シャーレ前の駐在さん   作:そば粉うどん

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この速さで次話投稿できたのいつぶりだ…?
マジでヴァルキューレの情報が少ないし警察学校知識もないから落としどころに苦しみながら書いてます
でも楽しいんだよね、書くことって
というわけで第二話どうぞ


駆け足で進め、一年目

「ふぅ~…今日も疲れた…」

 

 自室に帰ってベッドに身体を投げ出す。汗でびしょ濡れの制服を寝転がったまま脱ぎ散らかし、疲労感に身を任せて枕に顔をうずめた。

 

 こちらに転生(おそらく憑依)してから2か月。季節は夏を迎え、炎天下での実技訓練で音を上げる同期を何人か見てきた。俺も必死で食らいついていっているが、やっぱり寮の部屋ではこうなってしまう。流石に地球温暖化が進みまくったあっちよりキヴォトスは暑くないが、今までぬるま湯につかった人生を送っていた俺にとっては少々きつい環境だった。

 

(とはいえ、だいぶ自分の実力は把握できたな…)

 

 流石に2か月もたてば、ある程度自分の実力は把握できた。

 

 まず体術に関してだが、不思議なことに何の苦労もなく自分の意のままにこの体を動かすことができた。あっちの方で見た作品でよくある、『憑依先の体が覚えている』というやつだろうか。流石に目測のズレの矯正やリーチの認識といった認識の相違には少々てこずったものの、肉体や体術の方はそこまで難があるというものではなかった。

 

 では銃に関してはどうだったのか。結論から言おう、俺はキヴォトス人の肉体を舐めていた。

 最初に扱ったのはハンドガンだったが、その程度なら肩や体に反動は確かに来るものの撃ち抜くのに支障は出ない。あっちの方で俺と同じような年代の女の子がGlock17なんて撃ったら肩が外れるだけで済むか怪しいものだ。そういった点に関しては問題なかった。じゃあ何が問題化と言えば、命中精度である。

 

(仮想敵を私兵集団とするなら、まだまだこの程度じゃ満足できないよな…)

 

 撃ってはじめてわかったことだが、俺の射撃の腕は同期と比べてかなり低い。(流石に命中率5割は行くだろう…)と撃つ前は思っていたが、そんな甘い考えは撃ち始めて3分で脆くも崩れ去った。現実を受け入れられず躍起になって、弾倉4つを撃ち尽くしてそれでもターゲットへの命中2発だった時は、この体に申し訳ないが自主退学すら決意しかけるほどだった。というより放心していたところを先輩にかなり厳しく指導してもらわなかったら多分辞めていた。

 現在はそれなりに当たるようになってはいる。実際、こっちに来る前の俺に銃撃経験なんてほとんどなかったのだ、むしろ2か月で割と当たるようになったのは大きな成長と言っていいだろう。あとは、ここから本編開始までにどこまで伸ばせるかにかかっている。実務が始まる2年生までには、少なくともヘルメット団程度なら軽く鎮圧できるようにならなければ。…それはそれとして、

 

(流石に汗でべとついた体が気持ち悪いな…)

 

 時刻は既に夕方、ご飯までは汗濡れで食べたものの、やはりこのまま寝るのは憚られる。とはいえ大浴場に入ったらそのまま溺れそうだ。流石に耐久力がすごいキヴォトス人とはいえ、溺れてしまえばひとたまりもないだろう。

 

(シャワー浴びるか…)

 

 そう思い、俺は疲れでベッドに沈んだ体に鞭うって適当な服に着替えてから、ついでに洗濯物も持って部屋を出る。シャワーブースは夜勤担当の生徒のために24時間開放されているため、この格好でシャワーブースに行くところを見つかったら怒られそうなものだ。だが、幸運なことにたどり着くまでに誰とも会うことはなかった。

 

 ロッカーに来てきた服と替えの下着を入れ、備え付けの洗濯機に汚れ物を放り込んでコインを入れてから洗濯乾燥コースで設定しておいた。あっちには無かったワンプッシュで洗剤投入やコース選択までしてくれる洗濯乾燥機のおかげで、脳死で洗濯物を放りこんでもいいのは感謝(かんしゃあ)である。

 そのままシャワーブースに入るが、誰もいない。これは好都合と一番出入り口に近いシャワーブースに入って、熱いお湯を頭から被った。

 

「はふぅ…」

 

 汗ばんでべとついていた体にシャワーのお湯は気持ちよく、思わず気の抜けた声が漏れ出てきてしまう。別に誰もいないのだから気にすることはないのだが。

 

(…なんだろう、この忙しさがちょっと楽しいな)

 

 シャワーを浴びながら、そんなことを考える。あっちで大学にいたころはやることも無くなんとなくで生きていた自分が、今じゃこうして日々警察学校の座学や実技に精を出している。こういうのもなんだが、あっちよりも充実した生活ではないだろうか。母親に言われた自分の思うがままに生きるというのを、こっちに来てからは実現できている気がする。

 そんな風に考えて、ふと思い浮かんだのはあっちに残された両親と友人の顔。自然と懐かしく、そしてもの哀しい気持ちが胸を渦巻いた。

 こんな気持ちになるのも、2か月ぶりだろうか。

 

(父さん、母さん、友人たち、元気かな…)

 

 なんだかんだ言って、俺もあっちに未練がないわけではなかった。やりたいゲームもあったし、見たいアニメや大好きな配信者の配信も見れていない。大好きな両親に親孝行もできていないし、友人たちともっとバカ騒ぎをやっていたかった。そんな風に思って、こっちに転生して数日はこうやって思い出しては夜な夜な泣いていた。

 それでも、何日か経つと自然とそんな思いに踏ん切りがついて、明日に向けて立ち直れていた。今考えるとなんとも不思議な話だが、きっと自分の心のどこかに今の私はあっちの自分とは違うという思いがあったからだろう。そう、きっとそうなのだ。私の疲れた頭じゃそれ以上の結論は出せそうにない。

 

「…ふぅ」

 

 流れ出るシャワーを止めて、私は一つ深呼吸した。…最近、気持ちや考えを纏めるときには深呼吸をするようになった気がする。なぜかそうするだけで心が安らいで、思考が済んでいくのだ。

 

(今の自分は、(■■■■)じゃなくて(淋レンコ)なんだ)

 

 そう、心の中で何度も反芻する。深呼吸で少し思考がクリアになった私は、シャワーブースを出て洗面台までバスタオル姿のまま歩いていた。ふと、鏡に映る自分が、その眼に意識が向く。鏡越しに映る碧い眼は、まるで今の自分の悩みを全て吸い込んでいくようで…。

 

 ビーーッ!

 

「…はっ!?」

 

 一体どれだけそうしていたのかわからないが、洗濯機の終了音で我に返る。洗面台に変な格好で呆然としていた俺は、我に返って初めて、自分がバスタオルを巻いたままいたことに気が付いた。時計を確認すると、シャワーブースに来てからそれなりの時間が経っていた。幸いまだ消灯には時間がある。

 

「とりあえず、着替えるか…」

 

 俺はとりあえずバスタオルを回収ボックスに入れて着替えることにした。胸に渦巻いていたもの悲しさは、いつの間にやら消えてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 さて、時間は飛んで現在は3月。ここまでの期間、ほとんど目立ったイベントはなかった。警察学校ぐるみでのイベントこそあれど、特に大きな事件や出来事もなく訓練と座学で1年間が終了しようとしていた。結果として銃撃の腕もかなり上がって来ている。自分に合った銃も見つかったので、あと数か月もすればかなり余裕を持って『先生』の赴任を迎えることができるだろう。

 

 では進級の方はどうかと言えば、それなりにいい成績で2年生に上がれそうである。あっちじゃ留年危機が何度もあった自分の成績とは思えないが、結果として進級はできている。何でなのかと考えて1日費やして、深く考えないほうがいいという結論に至った。わからないことはわからないままでもいいんじゃないだろうか、うん。

 

 そんなこんなで現在は春休み…なのだが。俺はというと、

 

 ダァン!

 

『終了。命中7』

「…よし、昨日よりも精度が安定してるな」

 

 毎日寮の部屋と射撃訓練場を往復する日々である。愛銃となったGLOCK26持参で日々命中精度を高めることに日の半分以上を費やしていた。

 …別に、訓練する以外に趣味がないわけじゃない。こちらに来てから休みの日も殆どを訓練に費やしていた結果、春休み初日に寮を出た俺の足は自然と射撃訓練場に向いていただけである。これはよくないと何度か近くを散策しようと思い、カードショップに寄ってストレージに張り付いてみたり、小洒落たカフェに足を踏み入れてちょっとお高めなパフェを食べたりしたが、結局ここに戻ってきてしまう。どうにか癖を直そうとしていたが、

 

(よく考えたら、むしろ模範的な警察学校の訓練生なのでは…?)

 

 そう思ってからは、むしろ積極的にハイスコアを狙いに来ている気もする。…友人がいないわけではない。断じてそんなことはない。最近あまりにも訓練場に来すぎて同期から避けられているとか決してそんなことはない!

 

 ピロリン♪

 

 ほら、現にモモトークには定期的に通知が…。

 

「ん?通知?あれ、今日はみんな用事あるって言ってたのに…。誰からだ?」

 

 俺は突然の通知音に身構えた。呟いたとおり、仲のいい同期は今日はバイトだの補修だので忙しいと言っていたのに、こんな時間に通知が来るのは妙である。頭をよぎるのは、成績不良による追試や補修のお知らせ。あっちでさんざん悩んだそれの影がちらついて、背筋に冷たいものが這い寄るのを感じる。

 

(流石に緊急だったら早く返信しないとまずい…!)

 

 そう思って通知欄を確認した俺は、その意外な送信元に思わず2度見することになる。

 

『公安局長 からメッセージが1件あります』

『至急、公安局のオフィスまで来ていただきたい』

 

 どうやら、俺にとっての大きなイベントはここからのようだ。




ちょっと駆け足気味なのは許してください、レンコは先生が来るまで射撃訓練と鍛錬しかしてなかったので…。ちなみにレンコの友達は数人います。
それと先生が赴任するタイミング、マジで悩んだ結果この小説では先生らしく春赴任とさせていただきます。正直冬じゃないのと思う心もあるけどチュートリアルの描写的に冬っぽくなさそうなので…。
それはそうとここからメインと絡ませながらシャーレに来る生徒との交流書いて先生との絆エピソード書いて…あぁ^~、書きたいものがたくさんあるんじゃ~

誤字脱字ここ本編で言及あったよ報告、どんどんくださいお願いします
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