転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

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えーっと、とりあえず1か月も滞ってしまい大変申し訳ありません。
無茶苦茶苦戦したので、正直に言うと結構短めです。
そして、アズレン7周年おめでとう!この場を以てお祝いさせていただきます!


98. 3年ぶりの咆哮合戦

 

その日の『グレンベールの穴蔵』の一角では、見事なまでの修羅場が展開されていた。

とはいうものの、ここは裏通りで知る人ぞ知るような穴場寄りの酒場だ。

そんな非日常ですら日常になるのが基本である……そう、普通ならば。

 

「それで、天下の公爵令嬢様がわざわざこんなところまでどうしたの?もしかして帰り道が分からない迷子だったりとか?それなら呪い人形の1つくらい貸して上げるから、とっととおうちに帰りなさいよね」

「むしろ貴女の方がまだまだ必要な年頃ではないですか?折角のご厚意ですが、私はそのような趣味はございませんので遠慮しておきます」

「ジュンはこのバカお兄様と同い年なんだけど。そんなことも見て分からないなんて、なかなかの精霊中毒者ね?」

 

公爵令嬢と第二王子直下諜報員は、それはもう面と向かったその次の瞬間から火花を散らしていた。

その盛大な口撃は、もはや砲撃の応酬と大差ないほど。

元々口調に棘のあるジュンはまだしも、元々は『完璧令嬢』とすら呼ばれていたユフィリアのその姿に目を丸くする者も少なくは無かった。

なお、マドラーシュはただただ苦笑を浮かべるばかりだが。

 

「……そしてマッド様。貴方は何故このようなところに?」

「安心しろ、今飲んでるのはイグノックス兄さんも大好きなハニーバターミルクさ」

 

ちなみに飲めないのではなく、単にそんな気分ではないから。

変なところで律儀というか真面目なところも先達譲りと言えなくも無いか

無論、今ここでアピールすることではないのだが。

 

「誰もそんなことは聞いてませんが?またそういう風に煙に撒いて……その悪癖、直した方がよろしいかと」

「うわ、感じ悪いったらありゃしない。お兄様、やっぱりコイツとの付き合いは考えた方がいいんじゃないの?」

「……息を吸うように横入りしないで頂けませんか?」

 

割り込んできた人形遣いに対して、お邪魔虫と言わんばかりの視線を隠そうとすらしていなかった。

ユフィリアがこうして明確に悪感情を示すのはかれこれ3度目である。

最初はマドラーシュとの初対面時、2度目はオルタとの怪しい関係から色々盛大な暴走勘違いを引き起こさせられたその時。

傾向としては後者に近しいようが、ぶつけ合いという意味では前者と似た傾向も垣間見えるか。

 

「そもそも、貴女のような得体の知れない者が王族を『お兄様』呼びだなんて……不敬罪でしょっ引いてもらうべきでしょうか」

「それっぽい物言いだけど、要はただの嫉妬でしょ?アンタはいつまでもただのお友達……随分とまあ差があって、悔しいでしょうね」

 

事実を述べながらも、ジュンは絶妙にユフィリアに煽りを加えている。

ユフィリアはあしらわれては下働きであるところを、自分は一発で重用されたことをさも天地の差のように述べる。

何なら、当人同士でしか分からないようなやや拗れた信用関係まであったりもする。

その口ぶりは、全く別世界のファンサービスが口癖な人形遣いの如くである。

 

「……貴女の様な不遜で得体の知れない部外者を友人の傍に置きたくないだけです」

「こっちもお兄様にとって毒にしかなり得ない存在を近づけたくないの。そこだけは気が合うわね?」

「……足手まといになるかもしれないのは分かっていますが、それでも貴女のような泥棒猫にだけは言われたくありませんね」

「自覚してるんだったらとっとと退きなさい、このひよっこ令嬢」

 

このままでは洒落にならない事態になること請け合いである。

口論だけでは収まりがつかないと見るや、ジュンが先んじて『表に出ろや』と挑発してユフィリアも受けて立とうというノリだ。

酒が入っているわけでもない、むしろ正気でこれだから余計にタチが悪い。

店的な意味で万事休すか……と誰もが思ったところだったが

 

「はいはいそれくらいにしておけ。酒場で喧嘩したいってんなら、飲み比べにでもしておきな」

 

ようやく騒動の中心は重い腰を上げた。

殺し合い一歩手前ですらあった空気でも、この男にとってはまるで関係なしである。

明らかに魔力暴走一歩手前のユフィリアを物理的に抑え込む形で、強引に鎮静化へと持っていった。

 

「ちょっとお兄様!元々そいつは足手まといだからって突き放したんじゃないの!?」

「言いたいことは分からんでもないが、煽りの度が過ぎるんだよお前は。毒舌だけで引火引き起こすんじゃねえ」

「ぐっ……それでもあの厄災児よりはマシでしょうが」

「あんまり口答えするなら例のブツを早速「ごめんなさい私が悪かったわだからあれだけは勘弁して!」はい、分かればよろしい」

 

ジュンの方は手慣れた様子できっちりと抑え込んでしまっていた。

その様はやたら噛みつきたがるペットを手玉に取るよう、とでも言うべきか。

すっかり板についているとも取れるそのやり取りを目の当たりにして、ユフィリアの視線は厳しくなるばかりである。

 

「……オルタ、プリシラに引き続いて3人目。それに義妹という破格の扱い……マッド様はどれだけ節操がないのでしょうか」

「ちょいと前に野暮用で助けて、利害関係が一致したから連れ回してるだけだっての……」

「それはそれは面白いと思えるだけの有能さをお持ちなのでしょうね。──何の面白みもないどこぞのひよっこ令嬢とは違って」

「どんだけ根に持ってるんだよお前は!?」

 

わざわざここまで来たからにはと、ユフィリアは火の球ストレートを連打。

天敵をチラつかせるだけであっさりと鎮火出来たジュンとは違い、火種がマドラーシュ自身にあるからこそ抑制はなかなか困難を極める。

そのことが分かっているから、マドラーシュの口もいつもより重たいところが見受けられた。

 

「こちとら一応お前自身の経過についてはラスやナマリエから聞いてる。何だかんだよくやってくれてるとは思ってるっての……」

「……それならば、面と向かって話をする機会があっても良かったのでは?」

「……単に暇がなかっただけだ。俺にもやることがたんまりあるってのは知ってるだろ?」

「どうでしょうね?鬼の居ぬ間に何とやら、という格言もあるくらいですから」

「それを言われてしまったら、もうどこにも返しようがねえんだよな……」

 

拗ねながらもキレッキレのユフィリア、対するマドラーシュはじわじわと追いやられつつある状況。

ちなみにこの状況、アニスフィアが独断でレイニについての調査を行っていたことが露呈した時と奇しくも似ていたりも。

あの時はツッコミを入れる側に回っていたマドラーシュが今度は姉と同じことになるのは、ある意味血筋の証明になってしまっていた。

何なら、奇天烈王女から『何この昼ドラ展開』と言われかねないくらいだ。

 

「全く、そういうところは早めに直しておけって散々忠告したっていうのに……自業自得ってやつよ」

「申し訳ありませんマッド、流石にこればかりは庇いようがありません」

「右に同じく、これはマッドの有罪ってことで決定ね!」

 

マドラーシュが助けを求めるより先に、年長女性陣3名から似たり寄ったりの酷評が飛び交ってしまっていた。

同性だからこその同調、ということを差し引いた上での判決なのはあえて聞くまでもなかった。

ならばと最後の年長者に頼ろうとしても、我関せずと言わんばかりにその場から離れてしまっていて薄情者と文句をつける隙すら無しときている。

そして最後に残った一人である、修羅場の被害者であるはずの人物。

こちらに至っては……あろうことか吹き出すのを必死にこらえていた。

 

「……そこの伯爵子息。笑い堪えてる暇があったら助け船くらい出しやがれ、俺のピンチなんだが」

「ぷ、くく……いやいや、噂に聞く夫婦漫才を妨害するなんて逆に野暮ったいでしょうが」

「案の定、暴走教唆犯はお前だったというわけか。他人事だと思って楽しそうにしやがって、」

 

実のところ、マドラーシュとしては最初から疑いの目は向けていたのだ。

冒頭のジュンとユフィリアの一触即発、そして自身に向けられた恨み節でそれどころではなくなったのが実情。

その辺りを計算した上でけしかけたのだったら、これほど単純な隠れ藪もそう無いだろう。

同志ではあるものの、マドラーシュとしてはあまり得意としない人種……それがこのミゲルという人物だった。

 

「そもそも、何でそこまでしてユフィリア様を拒むんだ?些か頑なが過ぎると思うんだが……」

「そしていきなり真面目になるな、やりづらいだろうが」

「いやいや、こればかりは流石に真顔にもなりますって。公爵令嬢をひよっこ扱いとか、前代未聞だろうがよ」

「ユフィのこれまでの来歴を考慮すれば、特段おかしなことでもないだろ?その辺は当人も流石に理解しているだろうし」

「……ええ、まあ。相も変わらずの上から目線な口調が癪に障りますけれどもね」

 

その正当性についてはユフィリアも理解し納得もしている。

それこそラスやカルトからもそれなりに言い聞かされてきたことでもあるのだから。

ついでに、キュイという問題児に振り回されていることも結果的にはその矯正に一役買っているおまけつき。

これらは全てマドラーシュの狙い通りでもあり、実際ユフィリアはそのように向き直った。

先ほどマドラーシュが『よくやっている』と称していたのは、その辺りまで聞き及んでいたからこそだ。

 

「あちこちから聞いて知ってはいたが……これまた随分な不器用且つ苛烈っぷりなものだな、マドラーシュ殿下?」

「貴族のようなお付き合いなんざやってられるかっての。それで離れるって言うなら所詮はその程度、その方が互いの為さ」

「全くアンタってやつは……奇天烈言われてる姉君以上にぶっ飛んでるな?」

 

マドラーシュの持論は、まさに来る者拒まず去る者追わずといったところだ。

傲慢とまではいかずとも、傍若無人……そこを重々分かっているからこそ、無理強いは決してしない。

そこから生じる辛辣且つ傲慢臭い物言いへの小言やら文句も自覚があるからこそ受け流してしまう。

 

「ユフィリア様も大したものというか、よく食らいつけるものだよなあ」

「そんなマッド様だからこそ、私はここまで外れることが出来たので……まあ、感謝はなくもないというか」

「まあ、こんな男の背を追っかけてれば否でもそうなるでしょうな……これぞまさしく、人魔問わずのたらしこみってところか」

「……だからこそ、もう少しこちらを向いてほしいというか顧みて欲しいところなのですけれども」

 

再度、現場の雲行きは怪しくなってきている。

兆候を嗅ぎ取るや否や、ミゲルはそそくさと傍聴側に蜻蛉帰りしていった。

口火は既に切られているので、当の二人はそんな薄情行為には目も向けていないが。

 

「……これでも俺としては、結構妥協している方だが?」

「どこがですか。この2週間、一切顔を合わせようともしていなかったのはマッド様の方ですよね?」

「一周回ってそこに行き着くってわけかい……面倒くさいひよっこ令嬢だなおい」

「誰のせいでこうなったとお思いなのでしょうか。これもまた貴方の掌の上では?」

 

この瞬間、何かのゴングが鳴ったような──そんな幻聴がその場に響いたような気がしてきた。

言葉通り面倒くさそうな様子のマドラーシュに対して、再度ユフィリアの目が据わってきたことからも分かるところ。

それ即ち、ミゲルの言うところの夫婦漫才──ないし痴話喧嘩の始まりである。

 

「こうもフラフラと逃げられてばかり、誰でも追いかけたくなるもの──そちらにも覚えはあるはずです、主にグランナイツ関係で」

「確かにあの人たちには今でも憧れてるが、お前みたいに考えなしで突貫なんてことはしなかったぞこのイノシシ令嬢め」

「それはきっちり門戸を開いていたからこそではないかと。──レイニやセリアードに対しては合間に顔を出して、課題を与えたそうじゃないですか」

「あの二人は素直で成長著しいからな、先達としてついつい目を掛けたくなるしまだまだやらせたいことがいくらでもあるんだっての」

「ええ、確かにその通りですが──それは私に対する逆張りをする理由にはなりません」

「だーかーら、お前の場合でもちゃんと経過は見守ってたって言っただろうが。イノシシどころか鳥頭属性まで獲得か?」

 

弟子同士の扱いの差については、早い話が状況も加味されているということ。

レイニとセリアードはズブの素人からのスタートで、未だ上昇過程にある……だからこそ課題をひっきりなしに与える。

対するユフィリアは、どちらかというと矯正に当たるので易々と口出しはしない。

合理性という意味では、マドラーシュはそこまで間違ってはいない。

……が、それも相手にきっちり伝わっていることが前提であることもお忘れなくということで。

 

「そんな分かりづらいことばかりするから、私だって色々見誤ってしまうのですよ!挙句その間にこんな泥棒猫と遊んでばかりだなんて……陛下と王妃様が聞いたらどのような顔をなさるか、考えないのですか!」

「遊びじゃねえ、火急の仕事だ!それにお二方は昔からのことだからずっと把握してくれてるっての!」

「だからと言って、秘密主義のやりたい放題をするバカがどこにいるのですか!隠される方の身にもなってください、この分からず屋やりたい放題バカマッド様!」

「俺だって好きに隠してるわけじゃねえっての!もはや分からず屋はどっちだって話だろうが!」

 

これで貴族と王族の言い争いに見える者は一体どれほどいるのだろうか。

互いに完全に年相応になってしまい、しかも泥沼を形成しかけてすらいる。

要するに、ただの15歳の言い争い……これぞまさに痴話喧嘩と言えるか。

そんなやり取りを見たお姉さま方の反応は、もはや言うまでもない。

 

「あーあ、意地の張り合いに入っちゃった。これじゃあ当分終わりそうにないわね……」

「昔のイグノックスとクリスティーナを見ているかのようですね……なるほど、デイジーはいつもこんな心境だったのですね」

「お互いどっちもどっちなのよねえ……そこが微笑ましくもあるんだけど!」

 

呆れもほどほどに、完全に見守り隊モードと化していた。

特にアポロンとニケにとっては、似たようなやり取りをする『青き炎』と『白銀の聖女』をそこそこに見てきたからこそ猶のことである。

そして、男性傍聴人2名については苦笑と爆笑の混合状態という有様だ。

 

「あっはっはっは、あれでようやく本領発揮というわけか!王族だ貴族だなんて概念が吹っ飛んだ、本当に見事なまでの痴話喧嘩だ!」

「まあ、魔法だ顕魂術が飛び交わねえのが救いだが……ったく、野次馬が集まっても俺は知らねえからな?」

「こちとらむしろ、この仲睦まじい様子が民に伝わって欲しいくらいさ。そっちの方が後々面白い……ところで、早速なんか騒がしくなってないか?」

 

ふと周囲を見回すと、確かに別のテーブルからはざわめきが聞こえてくる。

早速第二王子と公爵令嬢の、立場なんてあったものじゃない口喧嘩に戸惑いを見せている……というわけでもない。

それならばこちらに視線が向くが、まるでそれが無い。

傍聴人は一斉に聴覚を夫婦喧嘩から外すと、新たに聞こえてきたのは……別ベクトルの喧騒であった。

 

「やべえぞ、魔狼らしき集団がどこからか湧いては王都に向かってきてるらしいぞ!」

「東部で見かけるようなトカゲ頭も混じっているらしいぞ!まさか、スタンピードか!?」

「防衛戦線の展開間に合うのか!?『無慈悲』(マーシレス)は冒険者の方は事実上引退だって話だから……マローダーの方か!?」

「そんなの待ってられるか!ええい、少しでも手が空いてるのをかき集めるしか……」

 

それはなかなかに唐突な一大事である、5人は揃って納得していた。

ならばと同じように焦るのかというと、決してそういうわけではない。

──何せ、その事実上引退とすら言われている存在がここにいるのだから。

 

「おかしいわね……アンタ、引退宣言なんてしてたっけ?」

「『無慈悲な主演』イコール第二王子が広まったからだろうな。ったく、隠居するくらいなら妖魔王に挑んでくたばる方がマシだっての」

 

確かに王族の血を継ぐ者として、外部勢力やら暗部との戦いに身を置くことは公表した。

しかし、それは冒険者としての己から退くこととはまるで異なる。

マドラーシュにとっては、正直どちらも大差がないのだからそれも必然と言えた。

 

「それに、どこからか湧いてきただなんて楽しそうな話を聞いたら……なあ?」

「ココたちの反応からしても、きっとそういうことでしょうね。食後の運動にはまさしくもってこいってところかしらね」

「よろしい。残業ってことも踏まえて今回は出来高も追加してやろう。お前の場合、新たな人形とかか?」

「ま、それは蹂躙しながら適当に考えておくわ。財布の覚悟をしておきなさい?」

「そうならないように俺の方がより暴れ散らかせばいいってことだな!」

 

緊張が走る空気の中、この義兄妹だけは軽口を絶やさず獰猛な笑みも忘れずにという有様だ。

そこからすんなりと臨戦態勢に入る様は、どこかトチ狂った強者ならではか。

デッドロック染みた面倒な問答から抜け出せることも相まって、相当興に乗っているご様子でもある。

歓喜に溢れる様とは裏腹に、精密且つ静謐な気配を呼応させるがままに……阿吽の呼吸などいらんと言わんばかりにそそくさと現場へと直行。

そこで救世主と言わんばかりに名乗り出ず、忙しなさと喧騒の中に紛れ込むのはもはや職業病とすら言えるだろう。

そんな二人の変わり身は鮮やかそのものだが、その隣では見事なまでに一歩出遅れる者も。

 

「……って、ちょっとマッド様!?まだ話は終わって……ああもう、何でそこまで面倒事に首を突っ込むのですか!」

 

破天荒専用コンパスと化し、更に攻めっ気が出てもこんな事態にすぐさまというわけには行かない模様。

とはいえ、ユフィリアとてこのまま指を咥えて見ているつもりは毛頭ない。

ここまで来たらもはやヤケクソ、そうでなければせっかく補足した大馬鹿者を逃がすことなどあってはならない。

新たに対抗心を芽生えさせながら、イノシシと称されつつある公爵令嬢も続いて戦場へと駆け出して行った。

 

「……クリスティーナに後継者として指名されたのは伊達ではないようですね」

「人混みを掻き分けてはきっちりついて行っちゃってるわね~……私たちはどうしよっか?」

「元はと言えばあの子がもたらした火種ですが……あのジュンという娘の発言から、あの存在が絡んでいる可能性が高いはず。念には念を入れておくべきでしょう」

「大精霊モドキを潰したあの子の今の力の一端も見たいし、そうしましょっか!」

 

半分野次馬、もう半分は念を入れての臨時戦力として。

どちらが本音か極めて怪しい古き姉貴分の二人も後を追っていく。

その他大勢の冒険者やら騎士たちの与り知らぬところで、臨時スタンピード防衛線は勝手に強度を増すばかりであった。

 

「……この辺もお前の狙い通りってか?」

「流石にスタンピードまでは想定していませんが……まあ、上振れは歓迎です。あの二人にとって思わぬ効果をもたらすことを期待しましょう」

「あ、やっぱり裏ではそういう話が進んでるのね?もしかして、国王陛下辺りのお墨付きもあったりとか……」

「ほぼ王家と公爵家公認と言っても過言ではない、というところまで。この国の今後も考えれば、我々としても願わくばですが……まあ、自然とそうなりそうですけどね」

「やれやれ、知らん内に面倒な外堀ばかり出来上がってるな……自業自得ってことで俺は知らん顔しておいてやるよ」

 

想定外の事態であるのは傍観側から見ても同じこと。

大半の者にとっては非常事態でも、この面々にとっては愉悦のスパイスにすらなってしまう。

時代を切り裂く新風の周囲にいると、必然的にそんな趣向に陥ってしまうもので。

そんな現状を露知らずなのは、どこぞの猫と鼠の大立ち回りな追走檄を描くあの二人だけであった。

 

 





色々と今後の展開で苦労しまくった結果、ある意味いつもの痴話喧嘩で落ち着いてしまった。
特にユフィリア側をどうやって書き上げるかで四苦八苦していました。

Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)

  • 転天キャラでのNLとか他絡みを所望
  • グランサガの二次がレアすぎて
  • バトルハードモードに釣られた
  • ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
  • その他(そもそもの作風とか)
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