というわけで、並行してのグランサガ2章です。
がっつり連続でやった1章とは違い、今回はダイジェスト気味になるのでご安心を。
目の前には高い山々!そして高所恐怖症にとっては地獄でしかないそれはそれは深い崖!
というわけで、この俺マドラーシュ・リヴェ・パレッティアと愉快な仲間たちは王国でも屈指の高所スポットに訪れている。
その名も『カル渓谷』、この前のウガルー及び盗人と戦った森から更に奥に進んだところに位置する。
いやはや、ここも大概懐かしい場所だな……かれこれ5年ぶりくらいか?
イグノックス兄さんとかカルシオンによく連れられたものだっけな、いやはや懐かしい。
ちなみに、ここはとある強者の鍛錬場所でもあったりする。
……その人に連れてきてもらうことは叶わなかったんだがね。
「うわーたっかいね!あの辺りって登れるのかな」
「この位置でも、足を踏み外したりなんてしたらとんでもないことになりそうですね……」
「そんなことになっても俺がきっちり拾ってやるから安心しな。空中散歩は任せてくれ」
「そこはロイド様みたいに、崖から崖を素早く移動して助けた方がマッドらしいと思うけど……」
いやいや流石に彼みたいなことはまだ出来ねえっての、年季がまるで違う。
ちなみに、今ラスから出てきた名前がここを鍛錬場所にしていた人物そのまんま。
何でラスも知っているのかって言ったら、それはそちらもグランナイツの一員だから。
……今はちょいと、行方を眩ませてるんだがな。
おっと、そういえばケアが必要かもしれない奴が一人いることを忘れかけてた。
とりあえずおふざけモードを一旦やめて、唯一辛気臭い顔をしているダークエルフにこっそり声をかける。
「もう着いちまった上に、しれっとその名前出ちまったんだが……大丈夫か?」
「はあ……ついてきちまったもんはしょうがねえんだけどよ。どうしてよりによってここなんだろうな」
ここはカルトにとっては思い出もそれなりにある場所だ。
詳しくは聞いてねえが……兄と一緒にここに来て鍛錬したり、色々教わったりとかしたんだろうよ。
その兄が、まさに先程名前が挙がったロイドなんだが……まあここで兄弟あるあるが発生してるんだよな。
この実の兄こそ、カルトが己を捻くれさせている要因の一つ。
その感情は複雑怪奇、でも当人同士に落ち度はまるでない。
ロイドはグランナイツにスカウトされるほどだから、まあ実力は推して測れるだろう。
『ダークエルフの未来そのもの』なんて、なかなかストレートな称され方もその証だ。
そんな身内を持ってしまったらどうなるか?……まあ、当然比較されて、同じように期待されてしまうってこった。
姉上とアル兄さん見てれば想像つくだろうが、まさにまんまと言ってもいいんだよな。
まあ、王位継承権みたいな面倒事がないだけマシだが、そんなん慰めにもなりゃしない。
……ラインヒルト先生曰く、あちらはかなり気にかけてたようだから単純にカルト自身の心の問題なんだろうけど。
そんな裏事情があるから、今回のカルトがより一層センチメンタルなのも無理はない。
むしろ行きたくないって言ってくれたなら、それを尊重しても良かったくらいだ。
だが、『俺がいねえとバカ王子とチビとドチビのストッパーがウィンとナマリエだけになっちまって洒落にならなくなるから』と自身の内面事情を押してついてきてくれたんだよ、このイケメン。
全く、捻くれダークエルフには困ったものだね。
まあ、理解できるところも多々あるし、そこら辺本人なりに折り合いつけようと足掻いてるから俺も構っちまうわけなんだが。
「……お前までそんなシケた顔すんな。俺のことは放ってチビやドチビといつも通りはしゃいでろ。そうしてくれた方が、俺もちょっとは気が紛れる」
「なら久々のこの風景を楽しませてもらうとするよ。折角だ、足場使っての創作物展示会でも開いてやるか!」
「っておい、探索前に魔力使い果たすようなヘマだけはするんじゃねえぞ!?」
よーし、ツッコミの切れ味を見るにいつもの調子が少し戻ったようだな。
ではでは、早速バカやるとしましょうかね!
この辺なら盛大に顕魂術で遊んでも見咎められることは少ないからなあ!
折角の遠征だ、楽しんでいこうではないか!
「マドラーシュ様、カルトのことを気にかけてくれるのは大変有り難いのですが……一応任務中なので遊びは程々にした方が……」
「だ が 断 る!ウィンももう少し柔軟にしないと、老け顔が悪化しちまうぞ!ワクワクを思い出すんだ!」
「ふ、老け顔……マドラーシュ様までそこを突きますか……」
「……今回ばかりは、バカ王子の言うことも一理ある気がするがな」
お目付け役のカルトのお墨付き貰ったんだし、ちょっとくらい空中で楽しませろってんだ!
というか、ウィンももう少しはっちゃけることを覚えた方がいいと思うぞ。
これまで散々苦労してきたんだ、まだ25なんだし遊び心を持っても誰も咎めねえだろ。
そんなんだから実年齢より老けて見られるんじゃねえか?
「あ、マッドずっるーい!ウチも空中散歩したいのに!ロム、ウチのこと持ち上げられたりしないの!?」
「いやいや、いくら小柄なキュイでも私じゃ持ち上げるのは無理だって!」
はっはっは、悔しいかキュイ!
全く、ロム助に頼るようではまだまだだね!
そんなん、乗っただけ融合ならぬ持ち上げただけ融合じゃねえか。
っていうかキュイは風の適性もサブであるんじゃなかったか?
どこぞの赤牛のキャッチフレーズのように翼を貰ってしまってもいいんだぞ?
あくまで俺が提唱しているのも、『空を舞うのに翼が必須ではない』ってだけで翼の存在を否定してるわけじゃねえからな。
「キュイちゃん、一応私が作ってみたけど……危ないから慎重にね?」
「さっすがセリアード!後でコツとか教えてね!」
と思ったら、ここでしれっとまた高いサポート適性が発揮されていた。
……っていうか、セリアードにこの
まさか、初見で見様見真似をやってのけたってか?
──恐るべし、キュイも認める才能の持ち主。
ちなみに俺以外で現在
どうにも空中に足場、というのがイメージが難しいというのが大半の意見らしい。
ちなみに、無属性の魔力をベースに各々の属性を混ぜ込んで固定するってのが個人的最適イメージ。
で、その混ぜ込む属性は風と光がやりやすいって傾向だ。
そう関g萎えると水で出来たセリアード、やっぱりすげえな。
ちなみに俺は、イメージの都合風でやってるが状況に応じて変えてもいる。
水とか氷、後は土はその場の環境に対しての応用が利くから、色々使えて損はないからな。
「へっへーん、空中で逆立ちしちゃうもんねー!」
「ほーう?なら俺は実用性あり触れた芸術点で対抗させてもらおうかね」
光属性の混ぜ込みに切り替えて、足場を複数作成して繋ぎ合わせる。
これで即席の空中階段作ってやるよ……いっそのこと螺旋状にでもするか?
減点ポイントは、今が真昼間であることだな。
夜空の下ならば、この渓谷の風景にさぞシンクロした幻想的な階段が見られたことだろうよ。
「うわ、マッドそれは大人気なさすぎだってばー!完全に開発者権限全開じゃん!」
「こちとら最年少、大人気も何もねえっての!」
「み、見事に開き直ってる……いつも以上に王子様らしさの欠片もないじゃん……」
「ま、まあ楽しそうにしているのはいいことだと思うよ……?それでこそマッド様らしいというか」
はっはっは、キュイも悔しければ早く習得しちまえばいいんだよ!
何かテンション上がってきたし、いっそのことバック幅跳びでもして加速蓄積技でも実験してみるか?
いや、流石にそれは高さ的に無理か……。
どっかの亀の王様よろしく無限階段作れるヤツ、誰かいないものかねえ。
そしてセリアードにロム、何でそんな引き気味な笑みを浮かべてるんだ?
こんな深夜テンション紛い、もはや今更じゃね?
「みんな、キャンプらしき痕跡を見つけたから調べるの手伝って!特に空中で階段とか作って遊んでるバカ王子、アンタは上司なんだからさっさと来なさい!後キュイ、そんなところで逆立ちなんて危ないわよ!」
おっと、久々の渓谷の光景を見てちょいとはしゃぎすぎてしまったな。
引率の先生のようなナマリエお姉さまに怒られちまったぜ。
……にしても、最近やたら気を張ることが多かったからか反動がやっべえな。
アル兄さんとユフィリアの円満婚約解消妨害案件やら、盗人貴族事件とか。
それ以前でも連中の胸糞悪い違法研究施設潰しとか、意図的に活性化された魔物狩りとか……。
ああうん、過去の事例を挙げるだけで萎えて来たな。
今回のベル教授探索もそこそこ緊急ではあるが、彼はあくまでフィールドワークに行ってるだけだ。
現状連中の影は見えてこない、それだけで気楽なものだよ。
「この痕跡だけではベル教授のキャンプかどうか判断しきれないな……」
「ここは遺跡やら神殿が色々とある都合、学者が数多く来る場所でもある。俺もエリオ姉さんに連れられたことあるくらいだし……んん?」
適度に散らかさない程度に探っていると、簡易デスクの上に置かれた紙が1枚。
走り書きのお陰か、ぱっと見で内容がわかるような代物ではなかった。
「メモだね。結構癖のある字だけど……マッド、ベル教授の筆跡かどうかって分かる?」
「あー、この字はベル教授だな。俺かエリオ姉さんじゃねえと解読が難しい感じはまさにそれだ」
まあ、内容が短いから解読に時間はかからねえのが幸いか。
で、肝心のメモの内容はと言うと──
『神獣を呼び寄せる実験。第1段階:魔物を呼び寄せる粉をこの辺りで用いる 第2段階:月光の森でより効力の高い粉を使用する』……。
「おいおい待て待てベル教授、何やってんですかアンタは……」
「あの、見るからに危ないことをしているという認識でいいんですよね?」
「何でこんなに魔物を呼び寄せたがってるんだろ。お友達を増やしたいのかな?」
少なくとも護衛なしの学者がやることじゃねえぞ。
更に、この辺に来る前のちょっとしたトラブルの原因にも全員察しがついたようだ。
ったく、相変わらず無茶するおっちゃんだな……。
「だからさっき奇妙な魔物の群れがいたってわけ……。そしてあれを第1段階と仮定すると、今は第2段階に入ってると見た方が良さそうね」
「じゃあ向かうは月光の森だね。魔物が集まっている前提で警戒を敷くよ」
ここから月光の森はそう遠い場所ではない。
実質リーダーであるラスの言葉と共に、いつ戦闘に入ってもいいよう警戒陣形を敷く。
ウィンが最前衛でラスとカルトがすぐ後ろ、少し離れてナマリエ、キュイ、セリアードの後衛組。
セリアードが加入したお陰か、戦力的にも陣形の見栄え的にもかなりバランス良くなったな。
前と後ろがきっちり同比率でまさに理想形と言える。
俺は6人のバランスの良さを信用して、現在はかなり適当な位置にいる。
そもそも雑魚の群れくらいなら、俺はあまり手を出さないつもりだからな。
実戦経験という形でセリアード含めた6人での連携の練度を上げてやりたいし。
セリアードも今回が初任務だから、色々不測の事態もあるだろうからそのフォローも兼ねてだ。
「緊張は適度に、視界は必要最低限だぞセリアード。今回の索敵はナマリエを補佐するってくらいの気でいた方が、却って上手く行くと思うぞ?」
「す、すみません……ついつい視界が泳いでしまって……」
「最初は過剰索敵になりがちだからね。俺も最初はそうだったし……」
「地道に何度も行って少しずつ引き出しを増やしていく……千里の道も一歩からなんて、よく言ったものよね」
傭兵歴があるナマリエ姉さまが言う方が、最年少の俺よりよっぽど説得力あるね。
「ん?あれは……誰かがこっちに走ってきていないか?」
暫く進んでいると先頭のウィンが何かを見つけたようだ。
即座に武器を構えだしたので、俺以外の5人もそれに倣っている。
「あー……遠目で見ても一発だな……全く、案の定やらかしちまったかベル教授」
あの立派な髭は見間違うことはないね。
グランナイツ並みに長い付き合いで、俺にとっても恐らく最年長の知り合いに当たるベル教授その人だ。
それにしても相変わらずの年を感じさせない健脚だな。
ただ、状況を考えると……ちょいとマズイ状況か?
「やらかした?って、フォックスリンが後ろにいやがるのか……いや、他にも色々来てるぞ!」
「やれやれ、魔物の旅行ツアーガイドでやらかして返金騒動ってか?」
「いやいやマッド、そんなこと言ってる場合じゃないと思うけどー!?あの人も頑張ってるけど、追いつかれちゃうよ!」
月光の森から走ってきても全然スピード落ちてねえ辺りは流石だが……。
興奮してる魔物相手じゃあ逃げ続けるにも無理が生じる、ロム助の言ってることもまさしくその通り。
そうと分かれば、まずは手っ取り早く足止めと行きますか!
「とりあえずナマリエとキュイ、牽制レベルでいいから一緒に射撃頼んだ!」
「もうやってるわよ!キュイ、アンタは威力ちゃんと抑えるのよ!」
「わ、分かってるってば!追い払うだけでいいんだよね!」
こんなところで大規模な魔法とか顕魂術撃つのが危ないからな。
まあ流石のキュイも分かってるようで、以前習得した火属性の光線と火球で的確に足止めに徹してくれている。
牽制程度で留めているのは、魔物をビビらせることが狙いだ。
あくまで相手は呼び寄せられてるだけだし、無駄な血を流すことは本望ではない。
この辺の魔物ならば別に素材なんて有り余るほど持ってるから採取の必要はまるでねえし。
「セリアードは俺たちと一緒に!あの人に向けて顕魂術のシールドをかけつつ後衛のマッド達の方に誘導してほしい!」
「は、はい!」
最優先は人命救助、ナイス判断だぜ我が幼馴染!
念には念を入れてのセリアード同伴の判断も文句のつけようがない。
そしてセリアードの方だが……ほぼこれまでの訓練で見せてきた通りの動きは出来てるようで何より。
いつも通りの展開速度で顕魂術を使えてるし、緊張から対象を間違えるとかそういう初歩的ミスもしてない。
ふむ、性格に似合わず本番に強いタイプってやつか?
土壇場で委縮することがないってのは、また立派なプラス要素。
師としては感心するばかりだ、もう箱入り娘ってのは返上していいね。
さて、無事に要人護衛の布陣が整ったところで、タンク役のウィンが果敢に突っ込んでいく。
興奮している魔物の群れのど真ん中に入ることで、集団全体の注意を引く。
一見すると無茶な行動に思えるが、当然そうはさせないのが中前衛ポジションだ。
「こちとら気が乗らねえんだ、あんま面倒かけさせんなよ……!」
カルトがウィンの合間を縫って遠距離から手裏剣状の魔力刃で的確に傷を与えていく。
相手に立ち退きを要求する程度の、あくまで軽い切り傷を与えることがメインだ。
そこからウィンを通り過ぎ、締めとばかりに敵の中央に潜り込むのは前衛のメインアタッカーである我らがリーダーである。
「ちょっと寝転がっててもらうよ!」
──おおう、アレも会得していたのか。
イグノックス兄さんも得意とする、火の竜巻とそれに付随する地鳴り領域術。
その前には俺とレオン先生のスティンガーを思い起こさせる突きで群れの中心に突っ込んでいるから、きっちりど真ん中での発動だ。
属性ごとの魔力調整もラスなりのアレンジ込みっぽいね。
火の竜巻の勢いだけ強めて妨害効果だけ底上げ、それとともに地盤への影響を減らしてると。
結果は言うまでもない、転倒まみれの地獄絵図の完成である。
それから少し放っておいたら、こっちとの実力差を理解したのか魔物どもは勝手に去っていった。
追撃する理由はねえし、お見送りとさせてもらった。
これだけ脅かしておけば、月光の森に入ってもそうそう襲われないで済むかもな。
「ふう……助かったよ。ところで君たちは一体……って、マドラーシュ王子か!?随分と久しぶりだな!」
「お久しぶりだなベル教授!相変わらず精力的に動いてて何よりだが、年が年なんだから無茶はダメだろ。エリオ姉さんの耳に入ったら説教始まるぜ?」
エリオ姉さんも大概なところはあるが、弟子のベル教授は研究熱がなかなかに凄まじい。
思い立ったら即行動!邪魔立ては許さんからな!というのがいつもの流れさ。
あれ?そんな奇天烈な身内、俺の方にもいたような……。
「いや、それは君も人のことは言えんだろう。今度は一体どんな武勇伝を作る気なんだね?」
何でまた俺も同類みたいに扱うんですかねえ、ご挨拶が過ぎるぞ。
いくらアホな俺でも自分から魔物呼び寄せるなんてことはしねえっての。
売られた喧嘩は確かに買うが、自分から売らせるようなことなんて覚えが……。
「怪我人から意識を逸らすためとはいえ魔物を引きつける香水を自分に使って全部相手して怒られてたことあったよね。俺は覚えてるよ」
「魔石が色々欲しいからってその香水使って、黒竜由来のスタンピードに突っ込んでたらクリスティーナおねーさんに笑顔で怒られたよね。監禁紛いの謹慎させられてなかったっけ?」
「むしろこのお爺さんよりよっぽど酷いじゃん!」
って、何でお前らそんなこと覚えてるんだよ!?
前者は俺しかいないんだから手っ取り早かったし、後者はどうせ相手は喧嘩売って来るだろうし、折角だからとやってみただけだ。
俺の過去を黒歴史扱いするんじゃねえ!
っていうかキュイ、その話題でのクリスティーナ姉さんだけはマジで出すな!
あれだけはマジで怖かったんだからな!
イグノックス兄さんですら反撃出来ないくらいキレてて、他の誰も止めてくれなかったんだぞ!
しかも謹慎開けても暫く見張られてたし……撒いたら後が怖いから為すがままだったっけか。
……まあ、上手いことルドミラ姉さんが酒で酔い潰してくれたから1週間くらいで解放されたんだがね。
ちなみに、その際俺もそこで飲酒デビューしたのはここだけの話だ。
「それで、君たちはマドラーシュ王子の護衛かね?見覚えのない顔ぶれだが……見習いか?」
「俺たちは教授を王都に連れ帰るという任務を受けてここに来ました。マドラーシュ王子は教授と知り合いだからと付き添って頂いてて……」
「見習いだからって甘く見ない方がいいぜ教授。こいつらは俺の特別近衛騎士団に内定済みだからな」
「特別近衛騎士団だと!?本当にその制度を復活させるつもりだったのか……」
特別近衛騎士って名前出したら案の定驚いてるな、
黒龍討伐戦の裏の事情を詳細まで知る数少ない人物ならではの反応だ。
その上俺の事をよく知るベル教授なら、それが依田話の類でないことも理解してくれる。
将来的な話ではあるが、ラス達を見る目を変えるには十分な効力があるってわけ。
これもまた俺がついてきた理由の1つ……まあ、任務における潤滑油ってところさ。
え?元はと言えば姉上とかユフィリアからの追及回避じゃないのかって?
知らん、そんなことは俺の管轄外だ。
「将来的にマドラーシュ王子の近衛ということならば……実力の方は疑う余地が無いな。先の戦闘も迅速かつ効率的だったし、護衛を任せるのも問題ないだろうな」
「本当にピンポイントに効力あるわね、アンタの存在って。もう少し上手く使えば継承権戻せちゃったりするんじゃない?」
「そのピンポイントってところが肝なんだよ。暗躍するにはそっちの方がいい具合なのさ」
だからこそ俺はこれまで表舞台に出ずに済んでるってのもあるからな。
まあ、アル兄さんやデイジー師匠にも言われたけどそろそろ限界かもしれねえけど……。
やれやれ、ホント色々とやってくれたよなあの連中も……悉く俺ののんびり計画を台無しにしやがって。
──まあ、今は目の前の任務に集中しないとだな。
「ベル教授。キャンプのメモには神獣を呼び寄せると書いてありましたけど……あれは本気なのですか?」
「ある日を境目に、神獣グリフォンがこの地の魔物を見境なく襲い始めたという噂を聞いたのだ。神獣の異変となったら、学者の血が疼いたわけだよ……文献やこれまでの計測結果からも、十二分に有り得る話であったからな」
「そんなところで疼く学者の血って、一体どういう血なの……?」
神獣であるグリフォンが見境なく魔物を襲ってるだって?
それならベル教授がこの地に突撃するのも無理もねえな。
学者として興味が沸くポイントでもあるし、その特性からしても明らかな異常事態だ。
そしてロム助、畑違いなんだからそういう口を出すもんじゃありません。
こういうフィーリングって言うものは専門家ならではだろ?
「神獣が守るはずの魔物を襲うって……確かに妙な話ね。この間地下霊廟とかフィゴルの森で発生したことと繋がってたりとか?」
「そもそも、最近は王国のあちこちで魔物が活性化してるからね……神獣もその影響下にあるのかもしれない」
「え、神獣って本来なら魔物とお友達ってこと!?」
この守銭奴ミケ族、そんなことも知らなかったんかい!
確かそういう魔物とかの生態って筆記で出る分野だよな?
前に俺が一部問題作成したが……確かその分野の担当として出題した覚えもある。
ああそういや、コイツ全部1で回答しやがったんだっけか……。
合格してるから今更何も言えねえんだが……ここまでアンバランスだと天才であり天災ってのも考え物だ。
「私はこのグリフォンの異変を解明しない限りはこの地を離れる気はないぞ。よって、任務の遂行に必要なことは……」
「まあ元々そのつもりだったから安心してくれベル教授。グリフォンの異変は俺も気になるところだからな」
「以前のノヒルリア様のようなことがあったら……グリフォンがあまりに不憫です」
痕跡が見えないからそうと決まったわけじゃないが……どちらにしろ乗りかかった船ってやつだ。
やれやれ、マジであの連中は迷惑でしかねえな……今回の遠征、割と息抜きな側面もあったってのに。
ひっ捕らえた際には慰謝料も兼ねて休日手当てをふんだくってやるか。
「セリアードはまあそのまま本心なのは分かるとして……マッド、アンタはあわよくばグリフォンと遊びたいだけなんじゃないの?」
「うん。さっきの顔、ちょっと不吉な笑み浮かべてる感じだったもん」
「不吉な笑みってひでえな、そこは童心に還った笑みと言ってほしいもんだ」
15で童心って言葉を使っていいかは分からねえけどな。
だから外ではケルビムでいることが多いんだよ俺は。
あっちなら最低17くらい、要するに姉上と同じくらいには見られるからな。
……いや、姉上の容姿考えたら俺の方が年上か。
あの人割と童顔で背も低めだし。
「あはははは……まあ、このやりたい放題言いたい放題がいつものマッドだからね」
「ウガルーの時はお前達に譲ったんだ、今回は『無慈悲な主演』の面目保たせてくれよな」
「大丈夫だよマッド、ウチも一緒にグリフォンと遊んであげるから!」
何せ相手は神獣、この15年で一度も相対したことが無い類の大物だ。
格としては永遠の神殿の守護者と同格と思っているが……はてさてどれくらいのものか、楽しみにしておこう。
まあひとまずは……久しぶりにベル教授の研究助手、やらせてもらいますかね。
賑やかなフィールドワークになりそうだな!
実際セリアードはかなり才能あるタイプだと思うんですよね。
いくら役割がヒーラー&サポーターとはいえ、箱入り娘然な彼女がいきなりラス達について来れるってかなりのものですし。
そして、捻くれエルフのカルトはマドラーシュ……というよりはアルガルドと似ていますね。
ただグランサガ原作でも自分なりの結論を出せてはいるので、色々暴走とかはしていなかったり。
改めて比較すると、転天サイドは本当にコミュニケーション取れて無さすぎが顕著。
まあ、駒扱いやら枷やらの雁字搦めというのは本作でマドラーシュが傍観者として散々指摘していますので……。
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)