転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

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というわけで後半戦スタート。
ノヒルリア様は章ボスではないんですよね。



27.異変蔓延る森林へ

 

盗人の暴挙により蘇った英雄たちを無事に鎮めたマドラーシュ一行。

しかし、これはあくまで盗人の妨害行為をかわしたというだけに過ぎない。

肝心のセリアードのブローチはまだ取り返せてはいないのだから……。

地下霊廟を出てから、探知役のロムは即座にブローチの反応を探知を始めていた。

その間、残りの面々は最悪のことを考慮に入れた上での相談タイムに入っていた。

 

「確か、あの盗人は他にやることがあるって言ってたよね……そこから行き先を推測できないかな」

「そのやることが全く分からねえからな。ここは基本に立ち返って、目撃者を探すってのが無難じゃねえか?」

「えー、あんなに逃げ足速いのにそんなことしてたら手遅れにならない?」

 

キュイの懸念はまさしくその通り。

相手に逃げ切られたらそれで終わりなのだから。

そもそも、相手の素性がまるで分かっていない上にブローチを盗んだ動機も未だ不明だ。

強いて言うなら、ブローチの力をある程度自由に使えることが判明している程度。

相手の行動指針がまるで読めないこと、これが現状において翻弄される最もな原因となっていた。

 

「うーん、薄っすらと気配はあるけど方角までは……って感じだね」

 

探知結果はやはり芳しくはなかったようだ。

まだ探知外の距離じゃないというのは唯一の救いというべきなのか。

 

「探知内にはまだいるということだな。そうなると……ヤツの狙いは思ったより時間がかかることなのか?」

 

逃走に徹していれば、霊廟までの速度を考慮すれば間違いなくもう追えないほど距離は開いているはず。

そうでないならば、必然的にそのやることで時間がかかっているということだ。

 

「……ねえ、さっきの亡者って本当にただの足止めだったのかしら」

 

その流れに対し、ナマリエが疑問という形で一石を投じる。

この時、一部は再逃走を図る時の盗人の様子を思い出していた。

 

「……言われてみれば、亡者の出現はアイツの予定調和っていうか、狙っていたような感じだったな」

「そう、それよ。そして予定調和って割にすぐその場を去ったじゃない?あの様子からして、霊廟でしでかしたことは前座というか、実験みたいな感じに取れないかしら」

 

ナマリエとカルトの言葉に、残りの面々も完全に思い出したようだ。

ブローチの力により亡者が復活することが目的だったとしたら、そのまま放置するのも妙な話だ。

明らかに捨て駒のような扱い。本命ならば完全に傀儡にするなりもう少し処置を施すところだろう。

その時間が足りなかったというには余りに慌てている様子もなかった。

 

「ナマリエ、その線は悪くないかもしれねえぞ。さっきのがブローチの力の実験の1つだとしたら、今やってることがまさに本命ってことになる」

「その場合、おあつらえ向きなのはこの辺にいるねえ。俺とマッドを含んだグランナイツ数名で抑えた、アイツがな」

 

マドラーシュとカルシオンは心当たりがあるからか、この仮説はかなり有力と見ている。

この周辺に、英雄と呼ばれるべき存在の亡者よりもとんでもないのは確かにいる。

それが何かを聞き出そうとしたところに、遠方から見知った人影がこちらに近づいてきた。

 

「マドラーシュ王子殿下、カルシオン殿。それにラス達も、霊廟の中の亡者も鎮めたのですね」

「ああ、ちょいと面白い稽古もしたりしたが概ね問題なく片付けたぞ」

「その様子だと、負傷兵は無事安全地帯に移送できたんですね」

 

先ほどはそれなりにいた負傷兵が霊廟入り口周辺に一人もいないことがその証拠である。

救援をした当人としても、安堵するばかりだ。

 

「指揮官、移送の途中で私たちが追ってる盗人を見たりってことは──流石に無いわよね?」

「ああ、霊廟に入った輩のことか。残念ながら、こちらの方角に逃げているのを見た者はいないな」

 

もしかしたらを考慮して目を光らせてはいたからこそ、見落としは無いと断言できる雰囲気だ。

しかし、これは逆を言えば方角を多少は絞る材料でもある。

 

「奇妙なルートを使わない限りは……距離も考慮すると、オーク遺跡の方か?」

「わーお、これはマジで俺とカルシオンの予感が当たりそうだぞ」

「さっきから何勿体ぶってるんだ。お前が楽しそうに話してると嫌な予感しかしねえぞ」

 

そこまで長い付き合いでないスカウト組でも分かるほど、今のマドラーシュは嫌な笑みを浮かべていた。

こういうところが王族らしくないと言われる由来である。

その振る舞いの元凶も同じような顔をしているのが、更に嫌な予感を加速させる。

 

「オーク遺跡の更に奥に封印されているウガルーってやつが封印されてるんだ。ブローチを使ってその封印を解こうとしてるってのが、俺たちの推測さ」

「ちなみに最初に封印したのは俺とカルシオン、レオン先生にカルリッツ父さんにイグノックス兄さんだったか。結構歯ごたえあったよなあ」

「女性陣がみんな出払ってて近接戦メンバーで行くハメになっちまって、ちょっとだけ苦労したよな。いやー懐かしいね」

 

この時ラスはそれなりに古い出来事を思い出した。

具体的に言うと、マドラーシュが近場に赴いた割にはやたらボロボロで帰ってきた日のことを。

その日は急遽稽古が中止になって、知り合ったばかりのキュイと一緒に王都内をうろついていた記憶がある。

キュイと知り合ったばかりというところで、正確な時期も思い出してしまった。

 

「マッド……あの時って9歳くらいじゃなかったっけ」

「流石ラス、よく覚えてるじゃないか。あの時は、カルシオンの無茶振りに意気揚々と乗らせてもらったんだよな」

「きゅ、9歳でそんな魔物と戦っていたんですか……?」

 

マドラーシュのこの発言に、その場の全員がカルシオンにジト目を向けた。

セリアードはマドラーシュが幼き時からの波乱万丈っぷりに驚きを示しているが、それは初耳だからである。

詳しい事情を知っていても知らなくても、9歳の第二王子をそんな戦場に連れ出すなど正気の沙汰ではない。

当本人は口笛を吹いてどこ吹く風の様子だが。

 

「しかし、その線は有力かもしれないな。先ほど、カルリッツ殿がそれなりの数の兵を連れてオーク遺跡に向かっていたからな」

「え、カルリッツが!?まさか、もうそのウガルーが復活しているとか……」

「ブローチを使って復活させる都合さっきと似た気配がするはずだけど、そこまで強烈なオーラは感じなかったから多分まだだと思うよ」

 

先ほどの爆発的な魔力の放出はある程度の距離でも分かるらしい。

それが無いということは、流石にウガルーの封印解除という一大イベントは発生していないのではというのがロムの見解だ。

魔力感知が鋭いマドラーシュも同じ見解で、静かに頷いているのを見て一行は安堵の息を吐く。

 

「遺跡周辺のオークが凶暴になっていると冒険者から通報があったらしい。もしかしたら、同じような暴走を起こされた可能性もある」

「どちらにせよ、オーク遺跡に向かう理由は出来たわね」

「あっちこっちで魔物を暴走させてるなんて、随分迷惑などろぼーだね……」

 

あらゆる要素がオーク遺跡の方角に集中しているなら、向かうことを躊躇する理由はない。

途絶えかけていた手がかりが再度繋がったことから、各々のモチベーションは明確に上がっていた。

 

「よーし、マッド様と愉快な仲間たち。いざ、オーク遺跡へ全速前進だ!フィオナ指揮官、情報提供感謝する!この礼はいずれ顕魂術を直に伝授する形で返すのでよろしく!」

「何という光栄……!──こほん、楽しみに待っております。そのためにも、無事にご帰還なさるよう祈っております」

「あはは……フィオナ指揮官も相変わらずのファン魂ですね」

 

フィオナは一瞬喜色を見せるが、その場に帯同している部下たちは重々理解している。

マドラーシュは騎士団で支持されているのは既知であろうが、その中でも女性騎士からの尊敬の念はより大きいものだ。

女性が騎士になることは可能ではあるのだが、以前までは……否、今でも舐められることがどうしても多い。

グランナイツの女性陣も、実績で黙らせるまではそれなりに陰口を叩かれていたほどなのだから。

そこにマドラーシュが年齢を言い訳にしない実績を積み重ねた上で、『性別を言い訳にしないで強さを求めてる、これに難癖つけるとはいい身分だな』と見事にぶった切りにかかったのだ。

彼自身デイジーに師事しているから、ということもあるのだがそれ以上にその手の固定観念を嫌うらしいにも程がある理由が大きい。

幼少期から遥かな高みに食らいつこうとする破天荒からの発破、更には的確な助言や手ほどきは劣等感に苛まれる者にとっては眩くも明確な導なのだ。

幼馴染のやりたい放題の結果をこれまたまざまざと見せられたラスの苦笑の裏には、どこか誇らしい気持ちも含まれている。

 

「って、ウチまで一括りってどういう了見さ!そこはマッドとキュイ騎士団とおじさんズでしょ!」

「いやお前の騎士団でもねえだろ……」

「おいキュイ、カルシオン殿はいいとして後は誰がおじさんなんだ……?」

「ウィン、そこはお爺さんじゃないだけマシって思いなさい」

 

わけわからん発言がいくつも飛び交いながら、意気揚々とマドラーシュ達は次なる目的地へ出発する。

無論、セリアードとロムを守るような陣形を崩さないようについていくのは忘れずにだ。

そしてカルシオンもそれについていく……というところでこっそりと声をかけられた。

 

「カルシオン殿。あまりマドラーシュ様とラス達に無茶はさせないでくださいね……?」

「あー……まあ、善処はするよ」

 

先ほどのマドラーシュへのスパルタ染みた戦場連れ出し発覚からの釘差しだった。

これにはカルシオンも苦笑で返さざるを得なかった。

ただ、もはやグランナイツの中では今更の話なそれを、彼が自重するかと言われたら……。

恐らく、誰もがノーと答えることだろう。

専属侍女から言わせてもらえば、それは世界の真理ですらあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーク遺跡に向かう途中には、蜘蛛型の魔物『アラクネ』の生息地帯を抜ける必要がある。

ちょいと身構えていたんだが……まあここは大して問題は無さそうだな。

ブローチの影響をそこまで受けていないからか、アラクネたちは割といつも通りだ。

たまに住処を脅かされると勘違いして襲い掛かってくるのもいるが、そういうのは軽いお灸がてら気絶させている。

流石に生き物としての本能で動いてるだけのやつは殺すには忍びないからな。

それに俺、蜘蛛って生物自体が好きだし。

結構愛嬌あるし、性質を理解すれば立派な益虫になり得るからな。

偉志ノ大陸では蜘蛛の妖怪はそれなりにいたが、そんなに悪いヤツがいなかったのも好印象の要因だ。

 

「ああくそ、こっち来るんじゃねえ!俺たちは別にお前たちをどうこうしようって気はねえんだよ!」

 

あ、そういえばカルトは蜘蛛が滅茶苦茶苦手だったっけ。

しゃあねえ、下手に斬られても俺が悲しくなるし穏便に済ませるとしよう。

 

「ほーい、ちょいと痛いけど我慢してくれよー」

 

調整という意味で最もやりやすい風属性の弾丸を作って、軽くぶつけてやる。

割と遠くまで転がしたが、ピクピク足が動いているから気絶程度で収まってるな。

どこぞの電撃ネズミの1ボルト調整のようなものだな。

これも日頃の魔力調整鍛錬の賜物ってやつだ。

 

「そんな軽い弾丸も放てるんだ。さっきの戦いでは派手な攻撃ばっかりだったから意外だね」

「とある友人の受け売りさ。こういう時は、変に殺生沙汰にしない方が事をスムーズに運びやすいってよく言われたからな」

「マッド様には色々なお友達がいるんですね……でも、無闇に倒さない精神は立派だと思います」

 

ちなみに、偉志の大陸にいるぽやぽやでどこかに飛んでいきそうな雰囲気な姉弟子のことな。

あちらはよくパルヴァネ師匠にそれを貫くだけの力も得よと言われてたっけな。

『調和』を為そうにも、無力じゃあ何にもならないってことだ。

理想を為すには力がいるし、力を適切に使うためには理想という柱がいるとはよく言ったものさ。

 

「見えてきたぞ!オークと……騎士団の兵たちだ!」

「カルリッツ!今行くよ!」

 

よし、今回の一番槍はラスに譲ってやるとしよう。

アイツも、カルリッツ父さんの前でいいところ見せたいだろうしな。

……っていうか、やる気満々なのかカルシオン以外はどんどん続いてやがるな。

まあいい、そういうことなら今回はおとなしくさせてもらおうか。

俺はセリアードお嬢様のガードに徹するとしますかね。

 

「マッド様、少し疲れていらっしゃいませんか?」

「……正直に言うと、さっきテンション上げ過ぎた」

 

セリアードにはバレているようだし、ここは正直に白状させてもらう。

今回自重したのは、さっきのノヒルリアとの戦いの消耗から少しでも回復しておきたいから。

最後の大規模顕魂術の使用もそうだが、あれだけの強敵相手だから精神的にもそれなりに摩耗しちまった。

相当頭も稼働させてたが、オーバーワーク一歩手前だったろうな。

その反動から割と反応が鈍くなってる感じが凄い。

ヤバいの相手だとマジの1発を貰いかねん、それほどまでには弱ってるね。

その摩耗を自覚してるだけマシではあるが……。

やれやれ、我ながら本当に脆くて情けねえ。

イグノックス兄さんに頼んで地獄の討伐耐久訓練でも組んでもらうかね。

 

「それにしてもよく気付いたな。割と誤魔化せてる方だと思ったんだが……」

「えっと、霊廟に入る前より空元気って感じがして……すみません、踏み込みすぎですよね」

「いや、むしろ指摘してくれてありがとさん。下手に気を遣わんで済むってことは、気兼ねなく回復出来るってことだからな」

 

アイツらですら気付かなかったと言うのに、出会って1日足らずの付き合いでよく見てるな。

カルシオンも気付いてはいるんだろうが、アイツは逆の意味で気遣って言わないだけだから除外してる。

……もしかして、これだけの短時間で顕魂術を大量に見たから感知能力が開花したのか?

さっきの記憶を読み取る能力も考慮すると、やっぱりかなりの潜在能力持ちなのか。

恐らくはあの血筋なんだろうが……いや、それに加えて気質もか。

人材ってのは思わぬところに眠ってるもんだ。

 

「──あれ?この匂いって、この遺跡では普通なのでしょうか」

「え、匂い?……あっこの壺みたいなのからみたいだね」

 

言われてみれば、さっきから随分と変な匂いがするな。

ロムの飛んで行った方には、見るからにアロマを焚く用途のポットが置いてある。

──これはもしかしなくても、そういうブツじゃねえか?

 

「カルシオン。この辺で似たようなの探しておいてくれないか?」

「了解っと。ついでにおかしくなってるオークの数を減らしておいてやるよ」

 

何も文句を言わずにカルシオンはオークと騎士団たちの戦場へ向かっていった。

アイツも多少疲弊してるだろうが、これくらいのお使いなら全然大丈夫だろ。

 

「マッド様、これはひょっとして……」

「セリアードも感づいたか。恐らくアレが魔物凶暴化の原因だ」

「霊廟に入る前のゴブリンたちもあの匂いの影響で暴れてたんだね!」

 

まあ比較検証が出来てないからあくまで仮定の域は出ないがな。

何にせよブツを集めておいて損はないだろう。

最悪帰ったらエリオ姉さんとかに見てもらってもいいし。

 

「おっとこっちにも来やがったか。どんだけやる気満々なんだよっと!」

 

オークが2体ほどこっちに来やがったから、いつものスティンガーからのコンビネーションでそそくさと撃退態勢に入る。

突進突きから風の散弾、吹っ飛んだ先に1発ずつ闇と火のブレンド火炎弾でフィニッシュだ。

そこまで魔力は食わない顕魂術のみ、かつ連動イメージもきっちり出来る組み合わせだから精神的に疲れもしない。

吹っ飛ばしてから追撃してるからセリアードとロムに被害が及ぶことも無い。

小型相手にはやっぱこれだな、省エネ万歳ってな。

狂暴化してる分、動きが雑になってるからまとめて仕留める方向にすると却って楽で助かる。

 

「あはははは……確かにこれなら疲弊してるマッド一人でも全然余裕だね」

「おいおいそんなに引くことじゃねえだろ?こういう省エネ戦法も大事だってカルリッツ父さんから教わったんだぞ」

 

最小限の労力で最大限の成果ってやつだな。

特に、長期戦になることが推測される場合は猶更大事だ。

カルシオンとイグノックス兄さんに連れられて強敵を倒せるようになった辺り、俺は割と調子に乗ってた時期があった。

そこに待ったをかけるが如く、レオン先生とカルリッツ父さんが籠城戦や防衛戦に俺を連れ出してな。

長期戦、または周囲に被害を及ぼさないようにする戦いってのは、また勝手が随分違った。

いやはや、戦い方を急にシフトさせるのには結構苦労したもんさ。

あれから大威力だけでなく、最小労力にして最大効力も並行して……何ならこちらを主題にして追求するようになったからな。

パルヴァネ師匠の修行……魔力制御や探知感覚の養成の重要さもそこで深く理解した。

結構色々な点と点が繋がったいい経験だったね。

そんなこともあるからカルリッツ父さんにもそこそこに頭が上がらないんだよな。

ラインヒルト先生と同じく、結構俺の尻ぬぐいもしてくれてるってのもあるし……。

俺にとってはどちらもいい父親分だよ、本当に。

 

「マッド様は本当に皆さんを家族のように思ってるんですね」

「確かに実の家族関係はある程度割り切ってるが……やっぱ、孤独ってのはいい気がしねえんだよ。ああこれ、口外禁止でよろしくな」

「バレたら絶対ナマリエとかキュイに弄られちゃうもんね。3人の秘密にしておくよ」

 

やべ、ついつい本音が出ちまった。

セリアードってやっぱそういう気質あるんじゃねえのか……?

癒し系だから、ついつい俺もポロっと口が滑ってしまうというか。

二人の口がそれなりに堅いことも願うとしよう。

まあ今となってはアル兄さんがそれなりに接してくれるから、そういう寂しさもマシにはなってるんだけどな。

俺としてはこっちの家族付き合いの方が心地よいのは確かだし、アル兄さんももはやこっち側に巻き込んじまってるくらいだ。

 

「マッド、セリアード、ロム!もう来て大丈夫だよ!」

 

お、どうやら終わったようだな。

さっきの2体以外こっちに来させなかったのはなかなか高得点だ。

……奥の方が何か凸凹してるのは見なかったことにしてやる。

原因は言われなくても分かるし。

 

「お?マッドが後衛なんて珍しいな。楽したいなんて性分でもないだろうに」

「ラス達が結構張り切ってたからな。戦意高揚の為にあえて任せて折れは護衛に徹してた」

「なるほど、部下に当たるラス達のことをよく見ているな。その辺りを教えた身としては喜ばしいことだ!」

 

これはこれで嬉しい褒められ方なんだが……カルリッツ父さん、ちょっと肩叩く力が強い。

あの戦いの後で少しビリビリするからもうちょい抑えてくれ。

って、今度は頭を雑に撫でるなー!

いつぞやかユフィリアにされた時ほどではないが、それでも若干恥ずかしいから!

もう15になるんだ、もうちょい大人扱いしてくれよ!

 

「ははは、どれだけデカくなっても俺にとってはもう一人の息子なんだ。頭を撫でて何がおかしい?」

「ならせめて力を弱めてくれっての!」

 

こうならない為にももうちょい身長伸ばしたほうがいいのか?

一応現在の俺はオルタとそう変わらないくらいだが、高身長って言われると違うからな……。

あー、でもカルリッツ父さんの場合はそんなの知らんと言わんばかりか。

 

「ぷっ……髪がちょっと乱れてて面白いことになってるわよ。早く直したら?」

「面白がってないでとりあえず何か貸してくれ」

 

とりあえず適当でいいからセットし直しておかんとな……。

ああクソ、かき上げるだけでオールバックにする技術が欲しいな!

デビルワックスみたいなやつ、変装の時に便利だからマジでくれ!

 

「ご、ごめんマッド……。カルリッツの姿見ただけでつい先走っちゃって」

「カルリッツの姿を見て張り切るのは想定済みさ。むしろお前が真っ先に動いてくれたから俺も気兼ねなくセリアードの護衛に集中できたからな」

「そうだぞラス。お前たちが来てくれたからこそ兵の被害もだいぶ抑えられた。剣の腕もだいぶ上がったようだし、師としても俺の鼻は高いぞ!」

「ちょっとー!あんなにいっぱい倒したんだから、ウチのことも褒めてよ!」

 

ラス、褒められてあからさまに嬉しそうにしやがってこの同類め。

そしてキュイに関しては、カルリッツ父さんの困り顔で俺は全てを察した。

まーた大火力でやりたい放題して、あの凸凹を作ったんだろ、

いいところ見せようと色々派手にぶっぱしたと推測した。

霊廟ほどじゃねえが、遺跡吹っ飛ばしたなんて話になったらそれはそれで面倒なんだぞ……?

放浪王子から破壊王子にカオス化よろしくなランクアップはご勘弁願うぜ。

 

「家族団欒のところ横から失礼するよ。目につく類似品は全部回収してきたぞ」

 

お、カルシオンもいいタイミングで戻って来たな。

これでこの場にグランナイツ2名と、なかなか豪勢なことになってきたぞ。

ブツの数はロムが見つけたのを含めて5個ってところか。

この分だと、ほぼ遺跡全域にニオイは行き渡る計算か?

 

「カルシオンもいたのか……一体何を回収したんだ?」

「そこのお嬢さんが変な匂いに気付いて、妖精さんがこれを見つけてな。遺跡中の似たようなものをかき集めてきたのさ」

 

5個もあるからか匂いが流石に強烈だな……嗅覚遮断したくなるほどだ。

この場の全員が揃って鼻を塞ぐ程だから、相当だなこりゃ。

ったく、この香害だけでも十分犯罪になり得るぞ……。

窃盗罪に魔物誘引罪に加え、3つ目の罪状追加ってことで。

あ、俺のことを怒らせた罪もあるから4つ目か。

 

「多分この匂いがこの遺跡の魔物を狂暴にした原因だ。こんなものが普段から遺跡に置いてあるわけないだろ?」

「この匂いが普段からあったら通行人や冒険者から何か通報があるはず。でも通報からカルリッツ殿が動いたのは先ほどとなると……」

「そうだな。ウィンの言う通り、これはこの遺跡に置かれて日が浅いはずだ。ところで、何故お前たちはこの近くにいたんだ?」

 

それはかくかくしかじか……という感じでこれまでの経緯を簡潔に説明した。

セリアードの保護にはカルリッツ父さんも立ち会っていたらしいから、名前を知らなかっただけで面識自体はあったようだ。

そこから王都案内中にブローチが盗まれ、盗人は霊廟に逃げたと思ったらUターンしやがって、そこでノヒルリアと戦って今に至るというところまで説明を終える。

 

「なるほど、件の盗人はそのブローチを用いてウガルーの封印を解く可能性があるのか。ヤツの復活となると……一刻を争うな」

「あの盗人がまた逃げるって可能性もあるからな。出来ればここにも人員は残しておきてえところだ」

「まだ狂暴化したオークが残ってるかもしれないし、今回はそのやり方が最善ね」

 

カルト言う通り、逃げ道は徹底的に塞ぐべしだ。

この先は袋小路で、地理的状況は地下霊廟の時とほぼ同じだ。

異なるのは、こちら側の人員の数とその厚さだ。

単純に戦闘可能な人員はだいぶ増えてるから、猶更挟撃もやりやすい。

しかもカルリッツ父さんという強者が混ざることで、層は更に熱くなっている。

その分戦力配分も重要になって来るがな。

このアロマが他の魔物にも影響を与えかねんってのも懸念材料だ。

まあ、この状況なら配分は言うほど難しくは無いから手短に伝えるとするか。

 

「俺たちが引き続き盗人を追いつつ、最悪の場合はウガルーを抑える。だからカルリッツ父さんたちはここで残っててくれないか?彼らはカルリッツ父さんの指揮でこそ最大限動けるわけだし、一番無難だと思うが」

「俺もそれがいいと思うぜ。いくらひよっこでも、さっきまでの戦いぶりからして追撃には十分だ。更に俺もついて行けば、何も問題はないだろう?」

「──そうだな。カルシオンもついてくれるなら、俺たちはオークを抑えるとしよう。心配ではあるが……ここは任せるとしよう」

 

それに、最悪ウガルーが手に負えないってことになってもカルリッツ父さんたちが後から参戦出来るからな。

リスクはそこまで極端ではないし、むしろ移動速度も考慮すればこれが妥当と言える。

さて、これで方向性は定まったが……問題は後一つ残っているんだよな。

 

「セリアードとロムはどうする?ブローチのためとはいえ、こっちに来るとなるとかなり危険になるけど……」

 

そう、セリアードとロムの非戦闘要員2名の処遇だ。

安全面では……正直、どっちもどっちだ。

カルリッツ父さんの方は場所が場所だから乱戦になる危険性がある。

こっちは相手の戦力上の不安があるが、ブローチをきっちり探知できる都合でメリットは大きい。

まあ、ここは本人の選択を尊重するべきだな。

 

「私も引き続きマッド様たちと行きます。皆さんばかり危険な目に遭わせて、私だけ待ってるなんて……そんなの自分が許せません」

「それに私がブローチを先に探知すれば、確実性が増すからね!」

 

おおう、アグレッシブかつガッツあるな二人とも。

シャイなんだが勇敢なところもあると……やっぱ見どころがあるな。

こりゃあ、無事に帰った後のこともきっちり考えてやった方がいいな。

それに保護するって言ったのは誰でもない俺だ。

そういう責任もきっちり取ってやらないとな。

……おい、ユフィリアのことまだ弄るってんならいい加減にしておけよ?

それと、終わった後のことを考えるのはフラグだって?

へっ、そんな無粋なものはバキバキに折った上でぶっ壊してやるよ。

 

「よーし!じゃあ早速どろぼーとウガウガーをぶっ飛ばしに行こう!」

「ウガウガーじゃなくてウガルーな。巨大オークに可愛いあだ名付けてどうするんだ?」

 

というかそのあだ名だと酸吐いてくるゾンビみたいな嫌なイメージが沸いてくるから止めれ。

そこはせめてガルガルーにでもしておけ!

こっちはこっちで親子揃って連撃してきそうな嫌なイメージが沸くけど、見た目はまだマシだろ。

 





メガが出た辺りには隠居してたけど、それでもメガガルはよろしくないのは分かっていた。
今は育成の暇やらが取れないから新作を買ってすらいないですね。
現在は原神、スタレ、3rd、グランサガ、アズレンで完全に埋まっているので。

Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)

  • 転天キャラでのNLとか他絡みを所望
  • グランサガの二次がレアすぎて
  • バトルハードモードに釣られた
  • ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
  • その他(そもそもの作風とか)
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