グランサガ側のメインストーリーが終わっても一難去って何とやら。
転天1巻メインイベント、その前触れ。
「私、ふっかーつ!ってね」
いやはや、我ながらユフィの魔剣作成に本気を出し過ぎてしまった。
睡魔に負けて寝落ちというやらかしはこれまでもしょっちゅうだったけど、今回は復活まで特に時間がかかっちゃった。
ちなみに、別にすっごく疲れていたとかそういうわけじゃない。
早い話、ユフィに一度きっちり休みを取ってくれとお願いされてしまったからだ。
割と強く懇願されたから、断るに断れなかったんだよ……。
『助手からのせめてものお願いです』とまで言われちゃったらねえ。
まあ、お陰でかなり頭はスッキリしたんだけども。
やっぱり睡眠は大事ってことだね……それでこそ人間の三大欲求の一角というもの。
ただ時間が惜しい気もしてしまうのは私の悪い性分なんだろうけどさ。
私がこんな状態なわけだから、例の魔剣についてはユフィとイリアに任せっきりだ。
ユフィのあの入れ込みようから、何だかピーキーになりそうな予感がするけど……まあ使う本人が調整してこそだからね。
──そういえば、1つ考えておかないといけないことがあるんだよね。
どうでもいいようで、結構大事なことが見事に残ってしまっていた。
「おはようございます、姫様。今回はこっそり抜け出さずにじっくり休養を取って頂いたようで何よりでございます」
「おはよう、イリア……朝から色々絶好調だね。何かいいことでもあった?」
優雅に一礼しながら入ってきて早々に、いつも通り盛大な皮肉をぶつけてきた。
でもこの口ぶりは明らかに機嫌がいい時のものである。
……イリアの機嫌が良くなる要因って、真っ先に思い当たるとすればそれこそユフィ関連なんだけど。
「今日もユフィリア様は朝からあの魔剣と格闘していたので、休憩の際に息抜きにと雑談をしてきただけですよ」
「……もしかしなくても、マッドくん関係でからかってきたとか?」
「揶揄うなんてとんでもございません。3日ほど前に無事ご帰還なさったとお伝えしただけです」
それほど熱心に慣れようとしているということは、相当にあの剣を気に入ってくれたってことだね。
製作者としては、それはもう嬉しい限りだ。
そして、ちゃんと帰って来たんだねマッドくん……ああよかった、本当に。
いや、勿論私だってそれはもうかなり心配してたんだよ?
昔から何度も死にかけてたって言われてたくらいだし、今でも無茶してないかってさ。
どこに行ってたかは聞いてなかったけど、なーんかまたとんでもないことしでかしてそうでねえ……。
え、その点では私も人の事言えないって?
……私は素材収集のためなんだ、そこは仕方ないでしょうに。
「そうそう、その剣なんだけど名前ってあった方がいいよね。ユフィ専用で作ったわけだから、固有の名前をつけたいって思ったんだけど」
「名前ですか……確かに仰る通りですが、主に使うのはユフィリア様です。まずは本人を交えて相談するべきかと」
ならば、善は急げで即行動だね。
身支度を終えた私は、イリアと共にユフィの元へ向かう。
広場に出てみれば、運動性と装飾性を両立した格好で魔剣を振るうユフィの姿が目に入った。
水の刀身を纏わせながら、小規模の火球や水球を放っている。
──って、この前の連続発動が更にパワーアップして3連続になってるんだけど!?
初運用時に比べたら、1つ1つのサイズは小さいからコントロール重視に切り替えてるんだろうけど……それでもそうそう目に出来ることではない。
一つ一つの威力こそ小さくなっていても、その分手数が多くなってるし……心なしか魔力を込めるまでのタイムラグも小さくなっているような。
えっと、これって魔剣の調整であって鍛錬じゃないよね……?
一体この天才はどこに行こうとしているのだろうか。
「あれでも全然本人は納得していないようですよ。同属性の連続ならそれなりのものになったようですが」
いやいやいやいや、火と水連続で行けちゃってる時点で割ととんでもないんじゃないのかな!?
初使用からそんなに経ってないのに、成長早すぎじゃない?
天才が本気を出したらこうなってしまうのか……。
眠れる獅子というのは起きかけでも十分怖いということがよく分かったよ。
「──アニス様、それにイリアも。申し訳ありません、つい夢中になってしまって……」
「こっちこそ邪魔しちゃってごめんね?魔剣の調子自体は良さげというか、どんどん熟練度上げてる感じで何よりだよ」
「ええ、少し使い込んだだけですが……それなりに馴染んできました。レポートもご用意しておりますので、目を通してくださいませ」
それなりって……ユフィのストイックさが青天井すぎて怖い。
これは、レポートの方も丁寧でありながら詳細まで書かれていて凄いことになっているかも……。
まあ、読むのは凄い楽しみだけどね。
使ってる人の意見も大事だし、色々な視点を知るきっかけにもなるもの。
「そうそう、さっきふと思い出したことなんだけど……ユフィ。その剣に何か名前を付けようか?」
「名前ですか。やはり拘った方がいいところなのですね」
「実質ユフィ専用だけど、私の作品だからね。もしかしたら将来的に量産するってことになったら礎になるってことだし、それなら固有名はあった方がいいかなって」
それに、名付けという行為には言霊が宿るとか前世ではあった気がするし。
まあそこを差し引いても名前がある方が何かと都合がいいでしょう。
魔剣の名前、かあ……。
全属性を使えるユフィの為にいろんな属性に対応できるようにしているから……。
たくさんの属性……要するに色がたくさんってことだ。
「色がたくさんと言えば……虹。レインボー?他には……あ。アルカンシェル!」
何語だったか忘れたけど、割と武器の名前としては悪くないのでは?
虹というイメージもそこまで乖離してない、いやむしろぴったりじゃないか。
それに、
「アルカンシェル、ですか。いい名前ですね……どこかしっくりきます」
「じゃあアルカンシェルで決定!他に何か調整してほしいところってある?」
「刀身が特殊なので、手入れにおいての注意点がないかを確認しておきたいですね。ただでさえ使い込んでしまっているので……」
「まあまあ、使い込んだ方がアルカンシェルも喜んでくれるから。注意点は後でまとめておくね」
武器はやはり使って貰ってなんぼだろうからね。
流石に無機物の気持ちを察することまでは出来ないけどさ。
さーて、次は何をしようかなぁ──って、うん?
空に何かの影が過ったので、視線を上に向けたら白い鳩が目に入った。
それはまっすぐ私の方へと飛んできて、手に止まる。
「伝書鳩ですね。どなたからでしょう……」
「あー……冒険者ギルドからだね。恐らく討伐依頼とかその辺かな?」
「……冒険者ギルド?それってもしかしなくても冒険者登録をしているということですよね?初耳なのですが……」
「そういえば見事に話題に上がらなかったですね。ちなみにランクはちょうど討伐要請が直接来るゴールドランク。ちなみに、かつては一番上でしたが今では繰り下がって3番目となっております」
あ、そういえば見事に言うの忘れちゃってたね……イリア、ナイスフォローだよ。
小遣いを稼いだり素材を稼ぐには一番手っ取り早いからね。
まあある意味バイト感覚だね。
明らかに危なっかしい気もするけど、そこは前世とは違うからしょうがない。
……そして、最後のランクのくだりは余計だと思うんだ!
「ドラゴンを狩ったなんてとんでもないことを仰ってましたから、これくらいなら少し考えれば理解も納得も出来ますね。──3番目のランクというところには少々ホッとしましたけど」
「話が早くて助かるんだけど、そこは安心する材料じゃないと思うんだ……」
かつてのゴールド内でも実力の差が激しいからって理由で増設されたのが最上位のアダマンタイトとその次点に当たるプラチナ。
現在、どちらのランクも手で数えられるほどしかいないとか。
アダマンタイトが3人で、プラチナも10人いないって話だったよね。
まあ、この辺りに相応の価値を与える為だけに作られたランクだから数が少ないのも当然なんだろうけど。
ちなみに、その中に私の知り合いなんか当然いない。
私のドラゴン討伐の隠れ藪になってくれたケルビムは最強三柱の一角……要するにアダマンタイトだったり。
……まあ、私は所詮素材集めの為に冒険者登録してるだけだからね?
別にその辺りに上がることはこれっぽっちも興味ない……うん、本当に無いからね?
「コホン。それで肝心の依頼なんだけど……どうやらスタンピードが来るみたいだね」
「スタンピード……!?それは確かに急を要する事態ですね」
その単語を発すると、ユフィの表情が硬くなった。
魔物が大量発生して、群れを成し溢れ出てくる現象……それがスタンピードだ。
原因は主に2つある。
1つは単純に魔物が大量発生したことによる縄張り争いの結果。
もう1つは魔物の群れが逃げ出さなければならないほどの大物……魔石持ちが発生した場合。
まあ後は『黒龍討伐戦』の余波という詳細が把握されていないケースもあるが、これは今ではもう稀だ。
このケースはグランナイツが悉く潰してくれたんじゃないかと思ってる。
まあどのケースにしても、高位冒険者を呼び出すほどの事態だ。
国の騎士団ではどうしても初動が遅れちゃうからね、伝達とかその他諸々で。
だからこそ、フットワークが軽い冒険者が先に足止めに出る。
稼ぎ時でもあるから、多少損な役回りでもそこはwin-winなんじゃないかな。
「というわけで、ちょっと行ってくる。イリア、留守はよろしくね!」
「かしこまりました。私はもしもの為に陛下の元へ向かいますね」
多分言い訳を考えてくれてるんだろうなあ……本当ごめんね、毎度苦労させちゃって。
でも、素材は集められるときに集めないとね!
魔物が大量、それはイコールかきいれ時を意味するってことでもある。
スタンピードそのものも放っておけないが、それ以上に私にとってはフィーバータイムなのだ!
「アニス様。助手の私は同行の権利くらいございますよね?」
「え?待って、一応スタンピードなんだけど……大丈夫なの?」
「それを言ったらアニス様こそ。本来なら王族がわざわざ現場に向かうことはないはずですよ」
うっ……そうやって返されちゃうと止めづらい。
見事におまいう案件ってやつになっちゃうからね。
それに、ユフィの目から明確な強い覚悟を感じた。
ああ、そっか──マッドくんが歩んだ道筋に少しでも近づけるチャンスでもあるからね。
もちろんそれを揶揄うようなことは断じてしないし、出来ないよ。
私が魔法に対して抱いているものと似ているからね……。
それに問答している時間も惜しい!
素材獲得競争というのは、それはもう過酷なものだから!
「分かった、助手の同行を許可いたしましょう!足を持ってくるからちょっと待ってね!」
「足?まさかあの時のような移動をするつもりですか?それだと話は変わってくるのですが……」
ふっふっふ、魔女帚のことを言ってるんだろうけど今回はそれじゃないよ?
別にあれでも問題ないけど、せっかくだから新たな作品を披露したいし。
向かうは広場の一角にある倉庫の1つ。
その扉を開けば、私の作品はその雄姿を堂々と曝け出していた。
うーん、この秘密兵器を出すって感覚は1回味わってみたかったんだよね!
「これは……船ですか?でもこれ、見た目はドラゴンの顎な気が……」
「ご明察!ドラゴンの素材を用いた作り上げた、飛行用魔道具!その名もエアドラちゃんだよ!」
「飛行用……これ、飛べるのですか!?」
ユフィが驚くのも無理は無いよね、それでこそ私のとっておきだし。
動力は風の精霊石で、船体はドラゴンの顎に骨、鱗を用いている。
魔石の一部で疑似的にドラゴンのブレスを再現して推進力にする。
風の精霊石では浮力を得るので、これらを動力として飛行が可能になったというわけよ!
「さあ時は一刻を争うよ!ユフィ、乗って乗って!」
「止めても無駄のようなので、そうさせて頂きますが……せめてあの時よりはまともに飛ばしてくださいね?早さを重視するにしても、確実に……」
まあ、あまりに飛ばして目的地を通り過ぎたりとか着地失敗なんてしたら元も子もないからね。
そこだけは気を付けるとしよう、乗るのは私だけじゃないからね。
でも、スピードは出せるだけ出すよ!
ユフィが乗り込んだことを確認すると、舵を通して必要な魔力を流す。
精霊石に魔力充填確認。浮遊開始……離陸ヨシ!
「船首角度ヨシ!エアドラちゃん、ブレスバースト!ユフィのご要望通り、確実に全速前進DA☆!」
「結局全速前進なんですね……くうっ……!」
大丈夫、ちゃんと出力は多少抑えてるからね!
ほら、あの時のような絶叫あげないで済んでるでしょ?
さあ、楽しい楽しい空の旅アゲインだよ!ああ、やはりこの景色は何度見てもいいねえ!
目指すはスタンピード発生地、黒の森!
待ってなさい、私の大事な素材たち!
アニスフィアとユフィリアがスタンピード発生地に向かった後。
王城内にいるほぼすべての者は明らかに忙しなく、そして慌ただしくしていた。
それは執務室でとある報告を聞いたオルファンスも例外ではない。
「黒の森でスタンピード、それも黒龍の余波のものだと!?」
「明らかに魔物の挙動やその強さ、侵攻速度が通常のスタンピードのそれと異なるとのこと!更に最奥には魔石持ちが控えているという情報も挙がってきております!」
「その上で更に魔石持ちまで出没……?そんな事態、これまでに無かったぞ!」
普通のスタンピードの原因は魔物の縄張り争いか魔石持ちという大物から魔物が逃げ出すことによる二次災害だ。
『黒龍討伐戦の余波』と称されるスタンピードはこれら2つとは明確な一線を画す。
原因が明確ではないこともあるが、最も大きいのは魔物そのものである。
騎士団からの報告にあるように、その挙動も強さも明確に異なるのだ。
挙動に関してはこちらから手を出さなければいいケースが発生し得るので必ず悪いことではない。
厄介なのは、相対せざるを得ない場合のその強さだ。
多少強くなる程度で済む場合も無いわけではないが、大体の魔物のランクが1つは上がると見てもいいだろう。
ちなみにマドラーシュやグランナイツが対応したものは軒並み2ランクは上昇しているケースが殆どだった。
しかし、唯一の救いとして普段のスタンピードと併せて発生することがこれまで一度も無かった。
すなわち、魔物の縄張り争いも魔石持ちの発生も並行して起こっていないということ。
だからこそ黒龍由来という以外の原因が不明とされているのだが、少なくとも対処そのものが複雑化することは殆どない。
──が、それも今回のケースで見事に法則が崩れ去ってしまった。
ただでさえ高ランク冒険者を集めなければならないスタンピードで、魔石持ちの発生と黒龍の余波という最悪な要因のダブルパンチ。
まさに未曽有の事態としか言いようがなく、オルファンスはこれ以上に無いほど頭を抱えていた。
「その魔石持ちについて詳しい情報は出ていないのか?」
「いえ、斥候もかろうじて魔石持ちの気配を探るところまでのところのようで……」
「下手をするとドラゴンのような災害級が出張ってくる、という可能性もあるということか……そうなったとしたら、それこそ最悪を極めるぞ……!」
災害級と称されるおとぎ話の存在、ドラゴンが黒龍の余波を経て更に強さを増してしまったら。
それこそ、騎士団やゴールドランクの冒険者が束になって勝てるのかどうか……。
いや、恐らく無理だろうとオルファンスは首を振った。
それこそ王国内ではなく、世界的でも指折りの存在が必要になってくる。
そう、かつて王国内で精力的に動いてくれた彼らのような……。
(極めて身勝手なことは分かっている……!だが、召集をかけなかったらそれこそ国の存亡に関わってしまう。止むを得んか……)
その為ならば、どのように罵倒されようとも構わない。
その程度で国を守れるならば、甘んじて受けよう。
そのように決意を固めたオルファンスだったが、狙ったようにその音は聞こえてきた。
「──父上、アルガルドです。謹慎中の身ではありますが、入室の許可を」
「アルガルド!?……いや、今は謹慎などどうでもいいか。入ってよいぞ!」
まさかの長男の声に一瞬驚愕の表情を浮かべるも、事態が事態なのですぐに入室を許す。
元々が形だけの謹慎なので気にする必要もないのだが、そこは表向きの体面の問題だ。
「失礼ながら父上。黒龍の余波と魔石持ちという未知のスタンピードが発生したと耳に致しました」
「まあ、耳にしても不思議はないな。まさか、お前も討伐に乗り出すつもりか?」
先日のユフィリアの証言から、アルガルドは道を誤ってはいないことは理解している。
しかし、それでもオルファンスはこれまでアルガルドに浴びせられた蔑みを知っている。
『アルガルドには光り輝く才能は無い』
そして、アニスフィアがアルガルドの為を思って王位継承権を放棄してからは更にこう言われるようになった。
『アニスフィアが足りないものを有していれば、王の座に相応しいのでは』
このような心無い言葉を浴びせられた過去は変えられない。
だからこそ、そのような言葉を覆すほどの名誉を欲しているのではないか。
最悪の場合はドラゴンが関わっている可能性すらある、黒龍の余波のスタンピードだ。
アニスフィアもドラゴンを狩っているが、このケースの解決はそれを大きく上回ると言っていい。
そうすれば、長女と長男の評価は逆転する可能性は高いだろう。
しかし、アルガルドの返答は想定外のものだった。
「魔石持ち以外にならば、例え私でも後れは取らないでしょう。しかし、黒龍の余波を受けた魔石持ちとなると……それこそ相応の実力者でないと厳しいはず。自身の力量は弁えているつもりです」
まさに、客観的視点からの現実的な返しだった。
自身の力量不足も含めて口にするその姿は、まるで波風が一切立っていない平坦な水面そのもの。
むしろオルファンスの方が二の句を次げないくらいにアルガルドは冷静に現実を見据えている。
だからこそ、彼には現実を確実に破る策も用意していた。
「ゴールドランクの冒険者で歯が立たないならば、プラチナないしアダマンタイト級にこそ相応しき晴れ舞台と言えるでしょう。それぞれ一名ずつ、こちらで既に手配済みです」
「プラチナランクにアダマンタイトランクだと!?アルガルド、いつの間にそのような者たちと親交を!?」
ゴールドランクの冒険者は王国内に限っても決して希少というわけではない。
仮に他の国からも募れば、それなりの数にはなるだろう。
しかし、プラチナとアダマンタイト……最上級とその1つ下のランクとなるとその絶対数は激減する。
それもそのはず。元々冒険者のランク付けはゴールドまでが通例だったのだから。
かつては3段階のランクの最上級とされるゴールドランクだが、同じランク帯でもその実力の幅はあまりに激しすぎた。
最近活動を再開した『青き炎』と『紫の刃』はその最右翼と言える。
そして、彗星のように現れ前者2名と同格の活躍を見せるのは『無慈悲な主演』だ。
この3名を筆頭に、他にも王国内外問わずに今まで隠れていた実力者が次々に頭角を現してきていた。
お陰で、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つでは物差しとして機能しない事態に発展することとなる。
結果、新たな目安として最上位のアダマンタイトランクと次点のプラチナランクが設けられた。
アルガルドはそんな雲の上に属する人材で当てがあると豪語してのけた。
この状況でホラを吹くような息子ではないことは、オルファンスとて重々理解している。
だからこそ、この未曾有の緊急事態における希望としての意味合いは確かなものだ。
……その度合いがあまりに大きいが故に、その驚愕も小さくはなかったが。
「この縁については、本当に幸運が積み重なった結果ですが……何とか『無慈悲な主演』と
「全く、いつの間に柔軟に立ち回れるようになったのだ……よかろう、その程度で未知の脅威を払えるならば安いものだ」
思わぬ息子の粋な立ち回りに、オルファンスは思わず微笑を浮かべていた。
そのような状況ではないのは分かっていても、想定外のところで肩の荷が下りたとなっては無理もないところ。
王位継承に伴うアルガルドが抱えていた内なる鬱屈は、それほどまでにどうにもならなかったのだから。
(……今の俺に出来ることはここまでだ。後は盛大に暴れてくれ、愚弟よ)
そんな中、アルガルドは自らを陰に追いやる立役者を思う。
皮肉やら嫌味をぶつけてばかりではあるが、それはアルガルドなりの親愛の表れだ。
今となっては、完全に憧憬対象すらすり替わっているほどだ。
そこまで認めていて、追いついて1発入れたい相手がいつまでも陰で燻ぶるのを良しと出来るほどアルガルドも日和見主義ではない。
──捻くれた家族愛を持つのは、何も末弟だけではないということだ。
「へ、陛下!新たに大変な報告でございます!」
「って、何だ次から次へと!折角いい具合で収まるところだったのだぞ!」
親子が全く別のところで感慨に浸っているところに、唐突な冷や水が襲い掛かる。
とはいえ、その様子はより緊急性の報告があると見えるので無碍には出来なかった。
この見事なまでの間の悪さ──この時点でアルガルドは察した。
ここまで逆の意味で狙いすましたかのように動く人物など、彼は一人しか知らない。
「アニスフィア王女殿下が、ユフィリア公爵令嬢と共にドラゴンの頭のようなものに乗って、黒の森方面に飛び去ったとの目撃情報がありました!」
この報告を聞いて、目が点になりながらもオルファンスは思い出してしまった。
アニスフィアは素材集めと資金稼ぎの一環で冒険者登録をしており、そのランクは元最上位のゴールドランクだということを。
今回のスタンピードにおける討伐要請が送られる人員に見事合致している。
……ドラゴンの頭のようなものについては、この際どうでもよかった。
現実に立ち返ったオルファンスが出来ることはただ一つだけ。
「……あんの、バカ娘がぁぁぁッ!」
もはや恒例行事になりつつある怒号を挙げることだけだった。
そんな父に同情的視線を向けながら、アルガルドも流石に額を抑えてしまう。
(姉上……貴女は何でいつもいつもこう間が悪いんだ?これではアイツの負担がまた偉いことになる。──愚痴をこぼす席も用意してやらねばならんではないか)
これでは折角送り込んだ最強クラスの援軍の手間が増えてしまう。
いくらゴールドランクでドラゴン討伐を為しえた経験があるアニスフィアでも、今回ばかりはどうなるか分かったものではない。
しかし、いつものように素材収集に向かっているだけの彼女はこの異常事態を知らずに突っ込んだに過ぎないのだ。
言うならば不幸な事故で、今更止めることなど出来やしない。
せめて余計な問題に発展しないように。
アルガルドとオルファンスはそう祈る他なかった。
ようやくアルカンシェル命名ですね。
同名の曲は……まあ、本作では流れるような空気ではないでしょう。
もはや根底からして思いっきり変えちゃってますからね。
ちなみに最近の作者はMFゴーストの影響でユロビ熱が再発してしまうバグを引き起こしております。
お陰でガンガンイニD挿入ユロビを流しまくっては身体が勝手に動きながらの執筆と言う謎の状態に。
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)