転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

30 / 112

第2章始動でございます。
最初はゆったりと、嵐の前の静けさっぽく。


Chapter 2『立体交差する者たち』
23.片や嵐の前の静けさで


 

ある昼下がりの我が離宮の一室、実は屯部屋になりつつある部屋。

暴走侍女は珍しく他用で外出しており、部屋には同年代の男女が一組いるだけだ。

とはいえ、いつものように雑談に講じているだけで特に色気のあるイベントは起こっていない。

……一部の知るヤツが見たら、間違いなく国が揺れかねない危機一髪なんだけどなこの状況。

何でのんびり茶を啜りながら暢気に会話しているのか……慣れってある意味恐ろしいよな。

そのお陰か平穏そのものと言える空気で、僅かながらの眠気に襲われかけていたところだったが……。

 

「そろそろアルガルド様との婚約をいい加減解消しようかと思っているのですが……マッド様としてはどうお思いでしょうか」

「ユフィリア、お前いつの間に爆裂魔法なんて覚えやがった?」

 

そんな眠気を吹き飛ばすような爆弾が唐突に投下されることとなった。

爆弾投下魔の正体は、もうかれこれ3年くらい奇妙な関係が続く公爵令嬢……我が友ユフィリア・マゼンタ。

初めて顔を合わせた際は、それはもう頭が痛くなるほどに人形然としていたが……今はそれなりに解消されている。

……にしたって、何の気配もなく爆弾を投下するなんてことは教えた覚えはないんだがな?

そういうのは悪友の一角である守銭奴問題児ミケ族とか、風のようにどこ行くのか分かったもんじゃない裏・彫魂師な姉貴分だけで充分だぞ。

まあ、かつての義務やら使命感に縛られてのお利口さんよりはよっぽどマシだがね?

俺としては面白いとも可愛らしいとも思えるギャップではあるが……何か妙なズレ方してやがるんだよな。

外見の麗しさや至って真面目に発せられることが多いから、反応に困ることすら増えてきているほどだ。

一体誰に似たんだかねえ……まあ、それはそれとしておくとしてだ。

 

「まあ、それは冗談として……随分とまた急だな?ユフィリアが決めたことなら止める理由は特にねえが……あれからアル兄さんとは冷戦止めて、そこそこ修復進んでるってこの間言ってたじゃねえか」

「確かにアルガルド様との関係そのものはまともなものにはなっていますが……やはり、それとこれとは話が別だなと思い直しつつあるのが本音でして」

 

アル兄さんとユフィリアの場合、元々が政略色全開……それもアル兄さんの箔を付けるためのものだ。

まあ、当のアル兄さんにとっては余計なお世話にしかならなかったんだがね、

いくら良かれと思っても、過度な善意ってのは歪んで伝わりかねないってのはまさにこのことさ。

結局は俺が色々と尻拭いをしてましたってのは……まあ、改めて考えてみるとちょいと虚しくなる。

単純に俺自身が気に入らなくて首を突っ込んだ結果だ、その過程と結果に愚痴を零す気は更々ないがね。

だがまあ、何でこう悉くと裏目に出るような行動ばっかり起こるんだろうなパレッティア王家って。

俺が言うのもアレだが、やっぱどっかで変な呪い遺伝してんじゃねえのか?

 

「アルガルド様の態度は以前より軟化している今ならば、そのまま次期国王と王妃でやっていけるのでしょう。以前の私ならばきっと妥協できる範疇……それくらいには互いに歩み寄れていると思っています」

「首を突っ込んだ俺としてはそうなってくれて何よりだが……その言い草だと、やはりその妥協すら無理っぽいな」

「そうなりますね……友好的な関係は不可能ではないのですが」

 

色々助言した側としては、アル兄さんが丸くなったのは嬉しくなるがな。

お陰でイグノックス兄さんやデイジー師匠と一緒に絡む機会も増えて、俺の方も兄弟仲睦まじくやれてる方だし。

……姉上とはまだ決着はつけてないって話だが、それも状況が許せばってところか?

表向きはまだまだ冷戦状態っぽいが、そこも周囲の余計な梃入れとかを警戒してのことだろうし。

こればっかりは姉上側の方も王位継承興味ありませんアピールとか、魔学フィーバーも大いに絡んでくるから簡単にはいかないだろうからな。

俺としても経緯を見守るしかない……っと、話を戻さねえとか。

姉上の事はさておき……確かに今の二人なら仮面夫婦を演じるくらいなら特に問題は無いだろう。

国の駒として生きることに疑問を抱いていない、ないし諦観していた以前の二人ならば妥協出来たんだろうが……。

どちらも、もう自縛他縛な頃とはおさらばしてるわけだからな。

ユフィリアは人間らしい欲とまでは行かなくても、敷かれた道をそのまま歩む人生に疑問くらいは抱いている。

だからこそ、先ほど言ったように型から外れる努力も見せるようになってきたからな。

アル兄さんも俺の革命を手助けする方向で動きながら、自分自身の王道をちゃんと模索しているし。

さっきは名前出さなかったが、ラインヒルト先生とかレオン先生にも相談したこともあるらしいぜ?

よっぽど周りに信用できる大人がいなかったんだろうなあ……父上とか母上には相談できないことだろうし。

まあ、何にしても二人して反抗期真っ盛りな時期に突入しているわけだ。

そうなれば、後の影響も考慮しつつ関係解消となっても何もおかしくはねえわな。

 

「これでも1年ほど悩んだ末の結論で、ヤケとかではないのでご心配なく。簡単なことではないとは理解していますし、このタイミングの婚約解消は少なからず国政に影響を与えかねませんが……それでも、互いの立場を縛るだけの関係は私の本意ではありません」

「周りが五月蠅くなりそうだし、ユフィリアの評価も一旦危うくはなるかもな……ったく、面倒なもんだよな本当に」

「私個人の影響については……まあ、覚悟は出来ています。問題は他にも色々とあるので、今すぐにという話ではないのですが」

 

そう、ユフィリアの場合はその地位が本当に面倒にさせている。

そもそもが国の未来ばかりを考慮した関係であり、王族のお相手として相応しいとして選ばれたってことだからな。

まあ、元々父上とマゼンタ公爵……グランツ公は親友同士だから、そこでご友人価格みたいなのが働いたってところもあるんだろうけど。

何にしても、そんな公的な理由が主な婚約を個人的理由で解消ってなったら向かい風は必至だ。

……これだから嫌なんだよな、国の歯車みたいに扱う人事ってのは。

この点は、陽ノ花家でもちょいと似たようなことが起こってるから困り所なんだが……。

ミココロからの手紙でも、そこら辺が未だに悩みの種だって情景が浮かんできそうなんだよなあ。

──やっぱ俺は王族らしくなくて良かったな、そうでないと絶対色々おかしなことになってた気がする。

 

「まあ元はと言えば王家側から出た話だ、父上とかアル兄さんがどうにかするだろ……ユフィリアの評価も、公爵家との辻褄合わせもな」

 

そうじゃないと沽券に関わるからな、王家としては。

今のアル兄さんなら上手いことカバーしてくれそうだからさほど心配はしてないし。

父上も親友かつ忠臣の娘となったら、負い目全開になるだろうから全力でフォローするはず。

唯一の心配は、日常的に姉上に痛めつけられている胃の方だな。

多少時間かかっても、まあトータルで挽回は何とでもなるんじゃないかねえ。

ユフィリア程の人材を国外に嫁がせるとか論外だろうから、国内で多少強引にでもポストを用意するってところか?

 

「マッド様、貴方も十分関わっているのに何を他人事みたいに仰っているのですか……?」

「は?俺は婚約そのものには関わってねえんだ、補填なりをする必要は全くないだろうがよ」

「そもそも私をこのように変えてしまったのは他ならぬマッド様なのですよ?──かつての私を壊した責任を取る、お忘れになりましたか?」

 

……その返し、久々に聞いた気がするな。

忘れた頃にとはよく言ったものだが、このタイミングでそれは俺としては致命打である。

ったく、何でこう的確に突いてくるのかねえ……。

飛行トカゲはおろか、妖魔王辺りでも易々と出来ないことを平然とやるんじゃねえよ。

実戦を考慮するつもりは毛頭ねえが、口では正直リズムを乱されることが多くて敵わん。

……んでもって、それに悪い気がしないと思う自分が気持ち悪くてしょうがない。

 

「……ああはい、そうでした、そうです、その通りです。だから変に詰め寄らんでくれ。今は誰も見てねえが、まだ婚約中の身なんだから節度は持ってくれ」

「……マッド様から節度という言葉を聞くと、どうも違和感を覚えますね」

 

何だとコンニャロー、俺だってそれくらいの良心は持ってるっての。

というか、何でいつの間にか俺の横に来ておるのかなこのご令嬢は。

最近、妙に時折距離感バグってる気がしてならないんだが。

そして3年前の俺のクサい責任発言をまだ揶揄うか!

その上で合わせ技ばっかり増やしやがって……高速移動とかいつの間に覚えやがった?

技マシンみたいな都合がいいものが転がってるわけじゃねえよな……はたまたセラの教え技か?

この部屋に俺たち二人以外誰もいなくて良かったわ。

セラ以外の誰かに見られた日には、もはや外歩けねえ。

その時は全力で家出して白夜宮に籠ってやる。

そしてオルタと一緒にカイト&ミココロコンビを全力で弄って鬱憤を晴らす!ヨシ!

 

「この3年こんなじゃれ合いが出来るようになったので少しは褒めて欲しいところなのですが」

「俺以外にもある程度やってれば褒めてやりたいが……どうせ取り巻きまでなんだろ?アル兄さんでも良くて皮肉の応酬くらいってところだろうしな」

「……マッド様相手にこう出来るだけでも随分マシになったと自覚はしているんですが、まだ足りないのですか?」

 

ダメだこいつ、早く何とかしねえと……ったく、ぼっち街道まっしぐらじゃねえかよ。

いや、1年経っても相変わらず取り巻きばっかりってのはユフィリアの問題だけじゃねえ気がしてきたぞ。

学院でも、少しは表情が出るようになって前よりかは接しやすくなってきたと評判も聞くらしいし。

あ、これ暇つぶしで潜入したどこぞの変装趣味姉さん経由情報な。

公爵令嬢という地位とその圧倒的ポテンシャルのせいで尻込みしてんだろうなあ……マジで面倒だな貴族社会。

俺はそんなの真面目に御免被るわ、ラスとかキュイとかみたいに気軽く接してほしい。

畏まるのが譲れないとしても、言いたいことは言われた方がスッキリする。

今の顔ぶれがまさにそれだからな。

 

「まあある程度発散してるって意味で成長してるってことにしてやる。──だが、やりすぎなよ?じゃねえと特に同性から悪女認定なんてされかねないからな」

「ご忠告痛み入ります。そうですね……適度に気を付けるとしましょう」

 

あーうん、その顔は完全に馬耳東風ないしスルー検定取ってきましたってヤツだな。

全く、3年前では考えられなかったような表情をホイホイと見せやがって……。

返しもだんだん不敵だったり無自覚な煽りが入ってたり、何か逆に怖いんだが。

……誰に似たんだ、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ユフィリアを途中まで送って戻ってきてから俺は工房に籠る。

昼間だから送るのは大丈夫じゃね?と思ったんだが、ユフィリアの強い希望で結局いつものような流れになってしまった。

全く、いくら婚約解消決意したからって大胆になるなら方向性を考えて欲しい、具体的に言うなら石橋を少しは叩いてくれ。

実はクリスティーナ姉さん辺りが変なこと仕込んでるとかじゃねえだろうな……。

っていうか、最近セラも妙な動きを見せている辺りマジでそれだったりしてな。

いや無いとは思いたいんだが、妙に攻勢に出るパターンが似ているというかデジャヴを感じるというか。

そんなこんなで相変わらずスリリングな時間は何とかやり過ごすことは出来た俺は自由の身だ。

とりあえず、精神持ち直しとばかりに長年の相棒になりつつあるセイリオスと千紫万紅の手入れ作業をしている。

セイリオスとは7年、千紫万紅とは4年になるが……まあこいつらとは随分色々と暴れてきたものだよな。

 

「……やれやれ、回想に浸るなんて柄でもねえんだがな」

 

あの革命発起から7年経過して俺は15になったが、まだ水面下での行動に徹している。

顕魂術のゆっくり浸透計画は、亜人種の中でもかなり進んでいる方だ。

エルフやダークエルフ、はたまたミケ族やクラマ族辺りは大体使えるようになったと言ってもいい。

亜人種ってのは結構国内で迫害受けてたり裏で奴隷として売り飛ばされるケースも多いから、生活手段兼自衛手段になるということでかなり感謝されたね。

元々が少数民族のクラマ族は抵抗軍なんてものがあるくらいだから、単純な戦力補強にもなったとのことだ。

3年前は不覚を取っていたが、今となっては多分普通の騎士になら負けないくらいの戦闘力はあるんじゃねえか?

実際に東部の戦力として重用されてるみたいだし、何なら俺が近衛としてスカウトしちまったくらいだからな。

ちなみにこの東部の活動自体は、アル兄さんもコッソリと一緒に動いてくれていたりする。

何なら自分の顕魂術の強化の機会にまで利用しているくらいだとか……相変わらず抜け目のないこって。

顕魂術の部分を隠匿こそしているが父上と母上の暗黙の了承もきっちり得ていることも大きいな。

あくまで俺の東部開拓や治安維持に乗ったという形ではあるが、それでも実績としては悪くないからね。

──まあ、それだけで姉上のやりたい放題に真正面から対抗は出来ない。

が、今のアル兄さんはいい意味で狡猾さを秘めてるから特に気にしてないみたいだ。

使えるものは使っておけって俺やイグノックス兄さんが一緒になって教えてたが、有言実行しているようで何よりだね。

やっぱ、泥を啜ってきた人間ってのはその切れ味が一味違うってものだ。

で、顕魂術については……発明者が俺であることは未だ世界的なトップシークレットだ。

相変わらずグランナイツや偉志の大陸全体、ラスやキュイにヴィルジールと俺の身内しか知らない状況が続いてる。

『東から来た賢者が辺境で教えていた』という、若干荒唐無稽な噂が飛び交ってるくらいだな。

王都周辺ではあくまで『精霊を使わなくても魔法を使える術があるらしい』という眉唾扱いだったか?

大半の貴族は鼻で笑ってたらしいが、そもそもの狙いがそれだから何も問題は無いね。

──何せ、その絶妙ラインな噂を流したのはヴィルジールだからな!

グランナイツの面々は良くも悪くもまだまだ健在だ。

レオン先生やルドミラ姉さんは相変わらず国内国外問わずに駆けずり回ってる。

デイジー師匠、カルリッツ父さん、ラインヒルト先生は王都で表向きは騎士団業務で裏向きは俺のサポート。

特にラインヒルト先生はヴィルジールと交流を持ってからは国内外の情報受信に大忙しっぽいな。

人員増やしてやりたいんだが……残念、この国ってそういう人材マジで不足してるんだよな。

何せ母上が直に外交の為に赴かなければならないほどだし。

そういや、あの王家監視役の貴族と話してる姿も見たことあるが……そっちは上手く行ったのかね?

折を見てそっちの方とも接触してみるべきかもな……ほら、俺は外れ者だし?

カルシオンは今でも俺を連れ出してくれるし、一人で放浪しては時折有益情報を持ってきてくれる。

エリオ姉さんは別の切り口で俺の助けになろうとしてくれて、遺跡調査とか古代文明の文献を回してくれてる。

──え、そろそろいい年頃な俺のそういう浮いた話?

あるわけない、そんな余裕ありません、以上!

そんなこんなで、水面下の活動は密にしながらも表向きはいつも通りに過ごしている。

ただ、これだけ時間も経てば年月を感じさせることも当然ながらいくらかある。

 

「ああマッド、良かった!いつも通り工房にいてくれて助かったよ」

 

はい、その割と年月を感じるなあ筆頭候補が元気にやって来ました。

我が親愛なる幼馴染のラス、俺の2つ上なので17になっている。

そりゃあ時間の流れを感じるものだよなあ……だって10年以上の付き合いだぜ?

随分おっさん臭い言い回しじゃないかって?

喧しい、そういうのはレオン先生とかラインヒルト先生に言ってやれ。

 

「どうしたどうした親愛なる幼馴染よ。一発で見習い脱出できるような任務でも入ったか?」

「いやいや、そんな任務都合よく転がり込むわけないじゃないか……。カルリッツと母さんはそこら辺弁えてるって」

「レオン先生ならやりかねないかもしれんがな?後はクリスティーナ姉さんも怪しいところだ」

「……大丈夫、その場合はイグノックス様やラインヒルト様が止めてくれるから」

 

ちなみにラスは無事に試験に一発合格して、無事に騎士団入りを果たしている。

現在は見習いとして下積み中。

サラブレッドだとしてもそこは例外は無い、まあカルリッツ父さんとデイジー師匠らしいね。

まあ、その血筋ってだけで最初は変なのに絡まれたこともあったみたいだが色々な手法で黙らせたっぽいな。

時にはその誠実さで絆したり、時には実力を示す形だった。

似たような時期に同じような理由で絡まれたイグノックス兄さんは悪童上等とばかりに黙らせたってことを考えると、天と地ほどの差だねえ……。

ちなみにキュイも同じく一発合格なんだが、こっちは筆記で盛大にやらかしてくれたんだよなあ……

まあ、合格すりゃあ別にいいんだが……お陰で筆記の見直しに繋がってしまったよ。

言うまでもないが、二人とも見習いから正騎士になった暁には一気に俺の特別近衛騎士入りまで確定している。

なお、その枠は現状後3人……ちょいと述べたスカウト組だな。

 

「って雑談してる場合じゃなかった。さっきの任務で記憶喪失の女の子を保護したんだけど明らかに事情が複雑そうで……」

「要するに保護者役やれってことか?まあ、張りぼてとはいえ俺も王族っていうカードは切れるっちゃあ切れるが……」

「流石はマッド、話が早くて助かるよ。一応この件についてはカルリッツも知ってるから、独断専行は心配しなくても大丈夫だよ」

「そういうのはいらん心配だっての……お前も随分と言いたい放題になってきたな」

 

俺の一挙一動にツッコミを入れていた愉快なラスはどこに行きやがったんだ?

にしても、記憶喪失女子とはねえ……。

これまた、一発で分かるようなワケあり案件が飛び出してきたもんだな。

カルリッツも同行してたってことは、保護した場所は最近見つかったっていう洞窟か。

その上で真っ先に俺に来たってことは、その手の関連って可能性が高いっていうことだろうな。

ラスとは10年レベルの長い付き合いだ、これくらいはまあ読めなくはない。

コイツはお人好しではあるが決してそれ一筋ではない……そこはイグノックス兄さんやデイジー師匠の教育の賜物だ。

恐らく出来得る限り頭を回して、その結果俺の出番だと行き着いたってことなんだろうよ。

──そんな健気な幼馴染の要望に応えないような愚者に育てられた覚えはねえよな。

 

「まあ、誰でもないラスが言うならすぐにでも行くとしますかね。あいつらの顔も見たくなってきたからな……っていうか、もう離宮の屯部屋にいるのか?」

「うん、キュイがセラさんのお菓子食べたいって真っ先に向かってそのままみんなで……」

「東部で作れるようになったアレを嗅ぎつけたか……まあ、俺としては嬉しい限りなんだがね」

 

ラス達は俺の離宮の一室……ユフィリアと会う時にも使うあの部屋で屯することが多い。

本来なら一介の騎士、それも見習いが第2王子の離宮でというのはどうなんだって思うところだろうな。

だが将来的に俺の特別近衛騎士になるのは確定事項なんだぜ?

何なら、今から慣れておいてもいいんじゃないかと俺が許可した。

流石に人数が人数だから、各々に部屋を用意するなんてことは出来ないのが歯がゆいところなんだがね。

いずれはグランナイツ会館に並べるように専用の会館立てるか、俺の離宮を大改造するかのいずれかが必要になってきそうだ。

しかしキュイめ……そんなに偉志の大陸産の菓子が気に入ったか。

用意するセラもさぞ喜んでることだろうな。

その火付け役となった俺としては、少しだけ鼻が高くなるってものだ。

これでも自他ともに認める偉志ノ大陸贔屓なもんなんでな!

え?王族としてそれどうなんだって?知ら管で。

さて、そのわけありお嬢さんとやらに会いに行くとしますか。

……にしても、ユフィリアを送った後で良かったな。

 

「あ、ユフィリア様を送り出す様子はキュイがばっちり見ていたから口止め料は用意しておいた方がいいと思うよ?……後、もう少し自然にしてもいいんじゃないかな」

「余計な助言をどうもありがとうお人好しラス君。つうかお前もちゃっかり属性に染まってんじゃねえよ!」

 

ああくそラスにまで弄られるようになっちまうのかよ……。

ただでさえアクが強い顔ぶれの中でまだまともな方で、唯一の砦と言えるお前までそっち側か。

くそ、時の流れってのは嫌になるくらいに残酷だな!

 





次回、一気に現代組一斉登場でにぎや蟹なります。

Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)

  • 転天キャラでのNLとか他絡みを所望
  • グランサガの二次がレアすぎて
  • バトルハードモードに釣られた
  • ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
  • その他(そもそもの作風とか)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。