ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生 作:りっくらっくろっく
開闢と言うには雑な始まり
「いらっしゃいませ!」
チャーミングなおでこと長く綺麗な金髪ちゃんの声が店内に響く。
ヴァルキューレ警察学校に入学して以来、早朝から行い一段落着いたら
ここエンジェル24で朝食を買うまでが日課となった見回りを終えて、前述の店員であるソラちゃんとの世間話と洒落込む。まさに至福のひととき。
「いつもご贔屓にありがとうございます。
「まだ朝の7時だってのにお疲れさん。」
「いえいえ、まだ中等部の私を雇ってくれるなんて、ここぐらいですから
恩返しのつもりでやってることですから。」
(はぁぁぁんなんて健気な子なんだ。
こんな子が心の底から笑える世の中を作るのが、俺がこの世に生を落とした理由なんだ、きっと。)
おっと自己紹介がまだだったか、俺のフルネームは
ヴァルキューレ警察学校、公安局所属の高等部1年生だ。
そして、名前から想像つく通りキヴォトス唯一の男子生徒らしい。あとついでに転生者だ。だがこの世界に転生したのはもう10年くらい前の話でメインストーリーの記憶なんかもかなり朧気にしかのこっていない。これからの事象に対してもほぼ初見だ。人物に関しても本人を目の前にして名前を思い出せるくらいだ。
「どうしました?ボーッとしてましたけど、もしかして寝不足ですか?」
「いや、警察としての責務を再認識してただけだ。心配すんな。」
「そ、そうですか。...あっ、そうだ喜悠凪さんはもうご存知ですか?」
「あー、あれかキヴォトスの外から『先生』が赴任してくるってやつ?」
「はい。連日、ニュースではその話題で持ちきりですよ。しかも、今日がその赴任の日らしいですよ。」
「情報のアンテナは張ってるつもりだけど、最近は忙しすぎてな、あんまよくは把握してねぇんだよな。」
最近のキヴォトスは本当に治安が悪い。なんでも連邦生徒会周りのことが原因らしい。おかげで不良共には毎日のように絡まれたり、因縁付けられたり、仕舞いには休憩がてら、立ち寄った喫茶店に手榴弾を投げ込まれる始末。
「先生ってどんな人なんでしょうね。会ってみたいものですね。」
「そうだな、見回りしてたらバッタリ出会えるかm『ドッカーーーン!』なんじゃぁ!?」
(今の音は確実に戦車の類か。いくらキヴォトス人が頑丈だからってソラちゃんに砲撃なんて当たったら洒落にならん)
「ソラちゃん、俺がいいって連絡するまでバックヤードに避難しててくれ。」
「はっ...はい!どうかご無事で。」
150cm程度の2本ミサイルランチャーを背負って現場へ急行する。
道中の不良集団を片っ端から無力化していくと遠目に戦車が見えた。都合よくこちらに背を向けている為制圧は簡単だ。構えていたランチャーを背負い直して戦車へ向かって走る。そして背面に向かって渾身のアッパーを打ち込む。戦車は弧を描きひっくり返る。
「急に何ッ!?あの戦車いきなりひっくり返ったわよ!」
青髪のツーサイドアップの生徒が驚愕の声を上げる。
「あれ?行政官に風紀委員に正義実現委員会まで、こんな場所まで遠路はるばるどうも。」
そして、茶髪を背中の中間まで伸ばした見慣れない女性。見た感じヘイローが無いってことは、恐らくあの人が件の『先生』なのだろう。
「私たちは、ここにいる先生をサンクトゥムタワーまで護衛するのが目的です。ご協力願えますか?」
「あんたは確か、羽川ハスミって名前だったか。ならここは任せろ。」
改めて2本のランチャーを構え直し不良集団の中へ突っ込む。
「喜悠凪の野郎だ!今日こそぶっ飛ばしてやるッ!」
「あぁん?この悪ガキ共め、後悔すんなよ?」
恐らく警察がしてはいけない表情をしているだろう。
不良や戦車をあらかた一掃するとこの世で最も聴きたく無い声が聴こえた。
「あら、随分と久しぶりですね。」
「マジかよ....いるなら最初から教えてくれてもよかっただろ」
一生恨むぞ、行政官と愉快な仲間たち
「久しぶり....狐坂ワカモさんよぉ」
「うふふふ...あの時より強くなれましたか?」
ワカモとはちょっとした因縁がある。それは俺の少し暗い過去にも関係がある。ヴァルキューレに入る前にブラックマーケットのゴロツキだった頃に、喧嘩を売ってしまった。その結果、それはそれは目も当てられないほど叩きのめされた。それ以来、ちょっとしたトラウマになっていた。ワカモが矯正局にぶち込まれたって噂を聞いて圧倒的な安堵感が押し寄せた。そして、強くなるためひたすらに鍛えた。その結果があの戦車への一撃だ。
「腹ァくくるしかねぇか。」
「受けて立ちましょう...と言いたいところですが私にはまだやることがありますので。」
「あっ!待ちやがれっ!」
颯爽と立ち去ってしまったが追う気にもなれないので残った不良共の対処にあたる。
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不良集団の対処を終えて数分後にサンクトゥムタワーから先生が降りてきた。
"これ全部貴方がやったの?"
「ああ...そうだ、俺はヴァルキューレ警察学校高等部1年生、喜悠凪キョウタロウです。」
"よろしく"
「喜悠凪さん、貴方に折り入って頼みがあります。」
「行政官の折り入っての頼み?」
「はい。先生はキヴォトスの外から来られました。そのためか銃弾1発ですら致命の一撃になり得ます。であるため貴方にはこちらの先生を顧問とする連邦捜査部S.C.H.L.Eの部員となり先生のボディーガードを担っていただきたいのです。」
"ならキョウタロウがシャーレの部員第1号だね"
「構わねぇよ。」
先生へ向き直って
「改めてよろしくお願いします。先生。」
その後は、諸々の後処理に回り病院送りにした不良の始末書を書き上げた頃には太陽は空の天辺まで昇っていた。
ここからこの世界としての本格的な物語の始まりの予感をひしひしと実感していた。しかし、
「なんか...忘れてねぇかな。」
バックヤードに避難させたソラのことを思い出すのは
もう少し先の事。
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妄想を垂れ流すのは楽しいですね。
1話目からキリノ出ないってマ?