私は○○○○ 作:星のすみっこ
宇宙を見上げてスナークはとある星で宇宙を見上げながら休息をとっていた。
ドラコとの戦いで負った傷は、まだズキズキと痛むが、それ以上になんだか胸こころがシクシクと痛むのだ。
(怪我がないのになんで痛いんだろう。)
スナークは胸を抑えぼんやり考える。
あの戦いの後、スナークは近くの星で体を休め、宇宙をふらふらと彷徨っていた。
前世での短い一生の全てを、ゴミだらけの星でトレギアと二人で暮らしていたスナークが知っていることなどほとんど無く、外の世界は決して優しくは無い。
死に物狂いで何とかヘタクソなテレパシーを覚え、トレギアの捜索を行ったが、成果は乏しい。
アイツの仲間かと襲われたこともあり、身の危険を感じたスナークはそれから、同名の人がいることも考え、自分の身体を指し"こんな感じの自分に似ているウルトラ族を探しています"とカタコトながらも訪ねるようにした。幸いにも今のスナークはトレギアの面影があるからだ。
(どうしたんだろう。同じ名前の人でもいるのかな。もしかして、掲示板の人が言っていた変わってしまっているってこういう事?いやでも…やっぱり違う人なのかな。)
うーんと悩むスナークだったが、想像がつかない。
(そもそも、ウルトラマンってなんだろう。)
掲示板や出会った者たちの言葉を整理してみる。
(しゅぞくってのは分かるけれど。トレギアさん以外に会ったことないし…。)
彷徨う中で出会った、群れを作る生き物たちを思い出し、スナークはトレギアが沢山いる所を想像した。
沢山の青い巨人達が暮らす様子を思い浮かべ、良いかもしれないと頷く。
(トレギアさんを見つけたら、一緒に同じ群れの所に行ってみたいな。)
また見ぬ場所へ思いを馳せ、ふと自分の姿を見た時に慌てていた人たちが言っていたことが頭をよぎる。
(この間きいた、うちゅーけーびたいってなんだろう?ご飯じゃなさそうだし。ひとのなまえ?なんで初めて会う人に追いかけられたり、逃げられたりするんだろ?)
そう、ウルトラ族は目立つ為、恨みのある者や力を狙う者にとって小柄で未熟なスナークは良い獲物で、追われることもあった。
しかし、死に物狂いで逃げた経験はスナークを逞しくして、道中で見かけた怪獣たちの生きる様子は良い先生になった。
スナークにとって、怪獣も宇宙人もあまり区別がつかなく、何もわからぬ自分より生きることに長けていたからである。
気配の殺し方、足場の悪い陸地の体の動かし方、能力の生かし方、狩りの方法。
外の世界では危険な
怪獣という前世のせいか、スナークにとって宇宙人の動きより、彼らの動きの方が不思議と馴染む。
また、相手が温厚な場合は、元怪獣のスナークにとってコミュニケーションがとりやすく、安全な寝床の見つけ方を教わったり、雨が降ったときは一緒に洞窟で睡眠をとったりと、そうした交流の積み重ねがスナークの孤独のささやかな慰めになっていた。
道中で前世の自分に似た生き物を見た時は、最初は喜んだものだったが、悲しくも今の見た目のスナークでは警戒され馴染めない。
その際に、道中の怪獣の鳴き声やその生き物の鳴き声を真似てあれこれ交流していると、たまにテレパシーで使う際の言語を忘れてしまいそうになり、慌てたりもした。
(次はどこに行こう。掲示板も使えないし、ずっとここにいるわけにもいかない。)
文明、技術、法律、規律。怪獣だったスナークにはどれも馴染みがなくて居心地が悪く、前世を、あのゴミだらけの星を恋しく思った。
しかし、今あの星に帰っても、いつも一緒にいたあの青い巨人はいないのだ。
初めて見た時はワクワクした宇宙も今は冷たい孤独を感じさせるばかりだった。
一人ぼっちは寂しいと しょんぼりと尻尾も下を向く…すると
凄まじい爆発と轟音が大気を揺らした。
『わわっ!?』
びっくりしたスナークは思わずひっくり返る。
慌てて宇宙へと飛び上がると、近くの星で爆発が起こったようだ様だ。
(えっ…一体何が…。前襲ってきた人たちが使ってたバクダンってやつ?)
動揺しているスナークだが、ふと懐かしさのある匂いを感じて顔をあげた。
(なんだろう。この感覚…強い力がぶつかり合ってる。怖いけど少しだけ…。)
近付いていくとそれが戦闘音だということに気付いたスナークは宙を漂う星のかけらに身を潜め、近付いていくと赤と紫のオーラを発する2つの影が見えた。
(誰だろう…?すっごく強そう。)
ゴウッとその2つ影から、恐ろしい勢いで炎のような力が噴き出すと、片方は闇を思わせる紫の炎を、もう片方は真っ赤な輝く炎をそれぞれ身にまとい
ぶつかり合う!
(しまった!)
その攻撃の余波でスナークは吹き飛ばされる。
目が回りそうは程のエネルギーに吹き飛ばされながらも、様子を伺うと真っ赤な炎から何かが再生していくのが見えた。
激しい炎の合間から、赤く照らされた二本の雄々しい角。
そして黄色く輝く双眸がのぞいた時スナークは、かつて掲示板で得た情報を思い出し、そしてただならぬオーラにぞくりとした。
(逃げないと…!)
圧倒的な強者を感じ、スナークの本能がそう叫ぶ。
ぶるぶると震える体を無理矢理動かすとその場からすごい勢いでなりふり構わず逃げ出した。
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「カツ兄!いま、なにか飛んでいかなかった?青っぽいやつ。」
空を見上げ一本の角をもつ青い巨人が、二本角の赤い巨人へ声を掛ける。
「ん?そうか?…あいたたた。ったく、トレギアのやつ‥!」
二人の周囲には様々な姿のウルトラマンがいたが、いずれも胸のカラータイマーは点滅しておりかなり消耗しているのが伺える。
「あ、僕も見たよ。うーん…見えにくかったけどなんか尻尾みたいなのがあったよね。危険な怪獣じゃないといいけれど…。」
そのうちの一人、吊りあがった青い目のウルトラマンが反応すると、近くのO字型のカラータイマーをもつウルトラマンが頷く。
「ああ、そのこともついでに報告しとくか…。タイガ達にも合流しないとだな。」
辺りの地面はえぐれており、幾重もの爆発が起こったことが伺える。
その中で頭部にクリスタルのついたウルトラマンが空を見上げ呟く。
「タイガ達…頑張れよ。」
周囲の皆も賛同するように空を見て頷いた。
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