転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

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とある水曜日の明朝に『よし、書こう』と思い至った作品、はじまりはじまりです

2024/10/12 魔法が使えない事発覚しました辺り描写とか少し追加


Chapter 1 『破天荒はやりたい放題』
1.破天荒は芽吹かせる


 

何故気付いたのか……気付いてしまったのか。

幼子だからこその直感なのか、それとも何かの天啓かその逆なのか。

物心がつき始めてそれなりといった頃合いだったか。

ただただ空虚を感じる毎日が、その頃の俺の変わらない日常だった。

子供ながらその感覚がとにかく嫌で、とにかく怖くて。

ひたすら何かを求め、埋めるために出来る範囲で放浪していた。

まあこの頃の幼子なんて無駄に好奇心が強くてフラフラするのが常だって言ったものだ。

周りは誰もおかしいとは思わなかったらしい。

で、その日も飽きもせず似たような行動範囲でいつものように放浪していた。

変にコソコソするわけでもなく、むしろ堂々と歩いていたからかそうそうお咎めは貰わなかった。

──思えば、それはお咎めを入れる必要もないからだったのかもしれないがね。

ただ、何度も何度も歩いているからこそ表向きの平穏についても本能で理解している。

どうせ今日も何もない、平坦な探索結果に終わるのかと思っていた。

明らかに不自然な気配を感じたのはそんな時だった。

 

「……魔法?」

 

この世界には魔法という概念は存在している。

空虚を埋めるために、ただ知識を得るためにと絵本を読んで何となく存在を知った。

更に母に尋ねて答えを得ることで確実に認知した。

普通の子供ならば憧れを抱くものだろう。

実際絵本ながら綺麗に描かれていたし、普通なら子供ながらの空想を描くことだろう。

俺の空虚を埋めるには至らなかったがな。

そもそも全く興味が湧かなかった。

絵本の内容がつまらなかったのか、魔法そのものに興味が湧かなかったのかは今や知る由もない。

ただ何はともあれ、誰が使っているかは知らないが初めて見る魔法の使用風景だ。

いわば個人的異常事態。何でもいいからこの空っぽな器を満たしたい俺にとっては好機でしかなかった。

上手く物陰に隠れ、視認できる位置取りを確保する。

そして視界を向けたその時だった。

俺の虚無が初めてまともな形で埋まった瞬間は。

 

「──は?」

 

ただ、埋めたものがまともだとは誰も言っていない。

この時の胸の内は今でもよく覚えている。

無意識に湧いてきたそれらは明らかに3つほどの幼子から発していいものなのか。

それは羨望や希望という綺麗な、または『正』にカテゴライズされるようなものではないのだから。

むしろ真逆。言うなれば深淵に潜ませなければならない──『負』。

しかし何故か『しっくり来てるなー』と客観視する自分もいた。

己を形成する根幹が生まれ落ちたのは、初めて魔法を見たとある夜のことだった。

パレッティア王国第二王子──マドラーシュ・リヴェ・パレッティア。

『スペア以上の価値がない王族』はこの時、初めて虚無から脱することが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

快晴の空の下、なんて歌いたくなるようなとある昼間だった。

そんな活気に溢れている陽気もこの地下室には入ることはない。

代わりに満ちているのは、ただただ緊張感のみ。

 

「彫魂石の魔力伝導……よし。疑似精霊起動確認……よし」

 

地下室の主、マドラーシュが右手に持つのは、何の変哲もない普通の片手剣。

対する左手に握られるのは、見事なまでに黒一色な珠。

その純黒っぷりはあまりに行き過ぎて、ある意味では美しさすら醸し出している。

 

「後はイメージ。出力は当然最小限で」

 

彼は描く……この薄暗い部屋を照らす、蠟燭のような灯りを。

魔力を体内から放出する。

先ほど確認した経路……己の身体から珠へ。

そこから更に流れを……1つの回路を形作る。

右手の片手剣の刀身を通じて、その切っ先に。

疑似精霊が受け取ったイメージと魔力は漏れたり消失することはなかった。

 

「イメージ通りの蝋燭レベルの火。位置はきちんと剣先……よし、成功だな」

 

その結果が彼にもたらしたのは、静かな歓喜であった。

使えないものが使えるようになったから……ではない。

ジョーカーにすらなり得る技術が芽吹く瞬間に立ち会えたことが最大の理由である。

しかし、まだ成功例は1つだけだ。

成功に逸る心を一旦落ち着かせ、表情の緩みを即座に正す。

 

「次は少し遊ぶとしよう」

 

再度剣を構えると、今度は机の上にある空のペン立てに向ける。

次に描くのは、空気を小石レベルに圧縮させてから発射するという全体像。

己の肉体から魔力の流れは始まり、同じプロセスを描く。

次の瞬間には、軽い音と共にペン立ては倒れ机から落ちていた。

 

「机は揺れた気配なし、出力調整はよし。ペン立ての真ん中に何かが当たった後がある。周りには痕跡なし。……風も成功。文句なしの二例目だな!」

 

使用の段階は全て成功、と言ってもいい結果になった。

最後にキーとなる珠の鎮静化を図る。

一見意味のないことに見えるが、これも安全項目という点では重要なことだ。

勝って兜の緒を締めよというように、実験の終わりこそきっちり締めるべき。

 

「疑似精霊鎮静確認。術法基本使用ファイナルテスト完了……よし、呼び鈴タイム発動でセラを特殊召喚!」

「既に御傍にいますよ。最終テストの成功、おめでとうございます。これであのクソッタレ共を追い落とす概念を確立できましたね。私も歓喜の舞を踊りたくなりました」

 

実験の成功による深夜テンション状態の頭の悪い行動をしようとするのを止めるのは、セラという名のミルクティーベージュ色の髪の侍女。

子供ながらのなかなかの奇行にも笑みを浮かべてすらいるのは、断じて諦観とか苦笑からではない。

素直に敬愛する主と喜びを共有している、ただそれだけだ。

なお、冗談のように見えて真面目に踊り出しそうなその様子からして彼女もまたその主と似た思考回路の持ち主であることが察せるだろう。

 

「踊るなら流石に外でやろうぜ。……ふう、これでとりあえずは一安心だな。奇天烈王女に続いて奇天烈王子なんて出てきて父上の胃がマジで潰れたら、それこそ居た堪れなくなっちまう」

「あれほど入念な理論を構え、過剰とも言えるほどの段階を踏んだ上での最終テスト。それを行うのが誰でもない我らがマッド様なのですから、事故が起こる可能性なんてそれこそ天文学的数字では?」

「そこまで信用してくれるのは大変嬉しいが、世の中『石橋は叩いて渡る』って言うだろ?今のところは表沙汰にしたくねえ案件だからこそアホな失敗は許されないわけだしな」

「既存の魔法はおろか姉君の研究をも上回りかねない概念ですのに……時代がマッド様に追いついていないのは本当に不幸なことですね」

「時代、ねえ。まあ、俺としても簡単に追いつかれる気はないけどな」

 

主への敬愛が強すぎるが故の大言壮語と捉えられると思うが、これが意外とそうでもなかったりする。

傍から見ただけならば、先ほどマドラーシュが放ったものは俗に言う魔法とは大差ないだろう。

──そこにあるのは、1つの相違点。ただそれだけ。

しかし、そのただ1つの違いこそがこれまでの概念を打ち砕きかねないジョーカーなのだ。

更に言うなら、この時既に表向きでも芽を開きつつある魔学との差別化にも繋がっている。

 

「というわけでお次は善は急げと行こうか。セラ、供を頼めるか?」

「行き先はグランナイツ会館ですね。もちろんお供させて頂きますよ」

 

実験成功の喜び、その勢いのままに次なる目的地へ。

この5年、ひたすら時間をかけた割には小さな成果かもしれない。

しかし、いずれこの概念は閉ざされし世界を葬る豪風と化す。

この未来を知る者は、この時点では当然誰もいないわけだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎士団の訓練所や詰所からそう離れていない位置にグランナイツ会館は存在する。

『グランナイツ』とは、現王妃直属の近衛だった騎士の集まりだ。

かつては唯一の『特別近衛騎士団』として、時には国をも飛び越えた活躍すら見受けられるほどだった。

他の騎士団と一線を画す者たちの始まりは、そもそもが活発に動いている王妃と友人関係にあるデイジーという女騎士である。

彼女とその兄のレオンが実力を買われた上でのスカウトを受け、更に彼らが騎士団内、王国内外問わず精鋭が集まった。

その面々はとにかく出自も種族もバラバラで、傍から見れば王妃のご乱心と思われていたとか。

主にそう思っていたのは言うまでもなく貴族、特に魔法省の所属の者だが。

そのような声も圧倒的実力と実績で黙らせていく様は、誰から見ても圧巻の一言。

更には辺境、国外で発生した強力な魔物をも討伐していくことで国内外どちらでも名声は青天井で、大半の民からの期待を集める存在だった。

が、そんな快進撃も長くは無かった。

とある事情で、6年前には構成員全員が表向きの引退を余儀なくされてしまう。

それでもかつて利用していた会館だけは残っているのは色々な温情が働いてのことだが……それを知る者は、今やほとんどいない。

住人以外寄り付く者は目にすることすら稀なその荘厳な扉を、マドラーシュは何の躊躇もなしに勢いよく開いた。

その勢いは、まさに道場破りが如くだった。

 

「グランナイツの諸君!年貢だ!」

「マッド様、役者の失敗を真似してはいけませんよ。流石に分かる方が少なすぎますので」

 

二重の意味で良い子の皆も真似しないように。

言うまでもないが、この国には年貢なんて言葉はない。

むしろあってたまるか。

 

「ようこそマドラーシュ様。ところで、年貢と言うのはどのような意味で……」

「お、ラインヒルト先生。さっきのは偉志の大陸で見た演劇で覚えた言葉で、思い出して使っただけだから分からなくても何にも支障はないぞ」

「相変わらずの突発的な言動で安心しましたよ。ところで、何か御用があるのでは?」

 

会館に入った二人を出迎えたのは、黒い長髪の端正な顔立ちのエルフ……名はラインヒルトという。

グランナイツで参謀役も兼任していた騎士で、曲者ぞろいの集まりをかろうじて纏めていた集団屈指の苦労人である。

年齢的にはまだ現役でいられるし、その実力は当然まだまだ陰りは見えない。

騎士団顧問が今の立ち位置ではあるが、実質は本領とも言える王国全体を見回すポジションに腰を落ち着けている。

 

「グランナイツ全員に話したいことが2つほどあるんだが……ラインヒルト先生以外いなくね?イグノックス兄さんとかどこ行ったのさ」

「ルドミラ様やカルシオン様はむしろ平常運転としても、こんなにいないのは珍しいですね」

「──申し訳ございません。何とも間が悪いというか……」

 

ラインヒルトは一人一人の状況について把握している限り話した。

やれ遊びがてら魔物退治に行ったり、やれ人手が足りないから魔物退治に行ったり、やれ現在研究室にいたり、そもそも行方が掴めなかったり。

確かに見事なまでの間の悪さであるが、それ以上に一部の面々が自由奔放すぎるだけだ。

彼らと5年も家族のような付き合いをしていたマドラーシュは眉を顰めることもなく納得している。

しかし、今の彼は深夜テンション継続状態。

某配管工で言うなれば星を取って無敵状態でイヤッホー!しているような怖いものなしなノリだ。

要するに、この程度で止まるような精神状態ではなかった。

 

「事情は分かったが時は金なりだ!とりあえずカルシオンとルドミラ姉さんはラインヒルト先生に頼んだ!後は可能な限り時間つけるように俺が言うから!」

「いえ、マドラーシュ様のお手を煩わせるわけには……」

「水臭いぜラインヒルト先生!さあ、マッド様の緊急指令だ!深夜42時だよ、集まれグランナイツ諸君ってな!」

 

もはや何を言っているのだろうかこの第二王子は。

そしてその指令は過労の助長になっていないだろうか。

墓地という名の第二の手札も、除外状態という時には第三の手札足り得る概念は当然無いので杞憂なのは言うまでもないが。

そうでなくては今頃過労死が蔓延していたことだろう。

 

「では、伝書鳩を用意しますね。ルドミラ様の方は私が、ラインヒルト様はカルシオン様の方を」

「……そうしましょう」

 

勢いのままに会館から飛び出した後ろ姿を見るその目は、『まあいつものことか』と完全に慣れている感じだった。

マドラーシュには王族らしさが欠片もなく、本人がそれを纏う気がないのは関わった人間は誰もが知っていること。

逆に言えば一切気取っていないということで、厳格と言われるラインヒルトとしても他にとっても、堅苦しさが皆無な分接しやすいとも言える。

そんな彼が今日は普段の5割増しではしゃいでおり、明らかに何かが違うことはこの短いやり取りでも感じ取れるほどだ。

 

「(一体今度は何をしでかしたのやらか……)」

 

ラインヒルトはそんな第二王子の様子に少々の危惧と多大な期待を抱いていた。

前者もあくまで『面倒な事後処理とか無いだろうか』とある意味いつも通りの不安。

要するに、ラインヒルトの心中はほぼ後者で染まっていると言ってもいい。

その期待も、王族とはいえ8歳の子供に本来向けるような微笑ましいものではない。

これまで教育係としてマドラーシュを導き、その特異な才能と積み重ねた研鑽の成果を知るからこその本物の期待である。

今の王国平均で見たマドラーシュへの評価と、今の王国を取り巻く状況を考えるとかなり珍しいことだ。

この国では最近、『魔学』という既存の魔法概念をひっくり返すようなとんでもない学問を打ち出されている。

マドラーシュの2つ上で現在10歳の姉、『魔法が使えない王女』のアニスフィア・ウィン・パレッティアによって。

魔法至上主義を掲げる貴族では鼻で笑う者も多いが、魔法が使えないとされる平民の評価はすこぶる高い。

それもそうだ、何せ魔法が使えなくても同等の結果を得られる『魔道具』なるものを発明しているのだから。

『奇天烈王女』などと巷では言われているが、グランナイツの中でも『面白い着眼点』と評価は上々だ。

 

『しかし、マドラーシュはそんな姉をも将来的に上回ってしまう可能性があるのではないか』

 

これがグランナイツの最近の共通認識となっている。

彼らとマドラーシュの出会いは、王妃シルフィーヌ・メイズ・パレッティアの手配でによりグランナイツ一同が当時3歳のマドラーシュの教育係となったところまで遡る。

とある事情で特別近衛騎士から外されていた直後だったので、ある意味では渡りに船と言えた。

とはいえ、相手は王位継承権を双子で争わぬよう実質代替品のような扱いを受けている張りぼての第二王子だ。

当初はと言えば、せめてものやれるだけの教育を与えてやろうというくらいの認識だった。

幸い、グランナイツには元学会長やら元傭兵など人員の幅は折り紙つきな顔ぶれが揃っている。

故に教育の幅も広くすることは容易だったが……5歳の時には更なる懸念が生じた。

端的に言うと……彼もまた魔法が使えないという決定的な欠陥を抱えていたのだ。

隣では双子の兄が普通に使えている分、ぱっと見の陰り度合いはそれは凄まじいもので。

普通ならばさぞ絶望するところだが……当の本人の反応はこのようなものだった。

 

『ふーん?──でも魔力があるなら、どうとでも出来るんじゃないの?』

 

まるで知ったことかと言わんばかり、むしろ生意気全開の不敵な笑みを浮かべているほどだったとか。

この時の周りの反応は完全に二極化していたほど。

ちなみに、グランナイツは内に秘めるものの違いはあれど全員が笑みを浮かべていた。

というのも、この頃のマドラーシュの教育は武芸多めであること

王妃の古くからの親友であるデイジーが師として、少しばかり早め……というより、本当に基礎的な部分は最初から仕込んでいたのだ。

とはいえ、そこで圧倒的な才を示した──というわけではなかった。

決して無能ではないが、少し常人よりも覚えが早いという程度の話だった。

……しかし、グランナイツナンバー2の実力の彼女がある日、彼をこのように称する。

 

『確かに才能はかろうじて一流止まり。でも、目につき耳にしたあらゆるもので不足を補い、目の前の壁を意地でも壊す泥臭さと執念は相当なものね』

 

一体誰に似たのやらか……という言葉を最後に、こんな奇抜な評価を受けていた。

とはいえ、世辞ではなく本心にしか見えないのは全会一致であった。

そして時期を経るごとに、その評価は現実となっていった……まさに予言が如く。

勉学、諜報員向けの技術、野外生存術、

吸収能力が図抜けて高いだけでなく、そこから知識や理屈を派生させ枝を次々と作るその様は見たことが無いものだった。

有から更なる有を生み出し己がものとする──まさに、驚異的な咀嚼能力と言えるだろう。

その結果、基本稽古が一段落下後したら国外の凶悪魔物討伐に同伴させたり、鍛錬に連れ出したりとやりたい放題もエスカレート。

他の教練もどんどん本格化し、傍から見ればもはやスパルタという言葉が温く感じられるほどにまでなっていた。

特に実戦訓練として連れ出した先では毎回が乱戦ないし死闘、何個命があっても足りないような苛烈なのは言うまでもなく。

実際、『何でそれで生きている?』という状態に幾度かなっているほど。

そんな生死の境目に常に立ちながらも……マドラーシュはひたすら楽しそうにしていた。

死の淵が見えてもまるで気にもせず、ただただ己の現状における不足を見出すために死地を求め続けていたのだ。

もはや死に場所すら求めているのではという風に見えてしまう程である。

奇異な才能と子供ならではの狂気が合わさった、その強烈な危うさに数名は流石に危機感を覚えた。

そんな相対的にまともな面々が無茶は程々にしろと諭すが、意外にもマドラーシュは耳を傾けてくれていた。

ただし、返って来たのはその年に見事に似合わない持論だった。

 

『生と死の狭間に行くくらいでないと年齢によるあらゆる不利を覆せないし、その経験も得られない。鬼や悪魔にでもなるつもりでないと、グランナイツに追いつくなど到底無理だからな』

 

そこにあるのは、もはや子供らしい英雄への憧憬だけではなかった。

上を見ながらも、きっちりと地に足を着ける……そんな年不相応に分水量を見極めようとしている姿に、一部はより一層関心を示したほどだ。

何故そこまで力を求めるのかという疑問もある。

元々がどこか空虚であったから、その反動でここまで破天荒になってしまっていると無理やり納得させてしまったが……。

そんな教育と言っていいかわからない日々が続き、今度は王妃が主業務としている外交業務の補佐の依頼もあった。

それも交流皆無の完全な不干渉状態な『偉志ノ大陸』への訪問という、すぐに難易度が高いと分かるものだ。

……が、このやりたい放題破天荒はここでもとんでもないことをしでかした。

何せ有力家紋、それも三大家紋と呼ばれる内の『陽ノ花家』と『天ノ川家』とあっさり交流を結んでしまったのだから。

挙句、極めて小規模かつ輸送路の確保次第でこそあるが交易まで取り決めてしまっている。

外交の経験もあるグランナイツを引き連れていることを考慮しても、なかなかとんでもない実績である。

あちらの有力家紋の子息たちともあっさりと友人関係に漕ぎつけてしまい、時間があればまた会いに行くと断言するほど仲良くなっている。

年不相応の戦闘能力に知力面、そして妙な人付き合いの上手さに国外人脈。

王妃のやや過度な愛情から来る手引きがあることを差し引いても、これだけの力と実績を8歳で得ているのだから既に一種の規格外だ。

そんなとんでもない才を魔法が使えないと言うただ一点の致命的な欠点のせいで存在を隠さざるを得ないのだ。

自身たちの現在の境遇に重ねてしまうこともあり、ただただ残念至極といったところな心境である。

何はともあれ、そんな既にやりたい放題の化身とも言える子供がわざわざグランナイツを集めてどのようなとんでもない話を持ち出すのか。

伝書鳩の手配を面倒に感じながらも、ラインヒルトはとにかく興味津々だった。

 





まさかのハードモード鬼門の一角が味方、それも侍女として登場。
こちらのクロエは改名なしなのでセラのままです、まあ教団ないから当然ですが。
そしてこんな面々に囲まれたお陰で『魔法?何それ美味しいの?』なんて育ったオリ主、かんっぜんに原作主人公とは真逆を行ってます。
ラインヒルト壮長はまあ、グランナイツの中では無難な人選ですね。
転天側のキャラの登場は展開の都合少し先です、ごめんなさい。
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