ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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生きてます


オカシなハロウィンナイト

 

 

「トリックオアトリート!!」

「お菓子くれないとイタズラだぞぉ!」

 

 

「わーったわーったから、服引っ張るなっての.....キリノ、フブキ、適当なお菓子持ってないか?」

 

「ごめん、ドーナッツ以外持ってないや。」

 

「確かポシェットに飴玉が......ありました!ほら、どうぞ。」

 

飴玉を貰った子供達は次のお菓子を貰うためにホクホク顔で立ち去っていく

 

 

"キリノー、フブキー、キョウタロー、ハッピーハロウィ〜ン!"

 

「先生!ハッピーハロウィンです!」

 

「おつかれ先生〜。」

 

「お疲れ様です。今日は休みで?」

 

"そうそう!リンちゃんが特別ですよって休暇くれたの!"

 

「あの頑固な代行がね......」

 

"3人は仮装しないの?"

 

「俺たち、今日は一日中街の巡回をする事になってるんです。」

 

「ハロウィンは楽しいイベントですけど、ハメを外しすぎちゃう方もいらっしゃいますから。」

 

「ホントは私たちもお菓子たくさん貰いとこなんだどね〜。」

 

「こればかりは仕方ありません。街の人々が今夜を楽しく安全に過ごせるようにするのも警察官としての役目ですから!」

 

 

ピピピピピピピッ

 

 

「はいコチラ巡回警備係です!....はい......了解致しました!」

 

"なにかあった?"

 

「どうやらラミニタウン方面の歩行者天国で戦車が暴動を起こしていると。」

 

"大変じゃん!?なら私もいくよ。“

 

「いえ、先生は是非ハロウィンを楽しんでてくださいよ。滅多に貰えない休みなんですから。」

 

"で、ても...."

 

「俺たち暴動なんて慣れっ子ですから。」

 

「それに人混みの中じゃ、何が起こるか分かんないしねぇ。」

 

「それでは先生も楽しんで!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「オーライ、オーライ......ストーップ。」

 

 

呼びかけに応じてトラックが停止する

 

「今年も大量だな。」

 

「そうだな。この時期になると決まってお菓子の廃棄量が増えるんだよなぁ.....」

 

「仕方ねぇですよ先輩。この最終処理場に来るのは不味くて食えねぇショボいお菓子ばかりなんだから。」

 

「タイヤ味のグミとかアスファルト風味のキャンディなんて誰が食うんだよ。」

 

「とりあえず今日はこの積んである分が最後っすね。」

 

「あぁ?なんかトラックの荷台、光ってねぇか?」

 

「うーん...この廃棄物はゲヘナから来てっから、給食部絡みでしょうよ。んなことよりさっさと終わらせて飲みにいきやしょう。」

 

「それもそうだな。よーし、降ろせ。」

 

 

トラックの荷台が傾き、大量に積まれた中身を処理設備の内部へ垂れ流す

 

「今日のお勤め終了!まだ昼だけど飲み歩くか.....ってお前なに固まってんだよ?」

 

「だ、だって、先輩.....後ろ!」

 

「後ろ?.....は、は!?なにがどうなってんだ!?早く逃げ.....ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!

 

「な、なんだよコイツは!?ば、バケモノ!くるんじゃね.......ぎゃぁぁぁぁああ!!!!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ったく馬鹿どもが、歩行者天国で戦車駆り出すやつがあるか.....」

 

「楽しむ皆さんの邪魔をしてはいけませんよ!」

 

「「「はい.....」」」

 

 

ひっくり返された戦車の隣で当事者の不良生徒3人が正座をし肩を落とす

 

「ま、戦車走らせただけで被害者はゼロだし、反省してるならもー行っていいよ。」

 

「「「し、失礼しました。」」」

 

 

不良は戦車を残して立ち去っていく

 

「この戦車は真夜中にでも撤去するしかねぇか。」

 

「そうですね。」

 

「あそこで居眠りしてる酔っ払いはどうする?」

 

「本官が連れて行きましょう。」

 

「OKだ。ってことだから、チビちゃんたちは離れてな。」

 

 

すぐ後ろで見ていたゾンビと吸血鬼の仮装をした子たちに促す

 

「ねーねー、おまわりさん達は仮装しないの?」

 

「そうしたいのは山々なのですが、本官たちはお仕事中でして....」

 

「そもそも、そんな年齢でもないと思うしな....」

 

「そんなんじゃ、"Mr.スイート"に食べられちゃうよ!」

 

「「「みすたーすいーと?」」」

 

「うん!Mr.スイートっていうのはね、ハロウィン精神に欠けた人を食べちゃうカイブツなんだよ!」

 

「そうそうそう!」

 

「怪物ねぇ.....それってどんな見た目なの?」

 

「えーとねえーとね....あ!あんな感じだよ。」

 

 

フブキの問いに対し、ちびっ子の1人が全員の後方に指をさす

 

ちびっ子の示す先には、身長3mを優に越える人物が1人

 

ツバの広いテンガロンハットに笑顔の仮面で素顔を隠しツギハギのロングコートをまとった装い

 

更には腐乱臭と甘さの混じり合った不快な匂いが風に乗り5人のもとへ送られる

 

「ん゛、すごく独特な臭い.....」

 

「ブラックマーケットでしょっちゅう嗅いだ匂いだ。懐かしさすら感じるよ。」

 

「強烈.....」

 

 

キリノとフブキが思わず鼻をつまむ

 

「そこの人、なにかご用で?」

 

 

件の人物は足音を立てずに5人のもとへ接近する

 

「オ菓子カイタズラカ....」

 

 

低く枯れた声とともにボロボロの袋を向ける

 

「悪い、俺たちはお菓子持ってなくて。」

 

「はい、本官もこの子達にあげた飴玉が最後です。」

 

「......オ菓子カイタズラカ。」

 

「ごめんだけど、他をあたってよ。」

 

 

大男はちびっ子2人へ袋を向ける

 

「オ菓子カ........

 

「待ちなアンタ。まさか子供からお菓子をたかるワケじゃねぇだろうな?」

 

「オ菓子カイタズラカ.....」

 

「おい、大人なら分別くらいつけろ。あんまりしつこいと連行するぞ?」

 

「待ッテクレ俺ハ......

 

「ちょっとキョウタロウ!言い方がキツいですよ?すいません、本官からも言い聞かせておきますので今回はお引き取りくださ.........

 

「黙レ。侮辱ハ許サン、償ッテモラウゾ。オ前タチノ命デナ......」

 

 

強烈な威圧感と殺意が放たれ、キリノの隣で眠る酔っ払いへ細長く黒い腕を伸ばす

 

酔っ払いの頭を鷲掴みにし、杭のように鋭い歯が並ぶ大きな口を顕にする

 

「あえ?体が浮いてる、何が起きて......えあ!?な、なんだ!たすけ......

 

 

状況を飲み込めないまま、酔っ払いは怪物の口の中へと消えてしまった

 

「う、嘘、でしょ.....」

 

「テメェ今すぐ吐き出せ!」

 

「ダガ朗報ダ。喰ワレズニ済ム方法ガヒトツダケアルゾ。」

 

 

怪物が怪しく手を擦り合わせる

 

「俺ハオ菓子ガ欲シイ。オ前タチデオ菓子ヲ300個集メロ。ソシテ街ノ明カリガ消エル前ニ俺ノ所へ持ッテクルンダ。ソウスレバ命ハ助ケテヤロウ。」

 

「一晩でですか!?」

 

「そんなの出来るわけないじゃん!?」

 

「ソレハオ前タチ次第ダ。

 

オ菓子カ……

 

 

 

イタズラカ………

 

 

 

死カ………………」

 

 

そう言い残し、怪物は長い手足を器用に使い建物の屋根を這いながら姿を消す

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「大変なことになっちまったな.....」

 

 

怪物が立ち去った後、2人をヴァルキューレで保護し作戦を立てることとなった

 

「あれ確実に人間じゃなかった。そこらのチンピラくらいなら実力行使でいけるけど....」

 

「不明な点が多い以上、Mr. スイートの要求を呑むしかないでしょう。」

 

「一晩で300個、いけると思う?」

 

「もうそこらの店で買っちまうしか......

 

「そんなのダメだよ!」

 

「そんな事したらハロウィン精神に欠けてると思われて食べられちゃうよ!」

 

「だよな。でも300個集まるとも思えねぇし....」

 

「思うではなく、やらなくちゃいけません!」

 

「つっても、ハロウィンってお菓子より仮装メインの感じだろ?」

 

「うん、私たちが街なか歩いてる時もお菓子をくれる人思ったより少なかったよね。」

 

「うん.....」

 

 

2人は表情を沈ませ俯く

 

「皆さん!絶望するのは早いですよ!!!」

 

「そうは言うけど、キリノは何か良い案思いついたわけ?」

 

「はい!!まずは仮装売り場へ行きますよ!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「なあ、ホントに“これ„で行くのか?」

 

「もちろんです!その衣装を着るか、怪物のお腹に直行するかです。」

 

「さぁさぁさあ、観念して出てきなってぇ〜。」

 

 

フブキがニヤニヤしながら試着室のカーテンを揺らす

 

「バカ!捲るんじゃねえ!!」

 

「お客様?どうかされましたか?」

 

「ちょうど良いところに、なあ店主さん、マジでこれ以外の衣装は売り切れちまったのか?」

 

「ええ。好評につき、在庫もほぼ全てさばくことができましたよ。」

 

「だって。ほら、もうそれで行くしかないよ。2人もおにーさんの仮装みたいよね?」

 

「「うん!」」

 

 

そして、少しの沈黙の後にカーテンが開かれる

 

「「…………」」

 

「なんか言えって.....無言が1番辛いわ。」

 

「い、いえ、余りにも似合いすぎていまして...」

 

「おにーさん、いやおねーさんだよコレ!」

 

「似合ってるねぇ、和風メイド。」

 

「俺を.....殺してくれ......」

 

 

キリノとフブキはオレンジカボチャの意匠を施した可愛らしい魔女衣装、対してキョウタロウは黒い着物の上に真っ白なエプロンを着たシンプルなもの

 

「ミニスカートじゃないのが唯一の救いか.....」

 

「ミニがご所望でしょうか?ミニスカの在庫でしたらまだ残って.....

 

「いえ結構です。要りません。」

 

「左様ですか。」

 

「このまま着ていくのでお会計をお願いします。」

 

「これって経費で落ちるやつ?」

 

「こんな思いしたんだ、なんとしてでも落とす。領収書はちゃんと待っててくれ。」

 

「わかりました!」

 

 

3人分の会計を済ませ店を出る

 

「これで準備は万端ですね!」

 

「ホントにこれで行くのか.....」

 

「Mr.スイートはハロウィン精神に欠けた人を食べる。なら、本官たちもハロウィンを楽しみながらお菓子を集めましょう!」

 

「それもそーだね。」

 

「私たちだって!」

「たっくさんお菓子を集めちゃうからね!」

 

「心強いね。2人ともありがと。」

 

「まずはハロウィンイベントやってる店を回ろう。」

 

 

キリノがタブレットを操作し始める

 

「では、このパン屋さんから伺いましょう。仮装して来店すると、お菓子の特典があるらしいですよ。」

 

「よし早速いこう。」

 

 

-----------

 

 

「ん、お買い上げありがとう。また来てね。」

 

「アヤネちゃん、オーブンはどう?」

 

「あと少しで次のパンが焼き上がります。」

 

「おまけのクッキーももうすぐ焼けますよ♪」

 

「私が棚に並べるわ。」

 

「うへ〜、良い匂いだねぇ。これだけあるなひとつくらい.....

 

「ちょぉっと待ったぁ!ホシノ先輩!私たちは助っ人で来てるんだからつまみ食いは禁止!」

 

「だよね〜。仕方ないからシロコちゃんと一緒に接客でもするよ。」

 

「あ、外の5人、仮装してる人だ。」

 

「おまけのクッキーはまだ足りそうだね。」

 

 

2人が万全の準備を整え、パン屋の扉が鈴の音を優しく響かせ開けられる

 

「「いらっしゃいま......」」

 

 

客を間近に見たホシノとシロコが完全停止する

 

「ウッソだろ.....な、何でアビドスのみんなが......」

 

「ちょっと2人とも!早くお客さん通し...て.....」

 

 

奥から出てきたセリカの動きが止まる

 

「セリカちゃん?パンが焼けました....よ......」

 

 

工房から出てきたアヤネの動きが止まる

 

「あれ?店員さんとおにーさんが固まっちゃった!?」

 

「どーしよー!これじゃお菓子もらえないよぉ!」

 

 

2人が軽く叫んだ事で止まっていた4人がようやく動き出す

 

「えっと....アンタってそんな趣味あったのね....」

 

「断じて違う。」

 

「まあ!とっても似合ってますよ。写真いいですか?」

 

 

返事を待たず、ノノミの向けるスマホからシャッター音が鳴る

 

「アビドスの皆さんお久しぶりです!」

 

「キリノちゃんも久しぶりですね。」

 

「服装からして皆さんはこのお店のお手伝いといった所でしょうか。」

 

「はい♪セリカちゃんが良いバイトを見つけたのでみんなでやる事にしたんです。」

 

「ん、人数がいればいるほどバイト代がたくさん出るらしいから。」

 

「それより早くお菓子ください!」

 

「早くしないと食べられちゃう!」

 

 

ちびっ子2人が談笑にふける一向を急かす

 

「食べられるってのはよく分からないけど、お菓子はパンのおまけだからねぇ。」

 

「じゃあ、クリームパンを5個くれ。」

 

「まいどあり〜。」

 

「これおまけのクッキー。ハロウィン楽しんでね。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「この調子でお菓子300個集めるぞ。」

 

「まずは5個。気が遠くなる.....」

 

「ですが、ハロウィンイベントはそこら中で開催されています。」

 

「なら、手分けして集めた方が早いね。」

 

「いきますよ!えいえい!おーーー!!」

 

 

 

ーーーー

 

 

「やってらっしゃい見てらっしゃい!期間限定射撃ゲーム!景品はお菓子の詰め合わせだよ!」

 

 

パァン! パァン! パァン!

 

「ぜ、全然当たりません.....」

 

「キリノ、代わろっか。」

 

 

軽く肩を叩かれたキリノは銃をフブキへ渡す

 

 

ーーーー

 

 

 

「「トリックオアトリート!!」」

 

「まあ!可愛らしい怪物さんですこと!たくさんあげちゃう!」

 

「「やったぁ!!」」

 

 

2人の持つ袋へお菓子の滝が注がれる

 

 

ーーーー

 

 

 

「おいおいター坊よぉ、その仮装すんならなんでアタシらに一声かけねぇんだよ。」

 

「言ってくれれば最高の仮装をお届けできましたのに。」

 

「可愛い!写真撮ろ写真!カリンちゃんも来て!」

 

「ぴ、ピース...」

 

 

アスナが4人を集めシャッターを切る

 

「勘弁してくれよ....」

 

「良いものを見れました。」

 

「ほらよ。そんじゃハロウィン楽しめよ!」

 

「俺を.....殺せ.......!」

 

 

 

そして陽が沈み切る時間が迫る

 

 

 

「297、298、299、300!やりました!」

 

「もう辺りもかなり暗くなってきたな。」

 

「なんとか間に合って良かったよ。」

 

「やったあ!私たち助かるよ!」

 

「後はMr.スイートを見つけるだけだね。」

 

「.....待てよ、それが1番難易度高くないか?」

 

「そうじゃん!あーもう最悪、私パトカーとってくる。」

 

「サンキューフブキ。」

 

「私たちは漏れがないようにもう一度数え直しましょう。」

 

 

街灯の下で数え直そうとリアカーに乗せたお菓子を袋へ移そうとした瞬間──

 

 

カランッ

 

 

(やばい!!)

 

 

キョウタロウが3人を抱えてその場から飛び退く

 

その直後、リアカーが爆散する

 

「あ゛ーー!あと少しだったのによぉ!」

 

「バレたからには仕方ねぇよ、逃げんぞ!」

 

 

爆発の原因は不良2人が投げ込んだ手榴弾

 

「今のって、昼間にお巡りさんに注意されてた人たちだよ!」

 

「嘘.....お菓子が、吹き飛んじゃった.....」

 

「アイツらよくもやってくれたな.......

 

 

「ピーンポーン。サテ子供タチ、俺ノオ菓子ハドコカナ?」

 

 

「Mr.スイート.....」

 

「わ、私たち、ちゃんと約束通りお菓子集めたよ?」

 

「その足元の灰がそうだったんだけど.....」

 

「それではダメ....でしょうか......」

 

「ソウカ.....ナラ、時間切レダ。」

 

 

灰になったお菓子を認めるはずも無く怪物の背中が膨張を始める

 

コートを突き破った部位から腕が生える

 

「そんな....がんばって集めたのに......」

 

「諦メロ。」

 

「これ以上の接近は許しません!」

 

 

キリノが怪物へ向け発砲するが、弾丸は怪物の皮膚へ沈むように飲み込まれていく

 

「フハハハハハハ!!」

 

「全員走れ!」

 

 

怪物の股をくぐり4人が走り出す

 

「「うわぁっ!?」」

 

「マズい!」

 

 

しかし怪物の伸ばした腕がちびっ子2人を捕えてしまう

 

そこから生まれた一瞬の隙でキリノとキョウタロウも捕えられる

 

「オ前タチハコレデ終ワ.......

 

 

プップーーー

 

 

「ヌワッ!?」

 

 

「みんな大丈夫!?」

 

「なんとか.....ナイスだフブキ。」

 

「フブキが轢いてくれなかったら食べられるところでした......」

 

「2人とも怪我は?」

 

「ちょっと擦りむいちゃったけど平気!」

 

「私も!」

 

「あの怪物、最期は呆気なかったな。」

 

 

道路には先ほどまで怪物の身体であった黒灰色の欠片が散乱する

 

「何はともあれ一件落着だ。2人を家まで送ろう。」

 

「そうですね。パトカーに救急箱もあったはずですから。本官が手当しますよ。」

 

「お巡りさんたちありがとうございます。」

 

「私たち生きてる....良かった......」

 

 

安堵の息を漏らしながら全員がパトカーへ乗り込む

 

「シートベルトはしっかり締めてね。」

 

「「はーい。」」

 

「しゅっぱーつ。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「痛っ......くない!」

 

「ふふ、2人とも強い子ですね。」

 

「あの酔っ払い、どうなっちまったんだろうな....」

 

「さっき撥ねた時に近くの草むらに投げ飛ばされてたよ。」

 

「なら良かった。」

 

「ゾンビちゃんも手当終了です!」

 

「ありがと。」

 

 

手当を終えた2人は窓を開けて風を入れる

 

「?まだMr.スイートの匂いがする.....」

 

「ねえ!後ろ!」

 

 

吸血鬼の仮装をしたちびっ子が怯えながら後方を指す

 

そこらに散らばった欠片が集約され再度怪物の身体を構築する

 

「フブキ!飛ばせ!」

 

 

瞬時に加速するが怪物はひと飛びでパトカーの上部へのしかかり、パトカー内部が歪に潰れかける

 

「コイツ、修理にいくら掛かると思ってんだ!」

 

「2人とも!座席の下にショットガンがあったはず。それ使って!」

 

 

フブキの言葉通り、座席裏に備え付けられた緊急用のショットガンを掴む

 

窓の外から内部へ腕を伸ばそうとする怪物の腕を撃ち抜いていく

 

「クソッ!撃ったそばから再生してやがる!」

 

「これじゃキリがありません!」

 

 

チャキッ チャキッ

 

「もう弾切れですか!?」

 

「こっちもだ!」

 

 

怪物はその焦りを逃さず車内へ腕を伸ばし、ゾンビの仮装をした子の首を掴む

 

キョウタロウはすかさず黒い腕をへし折り、外へ投げ捨てる

 

「フブキ!振り落とせ!」

 

「もうやってるって!」

 

「そこらの電柱にでもぶつけろ!」

 

「小さい子乗せてるのに本気!?」

 

「本気も本気だ!責任は俺が取る!」

 

「言質とったからね!」

 

 

途端にフブキのハンドル捌きが大雑把になる

 

怪物はそれでも腕を離さず、寧ろ腕の本数を増やしてしがみつく

 

「2人とも、絶対無事に家に帰してやるからな。」

 

 

2人に覆い被さり天井に向けて蹴りを入れる

 

強烈な蹴りは天井を貫通し怪物に直撃する

 

バランスを崩した怪物の顔面は電柱へ激突しとうとう振り落とされる

 

「ちょ、ちょっとマズイかも!ハンドルが効かない!」

 

「ブレーキ!ブレーキ踏んでください!」

 

 

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」」

 

 

暴走したパトカーは閉店したホームセンターへと突っ込み停止する

 

「うう.....エアバッグって偉大だね....」

 

「2人とも無事か?」

 

「お、おにーさんこそ!」

 

「頭から血が出てるよ!?」

 

「心配すんな、いつもの事だよ。」

 

 

 

「許サンゾ.....」

 

 

 

「こっちに来てます!キョウタロウ立てますか?隠れますよ。」

 

 

なんとか怪物が店へ入る前に棚に隠れる

 

怪物は店へ入るや否や、パトカーのドアを引きちぎり居ないと分かれば入り口付近を徘徊する

 

「出口を塞がれてしまいました。」

 

「はぁ......ゔっ....」

 

(キョウタロウやっぱり重傷じゃないですか....私がなんとかしなければ...!)

 

「キリノ.....俺はいいから、その2人とフブキを連れて逃げろ。」

 

「そ、そんな事できません!」

 

「このままじゃ全員終わりだ。無線も壊れちまって応援も呼べない。でもお前達だけでも逃げられれば応援を呼べるだろ。」

 

「本官をみくびらないで下さい。こんな危険な場所に仲間を置き去りにする気は毛頭ありませんから。」

 

「お前何言って.....」

 

 

キリノがキョウタロウの腕を肩に回す

 

「1人は私の方においで。」

 

「本官の合図で出口に走ってください。」

 

「りょーかい。」

 

 

怪物は出口を離れ棚の上を伝い5人を探し続ける

 

(もう少し、もう少し....)

 

 

そして怪物が5人の隠れる棚を素通りする

 

同時にキリノがハンドシグナルを出す

 

5人は静かに棚を飛び出し出口へ一目散に向かう

 

ようやくこの窮地を脱出できると皆が確信した瞬間

 

「逃ガサナイゾ。」

 

 

怪物の腕が伸び、5人を捕える

 

「俺カラ逃ゲラレルト思ッテイタノカ?オ前ノ作戦ナド分カリキッテイルトモ。」

 

「なぜここまで私たちに執着すんですか?貴方の目的は何なんですか!?」

 

「オ前、マダ気付カナイノカ?俺ガ何者ナノカ、コノ顔ヲヨォク見ロ。」

 

 

怪物が笑顔の仮面をゆっくりと引き剥がす

 

「「え!?」」

 

「美味しく無いお菓子じゃん!」

 

「ソウダ。俺ノ身体ハオ菓子デ出来テイル。」

 

 

怪物の顔はグミでできた唇、鋭い歯の正体は三角錐の飴、身体に至っては腐ったお菓子の集合体

 

「貴方、一体何者なんですか!」

 

「オ前達、誰ニモ欲シガラレズ捨テラレルダケノ残リ物ノオ菓子ノ事ヲ考エタコトガアルカ?ソウイッタオ菓子ハ問答無用デ捨テラレテシマウ.....」

 

「何が言いたいのさ。」

 

「復讐ダヨ。選リ好ミシテ俺ヲ捨テル者ヘノ復讐ナンダ。皆俺ヲ食ベナイ、ダカラ俺ガ食ベテヤルノサ。手始メニ、俺ヲ蹴飛バシテクレタメイドカラダ。」

 

 

卑らしい笑いをしながらキョウタロウを口元へ持っていく

 

「悪いがテメェはここで終わりだ。」

 

「意地ヲ張ルナ。ヒト思イニ飲ミ込ンデヤル。」

 

「そいつはどうかな。」

 

 

キョウタロウは片手で何かを遊ばせる

 

それは捕らわれる寸前、出口に散乱したいたレジ前商品のモバイルバッテリー

 

そのモバイルバッテリーを怪物の硬い腕に叩きつける

 

衝撃を与えられたバッテリーは電池内部でショートを起こし、発火を始める

 

「ソンナ火ジャ俺ハ倒セナイゾ。」

 

「んなこたぁ知ったらぁ。お前がここに立ってるって事が重要なんだよ。」

 

 

発火したバッテリーをパトカーの方へ投げる

 

その瞬間、炎が吹き上がり怪物の足へ引火する

 

「マ、マサカ!ソンナ!?ファァァァァアアア!!!

 

 

パトカーは大破した事によりタンク内部のガソリンが漏れ出ており、その横で長話をしていた怪物の足に浸透していたのだ

 

大炎上する怪物は荒れ狂い5人を投げ飛ばし悶え苦しむ

 

数分後、怪物は完全に溶けてその動きを止めた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど......昨日、業務を分遣隊に押し付け仮装しながら各所を巡ったいたのはMr.スイートとか言う怪物から子供たちを守るためだったと。」

 

「「「はい。」」」

 

 

事後報告をする当事者3人を前にカンナが眉間を押さえる

 

カンナ自身は微塵も信じられない様子だが、事故現場や被害状況、その日一緒にいた子供2人の証言から信じるしかなかった

 

「とりあえず、現場からはお前たちの言っていたように灰色のヘドロの様なものも検出されているし、パトカーも交通事故で済ませられる状態では無いのも確かだが......」

 

 

その後の言葉は続くことはなく、後日改めての取調べとなり3人は解放された

 

「中々に刺激的なハロウィンになったな。」

 

「そうですね。もう当分お菓子はこりごりですよ.....」

 

「来年のハロウィンはのんびり過ごしたいね。」

 

 

3人揃って大きくため息をつく

 

「お疲れキョウタロウ君。....ホントに疲れてるみたいだね。」

 

「アツコか。いや....昨日は散々な目に遭ってさ。昨日は何も言わずに仕事押し付けて悪かったな。」

 

「気にしないで。それより昨日色んな人から警備のお礼にってたくさん貰ったんだ。良かったら食べて。」

 

 

アツコがバケットいっぱいのお菓子を差し出してくる

 

「「「…………」」」

 

「あれ微妙....。お菓子は嫌いだった?」

 

「い、いや、お菓子はしばらくいいかなって.....」

 

「ぜ、是非、分遣隊の方々で楽しんでください!」

 

「そうそう!それは貴女たちが貰ったものだしさ!」

 

「そう...分かった。」

 

 

アツコはバケットを抱えて休憩室へと向かう

 

「2人とも今夜暇か?3人で焼き肉でも行こうぜ。慰労も兼ねてさ。」

 

「さんせー.....」

 

「ありがとうございます!!」

 

「決まりだな。それじゃあ今日も1日頑張ってこうぜ。」

 

 

 

 






予約投稿したはずが設定ミスでされておらず、まさかの大遅刻....
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