桜と彼岸花の少女   作:暗闇水明

15 / 15
だいぶ遅くなってしまいました、すいません。

今回は第3話の中盤になると思うので、次は第3話は最後になると思います。(多分)

それでは、どうぞ!


Chapter15 Quiet Anger

「コーヒー、いる?」

 

「ああ、貰う」

 

あれから、少し静かな空間が続く。千束は体力試験を受けており俺はクソの木を待っているところではある。そこに知り合いのエリカが来たのでそこで待つことにした。

 

「…ちょっと待っててね」

 

「うん…」

 

 

 

 

やっべぇ!全然、話が出ねぇ。というかなんだこれ、お通夜じゃねぇかよ!実際はいつもはこんな感じじゃねぇんだ。いやね?俺も昔の名残があるんすよ。こう、唯一話が合うリコリスだし何より愚痴を優しく聞いてくれるんだけど…とてもじゃねぇが、話すことができねぇ…

 

いやね、気持ちはわかるよ。俺も、伊達に副隊長やっているし、責任感ってのはさぁ…

 

あぁ~もう!どうすればいいんだ~!!

 

「どうぞ」

 

「あ、ありがと」

 

あ、コーヒーのいい匂いだ。こいつ俺よりコーヒー淹れるのうまいんだよなぁ…何気にミカとおんなじくらいでもある。

 

こいつのコーヒーはコクみたいなもんがあるから、ここに来た時の数少ない楽しみでもあるから…こういうのは堪能しないとな…

 

「ブッっっっフゥあああああああああ!!」

 

「あ、引っかかった」

 

うわ、マジかこいつ。お通夜みたいな雰囲気から一転したぞ。というか、久しぶりだがぁ…マジ最悪だぜ…

 

「ちょっとぉ!?俺はミルク入りが大っ嫌いって言ったでしょ!!」

 

そう、俺はミルク入りコーヒーが嫌いなのである。というかブラックを好んでいて砂糖もNGな人間なんだ。紅茶も基本アールグレイ派であるため、俺からしたら突然異物を入れられたようなもんだ。

 

「カルシウムはしっかりとらないと。そんなんじゃ、大きくなれないよ~」

 

「もう!」

 

こいつ、俺を見て笑っていやがる。いや、マジでこれはやめてくれ。

 

ほかで例えるならから揚げに勝手にレモン汁をかけられた気分なんだぞ…

 

「ああ、もういいや。それより大丈夫?」

 

「え…?」

 

でも、それでもなんとなく心配になってくるんだよな。俺にはお見通しなんだよ。

 

「無理しちゃうと、心にも体にも毒だよ」

 

「やっぱ、わかっちゃうんだ」

 

「当たり前だよ、エリカとは長い付き合いだからさ」

 

こいつ、リコリスの中でマジで女神かというほどやさしいし責任感あるからたきなのことを引きずっているのなんてすぐわかるわ。

 

「たきな…最近どう?」

 

あー、やっぱりねぇ。うん、すげぇ言いずらい。だって最近、無表情からさらにひどくなっているし、なんか何があったのか知らないがやばいことになっているからなぁ…どないしよ、マジで。

 

「うーん、正直なこと言っていい?」

 

「うん…大丈夫」

 

まぁ嘘ついたら失礼に値するわな。

 

「正直いえばいいとは言えないかな。今の彼女は精神に乱れが生じている。何があったのかは知らないが少なくても来た時と違ってなんか焦っていたよ」

 

「…やっぱり、それって」

 

「勘違いしないで、エリカのせいじゃないよ…どちらかといえば、とある任務の後に分かれてさ…その後だったからエリカが関係しているわけではないと思うよ」

 

「でも…」

 

…正直こっちもやばいな。なにせ、自分のせいで左遷されたというならその責任感は重いんだろうし…このままじゃ両方の精神状態がやばいな…となれば…

 

「エリカ…久しぶりにサッカーでもする?」

 

「え・・・・?」

 

「パスの練習かPKくらい…あとはリフティング対決しかできないかもだけ、。室内のグラウンドがあるでしょ?ボールはあるし、気分転換にはいいと思うんだ」

 

「で、でも勝手には」

 

「大丈夫だって許可は取るから、それにうちの母親の教えでもあるからさ」

 

まぁ、今はこれが一番かなぁ…何か困ったことがあればスポーツをして頭をすっきりさせるというのが母親が小さいころからの教えだ。意味がないかもしれないけど…

 

「ほら、行こう。久しぶりに、あそぼうよ」

 

「…うん」

 

やっぱりちょい、きついかな…でも現状俺はこれしかできない…だけど、これが自ら解決できるきっかけになればという淡い願いを持っていたのであった。

 

◇◇◇

 

一発、轟音と共に硝煙のにおいが室内に広がる。マガジンを抜き再び新しいマガジンを銃に入れた。そしてまた一発引き金を引く。

 

(君は誰からも求められなくなる)

 

声が響く…あの声、逃げ出してしまうほどの鋭く冷たい声。また一発、引き金を引く

 

(味方殺し)

 

もう一発

 

(君に夢を見る資格はない)

 

やめろ…

 

(味方殺し)

 

やめろ!

 

(君はDAには戻れない)

 

「・・・・・ッ!」

 

気が付いたら全ての球を打ち尽くしていた。しかも、弾はもう出ず、さらにはスライド自体も開いていて動かないはずなのに何回か引き金を引いていた。

 

「何しているんでしょう…私」

 

さっきの陰口も相まって、私はあの時の声を銃声でかき消していた。それほど効いたのだろうか…銃を持つ手が下がっていた。

 

「うわ~全段命中やばいっすねぇ~」

 

後ろから声が聞こえた。聞きなれない声だ。

 

「うち、乙女さくらっす」

 

なんだ、この女は…

 

「せっかくだし握手、してくださいっす」

 

何だ急に…まぁいいか…そう思った時だった。

 

「命令無視した挙句、味方にぶっ放したって本当っすか~」

 

「…ッ!」

 

思わず、手が引っ込んだ。今一番言葉が聞こえてくるような気がしたから…

 

「おお、こわ…その反応からすると、本当みたいっすねぇ」

 

「違います…」

 

「やっぱり、味方を撃つと燃えるーみたいな」

 

私はそんなつもりじゃ…ただあの時が…

 

「そういえば、SCとつるんでいるんすよね。もしかしてあんた、スパイだったんすか…あー大丈夫っすよ。スパイってかっこいいじゃないですか」

 

「やめてください…」

 

違う、私は…スパイなんかでもなくて…

 

「まぁ、安心してくださいよ。後任のあたしがしっかりやるんで」

 

「え…?」

 

「ああ、聞いてなかったんすか。これからがフキさんの新しいパートナーっす。スパイに任せるわけにはいかないっすからね」

 

そんな…嘘だ…じゃあ、私は…

 

「あんたの席はもうないっすよ」

 

「ちょいちょいそれ以上はやめてくれる?」

 

そこに千束さんがサクラの襟をつかみだした。

 

「え、誰っすか?」

 

「そいつが千束だ」

 

「フキ先輩~それに司令まで」

 

心臓がうるさいほど、鳴り響く。司令だ。ようやく会えた。目の前には私の本部への復帰ができれば…

 

3人が何かを話していたが、それが聞こえないほど私の心臓は響いていた。

 

「司令、私は司令に銃取引の写真を撮りました!これでもまだ復帰は認めてくれませんか?!」

 

私は意を決して、司令に問いただした。

 

「復帰?」

 

瞬間、私に冷や汗が頬につたう。心臓が再び鳴り響く。

 

「私がDAに功績を残せば、復帰できると…ッ!」

 

まさか…あの人が言った言葉は…

 

「そんなこと言った覚えはない」

 

瞬間、私の中にある何かが、壊れようとしていた。あの人の言った言葉が…今、現実になろうとしていた。

 

「そん…な」

 

「あきらめろというのがまだわからないんすか?」

 

「やめろ!!」

 

「殴られた意味が分からなかったのか?だったら口に出してやるよ」

 

やめて…もう、やめて!ここで私の夢を…居場所を、お願い。奪わないで!!

 

「お前はもうDAに必要とされてねぇんだよ」

 

「ぁ・・・・」

 

その瞬間、周りの音が聞こえなくなった…私のすべてが壊れた。

 

「まだわからねぇのか?じゃあ、模擬戦で決着つけようじゃねぇか!」

 

「おーいいね!たきな、やろう!?」

 

「・・・・ッ!」

 

私は千束さんの声をかけたが、私はその声を振り払ってまた逃げ出した…

 

「おい、たきな!?」

 

「たきな!!」

 

◇◇◇

 

「どういうことか、説明してもらおうか」

 

失態だった。まさか、フキの新しいパートナーがかなりうざかったこと。そして、たきなの精神状態がとてつもなくやばかったこと。

 

前から、焦りが戦闘時に見えていたから何かあったと思ってかかわるのは逆効果だと思ってこの時間帯であれば射撃の自主練するやつがあんまりいない時間帯だったから一人にさせといた方が良いかとも思ったがそいつが仇になりやがった。こいつが乱入してくるなんて思ってもいなかった。

 

楠木が射撃場にいるから来いと聞いて、やってきたら…クソッ俺もそっちに行っとけばよかった…ッ!

 

「誰っすか?あんた…DAではなさそうですが」

 

「名乗る必要は感じねぇがな」

 

「こいつは霧島零。噂されているSCの特殊部隊だよ」

 

「へぇ~意外っすね、こんなガキだったなんて」

 

「なんでしゃべりやがるのかな、フキ」

 

「久しいな、零」

 

と、ようやくお出迎えってところか。たく、待たせやがって。

 

「よぉ、クソの木」

 

「私はそんな名前ではないが?」

 

うるせぇ、てめぇは俺を怒らすのに十分なことをした…と言いたいところだったがまぁ今は良い。その前に…

 

「あ~あ~そうですか、まぁいい。てめぇに対する怒りは後で話すとして、まずは…」

 

「なんすか…SCの坊ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっと、さっきの威勢はどうした?」

 

どうやら、彼女は理解できてないらしい。

 

「おかしいな、俺は当たり前のことをしたまでに過ぎないのだが…」

 

そう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀の鞘を壁にぶん投げて、それが突き刺さっているだけなのだが・・・・どうやらリコリスはこれでも驚くらしい。

 

◇◇◇

 

サクラは内心恐怖を抱いていた。なんせ、今現実で起こっていることは人間を軽く超えた力を発揮しているからだ。刃でも難しいというのに、鞘となればはじかれるのが普通であろう。だが、現実は違う。確かに彼女の後ろにある壁を貫いていた。

 

「どうした?この程度、俺たちならたやすいが…よくうちの司令官の侮辱を聞いてたが…それなら、お前らはそれを言える実力ではあるのかな?」

 

「ば…化け」

 

「相変わらずだな…てめぇのバカ力…」

 

「ほぉ~まぁいいや。で?フキ…てめぇ、あいつになんて言った」

 

「…真実を言っただけだ。命令違反するリコリスなんていらねぇからな。それがこの国のためでもある」

 

サクラは内心、驚いていた。フキならばこういう時喧嘩早く、殴りにかかりそうだったが不気味なほど静かだった。恐れている…それだけだったら片づけられるが、彼女の感情は恐怖の感情ではなかった。

 

「へぇ~それを言うほど、昇格したってわけだぁ…ずいぶん偉くなったなぁ、日本の平和を守る戦士さん」

 

「……」

 

「ホント、良いご身分につけたもんだ。それほど、優秀なんでしょうね。

 

フキは何も言い返さなかった。それどころか、目を閉じて甘んじて受け入れているようだった。

 

「ただな…」

 

零は一歩一歩、近づく。と同時にフキの真横まで来ていた。

 

「――――――。」

 

「……ッ!」

 

その瞬間、彼女のこぶしが強く握りしめられた。強く、震えるようにこぶしが握りしめられる。

 

「じゃあ、俺はこれで…楠木、言った通り、俺たちの調査の内容話す。案内しろ」

 

「ずいぶん、偉そうじゃないか」

 

「うるせぇ、さんざん待たされたんだ、さっさと済ませたいんだが」

 

「ああ、その件に関しては同意だ」

 

「だったら、さっさと連れてけ」

 

「分かった」

 

彼は投げた刀の鞘を抜き取り、再び刀を腰に差し込む。

 

「ごめんね、エリカ。すぐ戻るから、休んでいて。付き合ってくれてありがと」

 

「う…うん、大丈夫だよ…むしろ、こっちがありがたいから」

 

瞬間、雰囲気が変わる。少々穏やかになったようだった。

 

「ていうか、エリカ?!なにしてたんすか?」

 

「えっと…サッカー」

 

「相変わらず、仲いいね~」

 

千束もフキもあの二人との関係は慣れているようであった。

 

「あ、あと…その前に、零」

 

「ン…?」

 

「ちょっと正座」

 

 

「ふぇ…?いや、ちょ、急n「せ・い・ざ!」あ、はい」

 

「へ…?」

 

思わず、サクラは声を出す。そこには今まで見たことのないエリカの顔が浮かんでいた。鬼の形相、とでもいうべきなのだろうか。おとなしいエリカからは想像ができないほどであった。

 

「勝手に、壁壊しちゃだめだよ。怒りたい気持ちはわかるけど、危ないし大切な人がけがをしちゃうかもしれないからね、あと、いくら司令がむかつくからって年上の人にクソとかいってはいけません」

 

「うっ・・・・」

 

「地味に楠木さんをDisっている」

 

「絶賛、司令が目の前にいるんだが…」

 

思わず、ツッコんでしまう二人。だが、エリカはかまわず続けていた。

 

「怒るのはわかるし、私もいろいろあるけどあなたも立派な特殊部隊なら少しは感情を自制して。セカンドの私でさえ自制してるんだし…」

 

「はい・・・・ごめんなさい」

 

「分かったならよし。次は気を付けてね」

 

「はい」

 

「司令がむかついても、あんまり本人の前で悪口は言わないようにね」

 

「はい」

 

この時、零とエリカの姿は謎に公園にいるいたずらをした子供を叱る親を彷彿させる雰囲気にまでなっていた。先ほどの覇気はみじんもなく年ごろの子供のような姿だ。

 

「ちょっと、さすがに態度が違いすぎないすっか?!」

 

先ほどとのサクラとフキの反応の違いで正直サクラはイラついていた。たとえ自分たちに非があるとはいえ少し気がかりではあるのだ。ここでのうわさは聞いていて、普段でもリコリスには冷たいと聞いていたがエリカだけはどうしても違っていたのだ。

 

「あいつらはアレで良いんだよ…それに」

 

「…?」

 

だが、フキは動じようともしなかった。それどころか、さっきの侮辱もこの扱いの差も受け入れているようだった。そして…

 

「私たちは、そう扱われた方がむしろ助かる」

 

そうこぼした時には、彼女の顔はうつむいていた。そして、彼女の頭にはあの言葉が響いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで俺たちを助けられなかった、この無能が」

 

 




ちなみにミルク入りコーヒーがダメなのは作者も同じ。

から揚げについても同感でござんす。

ブラックは正義、異論は認める。

※ちなみに零はエリカと話しているときは口調が変わります。

次回、第3話完結。お楽しみに!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。