転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

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えー、何となく10/10に上げたかったので合わせた……というわけではなく、色々書いてたら結構大事な回だった感があって時間をかけてしまいました。
なお、今度は長くなり過ぎて分割したので戦闘シーンは次話ということで



99. 鬱屈通り越して報復覚醒

 

その報せが聞こえてきた時には、それはもうイヤな予感がピリピリと駆け巡ってしまった。

アニス様やキュイという問題児のお陰とも言うべきでしょうか……大変皮肉なことですけど。

奇天烈だ奇行まみれだと言われたあの方と似たようなものならば、いい加減慣れたものだろうって?

……そうやって割り切らせてくれるほど、あの人は甘くないのですよ。

 

「オラオラジュン、微妙にペース遅れてるぞ!」

「そこまで急がなくったってパーティーは逃げないわよ!」

「ここまで何も障害物がねえんだ、最高のスピードトラップ挑戦日和だろうが!」

「ったく、そういうところはガキんちょよねアンタ!まあ知ってたけど!」

 

おかしいですね、目の前の二人は空中に足を付けているだけのことのはず。

それなのに飛行魔法よりも速いだなんて、どんなトチ狂った光景なのでしょうか。

いくら的確な魔力の配分と制御により爆発的な加速を発生させているとはいえ、流石に意味が分からないのですが。

お陰で私は、ただただ追尾しているだけなのに魔力消耗がそれなりに粗い。

……セリアードとナマリエから骨格を教わった空中足場設置(エアハイク)も併用しているお陰で、これでも効率は上げているはずなのに。

ちょっと背中が見えたかと思ったら再度突き放される、何ともまあ惨い現実と言える。

 

(……まあ、もはや幾度も衝撃を貰ったせいで慣れてしまったのですけども)

 

これもまた、ラス達との2週間がもたらした一つの成果とも言えるか。

『近衛騎士』という役割の枠に収まらず、それこそ各々がかなり好き勝手に動いている──そんな彼らもまた私にとっては立派な異端なのは言うまでも無い。

目前にいるバカ(マッド様)が集めたのだから、ある意味では当然なのでしょうけれども。

特にラス、カルト、キュイについてはなかなかに顕著でした。

この3人は、単にマッド様に率いられるどころか彼に追いつき追い越してやろうという魂胆をまるで隠さずだ。

残りの面々……ウィン、セリアード、ナマリエについても静謐ながらも同じである。

好き勝手に狂おしく先頭を行く主君を、止めるのではなく追走ないし並走する……かつての私ならばさぞ顔をしかめたことだろう。

 

「まあ、今はむしろ色々と堪忍袋の緒が切れそうなのですが……」

「いやいや、勝手についてきておいてそれはどうなんだ?こちとらてっきり、騎士や冒険者と合流してるのかと思ったんだがね……」

「こっちはアンタにはまだ早いわよひよっこ令嬢。とっととバカラス達のところでぬるま湯にでも浸かってなさいよね」

 

……ようやく認識され、前方から声を掛けられるがここでも一切の情け容赦なしと来たものだ。

どの二つ名にも『無慈悲』という言葉が付随される理由が何となくだが理解できてしまう。

この場合、無視されなかっただけ良しとするべきなのでしょうが……

 

「……いつまでもそんなだから、ナマリエやカルトから人でなしだのトチ狂った子供だの好き放題言われるのですよ?」

「はっ、毎度ながら上等の褒め言葉じゃねえの。そういうことなら、ご期待通り動いてやらないとだ」

 

悦に浸り、ますます獰猛な笑みを深めるマッド様。

その視線の先にあるのは、『龍の丘』と呼ばれる丘陵地帯を踏み荒らしながらも王都に一直線な魔物たち。

『ドマルガン』よりも小型ではあるが、二足歩行のトカゲと……その背後を追走する複数の魔狼。

すれ違った際にいくらか耳にした、兆候たちの証言そのままの光景。

あの時と同じ……いえ、それ以上に精霊のざわめきが喧しくて仕方ない。

まだ空中にいて距離は取れているにもかかわらずコレということは……地上に降りたらどうなってしまうのか。

……いや、ダメだ。そんな恐れを表に出したらそれこそ強制送還待ったなし。

ここは何とか無表情に抑え、少しでも悟られないようにしなければ。

 

「……一体何なのですか、アレは」

「へえ、その様子だと一見さんってわけじゃあなさそうだな」

「……以前カル渓谷に遠征に赴いた際、似たような状況に出くわしました」

「あー、ラスからも報告があったあの一件か。なるほど、それなら流石に隠しようが無いね」

 

……そうでなければ隠す気満々だったということですよね。

まあ、だからこそこうして食らいついているわけなのですが。

 

「さっき一緒にいた姐様たちから報告があった連中の負の遺産の一角、『悪魔』と『悪魔憑き』だ」

「『悪魔』……?以前から見かけるようになったデーモン種もそのように呼ばれることがありますが……」

「そいつらはあくまで名を冠してるってだけで分類上は魔物よ。そんな連中とは違うっていうのは、いくらアンタでも肌感覚で分かるんじゃない?」

 

……それは一度相対すれば痛いほど分かりますとも。

己が内に秘める魔石を強固にするために精霊を食す、それが魔物だということはアニス様からも教わっている。

生物として必要だから食らう……それこそ自然の摂理だと。

では、『悪魔』だ『悪魔憑き』の場合はどうなるのだろうか。

確かに、同じ捕食行為ではあるが……その根幹はまるで違うのは言うまでもない。

そこには明確な悪意──おぞましいまでの、暴力的ないし背信的な『負』を対象に叩きつけては絶望で捻りつぶして食らう。

……現に、地上でもそんな風に精霊が為す術も無く食われているのは言うまでも無いだろう。

 

「……あれはまさしく精霊にとっての天敵。それは要するに、この国の魔法使いにとっても同じこと……」

「要するに、この国でまともに対抗できる人材は現状極めて少ないってこと。全く、連中も面倒なのを呼んでくれたものよね?」

「そのお陰で刺激的な日常が続いて万々歳とも言えるがな。刺激が無ければ彩のある生あらず、まあ些かゲテモノなのは否定しないがね」

 

並の魔物を凌駕し得る殺気と悪意、更には昏い愉悦やら狂気。

これらをただの調味料……何なら、それすらも糧として色彩としてしまえと言わんばかりなマッド様は、確かに異常だ。

あらゆる手を尽くして生を彩る強欲ないし暴食振り、あんな物騒な存在を玩具にせんとする傲慢さ。

愛称が精神(苛烈な狂気)を示すとは、こういうことを言うのでしょうか。

どこまでもこの国の王族らしさがまるで無いロクデナシを貫く、そこはらしいと言えばらしいですが……。

 

「要は、精霊依存者たちの出る幕じゃないってこと。そこのところを理解したなら、とっとと家に帰りなさい」

「一言で言うなら適材適所ってやつだ。悪く思うなよユフィ!」

「──って、ちょっとマッド様!?まだ話は……!」

 

そう言いかけた時には時すでに遅し。

マッド様とお邪魔虫は私の視界から消え失せていた。

無論、転移をしたとかそういうわけではない……恐らく、空中足場(エアハイク)を解除しただけだろう。

……ああ、しかもご丁寧に後ろ向きかつ仰々しい姿勢を取っていますね。

非常事態だというのに己がままのやりたい放題っぷり……いつも通りのはずなのに。

 

「……私は足手まといで、何もできることが無い。だから邪魔にしかならない……そういうことですか」

 

適材適所なんて綺麗事で纏めていますが、要は戦力外通告と同じこと。

無論、そこにはきっちりとした理が含まれているのはきちんと理解はしている。

……が、内から湧き出て溢れかねない激情が納得することを拒んでいた。

──そもそも、私は何のためにここまで来たのか。

何をしでかすか分からない、とっくに正気を失ったとも言える混沌上等バカ王子。

常にこちらの先を一歩二歩、何なら三歩先を行き余裕綽々と言った風にこちらを見下ろす様はまさに暴君。

……そんなの、一発殴りつけて(ぎゃふんと言わせて)やりたくなって当然だろう。

そして、イヤでもこちらに視界を向けさせてやりたい……それこそ嫌がらせのように。

これまで散々煽られたり厭味を言われたりしたのだ、少しくらいやり返したくなるのは必然というもの。

 

「……貴方たちもですよ。いつまでそうやって怯えて……もはやイライラしてきました」

 

これだけバカにされて、煽られてなぶり殺しにされて?

ああ、何と情けないことか……我が事でもあるから尚更その通り。

悪魔だ悪魔憑きだ……そんなもの、どれほどなのかというだけの話だ。

いつまでも相対することを恐れ震えているだけ?

それこそあの愚物(魔法至上主義者)と何ら変わりがない……問題児たちの言うチキンとやらそのものだ。

 

「彼らに出来て、私には出来ない──その道理こそが何より気に入らなくて、ぶち壊したくなるのですよ!」

 

縮こまっているくらいなら、細かいことなど抜きにしてしまえ。

そんなノリを追い風にして、私も二人の後を追って身を投げてやる。

そこからはヤケクソ、蛮勇……そんな物騒な勢いもあえて味方にしてどんどん加速していく。

 

「ちょっと!?コラ、追い越すならもっと安全にやりなさいよバカ令嬢!」

 

最初に視界に入ってきたのは、のんびりと自然のままに落下している泥棒猫。

あくまでマッド様の後続であろうとしているからか、その速度は調整されており……追いつくどころか、すんなりと追い越していった。

その際に何か文句をつけているようですが、あまりの速度差でロクに聞こえませんでしたね……どうでもいいですけど。

そうしている内に、先頭を行くバカ王子らしき姿も徐々に大きくなり──同時に地上も見えてきた。

ついでに、愉悦混じりの恐喝ないし恫喝で精霊をいびり散らしつつ食らう様も目の当たりにすることとなる。

相変わらずおぞましい光景だが……だからこそ、叩き潰し甲斐があるというものと吹かすべきところでしょうか。

 

「……まずは、短い間とはいえ散々見下してくれたお礼をしなければなりませんね?」

 

ついでに言うと、差こそ僅かであれ先頭の座は私の掌中だ。

すなわち、この一撃にはこの場(舞台)における一番槍を奪うという意図も自然と含まれることとなる。

あらゆる意味での反抗の兆し、反撃の狼煙……これまでの溜めてきたものを発散してやるのだ。

 

「風の精霊よ、時一つとして我が魔力に従え!そして、眼前の天敵に抗う嵐をぶちかましなさい!『ダウンバースト』!」

 

地面への激突を防ぎながら、地上の敵を纏めて吹き飛ばさんとする強烈な一撃を放って見せる。

傍から見てどうなっているかは分からないが、私としては竜巻の急降下をイメージしたつもりだ。

その根幹にあるのは、イグノックスやラスが得意とする魔力で編んだ竜を纏った突進術。

マッド様やカルトのような魔力操作技術が無いからこそ、精霊を巻き込みながら一体化した上で放ってみた。

私の激情に精霊側が引っ張られたようにも感じましたが、結果的に魔力向上に繋がっているので同じことでしょう。

 

「ったく……単に吹き飛ばしただけで、却って面倒が増えただけじゃない!図に乗るんじゃないわよひよっこ!」

「やれやれ、ようやく一呼吸ってか?……まあ、この程度じゃあ安心して明け渡すには程遠いがな!」

 

私が盛大かつ無造作に吹き飛ばしたトカゲ型の悪魔及び悪魔憑きであろう魔狼は、後続の二人がすんなりと片付けていく。

マッド様はセイリオスと呼ばれる深海色の剣と偉志ノ大陸の意匠が強い千紫万紅と呼ばれる刀を、自身を軸とした回転と共に投擲。

それはさながら平民の子供の遊びが如くだが、マッド様が放つ場合は遊戯の皮を被った武術という名の舞台技能に早化けする。

さも当然のように周囲の敵を一刀両断して回り、着地するのと合わせてどちらもマッド様の手元にどんぴしゃりと戻っていた。

そしてジュン、もとい泥棒猫は多数の人形を同時展開しての各個撃破を淡々と遂行。

人形が武器だなんてどんな酔狂かと思いましたが……なるほど、これは手数としては相当なものと言える。

……とはいえ、人がスッキリしているところに横槍なんて随分とまあ無粋なことで。

 

「ここぞとばかりに調子に乗ってドヤ顔してんじゃねえ。鬱憤晴らしならもう少し上手くやれよな?」

「少なくとも、一番槍としての責務は果たしたはずですが?キュイやアニス様よりはマシではないかと」

「ビビって縮こまってたかと思いきや、唐突にかかり全開び突撃──制御が利かねえ分遥かにタチが悪いっての」

「あら、それはむしろ光栄なことですね……?」

 

その時、またあの煩わしい感覚が沸き起こる。

マッド様とジュンも同時に振り返っていたので、同じくそちらに目を向けると……

 

──エサノブンザイデ、ヨクモマアヤッテクレル

──イキノイイエサダ、クラエバドンナアジガスルカタノシミダ

 

先んじて聞こえてくるのは、ただただ醜悪で歪な声。

常人ならばそれだけで恐怖で震え上がらせること間違いなし、そんな『負』をたんまりと詰め込んだ音階。

そして、何ともなしに黒い裂け目が現れ──そこからは、大きな鎌を持った異形やら炎を纏った蝙蝠やらがわんさかと顔を見せていた。

 

「あーらら、ここらの境界まで怪しくなっちゃってるわね。はあ、五月蠅いったらありゃしないわ」

「……もしかして、先ほどの私の一撃が原因でしょうか」

「精霊をお前自身の制御下に置いた上で増幅かければ、まあ否でもこうなるだろうさ……ったく、ぶっつけ本番だからって加減くらいはしろよな?」

「……どうやら、すっかり十八番を奪ってしまったようですね。申し訳ありません、マッド様」

「心にもない謝罪どうも。まあいい、早速主役を奪うチャンスに置き換えるとしますかね……」

 

……いけない、このままだとまた先に突っ走られてしまう。

何とか場を繋げ、あわよくば並走状態を保つ……そうだ、これならば。

 

「誠意ある詫びをご所望なら、ここは一つ遊び相手にでもなりましょうか?」

「……は?おいおい、どういう超展開だよ笑えねえな」

「ルールはあの悪魔たちの討伐数の比較、勝者の願いを何でも聞き入れる……こんなところでしょうか?」

「おい勝手に話を進めるんじゃねえ、確かに俺好みだがゴリ押しが過ぎるぞ!」

 

精霊による魔力増幅の影響がまだまだ残っているのでしょうか。

我ながら随分と流暢にとんでもないことを考えついて口にしている自覚はあるのですが……どうにも勢いづいてしょうがないですね。

まあ、少しばかりあたふたしている貴重なマッド様の表情が見られたからこれはこれで結果よし。

 

「珍しく狼狽えていますね……もしかして、私如きに負けるのが怖いのですか?」

 

トドメの追加として、ここぞと分かりやすい煽りも入れていく。

マッド様に対してはむしろ強気に出た方が応対する可能性が高い……というのがクリスティーナ談。

……ちなみにこういう役が楽しくなってきたとか、そういうわけでは断じてありませんからね?

あくまで向こうに合わせているだけ、これもまた大人の対応の一環で……。

 

「……こんにゃろう、随分と吠えやがる。──そこまで言うなら付き合ってやろうじゃねえの」

「コイツをおんぶしながら悪魔と戦う気?流石のアンタでもそれはキツイ気がするけど」

「今のユフィは梃子でも曲がらねえし、何をしでかすか分かったもんじゃねえ。最悪、俺が上手く舵を取ればいいだけのことさ」

「流石にそれは甘すぎよ……まあいいわ。後でどうなっても知らないから!」

 

捨て台詞と共にお邪魔虫は去っていく。

まあ、先ほどの酒場でのやり取りでマッド様に強く出られないのは知っていたのでこれも想定内ですが。

思った以上にすんなりと裏方に回ったのは意外で不気味にも見えますが……まあ、それはそれとして。

 

「……さて、ここまで大口を叩いたんだ。せいぜい振り切られるなよ、ひよっこ上がりの初心者(ビギナー)ユフィリア!」

「その余裕たっぷりの表情、すぐに凍り付かせてやりますよバカマッド様!」

「やれやれ、その減らず口はどこの誰から学んだのやらか!悪い気はしねえけどな!」

 

……それはお互い様ですよ、マッド様。

これこそ、私がずっと望んでいたことなのですから。

勿論、今はまだ口だけでしかないのも自覚はしている。

まるで実態は伴っていませんが……始点に立つことが出来れば、後はどうとでもしてやればいい。

とにかく今は、勢いのままに突っ走りつつ隙あらば隣のバカを出し抜くことを考えるとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

精霊の申し子から精霊を従える悪役っぽい令嬢にランクアップイベントが発生しているのと同刻。

もしもの為の予備戦力として後からコッソリと付いてきていた元神霊2名だったが、その一部始終を眺めてからその考えはきっぱりと捨てていた。

今や気配遮断に加えて上空からの観戦という、なかなか豪勢な傍観者状態であった。

 

「なかなか面白いことになってるわねー、軽い物見遊山気分からこうなればお釣りがくるくらいよ」

「……まさか、魔法依存から脱却してすぐにこうなるとは。アルガルド王子にティルティ嬢といい、この時代はなかなか玉揃いですね」

 

二人が特に注視しているのは、ユフィリアの突発的奇襲を兼ねた先制攻撃であることは言うまでもない。

その唐突っぷりもそうだが、それ以上にしれっと陰ながらしでかしていることが琴線に触れているようだった。

長い時を生きる彼女たちにとっても初見の異端が故、それは必然であろう。

 

「それにしても……ふふ、マッドのヤツは内心気が気でないんじゃない?あんな澄ました顔してるけど裏ではぜーったい『どうしてこうなった』連打よ!」

「ああいう噛みつき方をされたのは生まれて初めてのはずですからね。表に出さない辺りは流石というべきでしょうが」

「これは後で傷口に塩を塗るように根掘り葉掘りしてやるべきかしら?」

「それならば、せめてクリスティーナがデイジーの助力は求めるべきでしょうね。でないと流れ弾が怖い……おや?」

 

段々としょうもない俗物的な話になりかけているところに、アポロンはその人影を見つける。

自分たちと同じく、空から地上の様子を観戦するのは……腰まで届く長い金髪が特徴な見た目少女な人物だった。

常人ならば(そもそも素で空の上にいる常人などいないが)色々な意味で疑問符が飛び交うことだろうが、この二人にとってはまるで関係なし。

それもそのはず、二人にとってまさしく旧知の仲……というより、同類に近しいところにあるのだから。

 

「あら、やっぱりこの国屈指の引き籠りのリュミ様じゃない!こんな真昼間で見かけるなんて、明日は槍の雨かしら?」

「風評被害が出て来そうな酷い言いようね。これでも適度に王都には顔を出しているというのに」

「今日もその一環ですか?ここは確かに、黒の森と王都間の導線上ではありますが……」

「……最初はそのつもりだったのだけれど、色々と事情が降ってきたってところね」

 

リュミと呼ばれた少女然とした人物の視線の先。

そこには、ちょうど二人が注目フラグを出していた人物……ユフィリアの姿があった。

同じく注視しているのだが、その目線が好意的なのかと問われたら……さぞ微妙なところと彼女は答えるだろう。

 

「事情……貴女にそこまで言わせるということは、やはり彼女にはその素養があるのですね?」

「それはもう、あれほどの逸材は初めて見るわ。それこそ人間辞めてるとすら言えるほどには至高でしょうね」

「わお、ド直球。確かに以前のユフィリアってだいぶ人間らしさが希薄だったけど、そこまで重症だったってわけねえ……」

 

先ほどの『グレンベールの穴蔵』での急な会合が初の顔合わせではあるが、存在自体は十数年前から認知している。

あくまでマドラーシュを見守り業務のついでに見たことある程度でこそあるが、それでも一際妙な気配を漂わせていたのは印象に残っているほど。

更にはレオンのとある事情に絡んでいる可能性も踏まえ、これまたついでとばかりに色々調査もしていたこともあったり。

 

「何ならついさっきは兆候が出かかってほどなのよ?やっぱり歴史は繰り返すのかって、ここまで来る途中で諦めかけたくらいだったもの」

「あー、やっぱりそういうこと……でもその言いようだと、至らなかったのね?」

「まあ、それは確かに喜ばしいことね……本来ならば止められるようなものじゃないはずなんだけど」

 

少なくとも、彼女がこれまで見てきた者は皆そうだった。

強く願い……してしまったら最後、もう後戻りは利かなくなってしまう。

そんな一方通行で残酷なソレを時には諫めたり、またはその果てまで見届けたり。

だからこそ、あの土壇場キャンセルはまるで理解が出来ないのだ。

本来なら、『まるで意味が分からんぞ!』とでも叫びたくなるが……辛うじて押し留めているのは、まさに年の功か。

 

「まあ、今ここで不毛な議論をしても仕方ないわね……今日の私はあくまで通りがかりだもの」

「随分とあっさり引きますね……遠い血縁と顔合わせくらいしてもいいのでは?」

「それこそ、いずれまたのご機会をお楽しみにという方がウケがいいんじゃないかしら?」

「……そういうところ、隔世遺伝通り越して先祖返り説あるんじゃない?」

「それは『紫の刃』直伝じゃなかった?まあ、あの子に受け継がれているなら悪い気はしないけど!」

 

人を食ってなんぼな空気、飄々とした立ち振る舞いによく回る軽口。

御伽噺の語り手でもやりだしそうな、幻想的な空気を振りまきながらリュミと呼ばれる女性は颯爽と去って行く。

ちなみに、その背中を見送るニケとアポロンの表情はまさに苦笑一色だった。

 





どういう覚醒してるんですかこの公爵令嬢って?
イメージ的には……まあ、プテラに馬鹿にされまくった挙句にリザードンに進化したって感じですかね?(古すぎ
グランサガ>転天を割と平然と描写していた理由はここにあり、ユフィリアは割と負けん気強いんじゃね?を描写してみたくなった
お陰でそこそこ熱血気味になりましたが……原作でも兆候はあったから乖離はしてないはず?
更にここでまさかのリュミ様ご登場、ただかなり唐突に思いついたので色々怪しいことに。
とりあえず、転天原作から見たらとんでもない異常事態が起こっているということだけ分かって頂ければ現状はよろしいかと。
そういえば、誕生日設定がしれっと出てきていたのでグランサガサイドも追加したりしましょうかね……一組『ファッ!?』って吹き出しそうなところもありますので。

Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)

  • 転天キャラでのNLとか他絡みを所望
  • グランサガの二次がレアすぎて
  • バトルハードモードに釣られた
  • ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
  • その他(そもそもの作風とか)
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