ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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猛獣、パパになる。Another side

 

 

「こちら公安局分遣隊、配置についた。これよりキョウタロウの警護を開始する。」

 

『了解。こちらはドローンを使用して空から警護する。』

 

 

サオリが無線機を懐へしまい、3人へ向き直る

 

「もう一度確認するが、今回の任務は公安局長からの緊急のものだ。」

 

「キョウタロウ君と、キョウタロウ君が連れてる子の見張りですよね。」

 

「そして2人に近づく敵意ある者を未然に阻止すること......これ私たちが警護する必要ある?確かに武器は持ってないけど、アイツは全身が凶器みたいなモノじゃん。」

 

「そうじゃない、キョウタロウが連れている子供を死守するのが最優先事項だと。なんでも、その子に何かあればD.U.の医療体制に甚大な被害が出るらしい。」

 

「い、一体何が起こるっていうんですか...」

 

 

 

 

 

 

「サッちゃん、出てきたよ。」

 

「よし皆、行くぞ。」

 

 

一同は生活安全局から出てきた2人の尾行を始める

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ああして見ると、キョウタロウ君ってお母さんみたいだね。て言っても絵本でしか見たことないけど。」

 

「同感だ。にしてもキョウタロウが連れているあの子供、キリノにそっくりだな。」

 

「その事なんだけど、サオリ姉さんこれ見て。」

 

 

サオリは自身へ向けられたスマホの画面を見るや否や、柄にも無く声を上げる

 

「.......!?なんだと!?」

 

「サッちゃん声抑えて、バレちゃうよ。」

 

「す、すまない。しかし....この写真は....」

 

「加工の痕跡もないし、本物と見て間違いない。」

 

 

画面にはクロノスが出した隠し子発覚の記事が映し出されていた

 

「つまり、あの子供の母親はキリノということか。あの2人の信頼関係は分かっていたつもりだが、ここまでだったとは.....」

 

「キョウタロウ君は既婚者だったんですね....なんだか不思議な感覚です。」

 

「今度お祝いのお花でも贈ってあげようかな。」

 

「もしかすると、キョウタロウの強さの一端はあの子かもしれないな。」

 

「どういう意味?」

 

「キョウタロウは至聖所で言っていたんだ。"死を覚悟しない、必ず勝てる"と。きっと自分の帰りを待ってくれる存在がいるから、あれ程の強く居られたのだろうな。」

 

「......そんな事どうだって良いよ。」

 

「ミ、ミサキさん?そんな、怖い雰囲気出してどうしたんですか?」

 

「よく考えてみて。あの子供は見た目からして5歳児程度、つまりアイツはとうの昔にヤルことヤッてるってこと!猛獣どころかゲタモノだよ、ケ・ダ・モ・ノ!」

 

「ミサキ、怒りのベクトルがおかしくないか?」

 

「どうしたのみんな、早く行かないと見失っちゃうよ。」

 

「そうか。ミサキ、今は怒りを抑えてくれ。」

 

「......今はそうする。けど事が落ち着いたらみっちり問い質すからね。」

 

「あ、ああ....」

 

 

 

────────────

 

 

「先輩、分遣隊の人たち色々と勘違いしてるっぽいですけど、ホントのこと教えた方が良いですかね?」

 

「なんか面白そうだし黙っとこ。」

 

 

────────────

 

 

多少のイザコザはあれど、キョウタロウ達2人を追っていると4人にとっては予想だにしない場所へ訪れることとなる

 

「.....こ、ここって...!もしかしなくても....!」

 

『ここから先はドローンの飛行禁止区域なので、分遣隊の皆さんでお願いします。』

 

「了解。」

 

 

通信を終えるとヒヨリが我先にと入場口へ駆け込む

 

「にゅ、入場券4人分、お、お願いします....!」

 

「4名様ですね。どうぞお楽しみください。」

 

「ヒヨリ、浮かれ過ぎ。私達はあくまでも任務で来てるの、分かってる?」

 

「わ、分かってますけど....こんな機会滅多にないじゃないですか。そ、それこそ、アリウスで過ごしてた頃は想像でしかなかった事じゃないですか....」

 

「ヒヨリの気持ちは分からなくもないが....」

 

『そんなに気張らなくても、普通に楽しんできたら良いんじゃないですか?』

 

「....え?ほ、ホントに良いんですか!?」

 

『寧ろ、遊園地にいるのに何もしないなんて不自然ですよ。公共施設ですし、楽しみつつ軽く遠目で見張るくらいで良いと思いますよ?』

 

「そ、そうと決まれば、早く行きましょう!」

 

 

3人の返事も待たずにヒヨリは遊園地へと入っていく

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ホットドッグ6つと、チュロスを8本ください。」

 

「ヒヨリ、まさかそれ1人で全部食べるつもり?」

 

「そ、そんな訳ないじゃないですか!?皆さんにも1個ずつあげるつもりで買いましたよ!?」

 

「それでもヒヨリが沢山食べちゃうんだね。」

 

「....それが自然で良いのかもしれないな。」

 

 

そう言うサオリはほんの少しだけ微笑んでいた

 

「姉さん、いくら何でもヒヨリを甘やかしすぎ。」

 

「でも昔に比べて、表情が豊かになったよね。サッちゃん。」

 

「そ、そうなのか?......自分では分からないものだな。」

 

 

皆が首を傾げるサオリを微笑し気に見ているとミサキが異変に気づく

 

「みんな、怪しい奴ら発見。」

 

 

ミサキの視線を追うとアトラクションには目もくれず、キョウタロウとキリノを見つめる2人組がいた

 

「ほら、あそこのツーサイドアップと橙色の髪のスカジャンチビ。」

 

 

そうミサキが発言した瞬間

 

 

「あ゛?」

 

 

「あ、気付かれた。」

 

「ヒィィ....!なんか凄く怒ってますぅ!?」

 

 

他のメンバーを無視して一直線にミサキの側へと向かう

 

「おい、テメェ今なんつった?もういっぺん行ってみろよ。」

 

「別にアンタに向けて言ったとも限らないでしょ。それとも自覚あるから反応したの?」

 

「良い度胸だな。喧嘩なら受けて立つぜ?」

 

「ちょっと!こんな所で騒ぎを起こすつもりじゃないわよね!?」

 

「何をしている!ミサキもやめるんだ!」

 

 

2人がかりで止めに入るが熱は入り続け、互いの武器に指が掛かる瞬間

 

"2人とも!!ストップ!!!ストーップ!!!!"

 

「「先生!?」」

 

 

聞き慣れた声に2人の衝突は終わりを告げる

 

「先生はコイツらを知ってんのか?」

 

"ネル、こちらミサキ。ミサキ、こちらネル。"

 

 

あまりにおざなりな紹介に2人の戦意も完全に削がれる

 

「先生はどうして此処に?私達はキョウタロウの警護だけど。」

 

"こっちの2人がキョウタロウの連れてる子の事を知りたいって。"

 

「そういう事か....あの子供はキョウタロウの娘で間違いないぞ。」

 

「....やっぱそうか......」

 

「これは先輩として説教が必要なようです。」

 

"そんな呆気なく納得しちゃうの!?あとユウカは何するつもり!?"

 

「わかりませんか?キョウタロウは学生、しかも警察の身でありながら不貞行為に及んだという事です。」

 

"太いのはユウカの太ももでしょ?"

 

「“太ぇ„ではなく“不貞„です!論点をずらさないでください!!」

 

"落ち着いてよ。詳しくは言えないけど、あの子はキリノ本人なの。"

 

「「そうだったのか!?」」

 

「.......なぁんだ...」

 

"(ね!そうだよねアロナ。)"

 

【はい。あの子の脳波を解析した結果、キリノさんの脳波と同一のものです。】

 

"キリノが元に戻ったら詳しい事は教えるから、お願い!今日はあの2人を見守るだけにしよ?"

 

「....先生がそこまで言うのでしたら....わかりました。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、あの...テリヤキバーガーとチーズバーガーとフィッシュフィレオを10個ずつ、あとケバブサンド下さい。」

 

「ちょっと...そんなに食べて大丈夫なんですか?」

 

「でっけぇな、このジェットコースター。」

 

「アンタが小さ過ぎるだけじゃない?」

 

「テメェ....

 

「「ミサキ(ネル)そこまで(だよ)(よ)」」

 

"まあまあ.....?どうしたの?サオリ。"

 

 

いがみ合う2人を他所にサオリはジェットコースターの行列を眺めていた

 

「どうしたんですか?サオリ姉さ....あ、あれ....」

 

「アズサだ。.....あんな笑顔、初めて見た。でも良かった.....アズサは日向の道を楽しく歩けているのだな。」

 

 

アズサを見るサオリの目は嬉しいさと同時に少しの寂しさを孕んでいた

 

「私はアズサが乗り込んできたあの日に、アズサの希望を否定した。それでもアズサは自分が望むものを掴み取り笑っている。やはり私はただの邪魔者だったようだな.....」

 

「サッちゃん、俯いてないでアズサの方を見てあげて。」

 

 

促されるまま顔を上げるとアズサと目が合う

 

アズサは小さく手を振りながらジェットコースターへと乗り込んでいく

 

「一度、ちゃんと話してみたら?」

 

 

アツコの言葉に答えることはなく動き始めるコースターただ一心に見つめている

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あっという間でしたね。アズサちゃん!キョウタロウさんはお化け屋敷に引き摺り込まれましたけど、大丈夫でしょうか....?」

 

「大丈夫では無いだろうな。ヒフミ、少し寄り道しても良い?」

 

「はい。全然大丈夫ですよ。」

 

「ありがとう。」

 

 

アズサは人混みの中からサオリを素早く見つけ出し駆け寄る

 

「アズサ....」

 

「サオリ、久しぶり。」

 

 

アズサはごく普通の笑顔を向ける

 

「久しぶり、だな。.....トリニティでは上手くやれているか?」

 

「ああ。サオリ達は公安局にいるんだっけか、ニュースでたまに見る。いつも街の平和を守ってくれてありがとう。」

 

「私は恨まれど、感謝されるような人間じゃない。お前を何度も傷つけて道を邪魔してきた。ベアトリーチェの言う通り、私は疫病神だったんだ。」

 

「そんな事は絶対ない。サオリは私達をずっと守ってくれていた。サオリが居たから今の私がいるんだ、ありがとう。」

 

「.......その言葉は私には大き過ぎ....

 

 

 

がぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!

 

 

 

 

 

 

「何?今の情け無い絶叫....」

 

"キョウタロウの叫び声だね...."

 

「ター坊がお化け屋敷に入った時点で想像出来たけどな。」

 

「キョウタロウにはそんな一面があったのか...」

 

「キョウタロウ君はホラー嫌い....メモメモ。」

 

 

その後、閉園の時間が訪れる

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

『キョウタロウさんは無事に自宅へ帰って行きました。本日の警護は現時刻をもって終了となります。お疲れ様でした。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、特に事件も起きなくて良かったですね....安心したらお腹が空いてきました...」

 

「嘘でしょ...遊園地であんだけ食べたのにまだ足りないの?」

 

「ふふ....ヒヨリの食いしん坊は変わらないね。」

 

「べ、別に良いじゃないですか...。今日は頑張ったんですから美味しい物食べに行きましょうよ。」

 

「....それもそうだな。お金は私が出そう、何処か行きたい場所はあるか?」

 

「え!?ホントに良いんですか!?な、ならバイキングに行きましょう....!」

 

「サッちゃん、バイキングってなに?」

 

「口で説明するより、実際に体験した方が良いだろう。」

 

「みんなで晩ご飯なんて久しぶりだね。」

 

「誰かしらが夜勤って日が続いてたからね。」

 

「滅多にない機会だ、楽しもう。」

 

 

 

4人の背中は小紫の空に溶け込んでいく

 

 

 

 

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