ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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??「本音しか言えなくなる薬なのだ!!」

 

 

シャーレに当番で来ていたキリノが目を丸くする

 

「これを使えば何人だって隠し事は出来ないのだ。」

 

"サヤ、その薬をしまいなさい。"

 

「どうしてなのだ!?」

 

"ダメだよ!サヤの薬で罪のない警察官(キョウタロウ)が大変な誤解されちゃったんだよ?今だってその誤解も完璧には解けてないんだからね!?"

 

「そ、それはクロノスに言ってほしいのだ!薬を持ち出されたぼく様もある意味では被害者なのだ!」

 

"論点をずらさない!キリノも興味津々な目で見ちゃダメ!"

 

「す、すいません!」

 

 

先生からの珍しくキツめの説教を受け、その日の当番が終わる時刻になる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ、今回の薬なら成功間違い無しのはずなのに....」

 

「あ、あの!良ければその薬、本官が試してみても構いませんか?」

 

「それは本当なのか?」

 

「もちろんです!貴女の薬の効力が確かなものであるというのは身を以て経験しましたから。」

 

「そういう事なら交渉成立なのだ!使ったらどんな感じになったか教えてくれなのだ。」

 

 

サヤから液体の入った小瓶を受け取り、シャーレからの帰路を辿る

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日、近所のレストランで発生した爆破事件の処理を終えたキリノとキョウタロウは生活安全局へと戻る

 

「2人ともお疲れ〜。ドーナツ買っておいたから食べようよ。」

 

「お前なぁ、俺らが爆風に晒されてたってのに呑気なこった。まあ食べるけど。」

 

「私コーヒー淹れてきますね。」

 

 

キリノは小走りで給湯室へ向かう

 

 

 

 

 

(これをコーヒーの中に入れれば.....)

 

 

サヤから受け取った小瓶をまじまじと見つめ中で様々な思考が脳裏をよぎる

 

こんな事をせずとも素直に話せば飲んでくれるのではないか

 

疑われる可能性など微塵もない事を知った上で小狡い真似をしたと知られたらどう思われるか

 

しかし意中の相手が自身をどう思っているのか、それを本人の口から聴きたいという衝動が自然と腕を動かしていた

 

(....もう、後戻りは出来ません.....!それにフブキにも協力して貰ったんです!成るようになれです!)

 

 

 

 

「遅かったじゃん。もう食べちゃってるよ〜。」

 

「い、いえ、お構いなく。....コーヒーです。どうぞ。」

 

「ありがとな。」

 

 

キョウタロウはドーナツをマグカップに持ち替え口をつける

 

その様子をキリノは硬い表情で見ている

 

(サヤさんは、薬は超即効性で効果も短時間と言ってましたし、問題になるような事は起きないはずです....)

 

「何だろコレ....すごく香りが深くて、口当たりも優しいしコクがある。このコーヒーすごく、すごく....

 

 

 

 

 

 

味噌汁の味がする」

 

「へ?」

 

「ありゃまホントだ。キリノ、もしかして粉末のみそ汁の素とインスタントコーヒー間違えたでしょ?」

 

「すいません!流石にドーナツにお味噌汁は合いませんよね。」

 

「でも悪い気はしないな。キリノのみそ汁なら毎日でも飲みたいくらいだよ。」

 

「「ん゛ん゛ん゛......!!」」

 

「どうした!?喉に詰まらせたのか!?」

 

「いやぁ、違うよ...?!」

 

「き、気にしないでください!それよりスマホが鳴ってますよ!?」

 

「あ....キリノともっと話したかったんだけどなぁ...

 

 

その場から少し離れて通話をはじめる

 

 

 

 

 

「山海経から貰った薬、すごい威力だね....初っ端からすんごい本音が聞けたね。」

 

「そうですね...私もここまでの効果があるとは思いませんでした.....」

 

「でもこれではっきりしたね。」

 

「でも、とりあえずは薬の効果が切れるまで試してみることにします。短時間といっても半日は続くそうなので。」

 

 

作戦の続行を決め、キョウタロウが公安局に戻った後を追いかける

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「サオリィィィ!!ミサキィィィ!!アツコォォォ!!」

 

「ど、どうした!?」

 

「なんなの急に.....」

 

「お前らは頑張ってる!」

 

「は.....?」

 

「....嬉しい。」

 

「でも真面目過ぎるんだよ、お前らは! たまには子供のように笑ってみろよ! 冒険を楽しむ子供のようになることも必要だぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キ、キリノちゃん、キョウタロウ君は....どうしちゃったんですか?」

 

「今朝キョウタロウに本音しか言えなくなる薬を飲ませました。今のキョウタロウは思った事をストレートに口に出してしまいます。」

 

「なんだか、面白そうですね....。キョウタロウ君の本音....これを機に色々聞いてみたいですねぇ。」

 

 

警報!警報!D.U.577区域の遊園地にてテロが発生!容疑者は戦闘ヘリ四機の武装。総員ただちに武装し急行せよ。繰り返す────

 

 

「なんでこんな立て続けに....全員出動。....キリノも来てくれ!」

 

「はい!!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

6人が現場へ赴くと上空にはヘリが無茶苦茶な軌道で飛行し機関銃をばら撒く

 

その下では来園者たちは慌てふためきながら逃げ惑っていた

 

「まずは避難からですね。本官に任せてください!」

 

「わかった。サオリ、アツコも避難誘導を頼む。ヒヨリとミサキは俺と犯人の捜索だ。」

 

「「「「「了解。」」」」」

 

 

各々がそれぞれの役目を果たそうと動く

 

 

 

 

 

 

 

「こっちだ!真っ直ぐ走れ!」

 

「みんな、慌てないで。大丈夫だから。」

 

「皆さん、もう大丈夫です!落ち着いてこちらへどうぞ!」

 

 

3人の尽力で逃げ惑う人々の間に着実に秩序が生まれ始めていた

 

「はあ...た、助かったよ警察さん。」

 

「いえ、これが本官の使命ですから!」

 

「貴女のような優しい警察官がいてくれる限り、キヴォトスは安泰だよ。」

 

「......は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

「キリノ、逃げ遅れた客は確認出来たか。」

 

「ひとまず入り口前の避難は完了です!奥の方には人が残っているかもしれません!」

 

「そうか、行こう。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

キリノ達が避難誘導を行う一方でキョウタロウ達は遊園地の中心まで足を踏み入れていた

 

「前情報通り、4機しかいないな。」

 

「周りに人は居ないし、適当に一機落とす?」

 

「ま、待ってくださいミサキさん...!」

 

 

スコープを覗いていたヒヨリが慌てて制止をかける

 

2人も促されスコープを覗くと、未だに稼働を続けるジェットコースターに人が数名取り残されていた

 

「マジかよ....」

 

「どうすんの?隊長。」

 

「どうも何も止めるしかねぇだろ。」

 

「で、でも乗り口に行けば止まるんじゃないんですか?」

 

「ここのコースターは磁力でブレーキを掛けてる。でも今はそれを操作するスタッフも避難してるはずだから多分止まらない。」

 

「なら、あの屋台の間からコースターの乗り口に気づかれずに行けると思う。」

 

「俺が行く。ヒヨリとミサキはバレないようヘリを監視しててくれ。」

 

 

2人ををその場に残してコースターの乗り口へ急ぐ

 

乗り口へ入るとスピードを緩める気配の無いコースターが猛スピードで突っ込んでくる

 

「うっしゃ!掴んだ!」

 

 

コースターの最後尾の端を掴むも、スピードを抑え切る事はできず自身と猛スピードでレールの上を引きずられる

 

「イテテテ!!!できる事なら今すぐに手を離したい!!」

 

 

引きずられながらも、レーンを掴み減速を試みるが

 

「やばい....止まらねぇ!」

 

 

しかし、さらに不幸は重なる

 

『おい、なんかコースターに引き摺られてるやつがいるぞ。』

 

『撃っちまえ。ミサイルはホーミング仕様だ、確実に当たる。』

 

『りょ〜かい。』

 

 

ジェットコースター上空のヘリがキョウタロウをロックする

 

発射されたミサイルは完璧に捉える事はできず、その代わりにレーンを爆撃する

 

その衝撃でコースターごと身体が浮き上がりレーンの軌道から外れて宙吊りになる

 

「あっぶねぇ....!!」

 

「ヒィ....!!た、助けて!」

 

「大丈夫だ!絶対離しはしねぇよ。」

 

 

怯える人々を支えるのはキョウタロウの腕一本のみ

 

(このままじゃ掴んでるレーンかコースターのどっちかが先に壊れちまう....)

 

 

 

『おやおやぁ?随分と狙いやすい的だなぁ。全員撃て!』

 

 

ヘリ四機のバルカン砲が一斉に向く

 

 

 

 

 

 

「流石に一機くらいはやった方が良いよね....」

 

 

一機のヘリへミサキが瞬時に照準を合わせる

 

砲撃を受けたヘリは隣を飛ぶヘリを巻き込みながら容易く落とされる

 

しかし、残された機体は撃墜された2機など意に介さずに射撃を開始する

 

「ま、マズいですよミサキさん....!」

 

「わかってる、だから揺らさないで。」

 

 

キョウタロウとヘリの距離は数メートルにも満たない

 

「あんなんじゃ、撃ち落としても確実に要救助者に当たる。」

 

「なら本官にお任せください!!」

 

 

八方塞がりの状況を打ち破るが如く、キリノが大きな荷物を抱えミサキの横を走り抜けていく

 

キョウタロウが支えるコースターの真下に着くと抱えた荷物を地面に置きタグを引く

 

タグを引いた後、ゆっくりと膨らみ始める

 

キリノが持ってきた物はセイフティエアクッションだった

 

「さあ皆さん!飛び降りてください!!」

 

「でも....」

 

「怖がる必要はありませんよ。本官がしっかり受け止めますから!!」

 

 

キリノが身体を広げたのを皮切りにひとり、またひとりと飛び降りる

 

「これで全員ですね。もう安心ですよ!.....キョウタロウ!!やっちゃって下さい!」

 

「本当に助かった!」

 

 

弾丸の雨の中、ゆっくりと立ち上がり無人のコースターを振り回し始める

 

『なんかマズくね?』

 

『早く逃げ.....

 

 

「逃すわけねぇだろぉがぁぁぁぁあ!!!」

 

 

特大の遠心力を乗せた鉄塊をヘリへ向け投げ込む

 

直撃を受けたヘリは呆気なく落とされ、最後の一機もヒヨリがパイロットを狙撃し墜落する

 

「やりましたねキョウタロウ!さ、降りて来てください。」

 

 

身体の力を抜きエアクッションに飛び降りる

 

「よくこんなの見つけてきたな。」

 

「キョウタロウを遠目で見てた遊園地のスタッフさんが教えてくれたんです。」

 

「ありがとう。助かったよ.....うぉ!?

 

「大丈夫ですか!?足がフラついていますよ?肩貸しますから、掴まってください。」

 

「遠慮なく。.....キリノ、いい匂い...ずっと嗅いでいたい.....」

 

「........!?」

(そうでした!今はまだ薬の効力が残ってるんでした....!)

 

「ちょっと、アンタなにセクハラ紛いの発言してんの?私の肩にも寄って。」

 

「うぉぉ....美少女2人に支えられるなんて、俺は幸せ者だな。」

 

「「…………//」」

 

(キョウタロウ君の本音.....凄いですねぇ....)

 

 

4人で入園口に戻れば、サオリとアツコが犯人らしき不良生徒を拘束していた

 

「お前ら本当に優秀だな。」

 

「役立てたなら何よりだ。」

 

 

公安局本隊に犯人を引き渡し、事件は幕を下ろす

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「一件落着!ですね。」

 

「ああ。お疲れ様、手伝ってくれてありがとな。」

 

「あ、あの...ひとつ聞いても良いですか.....?」

 

「良いぜ。なんでも聞けよ。」

 

 

承諾を得たキリノはおどおどと切り出す

 

「キョウタロウは病院での一件以来、私を頼ってくれるようになりましたよね。」

 

「まあな。もしかして....厚かましかったか?」

 

「いえ、そんな事はありません!頼られる事は凄く嬉しいです!!」

 

 

ほんの少しだけ顔に陰を浮かべながら続ける

 

きっと普段なら変に気を使われ本音を聞けないが、今なら薬の効力も残っている

 

キリノにとっては絶好の機会だった

 

「....でも時々思うんです。キョウタロウは充分過ぎるくらいの実力が備わっています。....私は失敗ばかりですし、足手纏いなのでは無いかと.....」

 

「......そうだな。確かに戦うだけならキリノじゃなくたって良いのは事実だ。」

 

「やっぱり.....

 

「でもな、それじゃ駄目なんだよ。」

 

「え?どういうこと、ですか.....?」

 

「警察の役目は市民を危険から守ること。」

 

「それは基礎中の基礎じゃないですか。私だって分かりますよ....」

 

「でも1番大事なのは、安心してもらえるかってトコだと思ってる。」

 

「安心...ですか。」

 

「実際にさっきの事だって、キリノが来てくれたからコースターに乗ってた客は安心して避難出来た。キリノには当たり前の事かもしれないけど、俺には難しい。だから、凄い助かってる。改めてありがとう。」

 

(そんな事を思っていたのですね.....)

 

「これからも頼って良いか?」

 

....はい!!中務キリノ!これからも立派な警察官めざして邁進して参ります!!」

 

 

傾いていく陽の中で覇気に溢れた敬礼と宣誓が響き渡る

 

 

 

 

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