この素晴らしいエビマルに祝福を! 作:エビマルをすこれ
これからもよろしくお願いいたします!!
あと二日酔いって浄化魔法で直せたりするんすかね。カズマとか二日酔いなってないし
走りながら、考えていることはひとつだった。
なんで.....なんでっ.....
なんで二日酔いなんだ!!!
いや格好悪すぎだろ!まだ怪我とかならわかるよ!?
先の戦いで大きな怪我を負って治療中とかさ!
鎧も着てねえしよお!寝巻きだぞこれ!?
半袖短パンで爆走とかどこのわんぱく少年だよ!!
そんなアホなことを考えて、気を紛らわせないとマジで倒れそうになる。
てか途中で1回吐いたし。二日酔いで爆走するもんじゃないわマジで。
師匠大丈夫かな...ベルディアボコって呪い解ければいいんだけど....
死にそうになりながら走っているうちに、廃城に到着した。近づいてみて分かったが、中からおびただしい数のモンスターの気配がする。一番奥にはベルディアと思われる凶悪な気配も感じる。
固く閉ざされた城門に、師匠に呪いをかけたことへの怒りと、二日酔いで走らされた怒りを込めて拳を握る
「こん、ばん、エェェェェェェェェックス!!!!」
門は粉々になりながら吹っ飛んでいく。中を見ると、門を開けようとしていたのか数人のアンデッドナイトと目が合う。
『よくぞ参った勇者よ、まさかこんなに早く来るとは思わなかったぞ。あの街にここまで勇気あるものがいたとはな。その勇気を称え扉を開こう。入ってくるが良い』
どこからかベルディアらしき声が響くが、既に門は空いている。
ここに来たことはわかっても、見ることはできていないらしい。本来なら門は勝手に開いたようだ。門を開けようとしていたアンデッドナイト達が気まずそうに目を逸らした。
「...えーと...やりますか」
その一言でアンデッドナイトは剣を抜いた。こちらも剣を抜こうと背中に手を伸ばす。
手は虚空を掴んだ。
.....あれっ?
何度リトライしても手が掴むのは虚空だけだった。
.....やっべ、剣忘れた!!?
まじのわんぱく少年じゃん!?半袖短パンで何しに来たんだよ俺!?
再び気まずそうな雰囲気を醸し出すアンデッドナイト達。そのうちの何体かは、1回帰ったらとボディランゲージで伝えて来る
「うっ、うるせえ!行くぞオラァ!!!」
アンデッドナイトの間合いに入り込み、剣を避けながら拳を振るう。アンデッドナイトの鎧は硬いが、中の体は腐っているためか脆い。フロアを制圧するまでそう時間はかからなかった
アンデット達を殴り飛ばしながら奥へ進んで行くと、変わった部屋に辿り着いた
「レンガを作るへや?こっちはコンクリート的なもの...?」
つまりここは....
「最上位魔法で破壊された箇所を直すための部屋ってことか..」
なんか申し訳なくなってきた。
毎日毎日ここでレンガを作って修復していたらしい。
なんなら道具の中にベルディア専用と書かれたものまである。
魔王軍幹部が直々に修理していたのか.....
見なかったことにしてさらに奥へと進み、1階を制圧した。
アンデッドナイト達はあまり大したことがないようだ。
同じような流れで2階、3階と制圧した。上に進むに連れてアンデッドナイトが大きくなり、装備もごつくなっていったがあまり関係なかった。
ベルディアが居ると思われる部屋の前で待つ。同じ轍は踏まない。きっとまた開けてくれるだろう。
1分待つ。2分、3分......
「こん、ばん、エェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェックス!!!!!!!!!!」
「キャアアアアァァァァァァ!??!?」
勢いをつけて扉を蹴破ると、中から生娘のような叫びが響いてきた。部屋を間違ったかと思ったが、中にいたのは身をかがめ、頭を手に抱えた鎧の大男である。
「な、ななななななんなのだ貴様は!?もっと普通に入ってくることが出来ないのか!?あの街にはおかしなやつしかいないのか!?」
こちらへと指をさしながら抗議してくるベルディア。
だが抗議したいのはこちらだ。せっかく気を利かせて開くのを待っていたのに。いつまでたっても開けないそっちが悪いと思いませんか?
「だいたいなんだその格好は!半袖短パンってふざけてるのか!?虫取りにでも行くつもりか!?」
痛いところをつかないでもらいたい。俺も結構気にしているのだ
「いや、待て、貴様1人か!?つまり貴様が我が城のアンデッドナイト達を殲滅したのか!?どんな化け物だ!?」
化け物。少々懐かしい呼び名ではある。日本へと転移してから呼ばれなくなったのを思い出す。
「そんなことよりも、師匠とダクネスさんにかけた呪いを解いてもらってもいいですか?」
「ふん、俺が来いと行ったのは紅魔の娘だ。貴様など知らん。というか貴様、あの場にいなかっただろう?何をしていた?」
「二日酔いで寝込んでました」
「二日酔い!?よりにもよって二日酔いなのか!?怪我とか、ほかのクエストを受けていたとかでもなく!?」
うるさい。気にしてんだから黙っていて欲しい。
さっさとボコって黙らせないと。
一気にベルディアへ近づき、拳を振るう
「くっ、ここまで来ただけの力はあるようだな。本当に何者だ?まさか貴様が光の正体か?」
ベルディアへ繰り出した拳は、ギリギリのところで剣の腹で受けられ、止められる
そのままもう一度踏み込んで拳を振り抜く
「はあああああぁぁぁぁぁ!?」
叫び声を上げながらベルディアは吹っ飛び、壁へと叩きつけられた
「あ、頭おかしいんじゃないのか貴様!?脳筋にも程があるだろう...って、うおぉぉぉ!?」
近くにあった柱を折り、投擲し、再度接近を試みる
「こんなものっ!!」
ベルディアは剣で柱を打ち返してきたので、拳で粉砕する
「はあ、はあ、貴様本当に人間か?よく考えるとあの数のアンデッドナイトを相手して傷一つもついてないではないか..」
「人間ですよ。俺はそう思ってます」
「どういうことだ?」
「人々の既知から外れた存在は、
「...そうか、変なことを聞いてすまなかったな。我は魔王軍幹部ベルディア!魔王様の名にかけて、貴様を殺す!」
ベルディアの纏うオーラがより一層凶悪なものに変わった。
ここからが本番のようだ
******
魔王軍幹部が越してきた廃城の玉座の間に、2人の男がいた。1人は地に伏せており、1人はボロボロになりながらも倒れた男を見下ろしていた。
「まさか拳ひとつで俺を圧倒したものがいるとはな。誰に話しても信じて貰えないだろうよ。きっと未来永劫貴様のようなものは現れまい」
頭よりも高い位置からかけられるベルディアの言葉は、
こちらを称えるものだった。
途中までは割とボコボコにしていたのだが、ある段階から徹底的に距離を取られ、剣先による攻撃に切り替わったのだ。
腐っても魔王軍幹部、その戦闘技術は生半可なものではない
さすがに剣を忘れたのはまずかったか。
腹につけられた深い傷から、血がどくどくと流れ出る。
これを直すのはさすがに時間がかかりそうだ。
「せめて最後に名前を聞こう。貴様のようなものがいたと、俺の魂に刻んでやる」
「はあ....はあ....パブロ......ディエゴ.......」
「うむうむ」
「ホセ......フランシスコ........デ......パウラ....ホアン.......」
「うむ.....うむ?」
「ネポムセーノ................マリーア............デ.......ロス..........」
「まてまてまてまて!いくらなんでも長すぎるだろう!!?」
「レメディオス........クリスピン.........クリスピアーノ........」
「一旦やめろ!嘘を言うな!そんな名前のやつがいてたまるか!紅魔族でもそんな頭のおかしな名前付けんぞ!?」
「デ......ラ....サンディシマ.....トリニダード.....ルイス.....イ.......ピカソです」
「貴様、時間稼ぎのつもりか?なら諦めろ。その腹につけた傷は致命傷だ。人間に身ではどうにもならん。俺の手下になると言うなら直してやらんでもないがな」
やばい....全然塞がらん.......マジで死ぬかも
『セイクリッド・ハイネスエクソシズム!!』
「ぎぃいやあぁぁぁぁああ!?!?」
命を諦めかけたその時、アクアの声が部屋に響いた
「ってまずいわカズマさん!全然効いてないみたい!」
「いやどう見ても効いてる反応だったろ。ぎいぃやああって言ったぞ今、ぎいぃやああって」
入口の方を見てみると、そこにはカズマとアクア、そして師匠がいた
「ってまずいわ!?ベリーの人が死にそうじゃない!?『ヒール』!!」
アクアから放たれた光は、俺の体にぶつかり、腹に空いた穴を塞いでいった
「この馬鹿弟子があああああ!!!いつも1人で背負い込みやがって!!!ぼくは師匠だぞ!!!たまにはぼくにも頼れ馬鹿!!!」
師匠が泣きながら何かを投げてくる。キャッチしてみると、1本の木の棒だった。
「エクス!!それを使ってベルディアを上に打ち上げろ!外でめぐみんが準備してる!アクアは補助魔法を!!アルスは天井を壊してくれ!」
「任されたわ!『パワード』!!『スピーダー』!!」
『ボンバーダ!!』
アクアの補助魔法で体に力がみなぎり、師匠の魔法で天井に穴が空く。
問題はこの木の棒だ、折れないか心配ではあるが、師匠がくれたのだ。安心して使おう。
未だ悶えるベルディアへ近づくと、ベルディアはこちらへ剣を構えた。
「何度だって切るまでだ!!」
こちらへ向かって剣を振り下ろすベルディア。その剣の側面に木の棒を合わせる。
弾かれたのはベルディアの剣だった。ありえないといった表情を浮かべるベルディアの股の間に棒を通し、上へと切り上げる
「ぎゃあああああぁぁぁあぁぁあ?!!?!?!」
ベルディアは絶叫しながら空へと打ち上げられた。
「エビオ!!こっちだ!!早く!」
師匠を中心に魔法陣が展開されていたため、急いで円に入る
『テレポート!!』
最後に見えたのは、打ち上げられたベルディアに、巨大な赤い魔法陣が重なった瞬間だった。
*****
眩い光がおさまると、いつもの魔法練習場所におり、少し離れたところに倒れためぐみんと、隣に座るダクネスがいた。
冒険者カードを確認して喜んでいるのを見ると、どうやらベルディアを倒すことに成功したようだ。
続けて手に握ったままの木の棒を見る。普通の木の棒だったらベルディアの剣を弾くことはできないし、ベルディアを空高く打ち上げることは出来ない。
おそらく師匠がエンチャントをかけてくれたのだろう
「師匠!なんのエンチャントしてくれたんですか?」
「《耐久》《ノックバック》《アンデッド特攻》だよ」
師匠は呆れた表情でそう告げた
「そんなことよりさ、ぼくに言うことがあるよね」
師匠はお怒りのようだった。さすがにその原因に気づけない程鈍い英雄ではない..しっかりと正座になおり、地面に手をつけ頭を下げ
「二日酔いで師匠を守れずすみませんでした!!もうお酒はやめます!!」
「ちげえよバカタレぇぇええええ!!!!」
魔導書の角で思いっきり殴られた。ちょっと痛い
「ええぇ...違うのか...言うこと....あっ!呪いは大丈夫なんですか!?」
「それもそうだけど!!てかアクアさんが解呪してくれたんだけどさ!!!」
は?解呪できたの?じゃあ無理する必要なかったやん!!
「...本当に分からない?」
「..........すみません」
師匠からベルディア級の圧を感じる。
「ぼくを守ろうとしてくれるのは嬉しいよ。でもさ、ぼくがどんな気持ちで、小さくなってくエビ先輩の背中見てたと思う?たしかに呪いを食らっちゃったマヌケはぼくだけどさ..ぼくがっ、....傷だらけで倒れてるエビ先輩を見た時の気持ちわかる?」
座って、子供を諭すように泣きながら訴える師匠。
俺はまた大きな間違いを犯してしまったようだ。
「心配をおかけして本当にすみませんでした!!」
「ほんとだよばかでしいいぃぃ!!うわあああああああん!」
師匠に飛びかかられ、後ろに倒れる。遠くからニヤニヤして見てくるカズマパーティは無視して、俺の胸で泣く愛おしい師匠を撫で続けた
「それにさ、城でも言ったけど、いつまでも守られてるのは嫌だよ。隣で戦わせろとは言わないけどさ。せめて背中ぐらいは任せてくれない?」
その帰り道、冷静になったのか少し顔を赤くして離れて歩く師匠がそう呟いた
「わかりました師匠。これからは背中を任せます。なんなら前も任せますよ」
「お前も戦えよばかやろぉ」
そう言って師匠は笑ってくれた
*****
なんか2億エリスの借金負ったんですけど。