えー、まずは7カ月もかかってしまい大変申し訳ありませんでした
日常に色々変化を加えた結果なのか、筆を取ってもあーでもないこーでもないの繰り返しで
ただでさえそこそこ大事な部分なので下手な妥協も出来ず……まあ、書き上がったこれもまだ疑問符だらけなのですが
本家サ終こそ迎えたけど、グランサガへの熱量は亡霊になりきれるほどなのは救いですかね……ちな後継ゲームは俺アラODです
まだこの地が誰のものでもなかった頃は、当たり前のように魔物が入り乱れていた
今も開拓が行き届いてない辺りはその傾向にあるが、そこを差し引きして尚濃度という意味では比べるべくもなくとのこと
そんな環境故に、力なき者は蹂躙されただ狩られるのみであるのみ
弱肉強食──戦火から逃れた流浪の民であっても例外は無かった
必然ではあるが、まさに当事者からすれば理不尽以外言いようがない
そんな魔物の暴威から恐れ隠れる日々にある中、一人の男は遂に立ち上がった
『このような理不尽が許されていいのか。どのような代償を払ってでも、これを打ち払って見せよう』
どうにもならない理不尽と分かりながらも嘆き、叫びながらに希ってみせた
儚く吹いては散ってしまうようなちっぽけな願い……もはや祈りですらあるが、だからこそ届くはずもない
そう思っていたところに、その願いに呼応するよう者は唐突に姿を現した……それが、その地に住まう精霊たち
男は瞬く間に彼らと友誼を交わし、とんとん拍子で精霊契約に至ってみせた
精霊の力から『魔法』を編み出し、一部の者とも共有……それらを以てして安寧をもたらしたという
これこそが今のパレッティア王国の始まり──現在に至るまで根底に巣食ってしまった、呪いの根源
「本日の語り部はこの私、『リュミエル・レネ・パレッティア』──お題は誰もが知る煌びやかな伝説、その裏に潜むは昏き側面ってところかしらね?」
その目を奪ってしまうほどの美しい所作と共に、開幕早々爆弾が投げ込まれる
『リュミエル・レネ・パレッティア』……それはいう間でもなく、リュミ様の本名なのでしょう
その名がフルネームが何を意味するか──そんなもの、物心さえつけば子供でも分かることだった
「ま、いくつ曾って付ければいいか分からないから面倒極まるだけなんだがね」
「そんな簡単に流せないのだが!?リュミ殿は我々の祖先であるということなのだろう!?」
「しかも初代国王と同じ精霊契約者、建国当時を知るとなると……彼の御方の娘かそれに近しい血筋になりますが……」
「あらあら、冒頭から上々の反応じゃない──ちなみに、前者が正解よ」
……思えば、最初から似通っている要素はてんこ盛りだった
同じ白金色の髪だったり、人を食ったような空気を纏っていたり……憎まれ口や皮肉の発し方までも似通っている
あのマッド様が、最初から気安げに憎まれ口全開で話していたのは……最初からここを看破していたから
背後にいるぶっ飛び従者も同じくでしょう……一切口に出さなかったのは、単に面白がっているから
全く、いらない悪童心をまた発動して……先達から継承するところはもう少し選ぶべきでしょうに
そもそも遺伝にしても、いくら何でも隔たりがありすぎるでしょうに……何世代間隔世遺伝ですか、全く
「そうなると、ご自身の父親の統治を否定することになるような……」
「あら、『親の偉業を否定するのは何事かっ!』って?──そういうお説教なら、まずは隣にいる旦那の方が先じゃないかしら」
「ちょい待て、いつからこんなバーサクお嬢の旦那役になってんだ今すぐ訂正しやがれ──って痛えな!?」
……いちいちしょうもないことで口を挟まないでくださいバカマッド様
こちとらそれなりに真面目な話をしているのですが
「俺にとっては死活問題で真面目な話──あ。しょうもないんだったらやっぱ無かったことにしようz「寝言は寝ながら仰ってください」いやなんでそうなるんだよこの支離滅裂イノシシ令嬢が!」
「……マドラーシュ、こればかりはユフィリアが正論です。話の腰を折るのもそれくらいにしておくように」
流石に王妃様にまで突っ込まれたら旗色が悪いからか、ようやくマッド様は静まった
この往生際の悪さ、一体誰譲りなのでしょう……それはさておきとして
「──確かに、私の父は魔物入り乱れるこの地を平定して、国を興すという喜劇そのものとすら言える御伽噺の主役だった。まさに『理想の王』、否定するなど以ての外……その裏では、惨たらしい悲劇も並行して上演されていたというのにね?」
「当時の繁栄を思えば、確かに喜劇そのものでしょう。しかし、それ以上の悲劇というのは……?」
「『光あるところに影ありき』ってやつだろうよ。にしても、上手いこと汚いところだけ隠してくれたもんだな?」
「……あんなグダグダ劇をバカ正直に残すなんて、まずあり得ないでしょうね」
いつものように飛んでくるのは、マッド様の常套句の一つだ
割と謂れの無い誹謗にも聞こえなくもないが……リュミ様からの即反論は一切ない
むしろ、これまでに無い程の自嘲の笑みを浮かべる程……それだけの悲劇が起こっていて、今代に至るまで隠されていたと?
「それがまさか人為的に精霊契約だなんてねえ……全く、とんでもない信者たちを見て流石の私も驚き桃の木よ。せっかくの涙ぐましい行動もすっかり水の泡、勘弁してほしかったわ」
「……お待ちくださいリュミ殿。確か暗部たちが用いたのは、女神の神石と多量且つ未知の魔物由来の魔石であって……」
「見た目こそまさに『大精霊』とは対極にあるのでしょうね?でも、その本質は真に迫ってすらいる……先達として嘆かわしいことこの上無いけれど」
「モーリッツ含むあの暗部たちは魔物や悪魔の力を女神の神石で束ね──ほぼ精霊契約に至りかけていたと?」
『まさしくその通り』──リュミ様の無言の首肯は、そう告げていた
……従来より讃美を向けられてきたこの国の礎と、現在この地を混乱に陥れている魔の軍勢
一見すれば対極に位置する──それこそ外見だけならば陽と陰とすら言えるほど2つの概念
後者が真に迫っている、それはいわば信仰の行き着く先であろう『精霊契約』にも近づいていることと同義であって……
裏を返せば、初代国王の為した行いにも通ずるところがあるということ
……陛下が狼狽するのも無理はないですね
「精霊契約における契約の対象、それは己の魂の内に混ざった精霊……簡単に言えば半身ね」
「魂に精霊……確かにリュミ様は、先程零していましたが」
「精霊は外に漂うものだけに限らず、この世に生きるあらゆるモノに宿っているもの。そして魔法とは、己の内と外の精霊を共鳴させては魔力や願いを受け渡す事象を指すわ。各々が使う魔法の属性やら規模は宿る精霊の種類と量に由来する」
「……なるほどね。魔法が使えない原因は……共鳴の術を持たないか、精霊が体内に棲んでいないかのいずれかってわけか」
「前者は現代までにおける平民。そして後者は『稀人』──魔法にも精霊にも頼らず生きている素晴らしい人材ね」
『稀人』……それこそアニス様が、王族でありながら魔法を使えない原因そのものということだ
常人が内に宿しているはずの精霊、これがまるでいないが故の稀少性……なんて単純で残酷な真実か
こればかりは本当にどうしようもないこと……それでも、当事者としてはそれこそ憂き目でしかない
「まさにアニス様はその魔法に憧れ、焦がれ求めているのですが……?」
「このご時世で王族が魔法を持たないことは致命的だから?その鬱屈も理解は出来るけれど、それこそ偉志の大陸で言うところの『隣の芝ほど青く見える』ってやつじゃないかしら」
……その表情からは、薄っすらと『期待外れ』という四文字すら浮かんできている
まさにばっさりと一刀両断で、その評価は辛辣一辺倒そのもの……それでも、精霊信仰に厚い面々のソレとはまるで違う評価である
軽い口調とは裏腹に、切れ味と説得力に満ちているお陰か、反論の言葉どころか納得してしまってすらいた
「魔法にも精霊にも頼る必要がない魂は、それはもう純粋に輝かしいものよ。対する『稀人』以外の人間の大半における魂は、欠けた部分を埋める為に精霊を求めてしまう……そしてその度合いに比するように、精霊としての純度も高まっていくわ」
「まさか……その一点が極まった末に精霊契約が存在するというのですか?」
「そういうこと。精霊への求心が極まった末には、己の魂そのもの──ヒトとしての全てをも投げ打っては精霊と完全に同化してしまう。これこそが精霊契約というわけね」
内の魂と精霊を同化させる……それはすなわち己の存在を精霊として定義しなおすに等しい
ヒトから外れてしまうというのは比喩でも何でもない……何なら『ヒトとしての全てを放ってでも為してしまう』のでしょう
そんな見解にすんなりと至ると共に……これまで感じたことのないくらいの寒気が徐々に起こってくる
「精霊と同化する、すなわち精霊そのものとなってしまう……故に不老不死ということですか?」
「精霊は器を必要とせず、変わることも無ければ朽ちることもない。結果老いや死からは遠ざかるばかり……だからこそ、在り方そのものがヒトどころか生物のソレと大きく異なってしまう」
確かに、どのような生物も老いや死は存在するもの
そのような大きな括りで比較すると、生まれるであろう差異は単純ながら計り知れないものとなる
見方次第ではこの上ない誉れなのでしょうが──それは信仰に振り切っていることが前提となるはず
現に、私の中でひたすら加速しているのは……言葉にしようとも簡単に発せられない恐怖であった
「契約したてならばかろうじてヒトであった頃の在り方は残るけれど、所詮それもただの名残でしかない。時間が経つと共に、二つの在り方の間で否応なくズレは生じてしまう。その葛藤は精霊にとって煩わしいだけで……それこそ、器ごとさっさとポイッと捨て去ってしまうのが顛末──そうして、人々から『大精霊』と呼ばれるようになるわけね」
「『大精霊』……!?では、私たちの信仰する精霊というものは……!」
「人々の救いとなる、ただそれだけの為にこれまでの生き方を捨て去った元人間というわけね。そんな在り方をまるで神のように崇め続け、宗教にまで至ってしまい今がある──そんな負の螺旋の結果ということになるわね」
すなわち、この国の根幹そのものがすべて人為的で……精霊契約者という人柱ありきであるということ
少しでも疑念を持てていれば、そう都合よく救いが転がっているわけではないと割り切れるかもしれない
しかし、根っからの信者にとっては……ええっと、確か『青天の霹靂』というべきものでしょうか?
それこそ下手に公表してしまえば、この国は大混乱──あっという間に混沌と化してしまうのは間違いない
……もしアニス様がこの場に同席した場合、真っ先に同じ懸念を示しそうですが
「更には、ヒトから外れるのは肉体だけに留まらない……契約の火種である願いに縛られ、その挙句に本懐をも見失ってしまう」
「願いに縛られ、見失う……?」
「貴女たちも妄執に囚われ、結果醜悪な紛い物と化した愚か者を見たでしょう?アレはヒトから外れてしまったから起きたけれども……」
「それは由緒正しき初代サマでも例外じゃない……そういうことだろ?」
その指摘は、それはそれはあまりに鋭利極まる刃そのものだ
何の躊躇もなしに放つバカマッド様……対するリュミ様は、ここぞとばかりに口端を吊り上げていた
まるで喜劇を見たかのように、面白おかしいようなその表情からは……僅かに苦悶と悲しみすらも垣間見える
「パレッティア王国という国が出来る前のこの地は、とにかく魔物やら何やらの脅威塗れ……肉体的に弱い人間にとっては厳しすぎる、ただ苦難一色だった。一人の青年はそんな無情極まる実状を痛ましく思い、嘆き、安寧を与えたいという一心でひたすら祈っては救いを願い続けて──そんな純粋且つ切実な願いに唯一応えたのが、世界の欠片たる精霊だった」
「へー、魔物やら何やらの脅威塗れとは今よりよっぽど面白そうな──ってイテえな!?何しやがるユフィ!」
「あ、申し訳ありません。ついつい手が滑ってしまいましたバカマッド様」
……開始早々で空気を読む気皆無な発言をするからですよ
どうせ自身のお眼鏡に合う魔物はいるかどうか──なんて、しょうもないことを考えていたのでしょうが
お願いですから自重してください、今は真面目な話をしているのですから
「バカ孫の戯言はさておき……精霊の力は『魔法』という体で整備されては、今にまで至る王族と貴族の礎にもなっていった。誰も彼も困窮する者たちの為に、国の基盤を整え、土地もどんどん拓かれて……国を興してからは、ひたすら順風満帆だった」
「……ここまで聞く限りでは、精霊と友になって共存していく心温まるお話ですね」
「ついでに退屈でしょう?それでもここで終わっていれば、それだけで済んだというのに……ねえ?」
突如不穏な空気が発せられ語り部の口端は狂気的な歪曲を見せ始める
その変貌っぷりは、その場の大半が呑み込まれるほど……寒気すらするほどだ
どこぞの例外二名は、それはそれは『へのへのかっぱ』のようですが
「順調そのものな国の発展の裏で、民は更に求めた──よりよい暮らし、更なる潤い、広大な土地を。普通なら度が過ぎるのではと躊躇が生まれるべきだけれども、庇護すべき民からの願いともあれば叶えなければならない……だって、それこそが彼の願いでもあるのだから」
「しかし、そうなったらまた同じ流れの繰り返し──いえ、それ以上になってしまう」
「ええ、まさにそう!もはや民たちは何でも願いを叶えてもらえるものだと錯覚して、何から何まで王に願っていた!そんな欲深き民でも願いに沿って『庇護すべし』と、それこそ民にとっての『理想の王』だからとその願いに応え、叶え続けてみせた!そんな悪循環の果てに、『民の苦境を救う善王』は『民の欲望以外眼中にない悪王』に大変身ってね!」
そもそも初代国王が精霊契約に至った原点は、『苦境にあった民を掬い、庇護する』ことにある
最初はただその願いに沿っただけで、実際その苦境から脱することは出来た
そこで十分のはずなのに……あろうことか、更なる期待を上乗せしながら願ってしまった
しかし、民の安寧だけを願う王が聞き零すことなどあってはならない……それこそが己を精霊として保つための根幹なのだから
雁字搦めとはまさにこのこと──首元に剣先を突きつけられるような錯覚すらしてしまう
「はっ、初代様も随分とまあやんちゃ放題だったわけだ。だがそれだと、流石に周辺国が放っておかないんじゃないか?」
「勿論、他国も最初は黙ってはいなかった。脅威と判断しては芽を摘んでやるか、偉業を為した強大な国力を我が物にしてやるか……そんな画策の下で侵略行為もあったくらいにはね」
「それでもこの国は今でも存続しているということは、その悉くを防いでみせたと……?」
「防ぐ?ふふふ、それどころかきっちり侵略し返していたくらいよ!庇護すべき民の脅威になるならもはや魔物と大差ないとまで吐き捨てながら、それはもう徹底的に蹂躙返し!邪魔者は一切許さないとばかりに全て壊していたわ!」
「なっ……!?」
少し間を置いてからの狂笑、そして更に飛んでくる驚愕の史実
偉大で煌びやかであったと伝えられてきたこの国の礎……その裏には、おぞましいものが潜んでいたということ
私は当然として、まるで知らなかったのであろう陛下や王妃様までも空いた口が塞がらないご様子でした
尚、隣に座るバカ王子はそれはもう平常そのもの──ぼそりと『はい、知ってたー』と呟く余裕すらあるようでした
恐らく、背後の
「……そういや、昔はアーイレン帝国よりここに肉薄出来るとされる国もあったらしいが?」
「……あのやたら屈強な異教の国のことね。確かに、あそこだけは長いこと相互不干渉を保ってくれて、冷戦状態ながらも上手くやれていたはずだった──それも結局、こちらが独りよがりの安寧を求めるばかりに業を煮やして、上手いこと奇襲しては抵抗の隙すら与えずに蹴散らした!その地の文明とかも全部諸共ゴミのように、きっちりかっちり滅ぼしてしまったのよ!」
「……もはやどうにもなりませんね。触らぬ神に何とやらすらも許容しないとは」
「パルヴァネ師匠が鎖国に舵を取って当然だな。もはや創作の域を超えたイカレっぷり、まさにクソだな」
トチ狂ってる人間代表と言える二人すらドン引いて……もはや蔑む様子も隠さずだ
やりたい放題のぶっ放し放題に見せかけ、裏ではえげつないほどきっちりかっちり線引きを為している……だからこそ、偽りのやりたい放題が許せないと
理解も納得もできる……それと共に、私に向けられる切っ先は増える一方でもあった
「目の上のたん瘤だった国を滅ぼし、結果最大の脅威から国を守ったというその偉業は貴族平民身分問わず誰も彼もとただただ輝かしいと讃えたわ!そして後はひたすら我が事ばかりに酔いしきるばかり!更には『自分たちのためにここまで為してくれる、ならばもっとだ』と更なる安寧を求め、王はただそれを叶えて……ひたすらその繰り返し!この国の『理想の王』とは、庇護すべき可愛い民からの願いだけ叶え、妨げるものは何であろうと知ったことではないと切り捨てることだけ求められたのよ!しかも老いも死も縁なき身!……ふふふ、こんなのもはや永久願望成就の為だけの器、何ならただの魔王よ!今代にまで継がれてきた伝承なんて、所詮は脚色だらけの虚な讃美歌でしかないのよ!」
初代国王が精霊契約に至った根幹は、『困窮に陥る民を庇護し、その願いを悉く叶え救いたい』という切なる願い
最初は願いそのままに危機を脱し、この王国の礎という形で安寧の地を築くこととなった
しかし、良かったのはここまでで……後はひたすらヒトの負の側面に振り回されてばかり
特に他国の侵略については……魔物も似たようなことを平然としているが、それはあくまで生存競争の過程に過ぎないはず
初代国王が先導したのは、民衆のあらゆる欲に抗わないまま為してしまった所業……それはもはや堕落でしかない
「やれやれ……国全体でイカれ散らかしてるってのに誰も疑いを持たないとはね」
「ごく僅かだけ、理性を残した上で必死に忠言していた臣下もいたわ。とはいえ所詮は多勢に無勢……その悉くが無視され最後は羽虫のように払われてしまった──でも決して無駄ではないわ。少なくとも、この私を正気に戻す矢となってくれたのだから」
「……リュミ殿も初代と同じく、精霊契約を為しているはず。それが正気に戻るとは?」
「私の根幹足る願いは『王の後継者であれ』……まあそう言い聞かされ続け、そういうものなのだって感じでいつの間にか契約が成立していたのだけれど。それでも父は『間違っている』と思い直すことが出来た」
「はっはーん、なるほど……その流れで玉座をサクりと奪ってやったと?」
「また軽々しくとんでもないことを言って……そんなことあるわけが──」
……と思っていたが、リュミ様はこれまた微笑一つだけのご様子
その表情からは、薄っすらと自虐が見え隠れしているような気が……ということは、まさか?
「本当に王座を簒奪した、と……?それではリュミ様は、親殺しを為してしまったということに……!?」
「他に手の打ちようがなかった……ま、空想の世界でもよくあることさ」
「……バカ孫の言う通りよ。いつ世界共通の敵になるか分からないという、選択一つで滅びの道まっしぐらの瀬戸際で秒読み段階!そんな中でも慎重派は悉く潰され、周りは国王様万歳一色──となれば、同じ精霊契約者で後継者の私がやらなければならなかった!全ては願いに沿う形にね!」
『王の後継者であれ』──その願いの為、ただそれだけで当時の王自身の肉親を手にかけてしまった
これもまた、精霊契約によって生じてしまった歪み──これではもはや呪いとしか言いようがない……ティルティが聞いたらさぞ笑みを浮かべることでしょう
どうしようもないならばと己自身を超越させ、願いを叶えるところまではいいのかもしれないが……確かにどこまでも喜劇であり悲劇だ
「その後は同じ轍を踏む者が顕れないよう、精霊契約に繋がるモノ全てを秘匿するよう徹底させたわ。それも1年で大体遂行出来たから、さっさと玉座から降りさせてもらった──だから『リュミエル・レネ・パレッティア』という女王は公には存在しないことになってるのよ」
「ご自分の名前すら残さなかった……それは、初代国王のようになるのを避けるために?」
「まあ、その頃には精霊契約抜きで魔法の力は浸透しきって国を維持できていたのが大きかったわ。邪魔者は静かにさっさと消えて、ちょうどいい塩梅で新たな時代に引継ぎ……と思っていたのだけれども」
それはもう大きく、そして海よりも深いため息を吐いたリュミ様
なんてことないはずのその仕草は、当人曰くのバカ孫が一瞬だけ重なる
……ふと隣を横目で盗み見ると、案の定やれやれと言わんばかりの苦笑いを浮かべていた
「隠蔽工作の甲斐あって精霊契約者の数は減ったけど、決してゼロになることはなかった。そのどうしようもない願いの成就するためだけに精霊になって、そのまま昇華してしまう者は静謐ながら後を絶たなかったわ」
「だからこそ、リュミ殿が監視役を務めなければならなかった……当時の生き証人として」
「その甲斐あって、精霊契約者は表舞台に立って災いとなることだけは防いだけれども……結局、魔法を得た者たちが同じことを繰り返してしまってるのよね。やはり一旦滅ぼしておいた方が良かったのかしら?」
そう言いながらリュミ様は陛下と王妃様、そしてお父様に向けて苦々しくも力ない笑みを浮かべていた
確かに、先ほども話題に上がった件の内乱も……元を辿れば貴族が特権階級を維持したいからこそ起きてしまった
もし、陛下の兄君を誰も止めずに好き放題させていたら──強硬貴族を中心としたの圧政が強まっていたのは疑いようがない
故に、陛下は立ち上がらなければならなかった……全ては国の行く先を思えばこそだ
しかしその結果、今度は魔法至上主義を掲げる魔法省が台頭してしまう有様となってしまい……
特に、子孫に当たる王族にとっては……悪夢と言えるほどに重く、残酷な事実だろう
私たち臣下も、これまで如何に煌びやかな部分ばかり見せられてきたのだろうかと痛感することしか出来ない
「結局、今代に至るまでずーっと螺旋に囚われ続けてしまっているってこと。だから精霊契約なんてとっとと廃するべきなのよ……邪魔でしかないもの」
「当時の生き証人からの、これ以上にない貴重な話ではありましたが……重ね重ねですが、ユフィにも同じ兆しがあるのですね?」
「何なら歴代屈指と断言出来るほどのね。更には、その願いもなかなか根深い……もしかしたら、閉ざされた時代を守らんとする側の抵抗なのかもしれないわね?」
この時、暗部たちが私に『惜しい』と称した光景が脳裏に過った
……今思えば、あれは『同類相哀れむ』の色が特に強かったのだろうか
それとも……『お前はどう足掻こうとこちら側だというのに、今更滑稽だ』、といった風の侮蔑なのか
あの時は戯言と聞き流していたが……ここに来て、リュミ様の警告と共に頭にこびりつき始める
「重ねて言わせてもらうと、精霊契約そのものは当人が願ってしまえばどうあっても止められない。それが稀代通り越して歴代屈指の奇跡となれば……果たしてどうなるのやらかね?」
「……どうあっても奇跡は災禍にしかなり得ない、と」
「ま、それはあくまで私の見解でしかないけれどもね──それでも貴女は突っ走るのかしら?自ら人から外れ、九分九厘末路が決められているであろうこの道を」
他にも、多くの先達は……大望を叶えるただそれだけの為に、悉くと人の道から外れて行った
目の前の生き証人ですらも、その在り方に抗い切れず……その結果、今でも葛藤し続け苦しんでいる
そんな道が、果たして正しいものかどうかなんて言うまでもない……それは大いに分かっている、はずなのに
(結局は私も、その力が必要であると……?)
……焦がれる存在は、ただただ新たな新天地を求め、ひたすら狂おしくも遠く深く高くを思うままに行き続ける
当然、そんな背中を見ているだけのこちらのことなどまるでいざ知らず
何とか食らいついてやろうにも、今のままでは話にならない……そもそもが同じ土俵にすら上がれていないのだから
その根底にあるのは、まだ見ぬ魔物や『悪魔』たちへの言いようの知れない恐怖だ
次から次へと襲い来る状況にすらもまるで適応できていない……足を引っ張るばかり
きっちり根付いたと思っていた自身の存在意義が、また揺らがされ……それが劣等感という黒いシミを生み出して
そこに現れたのは、私でしか到達し得ない境地である『精霊契約』
平民であるラス達は辿り着き得ない力……これがあれば、私はまだ……!
(っ……それでは初代国王や暗部たちと同じ轍を踏むだけでしょう!)
さっきまで何を聞いていたのですか、私は……そもそも、どうにも衝動が抑えられない
これまで抑圧してきたからにしては、随分と急すぎる気が
まるでもう一人の私が黒い笑みを浮かべ、囁いてくるような気すらする
(これが……魂の欠けた部分を補うかのように精霊を求める感覚であると?)
……リュミ様は先ほど、『時代を守らんとする側の抵抗』と零していた
初代が為してしまった精霊契約、そこから引き継がれた魔法特権の階級制度……この流れこそまさに、その懸念通りであるのか
歴代屈指の『精霊の申し子』──すなわち私が、その一環で生まれ出でた存在なのだとしたら
ここ最近の突発的行動も、ある種の先祖返りのような兆候で……本当に避けようがないのだとしたら
(どう足掻こうと私はあちら側……金属にどれだけ色を塗ってもその芯は変わらないと?)
あの時の暗部の捨て台詞が、頭の中でひたすら反芻して喧しいことこの上ない
しかし、もはや否定出来る材料はない……ならば、受け入れるしかないと?
その果てには、あれらと同じく外見からして醜いバケモノか……はたまた初代国王のようなガワだけがヒトのバケモノか
どちらにせよ、この人が許容するわけがない……彼は、そのような存在を狩る者なのだから
どれだけ啖呵を切って前を上を向こうとしても、結局のところ私は──
「ちっ……このどあほうが」
暗雲の先から、軽やかながらも遠慮のない罵倒が飛んでくる
重苦しい静寂など知ったことかと言わんばかりに
更には、私の内の暗雲を切り裂かんとするばかりに紫電纏う閃光が迸っていた
原作と違ってユフィリアがえいやーって感じで精霊契約しませんし、むしろ忌避すらしています
なお、原作と同じかそれ以上に緊迫的な必要性に駆られていて当然兆候も出ています……その結果がこの支離滅裂モードって感じですね
本作ではラス達(特にキュイとかオルタ)がいるので、原作のようにそう簡単に唯一無二になれないのですよね……しかも当のマッド様もマジモンのぶっ飛びゴーイングマイウェイときたもので
まあ要するに、原作ユフィリアより明確な相対的に弱いからこうなってると思ってください以上!(強引すぎ)
そして、精霊契約の危険性についてはより深く書いているつもりです……執筆の苦戦箇所でもあったのですが
実際その辺何度も読み返したけど、何というか……ねえ?ってモヤモヤしかしなかったもんで
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)