この素晴らしいエビマルに祝福を!   作:エビマルをすこれ

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対決!デストロイヤーの巻!

 機動要塞デストロイヤー。

 古の大国ノイズが開発した最後の対魔王軍兵器。

 永遠に燃え続ける伝説の宝珠を動力源としているため今も尚動き続けているそれは、過去から現在まで数多の街を踏み潰してきた。

 デストロイヤーが通った後はアクシズ教徒以外草も残らないと言われていることから、この世界の住人から天災扱いされていることが伺われる。

 

 

「...らしいよ」

 

「アクシズ教の扱い不憫すぎません?」

 

 先程アクセルの街に鳴り響いた、ギルドの緊急放送。

 その中にあった『デストロイヤー警報』という単語。

 キャベツの時のように紫色のじゃがいもが攻めてくるのかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。

 デストロイヤーという単語に覚えがあった師匠が持ってきた、『アクシズ教徒でもわかるこの世界の危険モンスター集』の最後のページに先述の説明文と、蜘蛛型のロボの絵が載っている。

 ちなみに最初のページにはアクシズ教徒が載っていた。

 何故かは不明だがこの本は絶版になっており、著者は行方不明らしい。

 

「とりあえずギルドに行ってみましょうか」

 

「それもそうだね。やばそうだったら逃げよう」

 

 市民が慌ただしく走っていく流れに逆らって、俺と師匠はギルドへ向かった

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

「店主さん来た!!」

「これで何とかなるかもしれん!!」

「勝ったな!!風呂入ってくる!!」

「店主さん昨日の夢ではありがとうございました!!」

 

 ギルドに着くなり何やら大騒ぎになっていた。後最後の男は周りの男性冒険者に肘打ちをされて蹲まっている

 

「カズマ、これはどういう状況ですか?」

 

「おお、エビオ!よく来てくれたな!」

 

 少しテンションの高いカズマに大まかな流れを説明してもらった。

 

 デストロイヤーを倒すために色々な作戦を立てていたこと。

 立てた作戦の多くが、過去の事例やデストロイヤーに張られている強力な対魔法結界を理由にボツになっていたこと。

 そしてどうやらアクアがその結界を破れるかもしれないこと。

 爆裂魔法で消し飛ばせばいいとなったが、さすがに爆裂魔法1発では厳しそうなこと。

 そこに歴戦の冒険者と名高いウィズさんが来たことにより、勝ち確ムードが流れ出したこと。

 

「まあつまりはアクアが結界を破れるかにかかってるわけですね。師匠は結界破れたりしないんですか?」

 

「うーん、ぼくは複雑に絡み合った糸を1本ずつ解いていくみたいな感じでしか結界は解除できないんだよね。猛スピードで迫ってくる相手にはムリ」

 

「使えないっすね」

 

「はぁ!?じゃあてめぇがやってみろよぉ!そんな大口叩いたんだからできるに決まってるよなぁ!?」

 

「無理に決まってるじゃないですか。馬鹿なんですか師匠」

 

 怒りに任せて魔法を唱え出す師匠を、周りの冒険者がまあまあと宥める。普段は成り行きを見守ることしかしない彼らも、この緊急時は止めてくれることを学んだ。

 

「カズマ、うちの師匠も爆裂魔法ほどではありませんが広範囲高火力の魔法を使えますよ」

 

「そうだなー..両足に爆裂魔法撃ち込んで機動力を無くす作戦に落ち着いたんだが、ぶっちゃけ両サイドの火力は足りてるんだよな..めぐみんと一緒に撃ってもらうか?」

 

「何を言っているのですかカズマ!!私とウィズの神聖な爆裂くらべの邪魔をする気ですか!!」

 

「....だそうだ。でも一応破壊できなかった時のために後ろで待機してもらっててもいいか?」

 

「わかりました。師匠にそう伝えてきます」

 

 頼んだぞーとカズマの声を背に受け師匠の元へ向かうと、周りの冒険者に野菜スティックや唐揚げで餌付けされていた。

 

「師匠ずるい!俺にもください!!」

 

「あふぇふはへふぁいらふぉう(あげるわけないだろう)」

 

 食べ物を頬張っているせいでいつもより顔がでかい師匠が勝ち誇った顔でそう告げた。

 腹がたったので無言で師匠の唐揚げに手を伸ばすと、師匠に叩き落される。

 

「....師匠。弟子は師匠を超えていくものって知ってますか?」

 

「ふぁふぁっへほいよふほふぇしぃ(かかってこいよクソでしぃ)」

 

 片や剣を、片や魔導書を構えて睨み合う。

 

「...君らこの非常事態になにやってるの?」

 

 そこへ白髪の大盗賊。クリスがやってきた。

 

「止めないでくださいクリスさん、男には引けない時ってのがあるんですよ」

 

「んぐっ、今からこの馬鹿弟子に灸を据えてやるとこですよ」

 

「それはいいけどさ...もうみんな移動してるよ?」

 

「「えっ?」」

 

 辺りを見回すと、既に誰も残っていなかった。

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 急いで正門前の草原へ向かうと、街の住人と協力して、即席のバリケードが建設されていた。

 そのバリケードの前に、《クリエイター》が協力して様々な魔法陣を書いている

 

「ぼく手伝ってくるよ」

 

「了解です。ただ作戦開始前までには迎撃地点まで戻ってくださいね」

 

 あいよーと大きな声で返事をしながらバリケードへ向かう師匠を見守っていると、隣のクリスが真剣な顔で俺を見つめていた。

 

「...エクス・アルビオさん」

 

「はい」

 

「あなたはデストロイヤーを単騎で制圧する手段を持っていますか?」

 

「...」

 

「最近になってようやくあなたについて調べました。あなたがいた世界について、あなたが英雄と呼ばれていた時代と、その経緯について」

 

「...プライバシーの侵害ですよ?」

 

「それについては謝ります」

 

「....まあ、結論から言えば不可能ではないですね」

 

「ありがとうございます。それが聞けたなら十分です」

 

「...本当に最後の手段ですけどね。前も言いましたが、この世界には師匠もいるので」

 

「わかっています。...わかっているのですが...この作戦がアクア先輩次第って言うのが....」

 

「ですってよアクアさん」

 

「ぶえぇ!?」

 

 先程までの女神ムーブはどこへやら。吹き出しながら周囲を見渡すクリスがそこにいた。

 

「見間違いでした」

 

「本当にやめてよ!!死んだかと思ったじゃん!!」

 

「すみません、まじめな空気に耐えられなくて..」

 

「そこは耐えてよ!!せっかく女神っぽいことやってんだから!!」

 

 そこそこ大きい声で自分のことを女神と主張するクリス。

 これでは俺以外の人にバレていないのか、いささか疑問ではある。

 

「..ちなみにどやってデストロイヤーを倒すのか聞いてもいい?」

 

「ああ、地球破壊爆弾ですけど」

 

「またそれかよ!?もしかしなくてもこの星ごと破壊されるじゃん!!最後の手段だとしても絶対使わないでよ!?」

 

「じゃあ俺にはちょっと厳しいですかね」

 

「もっとこう... ギガスラッシュ的なので倒すのかと...」

 

「無理に決まってるじゃないですか。魔力のない一般英雄ですよ?」

 

「魔力ない一般人にたたき出せる功績じゃなかったと思うんだけどなぁ...」

 

『冒険者の皆さん!もうすぐ機動要塞デストロイヤーが見えてきます!街の住民は直ちに離れてください!!それでは冒険者各位は、戦闘準備をお願いします!』

 

「そろそろ来るみたいなので師匠呼んできますね」

 

「わかったよ」

 

「クリスさんが仕事をしなくて済むように頑張りますよ」

 

「ふふ、それじゃあ期待して待ってますよ?英雄さん」

 

 そう言ってクリスは人混みへ消えた。

 

「師匠〜、そろそろ移動しますよ〜!」

 

「りょうか〜い」

 

 師匠の協力もあり、完成した魔法陣の規模は大きく、アクセルの魔法使い総出で魔力を流せば、巨大なゴーレムを召喚することが可能らしい。万が一爆裂魔法で止まらなかった時の保険だ。

 

 先程の放送もあってか、冒険者たちの雑談はなくなっており、

 耳をすませば、既に遠くから地響きが聞こえて来ていた。

 

 

「何だあれでけぇ....」

 

 誰かがポツリと呟いた。

 地平線の彼方から顔を覗かせたそれは、遠目から見ても重厚感を感じさせ、大地を揺らす轟音は徐々に存在感を増している。

 

「あれがデストロイヤーですか」

 

「でっかぁ..」

 

「負けてないですよ」

 

「何がだ?オイ、言ってみろ?誰の何が負けてないのか言ってみろ」

 

『セイクリッドォォォォォ、ブレイクスペル!!!!』

 

 どこから取りだしたのか、アクアの構えた杖の先から光の玉が射出された。

 光の玉はデストロイヤーの結界にぶつかり、少しの間拮抗した後、結界はガラスが砕けるように破壊された

 

「今だウィズ!めぐみん!!」

 

 カズマの掛け声で同時に詠唱を始める2人、その真ん中の後方にて、師匠が魔法を準備している。

 

『『エクスプロージョン!!!』』

 

 デストロイヤーの両側の足元に、洗練された魔法陣が展開され、一拍を置いて爆炎が立ち上る。

 普段はアクセルの風物詩としてはた迷惑に鳴り響いているそれも、今この瞬間は希望の光となっているだろう。

 

 今だ立ち上る爆炎の中から、デストロイヤーが顔を出す

 

「ダメかっ!?アルス!!」

 

 カズマが焦った顔でこちらへ指示を飛ばすが、師匠は動かない

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

 爆炎から出てきたデストロイヤーの頭は、徐々にその高度を落とし、鈍い音を立てながら地面へと落ち、慣性に身を任せ地面を滑り、何をしていたのか地面へ剣を突き刺し仁王立ちをしていたダクネスのまえで静止した。

 

「.....やったのか?」

「うおおおおやったぞおおおお!!!」

「俺らあのデストロイヤーを倒したんだー!!」

「アクセルに喧嘩をうったからこうなるんじゃー!!」

 

 そこらじゅうから冒険者の歓声が上がる。

 

「おいバカー!!こんな時にそんなお約束みたいなこといっちゃ..」

 

「ねぇカズマさん!!デストロイヤーには30億の賞金がかかってるのよ!倒したのはうちのめぐみんなんだから多めに報酬が渡されるはずよね?喜びなさい冒険者達!!今日はカズマさんの奢りで飲み明かすわよー!!」

 

「このバカ!本当にバカだろお前は!?そんなこと言ったらこの後どうなるかぐらい..」

 

『この機体は機能を停止しました。搭乗員の皆様は直ちに避難してください。現在エネルギーの消費ができなくなっており、爆発します。 繰り返します..』

 

「ほら見たことかー!!!!!!」

 

 アクアの肩を掴み揺らすカズマの絶叫が、再び窮地に陥ったことを知らせていた。




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