ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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微笑みを忘れた天使たちの為に

 

 

 

「ギャハハハハハーッ!!!やっぱヴァルキューレはショボいなァ!!オラ!もっと飛ばせ!アクセル全開!アイツら振り切ってずらがるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

「チンピラどもめ...腹立たしいぜ。」

 

「キョウタロウ!もっとスピード上がらないんですか!?」

 

「無茶言うな、これが限界だ。」

 

 

一点の濁りも無い広大な青空が似合うこの街で、今日も今日とて空を裂くような苛烈なカーチェイスが繰り広げられていた

 

「これでも喰らってな、ヘボ警官ども!」

 

 

不良の1人が身を乗り出し、車載機関銃を容赦なく放つ

 

しかし機銃掃射など、どこ吹く風の如くひたすら直進する

 

「なにやってるんですか!?避けてくださいよ!フロントガラスが蜘蛛の巣みたいになってますよ!」

 

「避けたりなんかしたら一般人に流れ弾がいっちまう。それにガラスもタイヤも防弾仕様だ心配いらない。」

 

「でもこのままでは離される一方です....なにか良い手は....」

 

「そうだキリノ、ノーコンで良いから撃ちまくれ!とにかく奴らの気を削ぐんだ!」

 

「本官がノーコンみたいに言わないでください!」

 

 

目の前を激走する車両めがけて連射するが、掠りもせずに明後日の方向へ飛んでゆく

 

「ハッハッハッ!銃口曲がってんのか?やめとけよ!これ以上やったって恥の上塗r... パァン パァン は?」

 

「まずいよボス、後輪が撃ち抜かれた!」

 

「マジかよ!?ヴァルキューレぱねえ!!!」

 

 

そのまま速度を失った車両は数秒の蛇行の末、街路樹に激突し停止する

 

「今の見ました!?本官の華麗なスーパーショットを!」

 

「キリノォ....お前成長したなぁ....!」

 

「そうでしょう!ようやく!日々の研鑽が実を結びましたよ!って、感慨深そうにしてる場合じゃありません!犯人を取り押さえなくては!」

 

「ケッ、捕まってたまるか!一生そこでイチャイチャしてろ!」

 

「え!?待ってくださいよボス!置いてくつもりスカ!?」

 

「安心しろ!お前のことは多分忘れねぇか....ブヘァッ

 

「へ?...ヴヴァ

 

 

言い合いをしていた不良2人は断末魔と共に突如として気を失う

 

野次馬たちが目線を向ける先にはアサルトライフルを向けるサオリがいた

 

「でかしたサオリ。」

 

「錠前さんご協力感謝します!」

 

「力になれたのなら何よりだ。」

 

「このままコイツら2人はサオリとキリノに任せるよ。これからトリニティに行かなきゃならないんだ。」

 

「それは.....恐らくは私たちが起こした事件のことだろう?復帰したてのお前に迷惑をかけている自分が情け無い。」

 

「今更顧みたって仕方ないさ。迷惑をかけてると思ってるならその分、他の面で役に立てば良い。そんじゃ、ここは任せた。」

 

「あ、あとそいつら常習犯のうえに組織の可能性もあるから公安局に引き渡してくれ。みっちり取り調べするらしい。」

 

「了解しました!お気をつけて!」

 

 

キョウタロウが去りキリノが2人は手錠を掛ける

 

「キリノ.....私は誰かの役に立てると思うか?」

 

「へ?立っているじゃないですか。犯人を取り押さえるのに協力してくれましたし、錠前さんも他の方々も仕事を覚えるのが早くて助かってるとキョウタロウも言ってましたよ。」

 

「あいつはそう思ってくれていたのか....」

 

「そういえば、他の方々はどうされました?」

「他の皆はデスクワークをしている。この巡回も交代でやっていて今日は私の番なんだ。」

 

「ならこの後一緒にパトロールしませんか?この近くには美味しいスイーツのお店も沢山ありますよ!」

 

「その言い方だと店巡りがメインになってないか?」

 

「ももも、もちろんサボる訳ではありませんよ!2人の身柄を引き渡してからパトロールを再開しましょう。」

 

「......そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「やっべ、完全に迷ったな.....」

 

 

学園の敷地内へ入り記憶を頼りに歩き回った結果、いつの間にか人っ子1人見えない校舎裏へと踏み入ってしまっていた

 

「大人しく道聞いときゃよかったな...引き返そうにも来た道すらわからなくなっちまったし、スマホはバッテリー切れ。まさかのトリニティで遭難すんのかぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なん……このがっ………てよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の声....!助かるかも!.....ってあのピンク髪は...ミカ?」

 

 

薄らと声が聞こえる方へ進んで行くと5、6人のトリニティの生徒が集まっていたが、その内のジャージを着た1人を他が取り囲む構図になっていた

 

「なにノウノウとしてんのよ、この裏切り者!」

 

「アンタのせいでパテルの権威と信頼は地の底。アンタの存在は恥そのものなのよ。」

 

「もうこの学園に魔女の居場所なんて無いのよ。さっさと自主退学でもしたら?」

 

 

生徒の1人がミカの胸元に手を伸ばし何かを奪い取る

 

「ち、ちょっと....!?」

 

 

 

 

(流石に見過ごすわけにはいかねぇな....)

 

 

 

 

 

 

 

 

「止まれ。お前ら何してんだ?」

 

「は?警察が何の用よ。関係無いんだから引っ込んでてよ。」

 

「あるんだなそれが。“魔女„だの“恥„だのの暴言は聴いてたし、何よりお前の手にあるアクセサリー。さっき強引に取り上げたよな?」

 

「だったらなんなのよ?文句ある?」

 

「.....ったく、勉強不足のうえに良識も足りてねぇな。お前がやった事は普通に窃盗罪。お前らがこうして集まってミカに暴言吐いたのは騒乱罪。今すぐ消えるなら未遂って事で見逃してやるよ。」

 

「意味わかんない。私たちは歴史と伝統を穢した魔女に制裁を与えようとしてるだけよ!」

 

「無抵抗の人間を大勢で囲う事がか?そいつは随分とご立派な伝統だな。自分の行動には何の疑問も抱かないんだな。」

 

「なによ...この魔女を庇うつもり?私利私欲でセイア様を殺そうとした忌まわしい魔女なのよ!」

 

「別に庇うつもりは無い。コイツはクーデターの主犯格で殺人未遂の犯罪者で、さっきみたいな言葉を投げらたってしょうがないと思うさ。けどお前らのしてる事は、その事実と正義を盾にした憂さ晴らしだろ?」

 

「....そうよ.....だっておかしいでしょ!あれだけ学園を滅茶苦茶にしといて、当の本人は呑気にボランティアしてれば良いなんて納得できる訳ないじゃない!」

 

「おかしいと思っても本人に言ったって仕方ないだろ。そこに不満があるなら、そういう判断をした上の連中に直接掛け合うのが筋ってもんだろ。それとも、そんなの怖くて出来ませんってか?」

 

「アンタ....部外者のくせに言いたい放題.....

 

 

「はいはーい、そこまでっすよ〜。」

 

 

遠目からの気抜けた声により場の空気は一変する

 

「なんか校舎裏から怒鳴り声がするって通報があったんで来てみたんすけど、よく飽きもせずミカさんに突っかかれるっすよね。」

 

 

言葉と同時に視線を送られた生徒から静かに立ち去っていく

 

「最近こんなのばっかりなんすよねえ。」

 

「苦労が絶えないのはどこもかしこも一緒なんだな。」

 

 

場を治めた生徒がこちらへ近づくと同時にミカが静かに去ろうとする

 

「待てよ、コレ。ジャージの上からでも付けるくらい大事にしてるんだろ?」

 

「あ...ありがとう....」

 

「あれだけ言われたら、てっきりやり返すと思ってたよ。」

 

「私そこまで子供じゃないよ?自分で蒔いた種なんだし。」

 

「そうっすよ。今日みたいな報告はしょっちゅう来ますけど、ミカさんが危害を加えたって報告はゼロっす。ところで、警察さんはどうされたんすか?」

 

「ティーパーティーに呼ばれたんだけど、道に迷ってな....」

 

「この学園広いっすからね、そういう事なら私が案内するっすよ。」

 

「そいつはすごく助かるよ。ミカ....色々大変だろうけど、いつかみんなもお前の本心に気付いてくれる日が来るさ。お前の願いに嘘はないって俺は思ってる。....じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬉しいけど....私なんかに希望を抱かせちゃダメだよ?....ホント....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「この度はミカさんとアリウスの騒動の解決にご尽力いただきありがとうございます。」

 

「色々な人の助けがあっての今だ。礼を言うのはこっちだよ。」

 

「それでも君はたったひとりでみんなを救うきっかけを作ってくれたんだ。感謝してもしきれないよ。」

 

「そうかい。それで、わざわざ礼を言う為だけに呼び出したってわけでも無いんだろ?」

 

「ええ。今回お呼びしたのはアリウススクワッド4人に加え、ミカさんの監視員も担って頂きたいからなのです。」

 

 

ナギサは憂いを帯びた面持ちで言葉を続ける

 

「図々しいことも貴方に負担を強いている事も重々承知しています。ですが、今のティーパーティーは一連の不祥事も重なり学内での信用は皆無。それにより強力な権威のみが独り歩きしている状態で、現状ではミカさんを守ることが難しいのです。」

 

「ミカは以前と変わらないよう振舞ってはいるが、どこか自身を見限っている節が見られるんだ。」

 

「お願いします。しがらみに囚われない、真に中立の立場である貴方にしか頼めないのです。どうかミカさんを支えてほしいのです。」

 

 

席を立ちキョウタロウの隣まで寄り深々と頭を下げる

 

「それは友達としての言葉か?それとも生徒会長としてか?」

 

「.......両方です。」

 

 

ナギサは頭を下げた姿勢を崩そうとはしない

 

「ティーパーティーのホストとして守るべき生徒のひとりであり、それ以上にかけがえの無い友人なのです。」

 

「私からもどうか頼む。」

 

 

ナギサに加えセイアまでもが頭を下げる

 

「....流石にそこまでされたら無碍には出来ないな。まぁミカにも最大限力になるって言っちまったし、その役目引き受けさせてもらうよ。」

 

 

2人の返事も待たず、一切れのバームクーヘンを掻っ攫い部屋を出ていく

 

「彼には生涯足を向けられないな。」

 

「本来なら私のすべき事なのですが....本当に不甲斐ないばかりです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「今日は久々に動き回った1日だったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻っていたのか。キョウタロウ良ければ食べてくれ。」

 

 

椅子にもたれ掛かっているとサオリが横長の箱を差し出してくる

 

「キリノが美味しい店を教えてくれたんだ。キリノからお前は甘い物を好むと聞いてな。」

 

(そんなことが......なんだかんだ馴染んでるみたいで安心だな。)

「そんじゃ、ありがたく.....?あれ、何も入ってないんだけど....」

 

「何?そんな筈は....お前の分もしっかり残していたんだが、ヒヨリ何か知らないか?」

 

 

呼びかけられた瞬間、棚の整理をしていたヒヨリの動きがピタリと止まる

 

「.......えっと....も、もしかして、あの最後のひとつってキョウタロウ君の分だったんですか?」

 

 

何かを察したようにサオリとキョウタロウの目が合う

 

「.....ヒヨリ....」

 

「......そうかそうかヒヨリ、お前はそういう奴だって失念してたぜ。お前明日から1週間パトロール係な。拒否権は無い、決定事項だ。」

 

「うわぁぁん!!これが巷で噂のパワハラってやつですね!?食べるつもりなら名前くらい書いててくださいよ!!!」

 

 

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