ご都合主義のキリノ推しヴァルキューレ生   作:りっくらっくろっく

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憂いは無くても裏目はある

キリノのメモロビを見逃してから約半月が経とうとした頃。シャーレとして、各所の案件を解決していく事で知名度もそれなりに上がってきたある日。

 

 

「解っちゃいたが、シャーレに来ても書類仕事からは逃れられないか....」

 

"あはは...私もいるからちゃちゃっと終わらせよう"

 

 

どこかで'見た'ことがあったような苦笑いを浮かべる先生を尻目に、黙々と書類を仕分けていると

 

(ん?デジタル化が進んだこのご時世に手紙?宛名は....アビドス?)

 

 

少しの思考の後...

 

(あーーー、思い出した!これって、確か先生がアビドスの自治区に行って、色んな生徒の足を舐めるやつだ!)

 

違う

 

すぐさま封を切り内容に目を通す。

 

(やっぱりな)

 

「先生、急いで取り掛かった方がいい案件です。」

 

手紙の内容を簡潔に伝える。

 

"アビドスって遠くの自治区の支援要請ってことね、よしすぐに行こう。"

 

「了解しました。ですが、遠出の為の準備をしますので、1時間後の出発という事で。」

 

"わかった"

 

 

そうと決まれば早速、特大のリュックに水と食糧、その他、救急キット等を詰めていく。

 

(確か、ストーリー序盤で先生が遭難して死にかけてたはずだ。これだけ持っていけば、少なくとも餓死はしないだろ。)

 

 

万全の準備を終え約束の時間を迎える。特大リュックと2本のランチャー、加えてアビドスへの補給品を背負ったキョウタロウの風貌は、さながらモン⚪︎ンの行商ばあちゃんである。

 

 

"すごい量の荷物...気合い入ってるね。"

 

「よく言うじゃないですか、『備えあれば憂いなし』って。事前に調べたんですが、アビドス自治区は広い上に、砂嵐の影響で砂漠化が進んで地元民がかなり減ったそうです。」

 

"地元の人に頼れないかもだから、そんな大荷物なんだね。"

 

"よしッ!アビドスへレッツゴーー"

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

と元気に息巻いていたものの

 

"あっづいよ〜"

 

「先生、連邦生徒会から貰ったコートを羽織って下さい。暑いかもしれませんが、地肌を焼かれるよりはマシだと思いますよ。」

 

そう言うキョウタロウの格好はみ空色のシャツの上から長袖の黒スーツ、更に上から紺色のコートと首を少し過ぎるくらいまで伸ばした黒髪をゴムで束ねただけのなんとも暑苦しい格好ではあるが、本人はそうでもないらしい。砂漠化ということもあって暑さは覚悟していたが、陽炎が間近で見えるほどの猛暑とは思っていなかったようだ。

 

"あ...れ、なん、だか視界がぼやける...."

 

「先生!」

 

倒れそうになる先生を直前で支える。

 

飢えや栄養失調の備えは万全であったが、熱中症などの病気の面に関しては、詰めが甘かった。

 

 

(こりゃ、予想外の暑さを考慮しなかった俺の落ち度だ。)

 

「恐らく、先生は軽度の熱中症です。ひとまず日陰で休みましょう。」

 

先生に水分を摂らせ休憩させていると

 

「あなた達、こんな所で何してるの?遭難でもしたの?」

 

顔を上げると自転車に乗り、イヌ科の耳を生やして水色のマフラーをかけた銀髪の人物がいた。

 

「いや、俺たちはアビドス高等学校に用があって来たんだ。」

 

「うちの学校に用があるなんて珍しいね。」

 

「うちってことはアンタはアビドス生なのか?」

 

「うん。私は砂狼シロコ。良かったら、学校まで案内する。」

 

「それは助かる。先生、歩けますか?」

 

"むり〜〜、そこのかわい子ちゃん、おぶって〜"

 

「え、良いけど待って、自転車漕いでたから汗が」

 

 

言葉を無視して先生がシロコの背中にもたれかかる。

 

"スゥーーー、良い匂いがする!"

 

顔を赤らめるシロコとは対照的にキョウタロウは呆然とその光景を眺めるしかなかった。

 

しかし、その直後にキョウタロウが考えていたことは

 

(俺もキリノをあんなふうに、おんぶして見回りしてぇなぁ。今度誘うか。)

 

煩悩丸出し

 

3人はアビドス高等学校へ向けて歩き始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「着いたよ。ここがアビドス高等学校。」

 

「ありがとう、助かったよ。」

 

(思ったよりも普通の校舎だな。トリニティとかゲヘナの校舎よりも真っ当に校舎してる。)

 

「ん、礼には及ばない。」

 

"スゥーーー"

 

未だシロコの髪を夢中で吸っている先生を、さも当然かのように背負ったまま校舎へ入っていく。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

シロコに着いていき2階の1室へ入る。

 

 

「みんな、おはよう。」

 

「おはようございま....って!何!?そのおんぶしてるの誰!?」

 

「わあ、シロコちゃんが怪しい人と一緒に大人を拉致してきました!」

 

(怪しい!?)

 

「拉致!?もしかして死体!?シロコ先輩がついに犯罪を....!それとも貴方が誑かしたんですか!?」

 

 

メガネの奥から鋭く睨みつけられる。

 

「え?ちょ待てy

 

「みんな落ち着いて、とりあえず死体を隠す場所を探すわよ!掘削の道具一式は体育倉庫にあったはず。それを....」

 

「いや....普通に生きてるし、うちに用があるんだって。」

 

「お客さん?2人とも?ってその腕章は連邦捜査部シャーレ!?」

 

"先生だよ、よろしくね。"

 

「シャーレの先生ってことは....」

 

「支援要請が受理されたのですね!良かったですね、アヤネちゃん!」

 

「私、ホシノ先輩に伝えてきます。」

 

「委員長なら隣の部室で寝てる。私、おこしてくる。」

 

 

これまた動物の耳を生やしたツインテールの生徒が部屋を後にする。

 

「そういえば、貴方はもしかして『ヴァルキューレの猛獣』と呼ばれている方ですか?」

 

「猛獣!?俺には喜悠凪キョウタロウって名前がちゃんとあるっ!ヴァルキューレ高等部1年だ。そんなことより猛獣ってどゆこと!?」

 

「申し遅れました。私は奥空アヤネといいます。」

 

「私は十六夜ノノミです☆」

 

「私は自己紹介済み。」

 

"それで、キョウタロウが猛獣ってどういうこと?"

 

「猛獣というのは一部の不良生徒たちの間で噂になっていることです。」

 

「なんでも、D.U.とその周り、あとブラックマーケットとかで悪さをすると、紺碧色で六芒星形のヘイローの生徒にコテンパンにされちゃうらしいです☆」

 

"ほんとだ、キョウタロウのヘイローと特徴ほぼ一緒だね"

 

「最悪だ.....」

 

(不良どもの間で噂になってるってことは、何れキリノの耳にも入ってしまう。同僚に猛獣なんてあだ名ついてたら流石のキリノもきっとドン引きだ。そんなことになったら生きていけない。)

 

 

ダダダダダダダダダダダ

 

「今の音は!?とりあえずホシノ先輩連れてきたけど....って今度は何!?どうして怪しい人が項垂れてるの?」

 

"そっとしてあげて"

 

「これは...武装集団が接近中です。カタカタヘルメット団のようです!」

 

「ありゃ〜そりゃ大変だね....あ、先生?よろしく〜、むにゃ。」

 

(カタカタ?....居たな、そんな奴ら。確かどこかの雇われだったか。ありゃ、戦車まで持ってきちゃってまぁ。ゲームだと戦車まであったか?)

 

「先生、俺が出ます。みんなと一緒に補給品の整理でもしてて下さい。」

 

"OK!くれぐれも怪我しないようにね"

 

「ちょっと!待ちなさいよ!まさか、あの人数を1人で相手取るつもりなの!?いくらなんでも無茶よ!それに戦車だって...」

 

"君、名前は?"

 

「わ、私は黒見セリカです。」

 

「小鳥遊ホシノだよ〜。」

 

"あんな集団に、うちの自慢のキョウタロウは負けないよ。なんたってヴァルキューレの猛獣だからね!"

 

「勘弁して下さい....」

 

 

哀愁を漂わせながら窓から1階へ飛び降りる。

 

(キリノに伝わるという最悪のケースは、その状況になってから考えよう。それよりまず、目の前の奴らに集中だ。)

 

「1人残らず、ぶっ潰す!」

 

 

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