させ防御の体勢をとるが
「よぉし、それでいい。」
唐突に金棒を手放しながら両腕の火器をがっしりと掴み、動きを完全に封じられる
「その調子で抑えといてよね。」
「お、おい!ちょっと待て!」
バルバラの背後に回り込んだミカがありったけの弾丸を撃ち込む
射撃の衝撃でほんの一瞬、身体から力の抜けたバルバラを投げ飛ばす
「当たったらどうすんだよ!」
「ダイジョーブ大丈夫☆射撃には結構自信あるんだよ?」
場の緊張感にそぐわない、にこやかな顔で答える
「...........なんか清々しい顔になったな。憑き物が落ちたみたいだ。」
「そうかもね。.....ほら、アレまた来るよ。それとも君は休んでる?その身体じゃ1発でもまあまあ不味いでしょ。」
「バカ言え、アイツにされた事そのまま返してやらねぇと気が済まん。」
2人に狙いを定めるバルバラを中心にユスティナも集結する
「人海戦術で潰そうってか。」
「今日はほんっとに面倒なことばっかりだなぁ。」
「今だけはお前と同じ意見だ。」
再び構える2人へ前衛のユスティナが一斉に銃撃を行う
「耐えてくれよ俺の身体ァ!」
笑う膝に喝を入れ、力の限りに踏み込む
射撃をスレスレで避け続け一体のユスティナの首を捕らえ、そのユスティナを盾にしながら持ち替えたランチャーでレーザーを浴びせていき、弾丸の波を掻い潜りながらバルバラとの距離を潰す
「あの世に送り返してやるよ!」
砲門を叩きつけるようにバルバラへゼロ距離の攻撃を叩き込み至聖所の奥へ飛ばす
「よし、追うぞ!ミカ!」
「え!?.....もう、自分勝手な男の子は嫌われちゃうよ?」
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一方で2人を至聖所に残した3人は走り続ける
身体の痛みも気怠さも忘れるほどに走り続ける
そうして通路を駆け抜けた先に、とうとう目的地へと出る
「....!?アツコ!」
真っ先に視界に映ったのは真っ赤な枯れ木のようなオブジェに磔にされたアツコ
そして傍にその光景を見つめるベアトリーチェ
「随分と早い到着でしたね。......ですが、もう手遅れです。儀式は既に進行しています。」
「いや、間に合うはずだ。」
横目で3人を見るベアトリーチェへ銃口を向けるがそんなことは気にも止めず話続ける
「実に憐れでなりません。貴女達への救いなど、欠片も残されていないというのに。大人しく運命を受け入れていれば良いものを。」
「救いなど.....なくても良い。だが、おいそれと受け入れるつもりもない。」
「....あの男といい、子供というのは悪足掻きが好きですね。サオリ、貴女はスクワッドの面々を大事に思っているのかもしれませんがそんなものはマヤカシです。本質は互いに傷つけ、憎悪をぶつけ合う矮小な存在なのです。貴女が証明したことを忘れたとは言わせませんよ。」
「....まったくもってその通りだ、否定など出来るはずがない。だからこそだ、これ以上私のような人間を生まないためにもここで全てを終わらせる!」
「刃向かう意志が変わらないというのであれば仕方ありません。」
ベアトリーチェ唐突に俯き脱力したかと思えば足下から根のような何かが伸び、彼女自身も巨大な枯れ木を模した異形へと変貌する
その直後に紅く光る蝶がベアトリーチェへ少しずつ群がり始める
「なんだ....あの姿は。」
「たじろいでる暇ないでしょ!」
ミサキが枯れ木となったベアトリーチェへ砲撃を放つ
放たれた砲弾は直撃する軌道に載りベアトリーチェを強襲する
「なにアイツ...」
かに思われたが寸前で何かが間に割って入り直撃を阻止する
「クマ!?それにあっちは、ウサギですかね?」
「こいつらも複製なのか?」
クマとウサギを模した複製が現れ始める
無から湧き出た複製が手を向けるや否やそこから銃口が飛び出す
「来るぞ、気をつけろ....」
一切の身動きを取らないベアトリーチェを守るように複製たちが一斉に攻撃を始める
サオリは捕えられぬよう動き続け、ヒヨリとミサキは岩陰へ隠れるが複製の攻撃が遮蔽物をどんどんと削っていく
「あぁぁ....このままじゃ蜂の巣にされてしまいます....」
「同じ轍は踏まない、2人とも援護を頼む!」
ミサキが多弾頭ミサイルを放ち、爆煙により撹乱された複製をサオリとヒヨリの弾丸が捉える
銃撃を受けた複製は呆気なく霧散するが、無尽蔵に現れる複製に阻まれベアトリーチェには一切の手出しが出来ない状況に陥る
その間にも群がる蝶は増え続け禍々しさを増していく
「これ以上放置していたら何が起こるかわからない。ミサキ、直接ベアトリーチェを狙ってくれ。他の複製は私とヒヨリが引き受ける。」
「えぇ!?わ、わかりまし.....
「残念ながら手遅れです。」
響き渡る言葉と共に不動を貫いていたベアトリーチェがゆっくりと動き始める
「さあ、その目にしかと映しなさい!これが私......高位の存在となった姿です!」
蕾のように変容し垂れ下がった頭部が開き、咆哮とともに巨大な体躯で一輪の花を模した姿を見せる
その姿に華々しさは微塵も存在せずひたすらに冒涜的なオーラを纏う化け物へと成り果てた
「あれが、本物のベアトリーチェ.....」
「あんなの、ただの怪物じゃないですか!?」
「私たちはあんなものに、ずっと.....」
「可哀想な子供たち....貴女たちが今日まで生きてこれたのは私に慈悲により生かされていただけです。」
ベアトリーチェの掌に赤黒いエネルギーが集約していく
「これから行うことは私からの最後の慈悲です。貴女たちの苦痛に満ちた人生にピリオドを打ってあげましょう。」
集約したエネルギーを握り潰すような動作をとると同時に3人を中心に大爆発を起こす
そこから間髪入れず花のような頭部に再びエネルギーを集め赤黒いレーザーを放ち辺りの複製諸共3人を吹き飛ばす
「フフフ....フハハハハ!アリウススクワッドの物語はこれにて終幕です。」
醜悪な笑い声を響かせ、異形のまま煙に向かってレベランスを行う
「そんな見掛け倒しが通用すると思うな。」
ザクっと小石を踏み締める音とともに多弾頭ミサイルが飛ぶ
慢心しきっていたベアトリーチェには回避も迎撃も出来るはずはなく今度こそ彼女の頭部へ命中する
立て続けに怯むベアトリーチェへ5、6個ほどの手榴弾が投げ込まる
そのうちのひとつをヒヨリの狙撃で起爆し連鎖爆発をおこす
「アンタが教えた人殺しの技術、アンタ自身に向けられるなんて夢にも思ってなかったでしょ。」
「小賢しいマネを.....」
萎れた花のように垂れ下がった巨体のまま恨み言を吐く
「相当効いたみたい。あと一押しって感じ。」
「いや、まだ何かあるぞ。」
「…………」
ベアトリーチェは無言で天を仰ぐ体勢になる
「今度は何をするつもりだ....」
その頭上には赤黒いエネルギーが一際大きな球を成す
「終わるのは貴女たちです。」
エネルギーの塊を投げつけ大爆発を起こす
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「今の地響きはなに?」
「あっちでもドンパチやってんだろ。」
「サオリたち、上手くやってるかな.....」
「やってるさ。アイツらは俺なんかよりよっぽど戦える。」
「....きっと大丈夫だよね。」
「にしても、ここ何処だよ。」
2人は至聖所を駆け回りながらバルバラとユスティナの相手をしている中で、とある場所へと辿り着く
「オルガンに楽譜に蓄音機、聖歌隊室かな。」
「どれもボロボロだな。鍵盤は欠けてるし楽譜も....って俺元から読めねぇんだった。」
「こんな朽ちた楽譜、私も読めないかな。」
しばらく楽譜眺めているミカが唐突に切り出す
「ねぇ、君は私でも助けようとするの?」
「なんだよ急に....まあ、そうするだろうな。」
「なんで、私は魔女って呼ばれるくらいの事をしたのに、それでも?」
「それでもだ。確かにお前もスクワッドも過ちを犯した、だがそれと向き合って償う意思を示した。その心があるならまだ救いようはある。」
「そう....君はとことん他人を信用するんだね。」
「手負の獣はすぐに牙を剥く、だけど人は傷ついた後ほんの少しだけ優しくなれるモンだよ。
....あ、いや!今のは別にお前のことをゴリラって弄りたいわけじゃないぞ?これは本当だ。」
「ふふ....良い雰囲気が台無し。」
柔和な笑みを浮かべるミカの隣で蓄音機が穏やかな音色を奏で始める
「おいおいマジかよ....」
「あははっ、故障してたんじゃなかったの?」
「良い音だな、なんて曲なんだろ...」
「これは慈悲を求める歌。別にこの歌が好きなわけじゃないけど、今だけは悪くないかも。」
ミカはポツリポツリと曲のフレーズを口ずさむ
流れ続ける曲に没入する2人を現実に引きずり戻すように地面を踏み鳴らす音が迫り来る
「マジでさぁ、あのババアとその手下は本当に空気の読めない輩ばっかりだなぁ....ミカ、まだ行けるか?」
「もちろん☆そもそも退路なんて無いんだし。」
互いに傷だらけの身体で足並みを揃える
「この曲をバックにアイツらをぶん殴るって、なんか悪い事してるみたいだな。」
「そんな事気にしたってしょうがないよ。」
「それもそうだな、あんな人形に慈悲なんて要らねえか。」
目の前に跋扈する明確な敵を見据えて再び構える
「あ、一度言ってみたかった決めゼリフがあるんだよなぁ。いいか?」
「それって元気出るやつ?」
「多分な。」
"どうぞ"といった風に目で促されたのを確認し、向き直り高らかに声をあげる
「荒ぁれぇるぅぜぇ~!......
止めてみな!!」
「うーん、ちょっぴり元気出たかな。」