ハイリアに転生したらガノンドロフが妹でワロタ   作:へか帝

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このガノンドロフが魔王になった世界線ではずっと目の上のたんこぶだったお兄ちゃんと追いかけ張り合い出し抜こうと頑張りながら成長した反動で、いちいち「他愛ない。まるで手応えもせぬ。所詮、兄者とは比べるべくもないか」とか「この程度の窮地も覆せぬとはな。兄者であれば……いや、よい。時間の無駄であった」とか「兄者であればこの程度の奸計などたやすく看破し、意趣返しの奇策さえ打ち出しただろうが……話にならぬな」とか計画がうまくいっているのにいちいちお兄ちゃんと比べてはその張り合いの無さに嘆息してくるめんどくさいブラコンになります。


旅は道連れ

「ハイラル王国。まだ建国されてまもない国家でありながら、その支配圏を急速に広げるその威光。私としては兄者の意見が気になるのですが、いかがですか?」

 

 旅のさなかのことだ。

 夜半、野宿に適した場所で焚火を囲んでいるときに、ふとガノンドロフがそう口にした。

 文字で聞けば忌憚のない意見を求めているように思えるが、声色からは明らかに『気に喰わなくないですか???』といったオーラが滲み出ている。

 

「わかったわかった、お前が王家やらゾナウ族やらに隔意を抱くのは勝手だが、もうちょっと隠せな?」

「……困りましたね。そのような旨の発言、私はしておりませんよ? うっかりハイラル人に聞かれればいらぬ誤解を招いてしまいます。 いくら兄者といえど、そういった軽率な発言は控えて頂かねば……ねぇ?」

「んなこと言ったって、お前の顔に書いてあるもん。王家が気に喰わないって」

「……」

 

 作りものの薄気味悪い笑みを貼りつけながらも、じろりと俺を見上げるガノンドロフの眼光は突き刺すように鋭い。

 ねえこの子ずっと【ホムラはそんな顔しない】って顔しかしないんだけど。

 なにその内心で憎むような感情を抱く相手に将来寝首をかく為ひとまず媚びて取り入るときに使うみたいな気色悪い笑顔。

 

「いつも言ってるけどお前のその下手くそな作り笑いマジで向いてないからやめろって」

「あら、そうですか? 結構自信はあったのですが……」

 

 あのさ、こういうこと女の子に言っちゃいけないと思うんだけど、こいつの笑顔なんかネバネバしてるんだよ。

 なんかこう、ねっとりとして糸引いてそうな粘着質を感じるんだよね。

 外向きに取り繕ったところで本質がまるで覆い隠せてないんだわ。

 こんなに見た目がホムラに似ているのにそんな悲しいことある? 俺ときどき悲しくなるんだよね。

 

 だってお前のスペックなら本来は慈愛と母性に溢れた温かい笑顔が作れるはずなのに。

 ガノンドロフがやるとどうしてこう、裏面がねばねばしてぐちゅぐちゅ蠢いてそうな薄気味悪い仮面の笑顔になってしまうのか。

  

 いやわかってるよ今言ったそれが結論だってことは。

 結局こいつがホムラじゃなくてガノンドロフなんだってことが最大の要因であることくらい、実の兄の俺が一番わかってる。

 でも俺からしたら、やっぱりこの容姿はホムラだって印象が強いわけ。

 なのに全然表情筋動かないし眉は顰めてるし眉間に皺寄ってるし嫌になっちゃうよ。

 

 あーあやっぱりこの世界ホムラの視力が悪くて目つきが悪がちになってしまったアナザーワールドだったりしない?

 すみませんこの子厄災の卵なんです。

 はーやってらんね。やめない? 魔王とかそういうノリ。

 

「……して、兄者はどのようにお考えなのですか?」 

 

 現実逃避している俺の顔を、ガノンドロフが腰を曲げて下から覗き込むようにして窺ってくる。

 こいつ自分の美貌の使い方を心得ていやがる。マジでどこからこういうの覚えてくるんだろうね。

 実の兄にわざわざこういう真似をしてくるときは、つまり答えるまで逃がさないって合図だ。

 たま~にこの妹、俺の意見を執拗に聞き出そうとするときがあるんだよな。今回もそうみたいだが、イマイチ基準がわかんねえ。

 

 で、ハイラルをどう思うかねえ。

 ハイラルは言わずもがなこの先繁栄することが約束された、ゼルダの伝説における主要な舞台の名前だ。

 現在時点では、まさにその初代ハイラル王家が興って間もない時期。

 もっともいまガノンドロフが言っていた通り、初代王であるラウルは神の末裔を自称するゾナウ族の末裔。

 神を名乗るだけのことはあるようで、ゾナウ族に由来する強大な力を駆使して盤石な統治をしている。

 その評判は、遥か遠くのゲルド砂漠にさえ聞こえる程だった。

 

「ま、このままいけばこの世界を長く治める国になるだろうなぁ」

「……」

「仮にハイラル王家が数万年単位に存続したとしても、不思議には思わんよ」 

「……兄者。私は、彼らがこの世界を統べるに相応しいとは思えません」

 

 それは、怒りの滲んだ声だった。

 明け透けに言って、我が妹キレてます。

 露骨に認めてませんね、ハイラル王家を。

 妹の血の気が多いとお兄ちゃん困っちゃいますよ本当に。

 

「兄者ほど力と叡智に優れた者が支配するのであれば、いやそれでも納得はできかねますが、連中ごときが統べようなど……言語道断です」

「そんなに」

 

 ガノンドロフのハイラル王家への感情もそうだが、自分以外の支配者を認めかけたことのほうがびっくりだい。

 いったいなぜそれほど俺が高く評価されているのか。

 やはり100年に1人のゲルド族のヴォーイという資質が高く買われているのかね。

 俺からすればただの性別だろって感じだが、生粋のゲルド族たるガノンドロフからしてみればゲルド族のヴォーイってのはそんな生優しい肩書ではないか。

 

「聞けば大地を統べる神のように天から降臨したとか。まずはその傲慢さが鼻につきます」

「お前偉そうなやつだいたい嫌いだもんな」

「相応しくないものを相応しくないと断じることの、いったいなにがおかしいでしょう?」

 

 不遜な笑みを交えて語るその姿は、恐れるものがないまさにガノンドロフらしい表情でもあった。

 

「お前は昔から欲しがりだったもんなぁ」

「欲しがりとは異なことを。私のほうが所有者としてふさわしかった。たったそれだけのことでは?」

「ま、お前はそれでいいと思うよ。俺もお前が欲しがったらだいたいのもんはくれてやったしな。俺お兄ちゃんだし」

 

 思い返せばコイツ物心ついた時点で俺の持ってるもん全部欲しがってきたからな。

 北から特別に仕入れたリト族の羽毛でできた極上安眠布団とか一回使った翌日に持っていかれたのもいい思い出だわ。

 あれ裁縫技術まで自分で習得して数年掛かりで作ったやつなのに。枕まで持っていくんだから容赦ねえよな。

 ゲルドの冷風差し込む夜の砂漠でさえぽかぽかLv3が保証されたスーパー寝具だったのにな。

 

 いや、実際は持っていかれたんじゃないんだっけ。

 そうそう、きっかけは幼いガノンドロフ(ロリホムラ)が、可愛らしい見た目にまったく似合わない強欲にギラついた目で俺の布団を睨みつけてたことだ。

 このままじゃ夜中に俺の布団剥ぎ取って持ち逃げされかねない勢いだったから、いっそ俺から先にほしけりゃやるっつって押し付けたんだった。

 でも枕はあげてないんだよな。枕に関してはマジで数日後には盗まれてて、当たり前のようにガノンドロフの寝室に置いてあった。ふざけてやがる。

 

「……まぁ、兄者からさまざまな施しを受けた自覚は、無論ありますが」

 

 そんなガノンドロフがらしくもなく、決まりが悪そうに目を反らす。

 その仕草はもらって当然、奪って当然という彼女に根付いた思想らしからぬ違和感を覚えるリアクションだった。

 そんな彼女の片手が、胸につけた蒼いブローチへ半ば無意識にかざされたことを俺は見逃さなかった。

 

(うぉ、でっか……)

 

 いやブローチがね?

 まさか妹のたわわに実った胸に視線を奪われたわけないじゃないですか。

 冗談はさておき、あのガノンドロフが胸元につけている十字型に加工したサファイアのブローチも、俺があいつにくれてやったものだ。

 これは流石に言い訳の余地がないので白状するが、ホムラとしての姿の完成度を高める俺の趣味が多分に含まれている。

 もっとも、ゼノブレイド2のホムラのコアクリスタルは蒼じゃなくて翠玉色なんだけど。

 でもまあ何度も重ねるが、こいつホムラじゃなくてガノンドロフだしな。

 

 じゃあなんで色合いが似ている夜光石ではなくサファイアのブローチを贈ったかなんだが、ちゃんとこれにも理由がある。

 単純な理由で、ガノンドロフがゲルドの砂漠の日差しをわりかし本気でしんどそうにしていたからだ。

 お前もゲルド族なんだからそういうの生まれつき適応してるもんなんじゃねえのと訝しんだが、原因はおそらく肌が白いせいなんじゃないかと思っている。

 

 だからブローチの宝石にサファイアをチョイスした。

 この世界のサファイアには冷却の魔力が秘められているので、これを身に着けていれば暑さが多少はマシになるって寸法よ。

 

 これは初めからガノンドロフの為に用意した贈り物なので、わざわざ大妖精のもとまで赴いてきちんと強化まで施してもらってるからな。

 ちなみに強化なんだが、交渉の末、料理を振る舞うことで強化材料を特別に立て替えてくれることになった。

 馬の神マーロンが興味示してたし、絶対いけると思ったんだよな。

 おかげ様でそこらのサファイアで作ったって同じ質には絶対にならねえ。

 しっかしあの大妖精、ルピーだけはビタ一文たりとも負けてくれなかった。クソ守銭奴め。

 

 だがその甲斐あってサファイアのブローチは大妖精が限界まで強化してくれてある。

 強度はもちろんのこと、宝石の魔力を限界まで引き出しているとのことだ。

 知らんけどUVカットのバリアとかも出てるんじゃねえの。

 

 ガノンドロフも立派なゲルド族だ、宝石の目利きくらいできる。

 だからこそ俺から贈られたブローチが、上質な祝福の施された比類なき宝飾品であることはわかったのだろう。

 いつも不機嫌そうな渋面をしている鉄面皮のガノンドロフが目を輝かせて、思わず笑みまでこぼしていたのが印象的だった。

 よっぽど気に入ったのか、あれ以来このブローチを外している姿は見たことがない。

 思えば、どれほど欲しがっていたものでも手に入れた途端に興味が失せるガノンドロフには珍しいケースだ。

 

「もっとも……私が一番欲していたものは、未だ手中にはありませんし、兄者から譲られるものでもないのですけれど」

「ん、そうなの?」

「ええ。ですからお構いなく……」

 

 ガノンドロフがぼそりと呟いたのを拾い上げたが、彼女はこの会話を続けるつもりはないらしい。

 まあ多分『この世界』とか『ハイラルの地』とかだろ。わざわざ口にはせんわな。

 

「ふーん。俺も族長の座も手放して何も残ってないしなぁ。ま、お前もいい年だし欲しいもんくらい自力で手に入れられるだろ」

「ええ。元よりそのつもりですから……ふふ」

 

 なにその歪んだ笑顔。

 やめないか? 俺の方を見ながら邪悪な微笑みを零すのは。

 悪寒が走るので控えていただきたい。

 

「まあ、今日はとっとと夕飯食って寝るぞ」

「……ええ、そうしましょう」

 

 せっかくの夕飯をハイラル王家にケチつけながら食うとか俺ふつうに嫌だしな。

 大妖精に献上したのをきっかけに俺も料理に凝り始めたんだ。

 旅をしながらでも野草や果実の収穫には余念がない。岩塩とかもちゃんと持ってきてる。

 りんごやキノコみたいなゲルド砂漠じゃめったに手に張らない食糧がたっぷりだから楽しみだぜ。

 

 本当はチャーハン作りたかったんだがこの辺は草を刈ってもまるで米が手に入らん。

 てかミルクもバターも手に入らないのが辛すぎる。ゲルド砂漠はつらいところよ。

 もっとハイラルの方へ寄らなきゃ行商人もいねえし、仕方がないから今日は肉だ。

 俺もガノンドロフも弓が達者だからケモノ肉には困らねえ。

 

 でもただの串焼きじゃ味気ないよな?

 ということで運良くガンバリミツバチの巣を見つけたので甘露煮を作ることにしました。

 これで過酷な旅に備えて英気を養うってワケ。

 

 ガノンドロフはこれで健啖家だから俺の作ったもんは好き嫌いしないでだいたいなんでも食う。

 丁度この時代のゲルドに俺よりも料理に凝ってるやつがいないのもあって、ゲルドで一番うまい料理を提供できるのは俺だ。

 まあ食材の手配とかで自由が利く立場だったからてのが一番デカいんだけどな。ほとんどのゲルド族はわざわざ食のために旅をしなきゃなんねえ。

 大半のゲルド族女性はヴォーイハント優先だ。まだヴォーイハントが料理上手だと有利に進められるという知識も根付いてないしねえ。

 

 さて、俺はこの強欲の申し子たるガノンドロフという妹にはそれなりに詳しい自負がある。

 その上で言わせてもらうと、コイツは三大欲求の発散には一切の妥協を見せねえ。

 俺から極上の睡眠を約束してくれる高級寝具を枕すら見逃さずぶんどったことなどがその一例だ。

 

 その話がどう繋がるというと、コイツもう俺の手料理しか食わなくなりやがった。

 いまのゲルドに俺以上に几帳面に料理する奴がいない以上、どうしても俺の飯が一番美味くなるわけだが、そのせいで妹の舌が肥えちゃったんだよね。

 しかも代謝がいいのか胸と尻の発育にだけ栄養が吸い込まれているのかすげえいっぱい食うし太る様子はない。

 

 でも普通に俺の分の飯まで食うのはガチで文句言わせろ。自分の分を食い終わったら当たり前みたいに俺が食ってる最中の食器奪って構わず食っちまうからね。マジ突っ込む暇もねえ。

 どうしてこんな傲慢かつ不遜な子に育ってしまったのか。でも今日は大丈夫! それも見越して多目に作った。

 

 ……だが、今日に限ってはそれでも俺の見通しは甘かったらしい。

 

「あの、お腹すいちゃって……ご飯わけてもらえないかしら……?」

 

 そう、予期せぬ客人の到来を想定していなかったのだ。

 お腹をぐうと鳴らしながら申し訳なさそうに焚火の傍まで近寄ってきたそいつは、ちょうどガノンドロフと同じくらいの年頃の女の子だった。

 白い肌と、腰まで伸ばした流麗な金髪。そして長い耳は、まさしくハイリア人の特徴で間違いないだろう。

 特筆すべきは、その美貌。見たことねえくらい美しいし可愛い。

 この顔面偏差値はホムラにそっくりな姿をもつ女ガノンドロフと同等といって差し支えないだろう。

 どっちが可愛いかとなるともう個々人の好みの差でしかないレベル。すごい。

 

 そして決して無視できないのが、そのプロポーション。まだうら若き乙女であろうに、その発育たるやホムラに酷似した肉体を持つガノンドロフにも並ぶほどである。

 

 じゃねえよ! は?

 明らかに見た目がゼノブレイド2のヒカリにそっくりなんですけど!?

 流石に目を疑ったわ。どういうこと?

 

 なんなんこいつ。一般通過天の聖杯かなにかですか?

 とりあえずごはんはあげる。

 

「……! ありがとう!恩に着るわ!」

 

 現れた一般通過天の聖杯に料理を差し出すと、礼を言うや否や俺の渾身の出来栄えだったガンバリ甘露煮肉にかぶり付いた。

 いやはや気持ちのいい食べっぷりよ。ずっと見ていたいね。いっぱい食べる君が好き。

 だって目を反らすと俺のことをすさまじい形相で睨みつけるガノンドロフと目が合ってしまいそうだから。

 

「……兄者。どういうおつもりですか?」

「いや。腹減ってそうだったし」

「かつてゲルドの頭目であった者が、配下ですらない者にいたずらに情けを掛けるなど褒められた行いだとは思いませんが……。それに先ほど、随分とじっくりこの小娘の顔をじろじろと眺めていましたね?」

「いや、それは」

「それに……彼女の首から下の肢体にやたら舐め回すように視線を這い回らせていたこと、私が気づいてないとでも?」

 

 やべ、なんかめっちゃ怒ってるんだけど。なんて言い訳しよう。

 だって見た目がヒカリそっくりだったんだもん……なんて言えないよな。

 

「いけませんね。いくら希少なゲルドのヴォーイとて、無闇に子種を蒔き散らそうというのであれば、ゆくゆくはゲルドを担う者として到底容認できるものではない。聡明な兄者ならおわかり頂けるとは思うのですが?」

 

 ちょっと待って欲しい。よく考えたらなんでそんな怒ってんの? 別によくね、ご飯分けるくらい。

 こんな感情剥き出しにして詰め寄ってくる妹初めて見たかもしれん。

 あとはその感情が怒りでなければもっと良かったのに。

 

「聞くまでも無い事ですが、よもやこの小娘の美貌に絆されたなどとは、まさか申しませんよね……?ねえ、兄者。どうなんですか? 答えられますよね?」

「いや、まあその……」

「兄者……いいですか? 私は必ずや手中に収めようと長年狙っていた宝物が、目の前に現れたぽっと出の見ず知らずの他人に奪われるような愚を犯すつもりはありません。最悪の結末を避けるためならば、手段を選んでいる場合ではない。そうですよね? 当初計画していたような美しい形に帰結できないことは残念ですが……。それに固執して獲物を仕損じる私ではないつもりです」

「お、落ち着け……?」

「──万が一、兄者が『そうだ』と仰るようであれば、ええ。私はいまこの場で実力行使に出ることも吝かではないということです。どうなんですか? あの小娘の顔が好みだったんですか? 私の目を見て答えてください」

 

 実力行使って何? 俺このあと殴られんの?

 やだよ普通に。

 嘘つくのも気まずいし、適当にぼかすか。

 

「あー……昔に夢に出てきた女に似てただけだ」

「…………。そうですか。癪ですが、ひとまずはそれで納得しましょう」

 

 視線で人が射殺せるなら俺もう大変なことになってるけど。なんでそんな睨まれてんの? 何か俺の答えが気に障ったのか?

 ていうか今お前すげえ歯ぎしりしてなかった? ギリィ……ッて聞こえたけど。

 歯は大事にしろってお兄ちゃんお前がちっちゃい頃から教えておいただろ。やめなさい癖になったらどうするの。

 いやそれよりも今は突然現れたはらぺこ一般通過天の聖杯だわ。お前はいったい何な訳?

 

「ふう、ごちそうさま。美味しかったわ」

「お、おう。口にあったんならよかったけど」

「……本来であれば、あなたのような市井の者が口にできるものではありません」

「そうなの? ラッキーだったみたいね」

 

 んなことねえよただの甘露煮なんだから。どうして妹こんなにピリピリしてるのか。

 魔王の片鱗出てね? なんで今?

 この一般通過天の聖杯はまったく効いてねえし。肝据わりすぎだろ。怖くないのか? この妹が。

 俺は怖い。

 

「自己紹介が遅れたわね。私の名前はリンク。ただの旅人よ」

 

 ああ、これはご丁寧にどうも。同じ旅人でしたか、まあ旅は道連れ世は情けとも言いますからね、この程度はお構いなく。

 ……。

 出なかったわ。声が。

 言葉が、口から、うまく出ません。

 

 ……一応聞き間違いかもしれんしもう一回聞いとくか!

 

「あ……っと、すまない、うまく聞き取れなかった。ええっと、名前はチンクルで合ってるか?」

「違うわ。リンクよ。リ・ン・ク」

 

 おお。女神ハイリアよ。あなたはいったい何をお考えなのですか?

 

 てかリンクってこの時代いなくね?

 ハイラル建国からしばらくして、厄災ガノンが封印されて、数万年後に英傑リンクがいるんじゃないの?

 このヒカリの見た目をしたリンクさんは誰? リンクの祖先ってことでよろしいか?

 いやでもリンクって各シリーズことに別人なんだっけ? もうわかんねえや。

 

「───リンク、ですか。嫌にざわつく名前ですね」

「貴女は?」

「……。ガノンドロフ、とだけ名乗らせていただきます」 

「そう。兄者って呼んでたの、聞いていたわよ。安心したわ。貴女とこの人が兄妹みたいで」

「……」

「良かったら、貴方の口からこの人を紹介してくださらないかしら?」

 

 なにこの地獄の空気。電撃が散ってるなんて生易しい空気感じゃねえ。

 マジで魔王と勇者の対峙みたい。いやマジで魔王と勇者との対峙ではあるんだけどさ。

 

 いや知っているよ? リンクとガノンドロフが和解したことが、シリーズでただの一度も無かったことくらい。

 クッパとマリオみたいに共闘したり一緒にゴルフに興じたりできないタイプの宿敵っていうのは知ってる。

 でもわざわざそれをホムラとヒカリの見た目ですること無くない!?

 

 俺嫌なんだけど普通にバチってるホムヒカ見るの。この二人は絶対にずっと仲良しって約束じゃん。

 助けてください、こんなの解釈違いです。

 




女神ハイリア「ホムラがいるならヒカリもいて然るべきやろなぁ。ホムラとヒカリは対になる存在……せや!」

誰しもメツブレイド世界線でメツよりホムヒカが見たいと思ったことがあるはずだ
そして書いているうちに口調がガノンからホムラへと引っ張られていく不思議

じゃあ僕は三大欲求の発散に妥協を見せない女ガノンさんの残り一つの欲求の発散の行方探してくるから……
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