というわけで、ボスバトル2本立ての片割れ。
まずは現見習い未来特別近衛騎士側から。
ウガルーと接敵して、絶賛戦闘中の俺たち5人。
状況は……何とか戦線は維持できているといったところかな。
確かに、カルシオンとマッドの言う通り一方的にやられるってことはない。
封印から目覚めたてだからか動きはややぎこちないところがあるにはある。
でも、その程度の弱体化で倒せるほど甘い相手ではない。
「くっ、反転が速い。見た目で素早さを図るのはやっぱり愚策のようだね」
「そんな弱点があれば、グランナイツやマドラーシュ様も容赦なく突いてあっさり倒せただろうからな……そう問屋は卸さない、ということか」
相手の攻撃を俺とウィンの二人がかりで止めて、一瞬出来た隙を逃さず足元をスライディングで渡っていく。
この手の大型相手を想定しての動きで、我ながら悪くない速さで背面を取ったつもりだった。
──が、ウガルーは後ろに目がついているのかと言わんばかりの敏捷さを発揮した。
顔面をこちらに向けると、どこか歪な魔力を充填する気配がしたのだ。
嫌な予感に襲われて即座にウィンの元へ戻ったんだけど……もしそのままだったら確実に俺はやられていた。
ウガルーはけたたましい咆哮を放ったんだけど、その方角にいた逃げ遅れのフィゴルがその場から動けなくなっていたからね。
束縛の呪いが付与された咆哮……カウンター気味に放たれるそれは、凶悪以外の何物でもない。
巨体に似合わない敏捷さだけでなく、緊急回避の術を持っているなんて器用にも程があるよ。
──しかも、それ以上に厄介な要素もあるから始末に負えない。
「ちっ、何なんだよあの盾!これ幸いに真横取って隙間狙っても全然通らねえぞ!」
「こっちも全然手応えが無いわね。見た目と違って全方向に防御が展開されてるってこと?ったく、弾丸くらい通してくれたっていいじゃないのよ!」
近距離からはカルト、遠距離からはナマリエ。
間隙を縫うことを得意とする二人から全く同じような反応が返ってきていた。
きっちりと側面を取っていて、更にウガルーが纏う鎧と構えている盾の合間を確実に通しているはず。
特にナマリエの弾丸はこういう場合なら有効打足り得るのに、まるでダメージが入っていないのだ。
思わず発せられたであろう愚痴の通りなんだろうね。
あの盾からは尋常じゃない魔力を感じるから、恐らくアレがウガルーの最大の武器なのだろう。
今の俺たちは、この圧倒的な防御力を前に足踏みをしている状況だ。
盾を構えられてしまうと俺たちの攻撃は殆ど通用しなくなってしまう。
「よーし、ならウチが……ってー!撃とうとしてるところに飛んでこないでよ!」
「キュイを脅威と見ているのか?知能もかなりのものだな。足も速いから防御と回避で手一杯だ!」
それならと最大火力のキュイが盾を壊せないか試そうともしてくれた。
が、ウガルーはその試行すらさせてくれないのだ。
キュイの魔法と顕魂術の破壊力を直感で理解したのか、少しでも攻撃の素振りを見せるとそちらに飛び掛かって行く。
そこからすぐにこちらが攻撃に向かおうにも、攻撃と防御を兼ねて盾を構えられての繰り返しだ。
お陰で、あの盾の防御許容範囲がどれほどかすら掴めない始末だ。
「何とか今は拮抗しているけど、こんな状況いつまでも持たないわよ?」
「間違いなくジリ貧だな。ったく面倒くせえ、本当に寝起きなのか?」
そう、これで封印から起きて間もない状態なのだ。
すなわち、マッド達はもっと早くて力のあるコイツと戦ったということ。
俺が尊敬していて、目標としている人たちとの差が嫌と言う程見せつけられているのだ。
だけどそんな方向で感心している場合じゃない。
このままだと全滅は必至だ。
この場のリーダーとして何かを考え出さないといけない。
これまで出くわしたことのない強敵相手の難題だけど……諦めるにはあまりに早すぎる。
そもそも、あのやりたい放題がこんなことで諦めるわけがないからね。
あの不敵な幼馴染への対抗心……それこそが今の俺の精神的支柱となっていた。
(マッドならどうするか……それを考えるにもまずは状況整理だ)
ひとまずは、ウィンにのみ防御の負担をかけさせないようにしないとだ。
盾を構えさせる為に攻撃の手を緩めないようにしつつ、今の戦況におけるこちらの問題点をとにかく洗い出していく。
最大の問題は言うまでもなく、巨大な体に見合うサイズの盾だ。
こっちの攻撃態勢に対して盾を構えると、全方位防御を展開してこちらの大半の攻撃を防いでしまう。
これがとにかく堅く、マッドの防御貫通顕魂術辺りでようやくダメージが入るかもしれないって見立てだ。
これをどうにかしない限り、こちらの消耗ばかりが増える一方なのは間違いない。
次の問題はウガルー本体の基礎能力。
特に槍玉に挙げるべきは、その体つきにまるで似合わない俊敏さと反応速度だ。
最もリーチが長いキュイの魔力充填に合わせて接近し、即妨害出来るほど程度には素早い。
更には防御展開が早いことも合わさって、こちらの攻め手を悉く封じ込められてしまう。
攻めについては言うに及ばずだ。
ウィンが防御に全神経を注ぎ込んでようやく拮抗、俺も加わらないとまず安定しない。
この攻撃力を、大振りで損なわないのもしれっと面倒だ。
知性も十二分にある。
圧倒的身体能力と頑強な盾を持って尚、慢心が見られないのだから。
更に自身にとってのリスクも理解しており、キュイの攻め手を悉く封じながら俺たちの追撃も通さない立ち回りをしてくる。
──状況整理は以上。
この大きな2つの要素を、相手側がきっちり生かし切っていることが要だろうか。
後者はどうにもなりづらい、というかそこはこちらが慣れていけばいい。
やはり対処が求められるのは前者か……。
「ちっ、攻撃したと思ったらすぐに防御に移りやがって。ウガルーじゃなくてチキン野郎の方がお似合いじゃねえのか?」
隙があれば攻撃、相手の攻撃を見たら即防御のウガルーの戦い方に、この中では短気なカルトがいつものノリで愚痴を零している。
いや、そもそもみんなが辟易しているような感じか……。
まあ、あんな戦い方をされたら無理もない。
あの温厚なウィンでも流石に少し苛立ちが見えるくらいだし……。
戦いの最中なのに、思わず苦笑が出てしまうくらいだよ。
「──『チキン野郎』……?」
カルトのいつも通りの悪口なんだけど、何故か頭に引っかかった。
戦闘中という極限下であるにも関わらず、精神を換気するという行為のせいだろうか。
──本来ならば聞き流すようなその悪態が、どうにも後ろ髪を引いてくる。
……確かに、あの戦い方は勇猛とはとてもいいがたいだろう。
あの防御の堅さに物を言わせた戦い方だし、それを崩そうとするキュイに対しては防衛本能を最大限働かせてくる。
攻撃は最小限で、過度にダメージを受けないことを優先した立ち回り……裏を返せばそれは──。
「考えてみたら……守備的、ないし消極的が過ぎる。臆病と言ってもいいくらいだ」
相手がそう動いている理由は分からない。
こちらを過度に警戒しているのか、単なる性分なのか……
具体的な動機は分からないが、アイツが自身の体躯や武器を生かして攻めに来る傾向はほぼ見られないのは事実だ。
確実に防御を展開し、危ない要素は確実に潰すことでジリ貧を誘う。
そういう相手にマッドやグランナイツが相対した場合は……。
これまで見てきた、憧れの人たちの戦いっぷりのピースを片っ端から搔き集めていく。
──適切なイメージが集まったら、カチリという気持ちの良い音がした気がした。
「……チキン野郎相手にわざわざ付き合うなんて、特にマッドは絶対にそんなことしない。むしろ逆手に取って、最後はしてやったりな顔だ」
「ちょっとラス!アンタまでやりたい放題王子みたいに自己完結しちゃダメでしょ!」
あ、つい思考に耽りすぎた。
とりあえず、ウガルーに再度盾を使わせるための攻撃を再開する。
この間に、皆に簡潔にでも話さないと。
俺が思いついた戦法は、俺一人が理解していてもどうにもならない。
それこそみんなの理解があってこそだ。
時間が無いから簡潔になっちゃうけど、そこはみんなの理解力を信じるよ!
「みんな!こいつはカルトの言う通りチキン野郎だ!要は慎重だし臆病者ってこと!でも俺たちまでそんな茶番に付き合う理由は無いんじゃないかな!」
「え、それってウチらは防御を捨てるってこと!?ラス、いくらなんでもマッドの影響受けすぎじゃない!?」
「……なるほどな、面白いくらいに言いたいことが分かった。ほらみろ、俺の愚痴も役に立つじゃねえか」
その悪い笑みは、明らかに俺の意図を完全に把握した顔だ。
カルトは戦いにおいての理解力が特に高いから、こういう時に本当に助かるよ。
愚痴については、本当にたまたまだけど役に立ったのは事実だし。
それでこそ、あのマッドが遊撃要員として見込んだことはあるね。
「……そういうこと。要するに、私たちはあの防御にすっかり気を取られてたってわけね。──視界が曇るだなんて狙撃手失格ね」
ナマリエのそんな呟きも聞こえた。
まあ、あの防御能力にはみんなが気を取られてしまったからしょうがないよ。
これに関してはみんな同罪、連帯責任だよ。
気付いてくれたんだったら、後は役割を担うだけでそんなものは消えてなくなるさ。
「そういうことなら、俺も鬱憤を晴らせそうだ。少し試したいことも出来たし、ちょうどいいな!」
ウィンも分かってくれたようだね。
それに加えてあの顔は……何か、来る予感がする。
そうなると後はキュイなんだけど、流石にそろそろウガルーに押し返されそうだ。
とりあえずカルトに目配せして、ウィンに加勢する形でウガルーを足止めしている俺の代わりに伝達役を任せることにした。
キュイだけが分かっていないって状況は、それはそれで大いに困るんだ。
何せ、普段とはまるで違う役回りを演じてもらわないといけないんだからね。
それも、今回においては結構な大役でもある。
「おいチビ!何か撃つ素振り見せるか魔力充填するだけでもいい。とにかくあのデカブツに危険意識持たせろ!」
「えええ!?そんなことしたらこっち飛んできちゃって、また面倒くさいことの繰り返しになっちゃうじゃん!」
「何でもいいからとりあえずやれ!別に不発でも構わねえ、アイツをおびき寄せればいいんだからな!」
カルトの強い剣幕に押されてキュイは再度魔力を充填する。
それに反応するように、ウガルーは得物の棍棒を振るって俺たちを引き剝がした。
その動きを読めていた俺とウィン、カルトは余裕を持って退避する。
その後のフリーになった一瞬を突いて、ウガルーはキュイを踏みつぶさんと何度目か分からない跳躍を披露していた。
「わわわ、ほらやっぱりまたこっちに来たー!」
「アンタはぺしゃんこにならないようにしなさい!後のことは私たちが引き受けるから!」
ウガルーの跳躍の兆候を見て、キュイは素早く魔力充填をキャンセルして回避行動に集中させる。
これまでとは違い、相手の飛び掛かりが分かっていてその上での避けるわけだから余裕が生まれる。
小柄だからこそ走るだけでは間に合わず、踏み付けの範囲外へと飛び込む行動こそするが、そこはキュイ。
猫のようにしなやかな受け身を見せて即座に体勢を整えていた。
普段から説教から逃げるだけの足の速さ、この土壇場でもちゃんと生きたようだね。
さあ、ここから鬱憤晴らしの時間だよ。
「いくら何でも、着地してすぐに盾なんて構えられねえよな!?」
「巨体っていうのは、時にはそれ自体が弱点になり得るのよ。覚えておきなさい!」
「さっきのノヒルリア様の方がもっと攻めっ気があったね、その巨体で鶏肉味は笑うに笑えないよ!」
キュイへの踏み付けを盛大に空かしたウガルーに向け、俺、カルト、ナマリエは一気に攻め立てる。
端的に言えば、ウガルーはその慎重さから行動原理がむしろ単純になってしまっていた。
あくまで推測だけど、グランナイツとマッドと戦った際の敗因が攻撃的に動きすぎたことだったのかもしれない。
そんな敗北の経験があれば、その巨体が故のタフさと圧倒的性能の盾を前面に押し出した戦法に強みを見出すのもおかしくはない。
この戦法は一見地味だけど、堅実だ。
そんな堅実無比と言える強みを捨てるなんて、そうそう出来るわけがない。
そして、それは俺たちから見たら驕りであり……その考え方にこそ隙がある。
今回は防御の上からダメージを与える可能性のある、ウガルーから見て唯一脅威となり得るキュイをあえて囮にした。
あの踏みつけ自体は、回避に徹すれば被弾することがないのは何度も見て分かっていたからね。
そして、着地からすぐに盾を構えられるような意味不明な能力を持っているわけでもない。
着地の瞬間という空白時間にカルトはカルシオンからイメージを貰ったという、鎖を併用した影縛りを放つ。
相手も相当の巨体だから、その束縛は一瞬で切れてしまうが……。
その一瞬を稼いでくれるだけでも、攻勢続行には十分。
そこから魔力を込めた鎖剣の連続攻撃で、着実に斬撃を食らわせている。
ナマリエはあえて頭を狙わずに足、しかもピンポイントに爪を狙っている。
あそこまでの巨体を支える足となると、先の方にある爪周辺に神経とかが結構集中しているって何かに書いてあったっけ。
巨大なオークであるウガルーでも、その法則は適用されているようだ。
流石は元傭兵、分かりやすい弱点は容赦なく突いていく辺りはとことん合理的だ。
2発ほど当たっただけでもその痛みはとてつもないのか、ウガルーは転倒すると共に絶叫する。
思わず耳を塞ぎたくなるが、俺も攻め手を緩めるつもりはない!
「鼓膜が破れそうだからちょっと静かにしてて欲しいな!ついでに近所迷惑だよ!」
「やっとチャンスタイムとうらーい!ウチの出番だ!」
ここでキュイが攻撃に復帰して、早速火球とか火炎放射とか色々と打ち込む。
全く撃たせてもらえなかったフラストレーションは、ここぞとばかりに吐き出しちゃっていいからねキュイ。
そして俺は、ノヒルリア様との闘いでも用いた炎で作った円刃と共に回転突進をぶつける!
カルトとナマリエが下半身辺りを継続して攻撃を加えているから、俺は打って変わっての顔面狙いだ。
突進を終え、怯んでいるウガルーの腕に一旦着地する。
まだまだ攻めさせてもらうよ!
「マッドが拳なら、俺は蹴りで行くとしようかな!」
「何でそこでわざわざ対にするんだ?」
カルトからツッコミが入るけど、俺に聞かれてもよく分からないよ!
むしろ双子であるアルガルド様がやるべきじゃないかなって思うけど……まあそれはそれとして!
魔力を込めて再度跳躍、火と土の魔力を伴った蹴りで顔面に追い打ちをかけてやった。
ドラゴンの模倣突進はこの距離だと威力不足になるから、これが妥協案になる。
それでもいい感じで左目周辺に入り、少しばかりその顔を凹ませることが出来た。
しかし、これだけの猛攻を貰ってもウガルーは倒れる気配が無い。
それどころか、あの鬱陶しい盾を構えようとすらしていた。
「コイツ、この期に及んでまだ防御か!」
「どんだけタフなのよ!同じことって通用するのかしら!?」
「もう1回あの回避やるなんてウチは嫌だよ!?」
このままだと盾を構えられると共に俺が吹き飛ばされるので、即座に範囲外に撤退する。
結構ダメージは与えたけど、また振り出しか……いや、まだ追撃はある!
「ラスが掴み、皆で作ったこのチャンス……無駄にはしない。ここで仕留めに行くぞ!」
ウィンが盾を構えつつあるウガルーに対して突っ込んでいく。
薄っすらと感じる魔力の流れは、これまでのウィンの攻撃パターンとは異なるものだった。
顕魂術の開発者であるマッドは幾度も実演して、俺たちも幾度か至ったことがある顕魂術特有の現象。
生死の境目があやふやになる戦いなど、生きる上で分岐点が発生し得る困難に直面した際にたどり着けることがある境地。
まるで天啓が降りたように、新たなイメージが沸く瞬間。
「その鬱陶しい守りは、さっさと砕かせてもらう!」
ウィンが放った今の顕魂術は、まさにその産物だった。
土の魔力で巨大で重厚感満載の斧を作り出し、ウガルーの構えた盾に向かって振り下ろしていた。
言っていることは単純だけど、視覚的にはかなり豪快な光景だ。
まるで、育ちすぎてしまった大樹を両断するようなイメージだ。
うん、これはウィンのイメージになかなか合致する顕魂術だね。
「って、アンタまさかあの周りの防御壁全部壊したの!?やるじゃない重量級!」
「おいおい、チビに説教しすぎてお前までバ火力に目覚めたわけじゃねえよな?」
ウィンの新顕魂術はなかなかにとんでもないことをしでかしていた。
これまで展開されたら俺たちのあらゆる攻撃を防いでいた鬱陶しい防御壁が綺麗さっぱり壊してしまったのだから。
マッドが防御無視や防壁貫通なら……こっちは防壁破壊ってところだろうか。
凄いピンポイントな閃きで、色々な顕魂術を見てきた俺も吃驚している。
俺たちの中で最も守りが堅いウィンだからこそ至ったイメージなのか……。
「マドラーシュ様の防御無視を何とか真似できないかと思ったんだが……どうやら、俺は砕く方が向いていたようだ。さあ、浮かれていないで次は盾そのものを壊すぞ!」
そう言いながらウィンは既に次の攻撃に移っている。
自身の回転をも加えた槌の3連打だ。
土の魔力もきっちり厚く込められており、盾を持っている者からすれば聞きたくない嫌な音が聞こえてくる。
「ウィンの言う通りだ、ここは勢いに乗って一気にやっちゃうよ!」
今ならアイツは何が起こっているか分からず精神的隙を晒している。
勢いがある時は勢いに乗る!
マッドも何かの鉄則って言ってたし、ここはその格言に従わせてもらおう!
「こういう時のとっておきも用意するのが狙撃手ってものよ」
ナマリエの方はいつもの狙撃とは作っている弾丸が全然違っていた。
普段は文字通り弾丸なんだけど、今回はもはや槍のような形状と大きさだ。
込めている魔力、そして圧縮率も桁違い……マッドのそれといい勝負にすら思える。
それを弾丸のように発射したわけだから……その威力は言うまでも無いね。
盾を壊すまでは至らなくても、まるで貫通するかのようにウガルー自体にダメージを与えることに成功していた。
ヘッドショット判定弾丸とは趣がまるで異なる、いわば対装甲用の切り札か。
「お金にならなさそうな汚い盾はいらないから、焼却して消毒だー!」
「こんだけボロボロなもん、引き取る物好きがどこにいるってんだ!?」
ウィンの追撃とナマリエの槍状弾丸でもうアイツの盾はボコボコだ。
カルトの言う通り、これならゴミにでも出した方がまだマシな気がするよ。
そんなボロボロな盾にキュイが特大火炎をぶつけて、カルトはまた別の毒蛇を呼び出し噛み付かせる。
火炎と相性がいい毒を作り出したんだろう、よく見ると盾全体が徐々に原型を留めることが出来なくなっている。
「よし!俺が壊したら、後は一斉攻撃で締めるよ!」
カルトが残してくれた毒を生かすため、俺も自身に火と土の魔力を込める。
今回の古龍の突進模倣は、土の魔力を全て無駄なく叩きつけさせてもらうよ!
ここでようやくウガルーも、防御壁が消えているという異変に気が付いたようだ。
まあ盾がここまでボロボロになれば嫌でも気付くだろうけど……もう時すでに遅しだ。
突進まで受けて、鬱陶しい盾はもはや原型を留めていない。
締めに俺の魔力を込めた以外特に何の変哲もない斬撃で真っ二つにしてやった。
更に大きい破片を蹴り飛ばしてウガルーに当てておく。
え、随分荒っぽい八つ当たりだって?
そりゃそうだよ、どれだけこの盾に苦労させられたと思ってるんだ!
これくらいなら、マッドやイグノックス様だってやるはずだ。
さあ、後は一斉攻撃でトドメを……って、熱っ!
「トドメはウチだよ!おとり役やったんだからそれくらい譲ってよね!」
ちょっとキュイ、何で俺の号令より先に撃っちゃってるのさ!?
しかもこの濃密な魔力の放出パターン……物凄く覚えがある。
鬱憤晴らし込み込みとはいえ、締めでそれはマズイって!
「ってちょっとアンタ、何でそれ撃ってるのよ!ああもう、前衛3人!上手くやり過ごしなさい!」
「おいチビ!それマッドから使うなって言われてんだろうが!」
「やれやれ、マドラーシュ様に言っていつものお説教陣営の集合だな!」
あのマッドが使用を禁じた顕魂術。
その理由は、かつて放った際に周囲の地形を派手に変えてしまったからだ。
──もう『そりゃあキュイだからね』、で流すしかないのかな……。
テンション上げすぎてこうなるのはある意味では想定済み……ということにしてしまいたい。
とりあえずウガルーが巨体であることを上手く利用して俺、カルト、ウィンはキュイの隕石のような火魔力の雨をやりすごす。
その中で、ウィンは足を中心に殴ったり、魔力で作った斧で砕いたり。
カルトは魔力の鎖でウガルーを完全に固定してから縦横無尽に、無数の切り傷を与える。
俺は時に斬り、時に突進をして、とにかくキュイと同じく火属性のダメージを蓄積させた。
更にナマリエが俺たちの動きを妨害しないように確実な狙撃を行う。
盾を失って虚を突かれたウガルーにはもう俺たちを止める術などあるはずがなかった。
キュイが放ったのが隕石じゃなかったら、もう少し綺麗に仕留められるんだけどね……。
「ふう。一部掠った気がするけど、何とか直撃は避けられた……」
「……あの隕石の制御する方法、さっさと開発するよう口を酸っぱくして言わねえとだな」
暫く一方的な攻撃を続けて、ようやくキュイが放った隕石群が収まった。
何で最後のトドメって時に別のところに気を使わないといけないんだろう。
マッドが見てたら大笑いしてるか慌てて止めるか……流石に後者な気がする。
この辺りの地形が変わったりしたら、マッドが困るのは明白だからね。
で、危うく忘れ去りそうになっていたウガルーだけど……まあ、見るも無残なことになってるよ。
これだけやれば、流石にもう起き上がることはないはずだ。
「これでもちゃんと制御した方だってば!ほら、周りの被害はそれなりに抑えてるじゃん!」
「まあ、地図が変わるような事態になってないだけ成長って言うべきなのかしら……?」
「頼むからもう少し状況を分析して行動をだな……」
うん、カルリッツにも母さんにも絶対に密告させてもらうからね?
普段はキュイを庇いがちなマッドでも、こればかりは承諾してくれるはず。
さて、こちらはウガルーを無事倒せたわけだけど……今もなお微かにあちらからは戦闘の音が聞こえてくる。
ウガルーのものとは違う咆哮が耳に入ってくるのは、恐らく盗人が呼び出したか……はたまた変身でもしたのか。
まあ、どちらにせよあのブローチ頼りになるんだったら……恐らく話にならないんじゃないかな。
何せ、相手はグランナイツ屈指の曲者と、今やグランナイツと同格の実力を持つ破天荒第二王子だ。
マッドはやたらと警戒していたけど……多分杞憂な気がするんだよね。
きっとウガルーを踏み台にさせる為に、あえてあんなことを言ったんじゃないかと今では思ってる。
そうなれば、恐らく俺たちが到着する頃には終わっていることだろう。
これは予想というよりもはや予言だね。
俺が目標とする兄弟子であり、弟でもある破天荒第二王子はそういう人間だから。
こういうサブタイトルやりたかったんですよ……BGMネタそのまんま。
グランサガってしれっといい曲多いんですよね……自前で録音と編集して聞くくらいには好きです。
何なら執筆用BGMにしているくらいです。というか私のその手の再生リストはバトル曲塗れ時折アニソン状態だったり。
辛い苦しいハードなバトルもBGM一つで思い出になる、そういうのが好き。
そしてバトルそのものはウガルー戦のはずなのに、攻略の糸口はハードのマルドゥクとかに似ているのがなんでやねん状態。
でも書いてて結構楽しかった。
文章ならばグランサガのバトルをフルメンバー表現できる上に色々やりたい放題もかませるので、本当に私利私欲全開かませるのがいい。
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)