すいません、サブタイトルふざけました。
もう11月も終わりですが、はてさて今年でどこまで行けるのやらか……
マドラーシュ一行がカル渓谷に向かっている頃に時を戻す。
アニスフィアの離宮とは真逆にあるマドラーシュ側の離宮はいつもより少しだけ賑やかだった。
何故なら──
「ねえイグノックス〜、何で私たちまで離宮のお掃除をしてるの?」
「デイジー曰く、この手の家事は普段の鍛錬とは違う筋肉を使う。気分転換をすると共に鍛えられ、更に弟分の世話も出来るのなら一石三鳥だろう?」
「ええ〜、それまだ言ってるの?絶対家事を手伝わせるための口実だと思うんだけど」
何故かマドラーシュの兄貴分と姉貴分合わせて3名が離宮内の掃除をしているからである。
見るからにその手の家事を面倒くさがりそうなイグノックスが率先してやっているのは、これまた奇妙な光景である。
ちなみに、この手伝いを言い出したのは誰でもないイグノックスであるが……恐らくそこに至ることが出来る者はほぼいない。
紫の刃や変装趣味なスナイパーがこの光景を見たら、それはもう盛大に大笑いしていることだろう。
当の本人が至って真面目にやっていて、その表情は延々と剣を素振りしている時と何ら変わりないのも極めつけと言えた。
それこそがシュールさは加速させている要因でもあるのだが、この真面目と天然が同居している男には分かることはないだろう。
「まあまあクリスティーナ。私たちは割と入り浸ることもあるのですから、たまにはお返しをしないと罰が当たってしまいますよ?」
「ありがとうございますエリオ様。マッド様が帰還なされた際にちゃんと報告しておきますので」
もう一人の姉貴分エリオとブレーキ知らずの侍女セラも同じように作業中だ。
いくら普段はマドラーシュとセラしかいない場所とはいえ、仮にも離宮と称されるだけあって規模はそれなり。
更には工房と倉庫は現在も表向きに出せない代物が満載ときている。
その2つの部屋はおいそれと知らぬ者が立ち入っていい場所ではない。
おいそれと外部から人員を持ってくるなど夢のまた夢であろう。
普段はマドラーシュも風や水属性の顕魂術の鍛錬がてら清掃をしているほどである、王族らしさなんかまるで知ったこっちゃない。
しかし今回はマドラーシュはカル渓谷への遠征任務に同行している間の悪さ。
主がいないならば、いっそ後回しにしようとセラは考えていたくらいだった。
そのタイミングでイグノックス、クリスティーナ、エリオが離宮を訪れる。
そこでイグノックスが目聡く掃除が必要と判断して、今に至る。
相変わらず、マドラーシュのことになったら兄バカ全開な男であった。
「おいクリスティーナ、遅れてるぞ!」
「むしろそっちが待ってよー!っていうか床の掃除で競争するなんて年を考えてほしいんだけどー!それなら私は顕魂術使っちゃおーっと!」
たかが掃除でテンションを上げすぎではないだろうかこのカップル(未定)は。
イチャついていると言えなくもない光景に、セラとエリオはどこまでも優しい視線を向けている。
「あの二人は本当に何も変わる気配がありませんね……あれで付き合ってないというんですから、友人としては色々心配になっちゃいますよ」
「むしろあのように変わらない方がよろしいのでは?あのお二人が下手におとなしくなったら、何だかんだマッド様が寂しがってしまいますからね」
それもそうだ、そう言わんばかりにエリオは首肯した。
何だかんだで互いが互いに自分くらいしか相手がいないだろうと認識した上でのじゃれ合いなのだ、このやり取りは。
マドラーシュ曰く恋愛スイーツ脳のナマリエも『あの二人ならではの関係でむしろお熱い』と太鼓判を押している。
そしてそれをマドラーシュにも促しているのは言うまでも無いのだが、悉く破天荒はスルースキル検定1級を発動している。
「マッドと言えば、ユフィリア嬢とはどうなっているのですか?もう3年も友人やっているのでしたら、何か進展があってもおかしくはなさそうですけど……」
イグノックスとクリスティーナが見えない位置まで行ってしまい、思い出したとばかりにエリオは話題を変えた
その内容はもはやここ3年の恒例行事のもの。
グランナイツどころか、近い未来の特別近衛騎士たちも気にしていることである。
むしろ先ほどのカップルの行く末以上に気に掛けられている事柄ですらあった。
長年の付き合いである弟分ないし息子分の女性事情となれば、気にならない方がおかしいくらいである。
「マッド様側は相変わらずとしか言えませんね……何が何でも友人と言うスタンスを崩すつもりが無いようでして」
「あれだけユフィリア嬢のために行動しておいてまだそれなのですか。あの朴念仁はいつまで周りをやきもきさせるつもりなのでしょう……今回の一件もそのように動いているのに」
「そもそも同年代とのお付き合いが少ないから戸惑っていると仰っていましたね。そもそもその余裕が無いのも大きいのではないかと」
前者はマドラーシュについて多少知っていれば誰でも行き着くことでもある。
そもそもマドラーシュの付き合いは大半が大人なのだ。
グランナイツも当然当てはまるし、最も年が近いイグノックスですら15歳差である。
兄と呼んでいるが、半分父親のようなところもあるのはこの絶妙な年の差もあってのこと。
それに加えて、偉志ノ大陸関係の知人・友人も全員が見事に明確に年長者である。
一番年が近いミココロでさえも6歳差で、これまた友人関係というには普通ならば少々離れ気味だ。
そこでマドラーシュの現状数少ない同年代で親しい異性となると、真っ先に上がるのは4人ほど。
キュイは古い付き合いの同年代女子だが、完全にやりたい放題における相棒関係だ。
言うなれば、悪友の最上位系であり、そういう浮いた話になる気配は全くと言っていいほどない。
セリアードは知り合って間もないが、そもそも彼にとっては庇護対象に当たる。
最近は顕魂術や戦闘面での師弟関係になっていることも相まってか、マドラーシュ側は年上の妹のような奇妙な感覚も抱いているとか。
また、彼女についてはラスが日頃から世話を焼いており、マドラーシュに横恋慕趣味は無いのでそちらを見守っている様子。
そしてもう一人、これまた古い付き合いの呪い大好き令嬢もこの枠だ。
こちらは7年の付き合いとラスに次いで長く、その交友の始まりが魔法至上主義憎しの同調という物騒極まりない。
その方向での腐れ縁、または共犯関係とすら言えるのだが……。
現状互いにその気がまるでない、至ってドライな関係さったり。
そんな中、ユフィリアとの付き合いは明確に趣が異なっていた。
一見すると上述の友人関係の内に思えるが、明らかにマドラーシュらしくない面も垣間見える。
割と彼らしくない過度な世話焼きがまさにその最たるものと言っていい。
彼の黒歴史であるあの発言が大いに響いている実情もあるし、軽薄な雰囲気とは打って変わって相当律儀な人間だからおかしいことではない。
ただ、それにしても友人と言うには目のかけ方が異端と言えた。
その手のことに疎いというか無関心のイグノックスですら同意見と発するほどだから、よほどのことである。
そこに飛び込んでくるのが、その状況を更にややこしくする後者の理由だ。
「はあ……困ったところでレオンやイグノックスに似てしまいましたね」
「ユフィリア様も恋愛感情に疎い上に恐らく無自覚でしょうから、猛攻をかけてもどこかズレていて……まずは彼女側の意識改革をするべきでは?と私とクリスティーナ様で日々相談しています」
無茶な行動を度々強引手段で止めにかかるクリスティーナは、マドラーシュにとっては恐怖の対象にもなっている節がある。
しかし、彼女なりのやや過保護に寄りつつも確かな家族愛があるのは間違いない。
弟分の春が近づくのならば、過干渉気味でも動くのもまた姉貴分の務めと言わんばかりに動いていく。
勿論、クリスティーナ自身が相手をきっちり見極めた上での行動でもある。
そして過度になり過ぎた際にはイグノックスに咎められるのも、もはやいつもの光景である。
「ああ、だから最近クリスティーナは意気揚々とここに通っていたのですね──おや?」
エリオが視界の先に何かを見つけ、セラもつられるように振り返る。
彼女にとっては、それはもう見覚えのある人影がそこにあった。
まさに噂をすれば影、よく言ったものである。
「──最後の訪問からそこまで経っていないはずなのに、随分久しぶりに感じますね。セラ、壮健そうで何よりです」
「無理もありません。謂れのない糾弾への即座の対応、自ら婚約解消の説明と短期間でてんてこ舞いだったのですから。主は今朝外出してしまいましたが、思う存分お寛ぎくださいませ、ユフィリア様」
その様子からして、先ほどのマドラーシュについての会話は聞かれていないようで内心二人は安堵していた。
聞かれたとて問題は無いことではあるが、マドラーシュにとっては明確に隠したい案件だ。
それならば、わざわざ明かすことはしない。
マドラーシュにとって必要なことと判断されたら話は別であるが。
「見事なまでにすれ違ってしまいましたか……それとも、意図的だったりするのでしょうか。ところで、そちらの方は?」
「お初にお目にかかります、マゼンタ公爵令嬢。エリオと申します。マドラーシュ王子の……まあ、姉的立場といったところでしょうか」
平民ではあるが、かつては王妃の専属近衛の身。
この手のお作法は叩き込まれている。本当に最低限ではあるが。
エリオのその言動から、ユフィリアも彼女が何者なのかをすぐ理解する。
このタイミングでのまさかの顔合わせにユフィリアは奇妙な縁を感じていた。
「これはご丁寧に……ユフィリア・マゼンタと申します。姉的立場ということは、マドラーシュ王子の……」
「お察しの通りです。貴女の今置かれている状況や弟分との関係性も軒並み把握していますので、その辺りの心配は無用ですよ」
「あの方が心より信頼する英雄を疑うなど、そんなことをした日には天罰が下ってしまいます」
マドラーシュ本人がいない、この現実にユフィリアは当然ながら内心で肩を落とす。
その反面、少し前にその存在を知ったグランナイツと顔を合わせられたことはこれまた絶好の機会と判断した。
あの口から全く聞くことが出来ていない数々の過去。
本人のいない間に色々と根掘り葉掘りと彼女から聞き出してしまおう。
ユフィリアの思考は既にその方向にシフトしていた。
その意図を汲んだセラとエリオも、既に大半が終わりつつある作業を切り上げようとして──
「うえぇぇぇぇ!?誰よ貴方たち!?ここマッドくんの離宮だよね、私訪問先間違えたりしてないよね!?」
「えぇぇぇぇぇ!?あ、アニスフィア王女殿下!?何でこっちに来ちゃってるんですかー!?」
やや遠くから……具体的には、離宮の本来の出入り口の方から二人分の大声が響き渡る。
片方の驚愕の声は全員が聞き覚えがあるからこそ、一瞬だが見事に固まってしまう。
穏やかな出会いで始まったこちらとは違い、あちらは随分とコメディなスタートである。
「……アニスフィア王女殿下、あと少しで清掃が終わるから一瞬横にどいてくれないか?後、もう少し声量を落としてほしい」
「そちらは随分とマイペースだねえ!?」
その直後に聞こえて来たのは、これまたシリアスな笑いを誘う淡々とした声だった。
空気を全く読んでいない上に不敬全開なマイペース発言である。
お陰でコメディスタートで固まりかけていた空気が即座に緩和される。
「これはとんでもエンカウントというものでは……?というか、イグノックスは王女様が相手でも全くブレませんね……」
「突撃、対極の隔離離宮訪問!といったところでしょうか。アニスフィア様はお一人で真正面から、ユフィリア様はあの裏口から入ってきたからお互いに想定外のようで……ふふ、楽しそうな展開になってきましたね」
「アニス様の奇天烈行動をそう簡単に纏めるセラも相変わらずですね……」
さりげなく発せられたユフィリアが使った裏口という単語についてはそこまで難しいことではない。
元々は婚約解消前の危ない橋を渡る負担を減らすためという用途で急遽作ったもの、ただそれだけの話だ。
偉志ノ大陸の文化と技術も用いられているので、よほど勘が良くなければ気付きづらい無駄な高性能っぷり。
そんな勝手口とも言える場所の使用が許されている辺り、もはや通い妻ではないかとエリオは思った。
とりあえず穏やか出会い組は素早く合流を図った。
イグノックス、クリスティーナ、アニスフィアという組み合わせはあまりに奇妙が過ぎて、何が起きるか分かったものではないのだから。
えーっと……この状況は一体どうしたものだろうか。
私が今いるのは、これまで殆ど来ることが無かったマッドくん在住の離宮だ。
『今こそ凸する時では?』と、現在鋭意制作中の品のパーツを発注をついでに訪れたわけなんだけども。
懐かしさに浸りながら歩いていたら、何故か床の掃除で絶賛レース中だった一組のカップルと遭遇して互いに混乱してしまい。
その後に侍女らしき人物とケモミミ装着の小柄な少女?女性?、更に何故かユフィまで合流してきて。
とりあえず色々積もる話もあるだろうからということで、応接室らしき部屋に案内されて。
今ここにいる人物で、ツッコミどころがまだ無いのは先に自己紹介があったマッドくんの専属侍女のセラだけだ。
見覚えのない顔だけど……きっと私がイリアを引き取ったようにどこかから引き抜いてきたってことだろう。
うーん、こういうところにも血を感じるね。
だが、残り4人についてはどこから突っ込んだらいいのか。
──とりあえずこういう場合は順序立てて行くべきかな。
「えーっと。こちらの3人はたまたま居合わせた清掃業者とかではないですよね?」
「アニス様……いくら何でもその入りはどうなんですか」
だってしょうがないじゃん、最初見た時からこのカップルは廊下掃除してたんだよ!?
ちょっと格好がおかしい清掃業者って誰でも思うってば!
「……まあ、アイツから話を聞いていなければ分からないのも無理はないか」
「マッドは自分からその辺りを話すような子じゃないですからね~……ユフィリア様にも話していないのはどうかと思うけど」
その呼び方を使うということは、マッドくんとは明らかに親しいという何よりの証拠だ。
このカップル?は見るからに私たちよりも年長者だし……。
そうなると、真面目に考えれば答えは限られてくる。
「要するに、貴方たちが噂に聞くマッドくんの教育係ということね」
「ご明察です。彼らはこの12年、マッド様の教育係を務めてきたグランナイツの構成員……イグノックス様、クリスティーナ様、そしてエリオ様です」
──やっぱり、ね。
まさか父上とグランツ公から話を聞いた直後に会うことになるとは、なかなか奇妙な縁もあったものだ。
本物の英雄か……転生前の世界のRPGでもよく見た格好に似ていなくもないけど……。
イグノックスって人が割と勇者ポジに見えるけど、実際どうなんだろうか。
それにしても、普通にしていたらそれほどの存在だなんて全く分からないね。
巧妙にそういう気配は隠している……そういう風だ。
いや、隠さざるを得なかったというべきなのか。
「ちなみに王女殿下とも顔は合わせているのですよ?物心つく前だから覚えていないとは思いますが……」
「王妃様とデイジーがどちらも忙しかった時はノヒルリアがマッドやアルガルド様を、私やエリオお姉さんがアニスフィア様をよく面倒を見たんですよねー」
「俺もノヒルリアさんを手伝っていたが……カルシオンやルドミラは茶化すばかりだったな」
え、実はそんな前からのお付き合いだったの!?
うわ、これはますます足を向けて寝られないやつじゃん!
ひとまず心の中でたくさん拝み倒しておこう。
さて、とりあえずこの3人の素性は無事に確認できたので一旦置いておくとして。
マッドくんの教育係ならば、この離宮に尋ねて来ること自体は何もおかしくないからね。
そうなると、次の疑問は当然……残った一人だ。
「それで、ユフィは何でここにいるのかな?マッドくんと接点なんて特に無かったはずだよね?」
「……アニス様がこちらの離宮に突撃をかけると仰っていたことを思い出しまして。何をしでかすかと不安になって様子を見に来ただけです」
うんうん、最もらしい理由だねえ……思わず誤魔化されちゃいそうなくらい。
でもね……そんなに目を泳がせてたら丸分かりだと思うんだ。
ユフィにしては珍しいその仕草だけで1発ダウト安定、真面目過ぎて嘘が下手だね。
まあユフィにとっても私がいることは想定外だったから、焦りから色々とメッキが剥がれているんだろうけども。
何というか、こんな隙だらけなのもなかなかに新鮮だね。
「むしろ勝手知ったる我が家のような感じですよね?3年も通ってしまえば、この部屋の構造などもいい加減覚えてしまったのでは?」
「うわ、清々しいくらいにバラしてますよこのぶっ飛び侍女」
あーあ、セラにバラされちゃってるー。
庇いようが無いからとかじゃなくて、すっごい面白そうに暴露してるのはそういうことだろうか。
──っていうかちょっと待って、3年?
しれっと凄い事実が混ざっていた気がするんだけど?
「何で堂々と暴露しているんですかセラ!後でマッド様に怒られますよ!?」
「アルガルド様にもバレてるのですからもう今更ではないでしょうか。『毒食らわば鍋まで』と言う格言もありますし、アニスフィア様相手ならばそこまで問題ないはずですよ」
「それを言うなら『毒食らわば皿まで』だよ!」
「……コイツの場合、鍋でも余裕で食いつくせそうだがな」
むしろそんな器用な間違いするくらいによくご存じですね!?
それにしても……ユフィがまさかのマッドくんと知り合いだったと。
しかもしょっちゅうここに来ていたって?
これはまた、随分怪しい関係ときたものだ。
後、さっき3年もって言ってたよね。
それって、まだユフィとアルくん婚約関係だった真っ只中じゃない?
そんな時からこの離宮通ってたってこと?
あ、でもアルくんにもバレてるって言ってたからセーフなのか?
当時バレてなきゃOK牧場って感じ?
「んなわけないでしょうがー!マッドくん、私の知らないところで何とんでもないことしでかしてるのさ!?」
裏でやりたい放題かと思った弟が、まさかのプレイボーイ属性まで兼ねてたなんてお姉ちゃんショックだぞ!
結構王国やら王族に対して気を使ってるなーって思った途端にこれはどうなってるの!
父上が知ったら絶対胃潰瘍ルート待ったなしな案件だし、母上が知った日には……あれ、どうなるんだろ。
……うん、絶対にこの部分だけは知らせないようにしよう。
「おわわ、流石のアニスフィア様もマッドとユフィリア様の関係にはびっくり仰天でしたか」
「私たちとしてはとっても面白かったですよね~?あの戦闘狂いのマッドがいきなり恋愛方向に突っ走るなんて、お姉さんとしてはむしろ感慨深かったな~」
か、感慨深いってクリスティーナ……。
危うくその弟分が次期王妃をぶんどったってドロドロ略奪愛劇場が始まりかけてたんだよ……?
そんな昼ドラも真っ青な展開を王宮内で展開なんて洒落にならない。
天然なのか、それともそういう展開を面白がってしまう爆弾女なのかこのお姉さんは。
そんなクリスティーナとは対照的に、額を抑えているのは彼氏らしきイグノックスだ。
「1つ訂正しておくが、アイツはあくまでユフィリア嬢の友人として色々相談に乗っていただけだ。このバカやセラの言うことは真に受けない方が寿命は延びる」
「またそうやって人の事バカとか言って!鍛錬バカにだけは言われたくありませ~ん!」
「……その手には乗らないからな?」
イグノックス、彼女?にバカなんて言っちゃダメだってば……。
まあシュールな掃除レースなんてことをしてはいたからどんなシュール系天然かと思ったが、想定よりまともそうで良かった。
きっとイグノックスの言うことが正しいのだろう……いや、そう信じないと私がどうにかなってしまいそうだ。
末っ子の弟の放浪癖がやっぱりプレイボーイって意味でした!なんてなったら、それこそお説教が必要になっちゃうし。
……いやいや、それでも紛らわしいことはしてほしくないんだけど。
そもそも、そんなとんでも状況の中当人同士の婚約解消合意まで持っていけたね?
王宮内の他の人物、誰から発覚しても1発アウト、まさに黒ひげ危機一髪な綱渡りだ。
これを渡り切るだけの隠密活動の手腕には舌を巻くべきところなのかもしれないけど。
そんなだからグランツ公に色々勘ぐられちゃうんだよマッドくん。
要するに、色々上手くやりすぎ!
まあ、私もアルくんの為に色々やっては裏目に出てばっかり……まさに真逆なわけで、人の事言えないけどね。
そして、ここでもう1つ私は気が付いてしまった。
「ユフィの根本をぶっ壊したとか、基本北風たまに太陽っていうのはもしかしなくても?」
「……そうです、それもマッド様のことです……」
ですよねー……他に誰がいるんですかって話だ。
それにしても……イグノックスは確かに、あくまで友人としてって言ってたよ?
でもね……これって普通にフラグ構築の流れじゃないのかな。
私のささやかなアプローチが軒並みかわされるのも、これであらかた合点が行ったね。
そりゃあマッドくんが彼女の根幹をぶっ壊して、その上で面倒見てたら……ねえ?
おのれマッドくん、まさかノーマークだったところから事前にフラグ自体を掻っ攫うとは。
しかもユフィも明らかにマッドくんのこと意識してるし……。
「それで、同性愛宣言をかましたアニスフィア様はどうなさるのですか?マッド様側はユフィリア様への感情は友愛こそ見せど、それ以上は不明な状況ですが」
このマッドくん専属侍女、いきなり何を言い出してるの……。
それって、私にユフィを掻っ攫ってしまってもいいんですよって言ってるようなものだよね?
というか、あれは単に王族としての結婚が面倒だからとか諸々の事情から来る宣言であってだね……。
「……ほら、ユフィ側は明らかに意識してる風じゃない?流石にそういうことは私がやりたくないし、考えたくもないね……吐き気もするし」
折角危ない綱を渡り切ったのに、また一難なんてあんまりだものね。
ただ、ユフィ側も結構難儀なところがあるからなあ。
どう考えてもそういう素直な恋愛をしたことがないのはこれまでの背景で分かってるし。
アルくんとは結局政略結婚狙いだったし、道中の進展が亀の歩みよりも無かったというのも結構響いてるんだろうなあ。
その状況でやりたい放題の化身な我が末弟が矢印の先とあっては、恐らくかなり難しいことだろう。
確かに私が割り込む余地もあるだろうね。
でも、そんないらん横槍を入れるつもりは絶対に、ぜーったいにないしやりたくない。
ここでそんな最悪レベルの割込みするくらいなら、馬に蹴られてやるともさ!
「ふふ、やはり姉弟ですね。マッド様も婚約解消の話が出る前まではまるで同じことを仰っていました」
あ、マッドくんもそこら辺はきっちり線引きしてたんだ。
ということは、俗に言う『どうしてこうなった』系かあ……。
やりたい放題する中で色々ユフィのことも救って引き上げちゃったってところかな?
……これまでとは別の、天然たらしの素質が見え隠れしてる気がする。
「うーん、ちょっと残念ですねー。アルガルド様が引いたと思ったらー?今度は何とアニスフィア様!って、面白い流れだと思いますけどー……」
「面白くないよ!?クリスティーナってさっきからしれっと物騒なこと言うよね!?」
「頑張って慣れてください……弟分への家族愛がちょっと変な形で出ているのと、楽しそうなことに目が無いだけですので」
またそんな物騒なこと言って……絶対敵に回しちゃいけないお姉さんだ。
……母上とどちらが上だろうか。
こんな人が姉貴分の一人となると、マッドくんが変に擦れたりしてないかが割と心配になってしまう。
または変に触発されて性格悪くなっちゃったりとか……。
──いや、少なくともイグノックスとエリオはまともだからストッパーになってくれているはず。
他にもそういう人がいないとも限らないからね。
「俺たちが茶々を入れていい問題ではないって何度言ったら分かるんだ……前から言ってるが、少しは自重を覚えろ。率先して弟分の胃に穴を空ける姉貴分がいてたまるか」
「そんな可愛い弟分を死地に連れてばかりの兄貴分に言われたくないで~す。カルシオン先輩と一緒にあっちこっち連れまわして、そのせいで何回マッドが死にかけたと思ってるの?むしろイグノックスたちの方が自重を覚えるべきじゃないかな」
イグノックス、それ、私にもグサってくるヤツ!
私の場合、対象は主に父上なんだけどさ!
そんなつもりじゃないのは分かるけどちょっと傷ついたよ!
というか、また聞き捨てならない言葉が聞こえてきたんですが!?
「死地っていったい何のこと……?交易路の開拓とか騎士団に混ざっての魔物退治とか、マッドくんの功績ってそういう風のはずじゃあ……」
「アイツ自身、幼い頃から手っ取り早く強くなるためにと生と死の狭間を求めていた。その要望に応え、俺とカルシオンが同伴でそこそこ強い魔物をけしかけたり、スタンピードに突っ込んだりしただけだ」
「マッド様は文句ひとつ言わず、むしろ楽しそうに課題をクリアしていました。その後はデイジー様からのお説教が必ずと言っていいほどありましたが」
「それでイグノックスとカルシオンが更に楽しそうに次の課題を出すという、まさに狂気の螺旋でしたね……今もそうなんですけど」
前言撤回!イグノックスもダメなタイプだった!
戦闘面でめっちゃスパルタしてる一番危なっかしいやつだ!
どうなってるの教育係、ストッパーがいたとしても暴走側が懲りてないのはマズイってば。
それに何べんも死にかけたって、マッドくんまだ15歳なんだよ!?
剣を握り始めたのが早くて5歳くらいと想定すると、もういつからそんな目に遭ってるのか考えることが怖くなるほどだよ。
もっと健全に生きて欲しいよ……もうちょっと平穏に暮らせるようにしてあげてよ……。
楽しそうにしてたからオッケーなんてあってはならないでしょーが!
「……マッド様が何故ああなったのかが大体理解出来ました。幼少期からのスパルタで色々感覚が麻痺していた、だからこそ破天荒だったと」
「レオンやデイジー、カルリッツにラインヒルトは上手く矯正していたからアレくらいで済んだとも言えますけど……あ、私も矯正側ですからね。スパルタなんて性に合いませんから」
「あ、エリオお姉さん自分だけ逃げてるー!私だってむしろマッドを止めてる側ですよー!無理やり気絶させてから離宮の一室に縛りつけたこともあるんですからねー!」
「……止めている時もあるのは知っていたが、お前そこまでやっていたのか?お前の言うことはそこそこ素直に聞く理由はそれか……」
あーもうめちゃくちゃだよ。
グランナイツ同士のマッドくん関係やらかし暴露大会にすっかり変わっちゃった。
何かマッドくんに会うのが怖くなってきたよ……一体どんな風なのか想像もつかない。
でも、今のユフィを見ているとそこまで酷いことになっていないのではと楽観視してもいいのではと思う自分もいる。
アルくんとの婚約を後腐れなく解消し、義務とか責務に縛られ過ぎずに自分の生き方を探している。
そんな彼女を形作るきっかけを与えたのは、誰でもないマッドくんなわけで……。
これまでの話を聞くに、直接助けるのではなく自分で自分を助けるように手を差し伸べたってことなのだろう。
まだるっこしいやり方に見えるが、そこには相手の意志や自我を尊重する考えが汲み取れる。
少しだけ捻くれてるけど、悪行と言われたら断じて有り得ないと言える。
──要するに、ちゃんと誰かに手を差し伸べられる子に育ってるってことでいいのかな。
まあそうでなければ偉志ノ大陸との国交をまともな形で結ぶなんて偉業も達成出来なかっただろうし。
ただ、やはり細かいところは気になってしまうのが姉心というものだ。
本人から色々と話を聞いて補完は勿論欲しいところだね。
そしてこれはあくまで個人的な暫定意見ではあるけど……。
マッドくんは国をひっくり返すなんて野心はまず持っていないと思う。
あくまで水面下で好き勝手しているのは、むしろ変に国を揺らしたくないというだけで。
要するに、私と似ている行動原理じゃないかってこと。
もしや私を見習ってたりとか……それなら姉冥利に尽きるというものだけどね。
よって、グランツ公の懸念は十中八九取り越し苦労だったってことで!父上もそう言ってたからね!
「さて、ユフィリア様。アルガルド様との婚約解消が両家公認となったことで今後のことを是非お願いいたします」
「そうですねー!お姉さんとしては、早く可愛い義理の妹分が欲しいなーってところなんですけど」
「結局その話になってしまうのですね……だから、あくまで私とマッド様は友人であって……」
うわ、セラとクリスティーナの愉悦女子コンビがまた爆走を始めてる。
私としてはどっちの味方するべきなんだろうか……?
ユフィが明らかにマッドくんを意識しているっていうのは、まあ火を見るよりも明らかだし……。
ただ、イマイチ奥手というか、自覚すらしていない風にも見える。
もしくは、そういう方向性は疎いのか……。
うーん、ヤキモキするけど強引というのも気が引けるし……。
それならマッドくん側にもう少し突っ込んであげるべきな気もするけど。
「……放っておくという選択肢はないのか?そんなだからアイツに苦手意識を持たれるんだ、いい加減学習しろ」
「そんなことないですよ~だ!セラ、こうなったら私たちで色々策を練りましょうか!あ、エリオお姉さんも巻き添えで~!」
「そうですね。ただ、イグノックス様の仰ることも一理あるのでその辺りも込みで……」
「おわっ!?わ、分かりましたからクリスティーナ、く、ぐるしいので放してくだざい……!」
あ、なんか勝手に作戦会議始めちゃったし。
常識人のエリオは半ば拘束されるような感じでクリスティーナに抱っこされてる。
えっと、顔が青くなってるけど見なかったことにした方がいいのかな……?
そんな三人にイグノックスは完全に匙を投げたのか、何か懐から何か取り出して飲みだしては我関せず。
この人、唯我独尊というかすっごいマイペースだねえ……。
そんなぶっきらぼうの態度の中には間違いなくマッドくんへの深い親愛は感じられるのがまた、難儀というか何というか。
……あっちのガールズトークに混ざりたい気持ちは大いにあるけど、それは後だ。
私はやりたい放題な弟の情報が少しでも欲しい。
ユフィも同じようで……イグノックスもそんな私たちの気配に気づいたのか、何か凄い甘ったるそうな飲み物から意識を外していた。
「幼いマッドくんを実戦に連れ出したって言ってたけど……何でそこまで強さを求めてるのかは知ってたりするの?」
「グランロード、要するに俺たちのリーダーであるレオンに強い憧れを抱いているからだ。黒龍を討伐したグランロードはまさに英雄の中の英雄で、その強さに少しでも近づいてみせるといつも豪語していた」
「『一番ギャフンと言わせたい相手』……とも仰っていました。それこそが、皆に対する恩返しになるとも」
「……アイツらしい。少なくとも俺やカルシオン、後はデイジーも心待ちにしていることだろう」
うーん、やっぱり男の子はって英雄に憧れちゃうものなのかな……。
でも、マッドくんの場合は明らかに行き過ぎてる気がするんだよね。
私が魔法に憧れ、何が何でも使えるようになりたかったと思うように……マッドくんは己が身をもって英雄に少しでも近づこうとしている。
そこに大した違いはないのかもしれないけど、その過程については果たしてどうなんだろう。
「その為だけに、自分から生死の境目にそれこそ嬉々として向かうだなんて……
「その懸念については、アイツの根幹そのものが原因とも言える。それにまつわる変な才能もまた、俺たち全員して教育熱心になった原因とも言えるか」
「変な才能ですか。思い当たる節はいくらかありますが、それはどのような……?」
待って、これ以上一体何があるの我が末弟よ。
お願い、お姉ちゃんのライフは割と風前の灯なのでここは手加減して欲しい。
「壁にぶつかることを苦にすら思わず、己の不足を全て成長の糧に変えてしまい、あらゆる手を尽くしてでも理不尽に抗う絶対不屈の才……デイジーはそう称していた。その性質を見出してからは、俺たちはアイツがどこまで上がっていけるか興味を持った。教えられることは全て教えてやり、経験させられることは何でも叩き込んでやろうと。──その結果、アイツの成長ぶりには俺たちも引っ張りあげられている。無論、その上で更に俺たちも引っ張ってやるまでだがな」
なーんかどこかで聞いたことのある才能なような……。
まあ間違いなくこの国においては異端そのものとすら言える。
壁にぶつかってもなお足掻き、魔学という境地に至った私がそう扱われてるからね……。
その極致とすら言えるマッドくんは、確かにこの国にとってはもはや劇薬と言う言葉すら生易しいのかもしれない。
確かに、教育係から見たらどのように育つかは気になってしょうがないだろうけど。
まさにマッドくんは上昇志向の塊、上しか見て居ないトチ狂ったブラックホールだ。
ある意味、私がつけた愛称も大概間違っていない……というか名は性質を表すとすら言える。
「でも、それで死にかけるような目に遭わせるのはやっぱりダメだと思う」
まあ、これに尽きてしまうわけで。
憧れの存在に追いつくためとはいえ、死んだらそれこそどうにもならない。
いくら本人がそれしか道が無いと思ってても、姉としてはやはり看過できないところだ。
「傍から見ればそう見えるのだろうが、その万が一のための俺たちだ。アイツは俺たちにとって弟分ないし息子のような存在であり、俺たちグランナイツを繋ぎとめた救い主、そして全員の生き甲斐そのもの。だからこそ、アイツが自身で描く道に出来る限り添い、助力し、時には諫める……それが俺たちのカタチだ。実の姉であろうととやかく言われる筋合いはない」
うわあ、ハッキリとド直球に……見事なまでに不敬だよこれ。
それにしても、愚直とさえ言える兄貴分兼父親分表明だ。
色々なごたごたに巻き込んだりしないよう、ただ突き放した私の立つ瀬が無くなりかねないほどだ。
紆余曲折ありながらも愛情を貰って育てていたならそこに文句はつけちゃダメ……ってことか。
でも、この辺は絶対に本人とも話し合う必要はありそうだね。
まあ、まずは当のマッドくんをとっ捕まえるところからなんだけども。
「後、これだけは言わせてもらおう。あの三人はやたら喧しいが、ユフィリア嬢──俺はアンタがマッドに相応しいとは思っていない。そもそも土俵にすら上がれるのかが怪しいところだ」
え、いきなり流れをぶった切ったかと思ったら何言ってるの!?
クリスティーナとエリオ、更にセラまで推している風なのにまさかのお兄さんだけ反対って……。
普通こういうケースって、男女が逆な気がするんだけど。
「……土俵に上がれないとは、一体どういう意味ですか」
「狼狽しない辺り、僅かながらの自覚はあるようだが……そこ止まりでは何にもならないだろうさ。──俺は帰らせてもらうぞ」
まさに一触即発、ユフィもイグノックスに睨みを利かせるが……あちらは意に介してない。
それだけ言うと、イグノックスは本当にすんなり部屋から出て行った。
……って、結局答えになってなくないかなそれ!?
後からクリスティーナとエリオも慌てて後を追いかけては部屋から出ていっちゃうし……ああもう、嵐のような人たちだな!
「やれやれ、皆さま相変わらずですね。イグノックス様については……まあ、あの方は筋金入りの貴族嫌いですので。あれでもだいぶ優しい方なのですよ?」
ええー……あれで優しいって、普通の貴族相手だとどうなってるのさ。
ただ、その後に聞いた彼の経歴で大体納得いってしまったんだよね……。
スタンピードに故郷が巻き込まれ、しかも手の打ちようが無いと早々に判断して我が身可愛さで切り捨てられたとあったら……ね。
その上でグランナイツの表舞台からの追放劇もあったら、貴族に不信感しか抱けないのは当然としか言いようがない。
(でも、あの時のユフィへの辛辣さは他に要因がある。明らかにマッドくん関係なんだろうけど……土俵に上がれないって、一体何なのさ)
マッドくんは確かに裏で色々とんでもないことをしでかしていて、それはイグノックスだけでなくグランナイツ全体として鼻が高いことだろう。
そこに貴族嫌いが含まれれば、まあ色々と邪推して攻撃的になるのもしょうがないところもあるんだけど……本当にそれだけなのか。
(──それにあの様子……マッドくんへの過保護ってじゃないよね)
そもそも、あの三人の中では明らかに基本放任主義に見えるし……。
──もしかして、優しい方って本当にそのままの意味だったりする?
ユフィ自身も僅かに自覚しているとされている何かを察して、厳しめの言葉で指摘して……檄を入れているとか?
それなら一体何に気が付いたのか……こればかりはユフィに聞かないとなんだけど、そう易々と突っ込んでいいものなのか。
これまでの役割に殉じることしか知らなかった頃とはワケが違うし……。
セラに途中まで送ってもらいながらも色々頭を回すが、五里霧中から抜け出せそうになかった。
久しぶりの超絶兄バカと過保護姉、そして常識人姉。
そこに奇天烈姉上に現状ちょっと曇り気味公爵令嬢合流、本格的なグランサガキャラと転天キャラの交差ですね。
イグノックスが盛大にやらかしているように見えますが、これぞ平常運転です。
貴族嫌いという面は本作追加要素ですが、それを加味しても十分優しい対応なんですよね……厳しめに忠告してるだけなので。
そしてこういう厳しめキャラこそ必要だったんじゃないのかと思ったのが本作でもあったり。
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)