私は○○○○   作:星のすみっこ

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素敵な感想、ご評価ありがとうございます。


ちょっと不調気味で投稿が遅れてもうしわけないです。


困惑のカルテット

 

(霧…崎?)

 

そう呼ばれた、妖しげな雰囲気の男からスナークは目が離せなかった。

 

 

霧崎と呼ばれるその男はスナークからヴォルクたちへ視線を移すと嘲る。

 

 

「負け犬は群れるのが好きみたいだ。」

 

 

「てめぇ…!」

 

 

ヴォルクは足を庇いながらも立ち上がり、掴みかかろうとするが霧崎はヒラリと回避し突き飛ばす。

 

 

『ヴォルクさん!!』

 

 

「ぐっ…!大丈夫だ!!」

 

 

スナークはヴォルクへ駆け寄る。

 

 

「おいおい。気をつけてくれよ。」

 

 

やれやれと服の埃を払う霧崎に、ホマレは銃を構え睨む。

 

二人の様子から、霧崎と呼ばれるこの男は敵であると判断し、スナークも身構えるが先程までの敵とは違う、得体の知れない強さを感じて飛び出せないでいた。

 

(なんだ…?この人…)

 

「どうした?怖じ気づいたかい?商品くん?」

 

 

霧崎はその様子を嘲笑いながら、かかってこいと言うかのように手招きをする。

 

 

(ショーヒンくん…?誰かと間違えてる?)

 

 

聞きなれない名で呼ばれたことに疑問に思いつつも、スナークは立ち向かうが攻撃を受け流され体勢を崩される。

 

起き上がり再度向かうが弄ぶように何度も転がされ、瓦礫に挟まれた際のダメージもあり、スナークの体はズキズキと痛んだ。

 

 

あきらかな力の差を感じ、スナークはたじろぐ。

 

 

(この人…つよい!!)

 

二人を連れて逃げようかと考えているスナークを見下ろし、霧崎は囁いた。

 

 

「弱いなァ。君。」

 

 

その姿を見上げた時、スナークは胸がざわめくのを感じた。

上手く表せないその感覚に、戸惑いを隠せず身体がこわばる。

 

 

(なんだ‥?この感じ…。)

 

 

「無茶するな!」

 

 

後方からヴォルクが声をあげると、霧崎はスッと下がり、3人を指して告げる。

 

 

「そこ、危ないよ?」

 

 

頭上からゴウゴウと音が聞こえ、見上げると灼熱が空から降ってくる!

 

 

「しまっ…!?」

 

瞬間、ヴォルクの首飾りから眩い光が解き放たれ空へと昇っていく!

あまりの眩しさにスナークはぎゅっと目をつぶった。

 

 そして 一陣の風がふく。

 

(この力は…!?)

 

轟音と風が身体を揺らし、恐る恐る目を開けると辺りはもうもうと煙が立ち込めていた。

 

「…今のは一体。」

 

 

ヴォルクが砕けたペンダントを見つめ呟く中、霧崎は此方を一瞥するとニヤリと笑う。

 

 

「お客様もお見えみたいだ…では、また地獄で。」

 

「待て!!」

 

『待って!』

 

去っていく霧崎を追おうと駆け出すホマレ、同じく駆け出そうとしたスナークは自分の言葉にハッとし立ち止まる。

 

(あれ…?)

 

霧崎とは初対面であり敵で、即ち"危険"である。

ならば、危険が去るのは良いことで、危険を引き留めるのは良くないと旅のなかで学んでおり、そのおかげで今まで生き延びてきた。

自分のことながら矛盾した行動に、スナークはなんだかモヤモヤしてガシガシと首元を搔く。

 

 

悩んでる時間はないとばかりに、地響きと共に風が煙を吹き飛ばしてゆくとその中から現れたのは青色の巨人。

 

(あ!…あれ?トレギアさんじゃないや…。)

 

青い巨人にスナークは目を輝かせるが、トレギアでないと分かり、しょんぼりとすると同時に緊張した。

トレギア以外でウルトラ族を見たのは初めてだったからだ。

 

その青い巨人は怪獣の攻撃を次々と躱し、翻弄していく。

残像すら見えるほどの速さと、素人でも分かるほどの卓越した技にスナークは目を丸くした。

 

 

(すごい…はやい!同じ青くて大きくて銀色のひとなら、ウルトラマンだよね?トレギアさんのことしってるかな?)

 

 

巨人の方に向かおうとすると、戻ってきたホマレにグイッと首根っこを捕まれる。

 

 

「んぐっ!?」

 

 

「お前にも聞きたいことはあるが…とりあえず此処を離れるぞ!ゾリンの狸親父め…!増援をよこしやがった!」

 

 

倒壊した建物を抜け進む3人を、荒々しい足音を立てて怪しげな者達が取り囲む。

その様子にスナークは肩を落とした。

 

(爆弾に怪獣に怖い人…地球って凄いところだなぁ…。)

 

ここまで過酷な環境で暮らしている人間は凄いと感心しつつ、いつでも動けるように身構える。

 

「逃がしては…くれないみたいだな。」

 

ため息交じりにヴォルクがつぶやくと、ホマレは拳を握り構えた。

 

「あぁ。やれるか?」

 

 

「勿論…!」

 

ホマレの問いにヴォルクは口元に笑みを浮かべ、銃を構える。

 

スナークは静かに頷いた。

 

 

====================================

 

寄生ニキことセレブロは走る。

 

途中までは自転車に乗っていたのだが、近づくごとに建物の崩壊が酷くなり、瓦礫でタイヤがパンクする恐れがあるため徒歩に切り替えたのだ。

 

 

(居た!)

 

 

ホマレとヴォルク、そして青い目の青年を見つける。

 

 

(まずは周りの奴等を片付けねぇと…この型の銃なら多少、心得はある!)

 

 

銃を構えると、それに気付いた青年が振り返りセレブロ目掛けて走ってくる。

 

 

「ちょっ!?敵じゃねぇって!」

 

 

両手を上げ、敵意がないことを知らせるが止まる様子はない。

 

 

(だあぁっ!!そうだよな!意味知らないもんな!!)

 

 

振り上げられた拳に、顔をひきつらながらセレブロは叫ぶ。

 

 

「スナーク!待て!!」

 

 

ビタッと止まった拳がセレブロの前髪を揺らす。

 

 

「?」

 

 

目を見開いた青年が首を傾げると、スンスンとセレブロの匂いを嗅ぎ、再びこてんと首を傾げた。

 

 

「っぶねぇ!お前、スナーク…だよな?」

 

 

きょとんとした表情で青年は頷くと脳裏に声が響く。

 

 

『はい!えーと…あなたは?』

 

 

「地球で合流するって言っただろ?」

 

セレブロの言葉にスナークはハッとすると声を上げた。

 

『もしかして…きせいニキさん!?』

 

「おう。」

 

『わあぁ!!やっと会えました!』

 

喜ぶスナークをまじまじと眺め、セレブロが安堵するも束の間、鋭い声が飛ぶ。

 

「そこのお前!動くな!!」

 

敵を片付けたヴォルクとホマレに鋭い眼光を向けられ、 背筋に冷たいものが走る。

 

(こっ…こえぇ…。)

 

「ま、待ってくれ!俺は敵じゃない!な?」

 

これはヤバイとセレブロは両手を上げ、スナークに同意を求めるように見ると、察したのか何度も頷く。

 

(ホマレの方はファントン星人の所で会ったんだが…あ!!ボディ代わってるから初対面になるのか!?)

 

慌てていると、二人は訝しげにしつつも拳と銃を下ろす。セレブロとスナークはホッと息をついた。

 

 

「つまり、そのガキの仲間ってことか?」

 

 

訪ねるヴォルクに頷き、セレブロはスナークを指す。すべてを話すわけにはいかないため、セレブロは簡単な事情だけを話すことにした。

 

 

「あぁ。コイツの人探しに付き合うってことで地球に来たんだ。」

 

 

「人探し?」

 

 

『はい!わたしをうみだしたひとで、うると…い゛っ!?』

 

 

(べらべら喋るな!)

 

 

素直に喋りだしたスナークを黙らせるべく、セレブロは後ろからスナークの尻をつねった。

 

 

「こ、こいつはかなりの辺境育ちで、地球に疎いというか初めてなんだよ!な?一人で大変だったろ?ほら、今にも泣きそうな顔してるし!もう大丈夫だぞ~!よーしよしよし!」

 

 

尻をさすり、涙目で見てくるスナークからセレブロは目をそらし、誤魔化すように声をあげるとわしゃわしゃと頭を撫でる。

 

 

「ワケありか…大変だな。」

 

 

涙目のスナークへ同情的な目を向けるホマレ。

ヴォルクは思い当たる節があったのか、「成る程な…どうりで…。」と頷いた。

 

その様子を見て息をついたセレブロは掲示板の情報を思い出す。

 

(確かこの人、作中では死んでたって言ってたな。傷をこのままにするのも不味いか?俺の医療ツール…ヒューマノイドタイプにも使えるし、念の為渡しておこう。)

 

「あ、よかったらこれ使ってくれ。」

 

セレブロは持っていた医療ツールをホマレに渡すと、二人は察したのか「助かる」と頷く。

 

撫でられて機嫌を直したスナークは、三人の会話や医療ツールが良く分かってないようで首を傾げていた。

 

 

ズシンとまた地響きがする。

 

 

「…っと、もう少し離れた方がいいか?」

 

ふと目線をあげると、そこには闇を纏った青い仮面のウルトラマン。

 

トレギアがフーマと戦っていた。

 

「げっ…!?トレギア!?」

 

その声に、スナークはビクリと肩を震わせる。

 

 

(このタイミングで出てくるのか!?これって作中通りなのか…?あー!こんなことなら前世でタイガも観ておくんだった!!)

 

 

セレブロは焦る気持ちを抑えると、隣にいるスナークへ小声で呼び掛ける。

 

 

「まだ行くなよ?お前も怪我してるみたいだし……エネルギーの残量も…って、おい?!」

 

 

返事が聞こえず振り返ると、そこには凄い勢いで駆け出していくスナークの姿があった。

 

 

「ちょっ!?待て!!…って足速っ!?」

 

 

元が四足歩行に近い生き物だったせいか、足場が不安定であろう瓦礫の上を手を着きながら駆けるスナークの速さに声をあげるセレブロ。

その隣でヴォルクに肩を貸しているホマレが戸惑った声をあげる。

 

「おい!どこいくんだ!」

 

此方の声が聴こえないほど、周りが見えなくなっているスナークの様子にセレブロは頭を抱える。

 

 

「あ…あいつはちょっと不思議な奴で…じゃ!俺はこの辺で!オイカケナイトナー!」

 

 

「お、おい!?」

 

 

慌てて早口で二人に声を掛け、会釈しながらスナークの後を追う。

 

 

(だーっ!アイツちっとは考えて行動しろっての!!変身分のエネルギーもアイテムも無いのは幸運だったか。ふん捕まえて説教だ!)

 

 

前を走るスナークがポケットから何かを取り出すのが見え、瓦礫の向こう側へと消えていく、セレブロは悪い予感がした。

 

(まさか…)

 

バッと視線を交戦中のフーマとトレギアへ移動させる。

フーマの光線がトレギアへと放たれた時、閃光と共にすごく…物凄く見覚えのあるマスクの巨人が飛び出してきた。

 

 

「はは…は。」

 

セレブロは思わず顔を引きつらせ笑った。

 

 

飛び出した巨人、スナーク急いでいた。

 

あの恐ろしい威力の光線がトレギアに向けられていたからだ。

 

反射的に動いたスナークのそれは、戦闘中の二人にとって敵意や殺気を含まない故に、察知しにくく…焦燥感故に十分に加速した暴走ともいえるそれは…

 

 

『ぐっ!?』

 

 

『うわ!?なんだ!?』

 

 

スナークの咆哮と共に渾身のタックルとなりトレギアに直撃した。

 

突然の乱入者に声をあげる二人のウルトラマン。

 

 

そしてセレブロは頭を抱え絶叫した。

 

 

「あんの‥‥!!ど阿呆がぁあああああーーーーっ!!」

 




簡易人物紹介


・寄生ニキ(セレブロ)
スナークの居る世界とは別の世界から来たセレブロ、前世は人間の男性のようだ。
持ってる知識はウルトラマンZくらいで、あとはネットでの断片的な情報しかもってない。
故にウルトラマンタイガの原作知識は少なめ。
転生してから逞しくセレブロライフを送っているので、経験や技術はそれなりにある。セレブロに転生した故か、本人の性質なのか、詰めが甘く、ガバをやらかす。
ちょっとうっかりさん。
ある目的のためスナークの居る世界にやってきた協力者。
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