この素晴らしいエビマルに祝福を! 作:エビマルをすこれ
注意:エクスの過去を捏造しているうえに、ちょっと重いかもです。
あと7月22日22:00からエビマルで案件配信だってさ!!!!
ぐへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ
ベルディアの懸賞金3億エリス。
それを2パーティーで割って1億5000万エリスが手に入るはずだったのだが....
「申し訳ありません..めぐみんさんが破壊した城及びあの丘は この街の領主アルダープ様のものだったようで.....」
幾度となく2人の魔法使いの究極魔法を耐え続けた廃城だが、先に限界が来たのはなんと丘の方だった。
丘が崩れたことにより廃城も瓦解した。
ただ、あの城は永い間使われていなかったため問題ないとされていたのだが、それに待ったをかけたのがアルダープである。
あの城はわしの先祖が買ったものなのだから、あの城の所有権はわしにあると書類付きで抗議されたため、弁償しなければ無くなった。
総額7億エリス。何をどう計算したのかは一切知らされていないが7億エリスもの借金を負うことになった。
ベルディアの懸賞金3億エリスを引いて4億エリス。
それを2パーティーで分けることになり、2億エリスの借金を獲得した。
家のローンも合わせれば3億近くになるマイナスの財産を得た俺と師匠は今....
「師匠ー、そこの本取ってください」
「自分でやれよー」
家でふて寝していた。
「ほんとにどうしますー?」
「どうするってどうするのさー」
「いやアルダープを消そうか考えてて」
「バレないようにやりなよー」
延いては現実逃避をしていた。カズマパーティーは今必死にクエストを探していることだろう。
本来なら俺らもそうするべきなのだろうが、簡単なクエストは受けれないうえに、ベルディア討伐からまだ数日。借金を負ってから1日。
まだ動く気にはなれなかった
「こんな仕打ちあるかよぉー...ぼくら頑張ったじゃん」
「ありますよー...貴族ってやつは大抵クソですからねー..」
「思ったより辛辣だなあ...きもちはわかるけどよぉ」
「ていうかあの廃城が都合よく悪徳領主のものとか有り得なくないですかね。絶対捏造してますって」
「悪い話しか聞かないしねぇ。ここまで評判悪くなるくらい色々やってるのになんで領主でいられるんだろうね」
「はぁー....金が欲しい.....王都まで行ってみます?」
「まあ1回行っちゃえば何度でもいけるしね。ぼくの世界のテレポートは優秀だなあ」
「この世界のテレポートのコスパ悪いですよね」
聞いた話によると、この世界のテレポートはテレポート先に登録出来る数に上限があり、その数も少なく、魔力消費も激しいらしい。
対して師匠のテレポートは登録先の上限がほぼ無いに等しく、魔力消費も軽い完全上位互換である。
「んじゃあ明日にでも王都へ向かうかー....今日はどうする?」
「このままダラダラするのもあれですよね..かと言ってクエストに行く気にはなれませんし....なんかあります?」
「えー...なんかって何さ。なんも無いけど」
「師匠ー、暇なんですよー...パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ..」
「分かった!分かったからそれやめて!」
「最初からその姿勢でいればいいんですよ」
「クソ野郎がよぉ...じゃああれ話してよ。えび先輩の過去の話。何気に1度も聞いてないと思うんだけど」
「えぇ...話すったって、僕の英雄伝説は話すことが多すぎるしなあ..何について話して欲しいですか?」
「んじゃあ前から気になってたんだけど、えび先輩のその強さはなんなの?どんな過去を送ったらその歳でその強さが手に入ったの?」
やけに真剣な目を向けてくるなあ師匠は..そんな気になるかな...
「まあ暇つぶしにはちょうどいいので話しますけど..」
*****
「当時の俺エクスアルビオ...いや、エクスはいわゆるスラムと呼ばれるところで暮らしていました。
いつからそこで暮らしているのかは覚えてなく、物心がついた時にはそういう暮らしをしていましたね。
覚えていたのはエクスという名前だけで、ほかは何も知らず、当然親の顔も覚えてませんし、名前も知りません。
毎日ゴミ箱を漁るか、パンを盗む生活を送っていた中、ある男の人に出会ったんです。
名をクラーク・アルビオと言いました。
名前でわかると思うんですけど、俺の性は彼からもらいました。要するに養子として拾ってもらったんですよ。
なんで俺を拾ったのかとかは聞かないでくださいね、俺も聞いたことがないので知りませんし。
アルビオ家は代々魔法戦士の家系だったので、当然俺も魔法戦士として育てられたんですが、10歳の時の適正検査で魔力が0なことがわかりまして...俺の世界だと魔力っていうのは繰り返し魔法を使えば成長して、前衛職でも自己強化魔法をバンバン自分にかけてバフを詰んで戦うのが一般だったんですよ。
つまり魔力が0っていうのは、戦えないことに等しかったんです。
数年間続けて来た自強化魔法前提の剣技や、魔法の勉強が全て無駄だったとわかって、だいぶ落ち込みましたね」
これが某呪いの漫画とかならフィジカルギフテッドになれたのかなぁ...
「えーと、ここまでが俺の少年期編ですね、何か質問はありますか?」
「えぇ?つまりえび先輩は英雄どころかなんの才能もない子供だったの?」
「そうなりますね。では問題、ここからエクス少年に何が起きたでしょうか!」
「...英雄の力に目覚めるとか..?」
「おぉー、いい線いってますね。正解は...何もです。」
「え?」
「これといった都合のいいイベントは起きませんでしたね。
なのでエクス少年が行ったのはただの努力です。気が遠くなる程の。朝から晩まで剣を振って、時には魔物の討伐に参加してボコボコにされてました。何度も死にかけて、死にかけて、死にかけて、ようやく半殺しまで成長して、また死にかけました。
他にやっていたことといえば、能力値をあげるハーブを主食にしていた時期もあります。まあ、あげるといっても、100あるうちの0.01ずつくらいしか上がんないんですけど、それも味はクソマズです。通称食べる拷問でしたし。なんならほんとに拷問に使われてたらしいですし。栄養価は完璧らしいんですけどね。
この歳まで色々なものを食べましたが、あれがいちばんマズイです。龍角散を10倍濃縮して、お酢を1本入れたような味がします。二度と食べたくありません。
それを食べ続けて、剣を振り続けて、ようやく同年代の実力者と肩を並べることが出来たんですよ。」
「...」
師匠が黙ってしまった。明るく話してるつもりなんですけどね。俺からしてみればまだ笑い話にできるレベルの話なんだけどなあ。
「まあそんな生活を続けるうちに、魔王討伐の勇者パーティーに選ばれまして。勇者じゃないですよ?俺は戦士枠でした。
パーティは勇者と魔法使いと僧侶と俺の4人でした。俺と勇者が男で残りは女性でしたね。
まあ道中の話は割愛しましょうか、またいつか話します。
ここでまたもや問題です。この勇者パーティー、最終的にはどうなったでしょうか?」
「ええっと、普通魔王を倒したんじゃ?」
「まあ正解ですかね。魔王は倒しました。ただ、魔王を倒したのち、勇者は僕が殺しました」
「えぇ!?どうしてそんな..」
「頼まれたんですよ。彼に。まず魔王と戦ったのは俺と勇者だけです。聖職者であるはずの僧侶は魔王軍に寝返って、魔法使いはある朝いなくなってました。装備一式は残っていたのできっと...俺達は旅の道中で人の醜さに触れすぎたんでしょうね。
本当に世界を救うべきか、人間を助ける価値があるのか話し合った回数は、両手だけでは数え切れません。
だから勇者も俺に頼む時に、このままで命をかけて守りたかった者たちを殺してしまう。だから頼むと言われました。だから俺は黙って首を..大丈夫ですか?具合悪そうですけど..」
「いや、そんな重い話は想像してなくてさ、えび先輩は大丈夫だったの?」
「いや、うーん...当時はくるものがありましたね。まだ若かったですし。で、そのまま王国に帰ったんですけど、王様になんて言われたと思います?」
「さすがに、何か労いの言葉を貰ったんじゃ...」
「今現在他国との戦争の準備を進めているから勇者パーティの力を貸してくれと。当時の精神がぶっ壊れてた俺はそれを引き受けて、毎日毎日戦場で戦い続け、最後には英雄と呼ばれていました」
「....」
「大丈夫ですか?師匠」
「大丈夫じゃないけど、続けて」
「まあもうだいたいは話きりましたけどね。この後は貴族達に政治に利用されそうになったり、何もしてないのに国王への反逆を考えたとかで罪に問われたり、ある日を境に魔王よりも恐ろしい化け物と世界の敵認定されたり散々な目に合いました。
マジで世界滅ぼしてやろうと思いましたよ 」
「本当にひどいね....どうやってエビ先輩はそこから立ち直ったのさ」
「立ち直ったというか...人に期待するのをやめたというか...ああでも、転機はあったかもしれないですね」
「転機?」
「レヴィさんとの出会いです。世界の敵認定されてからしばらくフラフラと旅してたんですけど、奴隷商の馬車見つけまして、気まぐれで囚われてた人を解放したんですよ。
その中のひとりがレヴィさんでした。帰る場所もない彼女を仕方なく旅に連れていくことにしてから、俺の精神は回復してきたと思います。
今の俺があるのはレヴィさんのおかげですかねえ」
「そっか」
「だからあんま気にしなくていいですよ?俺からしたらもう終わったことなので」
「わかったよ。でも知れて良かった。エビ先輩の不思議だった部分が少し明確になった気がする」
「そうですか。まあ半分くらい嘘ですけど」
「....はぁ!?」
「ああ、あとちなみになんですけど、消えた魔法使い、この世界にいるかもしれません」
「はああああ!?」
「ダンジョンから持って帰って来た本あるじゃないですか。あれの中の何冊かあいつの筆跡で書かれてたんで」
「待って待ってわけわかんないって!どっからどこまでが嘘なのさ!!」
「信じたいとこだけ信じていいですよ」
師匠はポカンと口を開けたまま固まった。
もしかしたら彼女とまた逢う日が来るのかもしれない。
出来れば、味方として会いたいものである。