ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
「.....何が起こったんだよ...?それに、身体が....」
キョウタロウが誰もいない祭壇の前で目を覚ます
目を覚まして真っ先に感じたのは温かさを取り戻した自身の身体、さらに今まで負った傷もボロボロの衣服も全てが元通りになっていた
混乱しながらも最後の記憶を辿る
「確か、ベアトリーチェと撃ち合って、最終的にお互い爆発に巻き込まれたと思ったら今に至る.......
だァァァ!!意味がわからん!
何なんだよこの状況!ベアトリーチェはバケモンになってたし、全員いなくなってるし、身体は元通りだし、....ハァ......まいったなこりゃ...」
「....安心は出来ないだろうが私はいるよ。」
「いや、喋る相手がいるだけで心強いぜ.....
はあぁぁぁ!?セイア!?」
「おっと、驚かせてしまってすまない。」
「なんでここに!?もうめちゃくちゃだ....」
「そう思うのは私もだ。まさか、君がこの空間に介入してくるなんて予知夢にも映らなかった事だ。」
「ここが何処か知ってんのか?」
「ここは夢と現実の狭間。ありていに言うならば精神世界だね。」
「そう、なのか....でも何でセイアはここに?」
「それは....
「百合園セイアが夢を通じて我々覗き込んでいたからです。」
「.....は?」
「あ、あの姿は....」
2人が目線を同じ方向へ送る
そこには深紅の髪に紫のヘイローを浮かべた身体中にノイズを走らせるキョウタロウの姿があったが、その声だけはベアトリーチェのものだった
「百合園セイアは予知夢で、貴方は知識として、未来を知っている。その者たちを相手にするのであれば手段は選んでいられません。」
「......だからこんな空間に閉じ込めて何も出来なくしてやろうってか?」
「これ以上、私の計画を台無しにされては敵いませんからね。」
「他人の人生を台無しにしまくったお前にそんなこと言う資格なんてねぇよ。」
「好きなだけほざきなさい、もう貴方にはどうする事も出来ません。私は貴方の身体を用いて計画を立て直すとしましょう。」
「テメェ....!」
「待つんだキョウタロウ!」
目の前の敵へ掴み掛かろうとするのをセイアに引き止められ思わず怪訝な表情を浮かべてしまう
「初めて君に会った時に話しただろう、君が辿ることに最悪の未来。」
「それが何なんだよ。」
「夢の内容は、君がスクワッドやミカ、先生に至るまで関わる者全てを皆殺しにするものだった。」
「…………」
「だが今の話で確信したよ。先生たちを殺すのは君自身でなく、君の身体を乗っ取ったベアトリーチェなんだ。」
「だったら尚更、何もしない訳にはいかねぇだろ!」
ベアトリーチェへ向けて走り出し拳を振るう
その拳は確実にベアトリーチェの面を捉えたかに思えたが虚しく空を切る
「すり抜けやがった...」
「言ったでしょう?貴方には何も出来ないと。この空間においてあなた達は実体を持たない存在であり、私に触れる事など不可能です。」
「そんな....」
ベアトリーチェがキョウタロウの首を掴みいとも簡単に持ち上げる
「な、なんでお前は触れられる.....!?」
「この空間は私が作り出したもの、全ては私の思うがままです。」
紙クズのように軽々とセイアの方へ投げ飛ばす
「ここで貴方の意識を完全に消し去り、この身体を完全に私のものにさせてもらいます。」
「させると思ってんのか?」
「しつこいですね。月並みではありますが冥土の土産に教えて差し上げましょう。友情や愛が勝つなど本や創作の中だけのクリシェなのですよ。」
2人の頭上に大量の目玉が現れる
「それでは、永遠にさよならです。」
2人へ向け、赤黒いレーザーが雨の如く降り注ぐ
2人がいた場所には抉られたように陥没した地面のみが残されていた
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「フフフ....残す障壁はシャーレの先生のみ。」
ベアトリーチェがオーケストラの指揮のように大袈裟に腕を振るい始める
「ですがその前に、まずは眼前の羽虫を焼き払ってしまいましょうか.....」
その動作に呼応し、周囲を漂う眼球が人間の頭ほどの大きさまで肥大化しながらレーザーの威力を高める
「ヒヨリ!ミサキを頼む!!」
「─っ!?は、はい!ミサキさん、しっかりしてください!」
「頭強く打ったんだから、目の前で叫ばないで.....」
「そんな事言ってる場合じゃないですよ!!!」
身動きの取れない2人のもとへ眼球が迫るが
「早く離れて!貴女達を庇うってのも限界があるよ!」
ミカの射撃により2人へ迫る眼球は溶けるように消滅する
「見苦しい!素直に滅びていればまだ美しいものを!」
自身の手から伸ばした血管のような触手でいくつかの眼球を貫き鞭のように振り回す
振り回されながらも眼球からは絶え間なくレーザーが放たれ、予測不能の攻撃がミカ達を追い詰める
そのレーザーを掻い潜りながらサオリが背後へと迫るが振るわれた鞭が直撃する
それでも立ち上がり再び
「キョウタロウを元に戻せ!!」
「呆れるほど浅慮.....」
背後から組み付こうとするが、横から眼球が激突し倒れたサオリへレーザーを撃ち込む
「がはぁっ!....ッ!」
「これで死なないとは、頑強な身体というのも考え物ですね。」
「よそ見しないでよね!」
サオリを見下ろすベアトリーチェへ眼球が投擲される
投げられたそれを振り払うもミカの接近を許し腕を掴まれる
「そんなおばさんの良いようにされるなんて君らしくないよ!早く戻って!!!」
「頼む、目覚めてくれ!こんな形で、私達を助けたせいで、お前を終わらせるなんてしたくない.....」
2人の言葉に呆れてたように軽く溜め息をつく
「いくら呼び掛けようと無駄ですよ。あの男の意識は完全に消しました。目覚めることは二度とありません。」
「う、嘘ですよね....」
「紛う事なき事実です。それに加え百合園セイアの意識も一緒に消してしまったので、そちらも一生目覚めることはないでしょうね。仮に目覚めたとしても廃人同然でしょうけど。」
「そんな....そんな訳.....」
「これで痛感できたでしょう。サオリ、貴女は関わる者を地獄へ引き摺り込む疫病神。ミカ、貴女も同様に不幸を撒き散らす忌まわしい魔女。」
「嗚呼....なんと嘆かわしいことでしょう.....疫病神と魔女に手を差し伸べたがために、かの人は誰にも知られぬまま滅びを迎えてしまいました。他の誰でもない、貴女たちによって....
「ふざけるな!!手を下したのはお前だ!今すぐアイツを元に戻せ!!」
「勝手な事.....元はと言えば、貴女が助けを求めたが為に今に至るのですよ?」
サオリは思わず言葉に詰まる
「反論など出来ないでしょう?最後に目一杯の懺悔でもしたらどうですか?もう過去を悔やむ時間しか残っていないのですから。」
サオリは膝をつきやり場の無い怒りをぶつけるように地面を握る
「その姿勢を崩さずにいればもう少し長生き出来たでしょうに.....」
アツコも含めスクワッドとミカの間には敗北の雰囲気が蔓延し始めていた
「........ねぇヒヨリ、なんかおかしくない?」
「そうですね。彼女が化け物になったと思ったらその次はあの子の身体を乗っ取ったり、おかしいことだらけですね。」
「違う、そういう事を言いたいんじゃなくて、アイツはさっき“バシリカの全兵力をここに„って言ってたよね。」
「そう言えば.....そんな事口走ってましたね。」
「なら、今頃ユスティナの1,2体、アンブロジウスが来てもおかしくないはず。」
「....確かに......!」
「ま、そんな事言っても私たちの結末は変わらなそうだけどね。ほら、来たよ。」
話し込む2人のもとへベアトリーチェが歩を進める
「ミサキ、貴女は前々から死にたがっていましたね。」
「だったらなに?」
「貴女は本当に手間のかかる備品でしたよ。壊れないよう、壊さないようにと毎日苦悩していました。」
「ですがそれも今、この瞬間まで。手向けの花も讃美歌もない、憐れで虚しい最期をお送りしましょう。」
そうしてベアトリーチェがヒヨリを蹴り飛ばしゆっくりとミサキの首へ手を伸ばす
「えいやっ!!!」
手が触れる寸前、何かがベアトリーチェの頭へ投げつけられる
その何かは地面に落ちた瞬間に勢いよく煙を吹き出す
「けほっ、こ、今度は何ですか!?」
「多分だけど、スモークの類。─っ!」
「おわぁぁ!?」
2人は煙の中で宙に浮くような感覚を覚え、少しの衝撃と共に地面の感触を取り戻す
"ナイスキリノ!まずは2人。ミネ、あっちの3人もお願い。"
「あれはミカ様!?直ちに救護へ参ります!」
「余計な真似を!」
"イオリ!ハスミ!マシロ!あれを落として!"
「「「了解!」」」
跳躍したミネを狙い撃とうと眼球を差し向けるが、3人の狙撃で容易く撃ち落とされる
そしてベアトリーチェは漸く声の主と目を合わせる
「何故ここに....どうやってこのバシリカまでシャーレの先生が入ってこれたというのです。」
"子供の悲しい叫びを聴いて馳せ参じたのさッ!!"