ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
「中務キリノ、ただいま戻りました!巡回異常なし!今日もキヴォトスは平和でした!」
「お疲れ〜。もうすぐお昼休憩だってのにエネルギッシュだね。」
昼下がり、街の巡回を終えたキリノが生活安全局へと戻ってくる
「市民の模範となるべき警察官として、フブキももっと意欲的にハキハキと動きましょう!」
「えーー、元気すぎるにも程があるよ...私はゆる〜く、のんびりが性に合ってるから遠慮しとくよ。」
「相変わらずですね。...あっ、お疲れ様ですキョウタロウ。」
「2人ともお疲れさん。」
「...?その腕時計はどうされたんですか?」
「今日はちょっと時間を気にしなきゃいけない日でね、しばらく外に出てくる。じゃあな。」
会話もそこそこにその場を後にする
「むむむ.....」
「キリノ?どしたの?」
「フブキ、キョウタロウから何か聞いていませんか?」
「唐突だね。....えーっと、材料の高騰でマスタードーナツのドーナッツが小さくなっちゃったこと?」
「え!そうなんですか....って、そうではなくて、キョウタロウが腕時計を身に付けてる理由ですよ!あらゆる事を拳で解決するキョウタロウが壊れやすい腕時計なんて付けるはずが無いんですよ!」
「そ、そうなんだ....もしかして、時間を気にしなきゃいけない相手が出来てたりして。」
(まあ、そんな訳無いけど。)
「は!?え....そそそ、そんな...訳......ないじゃ、ないですか.....」
(想像以上にダメージ受けてる!?)
「冗談!冗談だってば!落ち込む事ないじゃん。」
「フブキが変なこと言うからですよ!....でも、本当にそのような相手がいたら....
「大丈夫だって、キョウタロウに限ってやましい事なんかする訳無いよ。」
「でも、不安でなりません。んんー....どうしたら......」
「なら尾行あるのみだ。」
「「カンナ局長!?」」
「...驚かせてすまない。」
「い、いえ.....それよりも...」
「尾行って、なんか局長も乗り気っぽい?」
「決してそんな事は無い。怪しいと思うならまず、足で情報を集めるのが先決だと考えたまでだ。」
「なるほど...!」
「今日のキョウタロウは思い返しても妙だった。期限までに処理すべき業務は午前に終わらせていたが、その後もやけに時計を気にしていた。」
「見慣れない腕時計といい、怪しさ満載ですね。」
「私もアイツが新品の腕時計を付けているのもどうにもキナ臭いと思っていた。書類の期限以外で時間を気にするなんて事も滅多にないのに、だ。」
(2人ともキョウタロウ見過ぎでしょ....)
「現状、怪しさだけが膨らむままで手掛かりはゼロだ。」
「局長、その尾行に私たちも同行してよろしいでしょうか。」
「ちょっと、私はなにも....
「構わない。そう言う事なら早速行動開始だ。」
「はい!!」
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キョウタロウを追って最初に辿り着いたのは精肉店
「おやっさん、例のモノあります?」
「おう!しっかり取ってあるぞ、待ってけ。」
「随分とずっしりしてますね。」
「お前がやけに張り切ってるって聞いたから、こっちも気合い入れすぎちまったよ。」
キョウタロウは店長が店の奥から持ってきた紙袋を受け取る
「ありがとな、おやっさん。」
「コツは前に言った通りだ、頑張れよ!」
精肉店を立ち去りまた別の店へ出向く
今度は店は小さな八百屋
キョウタロウが声をかけると店の奥から店主が顔を出す
「あ!タロちゃん、いらっしゃい!」
「店長さん、前に注文した物もう入ってます?」
「もちろんさ。もう用意してるよ、持ってきな。」
「いつもありがとうございます。」
「いいの、いいの!タロちゃんにはいっつも助けられてるんだから、これはほんの気持ちだよ。」
野菜がたんまり入れられた袋を受け取り再び歩き出し、通りすがる人々と軽口や挨拶を交わしたり小突きあったりしながら歩を進めていく
「...市民の方々とは良好な関係を築けているようだな。」
「重犯罪対処の他にも、公安局がやらなくても良い街の巡回までやってくれてるからね。」
「要請書を受理する前に飛び出してしまうのが玉に瑕だがな。」
「現着の際の異様な早さはそれだったんですね。」
「初めて会った頃は誰も寄せ付けない程に無愛想で凶暴だった男があそこまで変わるとは...感慨深いものだな。」
「今の光景を当時のキョウタロウに話しても100%信じないでしょうね。」
「思い出話もいいけど、このままじゃキョウタロウ見失っちゃうよ。」
「そうだな。静かに、かつ迅速に行くぞ。」
再び追いかけた先は3人も通い慣れたシャーレへの道
そのままキョウタロウは先生のいる執務室をノックする
「遅れてすいません。必要な物持ってきましたよ。」
"忙しいのに買出し任せちゃってごめんね。"
「先生の方が忙しいのは承知ですから、気にしないでください。それより時間も迫ってますし、早速行きましょう。」
2人はシャーレの使われていない空き部屋へと向かう
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ひとまず3人も先生とキョウタロウが入った部屋の前までこっそりと近づく
「き、来ちゃいました.....!」
「男女が2人揃って密室に。怪しさ満点だね。」
「そ、そんな....2人はまさか....」
「今は余計なことを考えるな。」
3人はそっとドアへ耳をつける
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"あっつい...匂いが付いちゃうし、服脱いでいい?"
「ご自由に。もし良ければ匂い消しのスプレー使います?」
"さっすが〜気が利くね。....にしても、凄い匂い。"
「言い出しっぺは先生なんですから我慢して下さい。」
"分かってるよ。けどそれとは別に暑い....キョウタロウは汗ひとつかかないね。"
「夏のブラックマーケットの路地裏に比べれば快適ですよ。....先生、アレをそろそろお願いします。」
"はいはーい。.....うお、何コレでっか...警察官がこんな公序良俗に反するようなモノを......"
「何言ってるんですか、ちゃちゃっと縛るんでこっちへ。」
"すんごい....そんなにキツく縛っちゃうんだ。結んだタコ糸が埋もれてるよ。"
「あとはコレを奥までしっかり入れ込むだけですね。」
"待ちきれないよ!早く早く!"
「しがみついて暴れないで下さい。」
"入れた瞬間にもう白いのがこんなに沢山..."
「これを取り除きつつ様子を見ましょうか。アレは出来てますか?」
"先にやってたけど、やっぱり相当力いるんだね。なんとか形にするだけで精一杯だよ。"
「お疲れ様でした。あとは俺がやりますから、先生は楽にしててください。」
"助かるわ〜。"
パン パン パン バン
パン パン パン バン
「凄いですよ先生。モッチモチでよく出来てるじゃないですか。」
"ちょっ、力込めすぎ!壊れちゃうよ!?"
「大丈夫ですって。弾力がある方が俺は好きですよ。」
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「あっ、あ、あの、こ、これは....もしか、しなくても....」
「....スゥーー....」
(うっそぉ...)
「あ、アイツ....まさか先生とそんな関係に.....?」
「きょ、局長が震えてる...」
「お前たち、構えろ。」
「え!?ど、どうするおつもりですか!?」
カンナは咄嗟に懐から出したハンドガンを構えドアノブに手を掛けていた
「捕縛対象は喜悠凪キョウタロウ。私が引きつける、その隙に2人は先生の確保を。」
「え、りょ、了解です!」
(何してくれちゃってんのさ〜キョウタロウ〜....)
物音の鳴り止まない部屋の扉をカンナが蹴りを入れ強引に開ける
「ヴァルキューレだ!全員動く...な....」
"カンナ!?"
「.........えっと.....どうも、局長。そんな険しい顔してどうしたんですか。なんか事件ですか?」
銃を構える3人の前には、やましい事など一切なく、火にかけられた寸胴鍋を見守る先生と麺棒を持つキョウタロウだった
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「ラ、ラーメンを作っていた...だけ、なんですか!?あの.....私はてっきり.....」
「なんか拍子抜けだね。」
「その..."キツく縛る"というのは...」
"これかな..."
寸胴から伸びたタコ糸を引き上げると、その先には通常より大きな豚肉
「...確かに、コレは公序良俗に反する大きさだね。」
"灰汁がものすごく出ちゃうから野菜も沢山入れてたんだよ。"
「で、では...何か弾力のある物を叩く音は?」
「見ての通り、ラーメンの麺を作ってただけですけど。」
"...個人でラーメン作るのは犯罪だったりする?"
「いえ、その様なことは決して無いのですが...その.....」
言葉を続けようとするカンナだが途端に言い淀み、誰にも見られぬように顔を逸らす
「局長?どうし....あっ!!局長まさか.....
「黙れ。何も言うな。聞くな。考えるな。良いな?」
「ウィ、ウィルコウ....」
「私たちは誤解してたってワケだね。」
"......皆でラーメン食べよっか。器取ってくるからスープの準備お願い。"
出汁と返しでスープの準備をし、手早く具を用意する
「麺の好みとかあるか?」
「私は細めでお願いします。」
「私はフツーで。」
「硬めで頼む。」
「了解。」
麺を各自の好みで切り分け、湯掻く
茹で上がった麺と仕込みを終えた具材をスープの入った器に盛り付け、ラーメンが完成する
"美味しそう〜。"
「クセがあるけどいい匂い。ドーナッツだけじゃなくて、たまにはコッテリしたラーメンも良いかも。」
「それは流石に栄養が偏りすぎですよ?」
「料理ができるのは知っていたが、ラーメンまで作れたのか。」
「色んな人から教えてもらったんですよ。特に、アビドスで移動屋台を構えてる大将にはすごく助けて貰いました。」
"あったかいうちに食べちゃお。"
「いっただきま〜す。」
「いただきます!」
"「「いただきます。」」"
「ん〜、やわらかチャーシューに麺もモチモチ。スープも絶品ですね!」
「時間と材料にとことん拘って作ったからな。」
「ラーメンを一から作るとなると相当に時間がかかると聞くが、業務の合間によく作れたな。」
「キョウタロウ、チャーシューおかわりお願い。」
「煮卵も入れてやる。じゃんじゃん食べろよ。」
"キョウタロウ!替え玉ひとつ。"
「はやっ!」
"あはは....近頃ちゃんと食事できる時間が取れなくてね..."
「先生、業務が積もる様なら遠慮なく当番としてお呼びください。」
"ありがとね、カンナ。"
「にしても、私たち恥ずかしい勘違いをしちゃってたんだね。」
「そ、そうですね....」
「3人が何を想像したのかは考えない事にするけど、何かごめんな。」
「本当ですよ全く....私のことをお嫁に行けなくしたんですから、誤解を生んだり、無責任な行動は慎んでくださいね?」
「へ....?」
「なに?」
"え...?"
「おいちょっとキリ....
「きっちり詳しく説明して貰おうか。」
「あ、あの....局長...?そんな怖い顔されたら、答えたくても答えられませんよ....?それに、話ならラーメン食べてからにしませんか?」
「構わないぞ。ラーメンを味わいたいなら取調室に直行してもらう事になるがな。」
「キリノ?先生?フブキ?....おい、目を逸らすな。こっちを見ろ。」
「弁明なら署で聞く。今日は帰れると思うなよ。」
「......
その日、公安局の一室は電気がつけっぱなしになっていたとか