さあアニスフィア様、どこに行ったのでしょうか(棒)
というわけで、久々のその手のパートです
──俺にしては珍しいことに1つだけ、失念していたことがあった。
別に致命的な見落としとかそういうことではないのだが……。
よくよく考えてみたら、結構面倒事ではあるな。
「姉上が復権するってことは……この国だったら周知の為の宴ってやつが必ずあるわけだが」
「その招待状が、何故か来ていましたね……」
送り先間違えてねえかって思ったんだが、何度見ても宛先は俺だった。
……おかしい、俺はそういうの基本的にスルーさせるって方針じゃなかったのか?
せいぜいアル兄さんとユフィリアを仲介した際のブツに関わってる程度なのにねえ……。
「……申し訳ございません。私も完全に頭から抜けていました」
「いや、こればかりは俺も想定していなかった。セラに落ち度はねえよ」
何だかんだで有能なセラと揃って綺麗に忘れるっていうのは珍しいけどな。
まあそんなこともあるってことにしておこう。
ここ最近色々あったってのもあるからねえ……。
暗躍気味ムーブで動きを察知してたり、セリアードに顕魂術教えたり、どこか変わった魔石手に入れたり……マジモノのてんてこ舞いだった。
何で姉上の復権周知の宴が問題なのかってことだが、これはさっきアル兄さんと話していたことが思いっきり関係している。
「あー……そう考えるとアル兄さんが仕込んだ可能性も大いにあるか。あんにゃろう、やってくれたな……」
「良かれと思ってというより、必要が故の仕込みですか。──そうなると、猶更行かない理由が減ってしまいますね」
早い話、これを機に姉上に接触を図る輩が出てくるから早速監視しなきゃ駄目じゃね?ってことだ。
宴の場なんて、まさに自然に姉上とコンタクトを取れる絶好のタイミングだろ?
そこで面倒となるのがこれまでの俺の経歴っていうか……早い話、社交界デビューなんて知ったことかと言わんばかりにスルーしてたわけなんだよ。
マナーとかダンスとかはいくらでも誤魔化せるし、いくらでもどうとでもなるわけなんだが。
「擬態の為にと学んでおいて助かったな……相対的に落ちるとはいえ、この地位も些か面倒なものだね」
「今頃アニスフィア様は阿鼻急患でしょうね……」
「それを言うなら阿鼻叫喚な?ティルティのところに駆け込んでどうする気だっての」
姉上もその辺りは面倒がるだろうし、そういう意味では同じ穴の貉と言えるだろうよ。
まあ、俺の場合は必要だと判断してきっちり叩き込んではルドミラ姉さん仕込みで仮面すら仕込めることすら出来る。
まさに、グランナイツ全体の英才教育の賜物ってやつだな……誰もいないけど拝んでおくとしよう。
こういう時はまさに多芸万歳、やれることが多いのはそれだけ選択肢が増えることと同義だ。
元はと言えば、そういう場に紛れ込んでいざって時に引っ掻き回せたら楽しそうという下らねえ理由が源流なんだがな?
要は、今の状態でも参加しようと思えばできるってこと。
ただ、それと俺が乗り気かどうかはってのは全くの別問題だ。
「徹底的に隠密ってのも気を遣うんだっての……人の技術をただの便利な何かみたいに思ってんのか?」
「それか、これを機会に社交界デビュー……いえ、アルガルド様はそこまで鬼畜ではございませんね」
これが偉志ノ大陸での宴だってんなら何の気兼ねもいらねえってのに……。
こっちじゃあ俺は放浪癖全開のダメ野郎で通ってるわけだし、下手に顔を出したらそれこそ喧しいことは確実。
その時点で隠密しないって選択肢はほぼ無いってわけだな。
んでもって、周囲は基本的には相容れない存在ばかり……それもまたキツイ。
姉上やユフィリアと一緒にいるわけにもいかねえからな、特に後者は余計に気を遣わなければならん。
──結論、何かもう色々と面倒になってきた。
「ラインヒルト先生とかルドミラ姉さん、カルシオン辺りに押し付けらんねえか?もう考えるのも怠くなってきた」
「ラインヒルト様はしれっといてもおかしくはなさそうですし、その手もありますね」
俺は陰でやりたい放題したいのであって、率先してそういう煌びやかなところに行ってお利口ムーブしたいわけではない。
そんな時間があるならキュイとの顕魂術研究やドレッド・ドラゴンの魔石のイメージ研究に回すっての。
あのドレッド・ドラゴンの魔石は黒竜の余波の影響があって、相当ユニークなイメージを持ってそうだからな。
それに、色々意味深な言葉を残されたからかどうにも気になって仕方がない。
そんなわけで今日も元気に顕魂術研究だ……と行こうとしたその時だったか。
俺の第六感があまりに唐突の警報を鳴らしてきやがったのは。
「──今部屋の外に出たら物理的に危険な気がするのは俺が頭おかしくなったわけじゃねえよな?」
なんつうか、俺の魔力というか魂というかその辺りがザワつきだした。
顕魂術使ってるわけでもねえのに……まさか何かと共鳴でもしてるのか?
セラの方を見ると、俺と似たような表情をしていた。
気持ち俺より困惑は少なさそうな辺り、心当たりがあるようだが。
「私は何か奇天烈な気配を感じたところです。心当たりは一人しかいませんね」
あーなるほどなるほど、その証言で俺も把握してしまった。
奇天烈な気配って何ぞやって普通なら思うだろうが、まあこの国ならではってことで。
足音は不自然なまでに聞こえてこないが気配は見事なまでに駄々洩れ。
こんな残念な隠密も、あの人ならまるで違和感が無い。
暫く二人して突っ立ったままでいると、勢いよく扉は開かれた。
「自由への逃走達成!セラ、匿って!──って、まさかのここで姉弟再会ですとー!?」
──やれやれ、年頃の王女様が堂々とドアを蹴るとか何やってんだかな?
まさかの訪問者、そして思わぬ姉弟の再会。
これぞ血の繋がった姉弟ってやつなのかね……タイミングが面白すぎるっての。
それにしても一体何年ぶりだろうね、こうして顔を合わせるのは。
……いつ以来かマジで分からん、我ながら薄情すぎねえか?
「というわけでお久しぶりマッドくん!うんうん、心身共に順調そのもので私は嬉しいよ!」
「はいはいお久しぶりでございます麗しき姉上様。というわけで早速ハウスだハウス、もうちょい自分の立場考えて潜伏先を考えろっての」
「いきなり塩対応すぎない!?私はワンコじゃないんだけどぉ!?」
アポなし、しかも扉を蹴って入ってくるような人間を快く通すヤツなんているのか?
俺でも流石にそんなことはしねえぞ……せいぜい年貢発言程度で。
まあ、俺にとってもそこそこ都合がいいからほっぽり出したりはしないが。
「にしても、真面目にここは色々な人間の憩いの場になってきたな。いっそ利用料でも取るか……姉上ならいくらくらいにする?」
「仮にも王族なのにケチ臭くないかな!?」
「いくら俺より継承権上になるとはいえ、姉上にだけはそういうこと言われたくねえんだが?」
「こら、それ不敬発言だと思うんだけど……可愛い弟にまでイリアみたいなこと言われたら、私どうにかなっちゃいそう」
あの見た目クールな専属侍女にも同じこと言われてるのかよ……。
容易に想像できる光景ではあるが、そのまんまだったのか……流石姉上というべきなのか。
それでも引き抜かれてからずっと姉上の専属続けてるわけだし、何だかんだで慕ってるんだろうな。
「そういえば、私が復権するって知ってるんだ……グランナイツの誰か経由?」
「その辺の事情は聞いていたのか。下手に誤魔化さんでいい分助かるが」
「ふっふっふ、ユフィとの関係だって知ってるんだよ?全く、やりたい放題の裏で随分とお盛んでアイタァ!」
ミココロ直伝、陰の鬼志式隠れハリセンを食らえ!
いきなりカルシオンとかクリスティーナ姉さん顔負けの嫌な顔をしだすんじゃねえ。
俺がその手のネタでやられてばかりだと思ったか、とんだうつけ者め。
こちとらツッコミなら色々鍛えられているんだよ!主にイグノックス兄さんとカルトにな!
「流石はマッド様、きっと百点満点を頂けるツッコミでしたよ」
「そこは叩かれた私の身を案じて欲しいんだけど!?私がこれ以上奇天烈になったらどうするのさ!」
「どこぞの恋愛スイーツ脳な顔をしたのが運の尽きだ。次からは気を付けるように」
「いや、あれは流石に誰でも邪推するっていうか……むしろ邪推ですらない気がするなだけど?」
うっさい、俺が邪推だと思ってんなら邪推だっての。
っていうかこのまま行くといつまで経ってもまともな話が始められねえんだが?
姉上が飛ばし過ぎってのもあるが……何でまた俺も付き合ってしまうんだろうか。
何と言うか、ペースを握りきれなくて嫌な感じがするんだよな。
とりあえず一旦互いに気を取り直すついでで、茶でも用意することにした。
「普通にお茶を入れる光景見るのも久しぶりで新鮮さすら感じるよ。そういえば、ずっと聞きたかったことなんだけど……マッドくんって魔道具というか魔学についてはどう思ってるの?」
──いきなり随分クリティカルな話題ぶち込んできたな。
まあ、その顔からして多少の確信があってなんだろうが。
グランナイツとかその辺の事情に俺のやりたい放題も知ってるということは、俺の思考も多少は分かってるんだろうよ。
その割にはちょいと不安そうな顔してるが……まあ、こればかりは無理もねえな。頭の固い連中によっぽどメタメタにされたことだろうからね。
いい加減真面目に答えてやるとしよう……ここで弄るのは空気読めてねえ証拠だし。
「俺自身は魔法技術の飛躍というか、次のステージに持っていく新たな概念って解釈させてもらってる。あれこれ目くじら立てる連中は淀んだ空気を望む異常者にしか見えねえな」
「あれ、ドライではあるんだけど意外と好感触だった……ちょっと後半の棘が怖いくらいだけど」
「むしろ俺がわざわざ精霊信仰万歳!なんて敬虔な人間に見えるのか?俺には守りたい既得権益も特にねえし、革新的要素はむしろ歓迎する側さ」
「ば、バッサリ過ぎる……イグノックスの影響がモロに出てるのがよく分かる……」
これまで俺側がノータッチだったからマシな方で無関心とでも思ってたのかね。
まあ、無関心って言うより関わる暇が無かったってのもあるんだけどな。
え、イグノックス兄さんの影響ありあり?
やっべえすげえ誉め言葉貰ったわ。
「──要は好印象ってことでいいんだよね?」
「むしろちょっとしたブツくらいは欲しいと思ったくらいだな。ああ、別に身内だから寄こせとかケチくせえことは言うつもりはねえぞ?相応の対価は払うつもりだ」
いくら顕魂術でも、現時点で利便性という方向では圧倒的に劣るからな。
まあこれは、顕魂術側の初期テスターも割と関わってくるところだ。
だって最初はグランナイツとティルティだけだったんだぜ?
革命に持って行かなければならないってのと俺の思考回路的にも、戦闘面第一になるのはしゃあねえことなんだろうが。
辺境の亜人種の方で徐々にサバイバルとかで使えるようになってきてるって報告は聞くし、ウィンやデイジー師匠も日常方面で器用に使ってる。
ただこの用途も魔道具が出まわったら保険に回っちまうんだろうけど。
「いやいや、身内に金銭要求とか流石にしないって。それだけ私の発明を買ってくれるってのは嬉しいけど!」
「……まあ、姉上がそう言ってくれるならありがたく頂くか。その分きっちりテストさせてもらうよ」
「あら、これで私の業務効率化がより進むのですね。ありがとうございます、アニスフィア様」
そうこう言ってる内に茶の用意が済んだみたいだな。
うん、顕魂術抜きだとやはり少し温いが姉上のお陰でこの絶妙な不便も最後になる。
そういえば、見事に顕魂術の話題が出てこねえな。
姉上は精霊の知覚が出来ねえから、魔法と顕魂術の違いがよく分からないのか?
ただ、精霊に対する感覚が鋭敏であろうユフィリアもあの場にはいたからな……。
アイツからその辺りの疑問が出て来るのも、時間の問題かもな?
まあ、そろそろ王都周辺でも明確に知らしめてもいいかってことで大々的に使ったってのもあるんだが。
流石にアレだけで開発者が俺って重要機密には到達できないって確信もあるし。
──さて、こちらからもクリティカルな話題にに切り込むとしようか。
「にしても、今まで散々遠ざけてたっていうのにここぞと王位復権とは派手な方向転換だな?」
「まあ、色々状況からしてそうなっちゃってね……アルくんは何にも問題ないって話だけど、一応念には念をということで」
父上とグランツ公なら石橋を叩く方針で行くだろうから、まあそうなるよな。
たまたまアル兄さんが惑わされることなく立ち回れたから良かったものの、次はどうなるか分かったもんじゃない。
もしかしたらあっちに付かざるを得ないような脅迫とかやりかねないだろうし、次善策は必要だろうよ。
無論、それが不必要だってのが分かってるのが俺たちなんだが。
「そこで張りぼて第二位の俺を擁立しないってのも、グランツ公辺りが警戒してのことか?」
「うん、その通りなんだけどさ……自分が危険因子として扱われてるのに随分と冷静というか、あっけらかんとしすぎじゃない?」
「こちとらアル兄さんのスペア扱い早15年だぜ?自分が政治的に煙たがれる存在なのはよーく分かってるつもりだし、これまでの行動を知られたら警戒されるってのも承知の上。自覚さえしてれば割と腹は括れるってものさ」
そもそもの話、そんなことを些事と思うほどに『魔法至上主義』への破壊衝動が暴れている。
それに、過去に魔法省や貴族の圧力を受けて地位を追いやられたグランナイツと親しいってなればその懸念が強くなるのは自然だ。
顕魂術のことをここまで徹底的に隠してきたのも、早い段階で嫌なバレ方したら頓挫しかねないと思ったからだし。
──で、何でこの回答に対してぽかんと呆け顔になってるんだろうか。
俺としては客観的で当たり前のこと言ったつもりなんだが。
「これまた取り越し苦労ってやつか……やっぱり私、マッドくんに対してずっといらないことしてたよね?色々拗れるのを怖がって、せめて巻き込まないようにと私から遠ざけちゃって。もっと早く話してれば……色々と違っていたのかな」
なるほど、これまでのことを思い返してたってわけか。
やれやれ、やっぱり俺のことをそういう風に見ていたのか。
あれだけ奇天烈なことしまくってる癖に、変なところで繊細ムーブかましやがって。
まあいい、今こそが好機──モヤモヤを解消するためにも、そろそろ思い切り言わせてもらおうか。
「そもそものきっかけはあの事件──っていうか、その後の周りの反応だろ?あんな下らねえ陰謀論は雑音扱いしちまえばそれで済むってのに……いつまでズルズルと引きずるから余計面倒にしてるんじゃねえのか?」
これは俺は全く関係のないところで起こったもので、後から知らされたことなんだがな?
いつだったか、その頃から逃亡癖が凄かった姉上がアル兄さんを連れて森に抜け出したんだよな。
多分、弟にちょっとした悪い遊びを教えてやろう的な感じだったんじゃないかね。
そこまでなら微笑ましいことで済むんだが──間の悪いことに遊びに行った場所で魔物と遭遇してしまった。
で、当時既に魔学の研究を進めていた姉上は精霊石を駆使して魔物を追い払うことは出来たとのこと。
アル兄さんは姉上の指示で身を隠していたらしい。
まあ、その時はまともな対抗手段を持ってたのが姉上だけだった。
二人の行動は特段間違ってはいない……っていうか、普通に正解だろうよ。
その後は普通にアル兄さんは騎士の誰かに見つけてもらえて、姉上も無傷だったわけだから一件落着ってなるのが普通だ。
だが、そのあらましを聞いた誰かがとんでもねえことを言い出しやがった。
『アニスフィア様がアルガルド様の暗殺を企てていたのでは』ってな。
曰く、姉上が無傷なのがかなり怪しくて、動機もいくらでもあるってことだ。
まあ要するに、魔法を使えるアル兄さんを妬んでいい具合に魔物に殺してもらうっていうのがそいつの考えなんだろうよ。
後から聞いた俺とグランナイツの全員は『何言ってんだそいつ』って完全にハモってたっけな。
で、姉上はその噂の払拭にひたすら奔走した。
数々の奇行も、元々は王位なんて興味ありませんアピールってのが大半だったんだよな。
その過程で魔学の基礎も生まれたんだろう。
ただ、ここで姉上は見事なまでにやらかしてしまったわけだ。
魔学やら何やら色々と、普通の子供ではそうそう有り得ない成果を挙げ続けて……しかもその大半が表沙汰になってたんだぜ?
色々凝り固まった連中からは有り得ないくらい有能なんだがやべー輩扱いだったんだろうよ。
結果、アル兄さんは周りの貴族からは姉上と比較し続けられ、『より良き王』という下らないものを背負わされながら劣等感に苛まれることになったってわけさ。
やれやれ、これぞまさに『良かれと思って』ってやつだ。
当時から傍観者である俺からしたら『あーあ、下手だねえ』くらいだったが、今となってはちょいとばっかりお怒り対象でもある。
「……仕方ないよ。そうしないとアルくんにずっと無用な恐怖を与えちゃうし、私だって研究が出来なくなっちゃうし、それに……」
「本来なら蚊帳の外である俺にも余計な影響を与えかねない。だから俺に何も言わず一方的かつ自発的な完全接触禁止令出したと。──石橋ってのは叩くべきものではあるが、壊していい物じゃねえんだぞ?」
「うっ……で、でも私と変に仲良くしてたらマッドくんも何て言われてたか……」
「お陰で俺はずっと『無条件でそんな気遣いを当てはめられるほど無力で何も出来ない無能な弟と見られてるのかよ』ってモヤモヤ抱えて、でも下手に関わるのも野暮だと思って抑えてたんだぞコラ。てめえ勝手な虚像を俺に当てはめて弱者扱いとはどういう了見だ」
俺が姉上に対して思っていたことは、先ほどの発言に集約されるね。
周りの連中の声に反発しているように動いたが、結局それも別のものに縛られに行ってたってだけの話ってことさ。
恐らく、件の事件で王族としての影響力を自覚しちまったんだろうが……それにしたって行動が極端すぎるんだよ。
ユフィリアといいアル兄さんといい今回の姉上といい……どいつもこいつも自縛他縛だな。
ったく、そういう束縛って実は流行ってたりするのか?
だとしたら、カルシオンとカルトはなかなか時代の先端を行ってることになるな。
「で、でもマッドくんだって私に接触しようとしなかったじゃん。そこはお互い様だよね……?」
「俺は俺でやるべきことがあったし、自分から邪魔するつもりがなかったってだけさ。姉上は人を勝手に弱者扱いして、貴族の目から俺を遠ざけようとしてそれで守ってるって気になってるだけのこと。そういう上から目線、結構腹が立つもんなんだぜ?」
確かに俺は自分のことを強者とも思ったことは一度たりとてないぜ?
むしろ永遠に弱者のレッテルからは逃れられないと思っているくらいさ。
だからこそ常に死に物狂いで足掻き、グランナイツを目標として色々やってるわけだからな。
そんなところに無自覚な哀れみからの弱者扱いが飛んできたら、怒らないヤツなんてそういねえだろ。
早い話、完全に余計なお世話だってことだ。
優しさってのは振りまけばいいもんじゃないし、度が過ぎればそれこそ偽善未満になり果てる。
「うう……ごもっともなんだけど、もう少し優しく言ってよぉ……末っ子がまさかの鬼畜属性持ちだったなんて……」
「誰が鬼畜だ、言うべきことを言っただけだっつうの」
俺レベルで鬼畜とか、他の容赦ない顔ぶれは何になっちまうってんだ?
カルト、ナマリエ、イグノックス兄さん辺りならもっとストレートかつ辛辣だぞ。
まあ、いい加減姉上のライフも0になりかかってるのは流石にまずいか。
あんまり虐めて再起不能になられたら、それはそれで困るからな。
「そんな姉上の奇天烈が過ぎるやらかしだが、奇跡的にまだまだ挽回できる範疇さ。俺としてはずっと吐き出したかったこと言えたし、とりあえずは満足してやる」
「お姉ちゃんの凹む姿で満足しないでくれないかな!?後、当のアルくんが許してくれるかは別問題だよね?」
「アル兄さんはもうとっくに前を向いてるぜ?とりあえずで殺し合い待ったなしの喧嘩してお互い煽り合いしたらいい感じで吹っ切れてくれたってだけの話だが……もう許す許さないっていうより捉え方次第って割り切ってる」
ということで、ここで双子の秘密を姉にぶちまけてやった。
あまりに姉上は神妙に事を構え過ぎで見てられねえからな。
ここらで俺のやり方ってもんを見せつけてやるよ。
「は?殺し合い待ったなし?ちょっと待って、隠れて何やってるのさ君たちは!?」
「男の双子が久々の再会なら喧嘩ってのが基本じゃねえの?文字通り感動の再会になって、今は仲良しこよしなんだからこまけえこたあいいんだろうがよ」
「そんな双子どこにもいないってば!そもそも殺し合いしてからいきなり仲良しこよしってのもおかしくないかな!?」
そんなにツッコミ入れるようなことか?
遠ざけて拗らせてるくらいなら、真正面から指摘してぶつかって盛大に吐き出させた方が手っ取り早いだろ。
こればかりはグランナイツ全員割と意見合致して、多少無茶苦茶はあってもよくやったと褒められたくらいだぞ。
クリスティーナ姉さんからは無茶しすぎって軽く怒られたけど、トータル的には圧倒的にプラスってお言葉も頂戴したくらいだ。
「要するに、私って良かれと思って色々やりすぎたり、距離の置き方間違えた結果上の弟を歪ませて?挙句王位から切り離されたはずの末弟に色々尻拭いさせたってわけ?……王族としても姉としてもダメじゃん、私って」
ツッコミの次はいきなり自虐モード突入……おいおい、急降下が過ぎるぞ。
何でこう、すぐ自分が悪いって方向に持って行くんだか。
過度になるとこっちがむしろイラッと来るってさっき言ったばっかだよなあ?
「自覚するのはいいが自虐は止めとけ。アホくさい無限ループでジャッジキル食らいたいか?」
「だって何から何まで空回りして、もしかしたら国の存亡すら左右する事態にすらなりかねなかったんだよ?これだけのことしでかしておいて、本当に許されるべきなの?……マッドくんだって、心の底では私の事なんて見捨てたいんじゃないの?」
この時、俺の中でプツンと切れる音が──導火線に火が付いたとも言うべきか。
あたまにきました……って心境だよ。
あー、何か3年前くらいの感覚が蘇ってくるなー。
っていうか、ユフィリアより面倒だぞこの姉貴。
「さっきからウジウジグズグズ!この場に苔でも生やしてえのかこのなんちゃって陽属性なボケナス姉上様が!」
「ボ、ボケナス!?待って、何かマッドくんに母上が乗り移ったかのようなオーラがして凄い怖いんだけど!?」
無駄に振れ幅激しいメンタルしやがって、何だペンデュラム系流行ってんのか!
これはもう勢いで行くしかねえ、理屈パートはもう終わりだ。
そのウジウジ要因、窓を割るように全て壊してやらあ!
ぶっぱ全破壊、これこそが正義ってな!
「あの件で悪いのは余計なことを言ったアホであって、アル兄さんは当然だが姉上だって何も悪くねえ。そもそもその頃の俺たちっていくつだ?」
「……私は多分、10は行ってない……よね?」
「いくら王族とはいえ、本来そんな年代のガキに出来ることなんてたかが知れてるだろうが。仮に色々出来たとして、今度はその塩加減まで利かせられるかって話だ。むしろその手の子供の間違いは、周りの連中が軌道修正してやるべきだったんじゃねえのか?そういう意味では、父上も母上も赤点確定でやらかしてるとも言えるな」
「待って!流石に父上と母上を悪く言うのはダメだって!後それマッドくんおまいう案件じゃない!?」
うるせえ、俺はこの際関係ないだろうが!
今一瞬何か綻びというか、ガッチガチの錠前みたいなのが見えた気がするな。
偉志ノ大陸でもたまに見かけた、いい子でいたいが為の強迫観念ってやつかね。
そこに自身が王族だと自覚してしまったが故の鎖も追加ってところか?
ほれ、結局その手の事柄に縛られちまってるわけだ。
ただ、妙に頑なっていうか歪んでるせいですんなりと解錠ってわけには行かねえ気がする。
……案外、ここで『稀人』って言葉が関係してたりしてな。
ただ、そうなると今はパーツが足りないからこの点は後回しだ。
とりあえず、アル兄さんへの抱く必要もない罪悪感だけでもどうにかしねえとな。
「『否定は対立にあらず』と言うんだがね……まあ、水掛け論になりそうだから今は止めにしておくよ。だが、その他はどうなんだ?何で俺たちを駒程度にしか見てねえようなロクデナシに無駄な気を使ってんだよ。そもそもの話、魔学についても変に妥協してるんじゃねえのか?」
「そうしないと研究も続けられなくなっちゃうし……確かに貴族や魔法省には腹が立つところもあるよ。でもそこを上手く折衷しないと……」
「そこだよそこ。何で王族だからって全部飲み込むんだ?その在り方そのものが、王族の本来の立ち位置ってやつをあやふやにしちまってるんだよ」
少なくとも、偉志ノ大陸ではそんな在り方は有り得ないわけで。
まあ、そもそもあっちは有数家紋がいくつもあるだけで明確なトップがいないって違いはあるけどな。
その分手を取り合ったり諍いもあったり、都度都度関係性が変化しかねない危うさもあるってパルヴァネ師匠は言ってた。
だからこそ、あらゆる意味で『調和』ってのを大事にしているんだよね。
それに比べてこの国は……なあ。
何で王族ばっかりが色々縛られて、飲み込んで、挙句偶像であらねばならねえんだ?
そして何でどいつもこいつもその在り方に縛られ、駒に甘んじてやがる。
本当にそうすることだけが、国を維持するやり方なのか?
傍観者だからこそそんな世迷言をほざけるってのは、まあ確かにその通りなのかもな。
ただ、言われたくないんだったらそもそも傍観者にそう思わせるような行動をするんじゃねえ。
「そもそも父上は最初からアル兄さんを次期国王に据えると、それこそ口を酸っぱくして言ってただろ。そこにそんな下らねえ噂を持ち込む時点で、もはやあっちは王族を傀儡にする気満々なんだ。そんな相手に忖度とか、もはやバカくせえだろ」
「でも、そうしないとアルくんがどうなるか分からなかった。それこそ暗殺の危険性だってあったかもしれないんだよ!?」
「そういう懸念も分からない面々じゃねえし、そこもやりようだろうがよ……まあ、やらねばならないことをそうやって設定するのは良しとする。が、それに出来ることとやりたいことが侵食されてるのが問題なんだよ」
このちぐはぐさも先の強迫観念からなのかね。
ったく、何でどいつもこいつもこう義務やら責任ってやつを過剰に押し出しがちなんだ……?
しかも姉上の場合はそれこそ無理に向き合わなくてもいいものにまで目を向けちまってる。
ユフィリアとアル兄さんの二人と比較したら、悪質度合いはこっちの方がやべえぞ。
見事なまでに根深い厄介事の臭いしかしねえんだが。
「俺ならもう知らねと言わんばかりに国を出るか、はたまたアル兄さんと裏で共謀してアホな連中に天罰を下すよう動く。前者は文字通り自由の身で、後者は自由を掴み取るために上手いこと抗う。どちらにしろ、今の流れに逆らわねえと国は腐っていく一方さ。中途半端に維持するくらいなら、いっそ断ち切った方が早いし国の為にもなる」
「それ、もう完全に唯我独尊な暴君の道だよ……むしろマッドくんは周りを気にしなさすぎじゃないかな?」
唯我独尊、それに加えて暴君?
随分とまあ愉快な誉め言葉が飛んできたものだな。
余分な甘さを抱えるくらいなら残忍冷酷無慈悲上等だ。
「俺は常に己が魂に従って生きてきた。仮に継承権が残ってたとしてもそこだけは絶対に曲げなかったことだろうよ……そんな尖った生き方してるせいか、その手の自縛他縛ってのは見てるだけでイライラするもんでな。当時のユフィリアとアル兄さんについても、俺自身が腹が立って勝手に動いただけのことに過ぎねえよ。その他色々含め全部同じく、すなわち俺のやりたいことと一致していたってだけで出来る限り貫いてきたってだけのことさ」
そもそも、革命を起こそうって段階で俺が気に入らないからって理由が大半だ。
そこから折角だからと巻き込まれる対象も損だけはしないよう立ち回ってるが、まあこれも巻き込み損を嫌う俺の気質でしかない。
一歩間違えればやべえってのは百も承知だが、そうでもしないと生きてるって気がしないんでね。
「姉上の場合はやりたいこと、出来ることは何も言うことはねえよ。問題はやるべきことの定義……変なところでだけクソ真面目すぎなんだよ。もっとズル賢くかついい加減になっちまえばいい」
「ま、真面目って……これでも奇天烈で通ってるのに?」
「肝心なところで引いてばっかで奇天烈も何もあるかっての。やるなら徹底的に貫け、それこそ俺の悪友のようにな」
貴族連中への気遣いなんてのは表向きに適当にやっておけばそれで良かったんだよ。
折角あれだけのことを考える頭と遂行できる行動力を持ってるんだ、裏で動くのなんてどうとでもなっただろうに。
ただ、さっき一瞬だけ垣間見えた錠前といい……変なところで雁字搦めになってるのは見え見えだ。
だからこそ変なところで引っかかって二進も三進も行かなくなる……適度に肩の力抜けばいいものなのにな?
「まあ、俺も傍観者の立場を利用しまくってはやりたい放題している悪逆一歩手前なクソだ。そんなヤツが何言ってんだって話だろうけどよ」
「傍観者……?それに今、クソって……?」
流石に言葉遣いの汚さが度が過ぎてきたか?
だが、死んでも直らねえレベルのバカだってのは間違いないだろ?
「所詮は張りぼての分際で周りも気にせず自分のやりたいようにしているクソガキそのものだろ、俺なんざ。色々回りまわって周囲にとってプラスになってんだろうが、それも所詮結果論でしかねえ。色々聞いて変な期待抱いてたんだろうが、蓋を開けてみればただのクソ生意気な弟じゃあ、むしろ幻滅……」
「──っそんなこと思うわけないじゃんこのバカ弟!」
そこに自虐のつもりは一切なく、あくまで事実をつらつらと述べただけ。
だというのに、まさかの展開が発生である。
おい姉上、何故に抱き着いてっていうか押し倒してマウント取ってきやがるんですかね!?
男嫌いで囲うなら同性とか言う設定はどこに追いやったんだよ!
まさか言い過ぎだからって遂に実力行使に……。
「私には自己嫌悪するな、変に縛るな、我儘になれとか言っておいてそれ?ちょーっと私も言わせてもらっていいかな……?」
と思ったら顔を伏せたまま二の句を告げるだけだった。
ただ、あまりに言い過ぎて泣かしたかもしれん。
いやでもそこまで的外れじゃねえと思うんだが。
流石にこれは宥めるべきかと思ったが、横を見るとセラが首を横に振っていた。
あー……なるほど、ここはあえて爆発させておけって?
俺がそう察するや否や、姉上は顔を伏せたまま口を開いていた。
「マッドくんはずっと代用品扱いされてきたから、私含めた家族のことを疎ましく思ってるんじゃないのか……何なら恨んでるんじゃないかって実は怖かった。確かに昔はアルくんと同じように私は接してたけど、どこかぎこちなかったんじゃないかな」
言われてみれば、そうだった……のか?
姉上がこっそり来ていたこととか、魔学の根っこになることを見せびらかしてきてたのは覚えてはいるんだが。
あの頃はひたすらグランナイツに追いつくので必死だった、そんな記憶ばっかりなんだよな……。
「そんな時にあの事件が起こって、私は力がある王族だって自覚を持たざるを得なくなって……君たち二人を突き放した。そうすれば私がアルくんの王位を脅かす要素が1つ減るし、既に関係ないはずのマッドくんを余計なことに巻き込まずに済む。何なら、内心疎ましくて憎い私なんかと会わずにいられると思って……ずっと距離を置いてたんだよ」
前者の理由は分かってたし、そっちに対しては確かに怒ってたが……。
まさかその先があるとは誰が思うかってんだ。
そもそも、別に姉上含む皆を疎ましいだの憎いだの思ったことは一度もねえんだが……。
「でも、距離を取っててもなお私はずっと心配してたんだよ!本当だったら、王位継承権とかそんなこと知ったこっちゃないとばかりに仲良くしたかった!でも、いざ会おうと思うだけであっという間に足が竦んじゃって……結局出来なかった。何度も思い直しても、『何を今更』って感じで拒絶されるのが怖くて。それなら、今の曖昧な状態の方がずっといいって……。そんな時に父上やグランツ公、イグノックス達から色々話を聞いたんだ。無茶ばっかりのやりたい放題でちょっと心配事は増えたけど、変に擦れたりすることなく真っ当に育っているって聞いて……私がどれだけ安心したか分かる?その上で、私のせいで滅茶苦茶になりかねなかったアルくんのことをこっそり軌道修正してくれて!ユフィの色々な縛りを解き放ったきっかけにもなってくれて!今はこんなダメダメな姉を見捨てずに色々説教してくれて!もう私の鼻の高さは青天井ものだよ!確かに自分勝手なのかもしれないけど、結果人を助けてるならそれでいいじゃん!そんな弟に幻滅なんてするわけないし、誰かがマッドくんにそんなこと言うものなら、魔女帚で突進してきてぶっ飛ばすよ!ああもう、そこまで言うならちょっとだけ君のやりたい放題を受け継ごうじゃないか!」
あーあ……普段の奇天烈っぷりの裏でどんだけ溜め込んでたんだよこの人は。
挙句の果てにこんな弟を鼻が高いって‥‥…そんなこと言っちゃっていいのかね。
これまでのことは全部、俺が気に入らないからって首を突っ込んだってだけってのは事実なのによ。
にしても、さっきは色々偉そうなことほざいちまったが……結局俺も同罪なんだよな。
結局、俺も意固地になって疎遠状態を維持しちまってたわけだし。
明らかにお互い様っていうか、むしろ俺の方が悪いまであったりしねえか?
本来なら、似た立場になった俺が捌け口になってやるべきだったんだろうし。
……これまた指摘した側としても放っておけなくなっちまったわ。
「あー……なんつーか、俺の方も色々変に口走っちまったな……悪かったよ」
「……なんでマッドくんが謝るのさ」
「正直、もう少し早く指摘してやれれば色々違ってたんじゃないかって思ってな。偉そうなこと言っておいて、俺もそれなりにやらかしてるってことだよ」
まあ、結局は誰しもがやらかして今の状況ってところがあるからな……。
何だろうこの王家、間が悪かったり良かれと思ってやらかしたり色々と捻くれ過ぎてんぞ。
「挽回できるって言ったのはマッドくんだよ?間に合ってるんだから結果オーライだって。……むしろ私が謝らなきゃ。私も何だかんだで色々鬱憤が溜まってたみたいで、ちょっと勢いよく吐き出しちゃったけど……」
「アル兄さんもそこは同じだったんだ、仕方ねえだろ。どっかで吐き出さねえといずれ潰れちまう。そもそもストレスの元に縛られないようにするのが一番だが……」
「それは……すぐには厳しいかもね。ほら、私って継承権第二位になっちゃうわけで、色々そういう振る舞いが必要になってきそうだから……」
今の国内状況鑑みたとしても、ある程度は仕方ねえんだよな……。
そう考えると……アル兄さんの言う通り、能動的島流れなんてもはや無理だな。
すまんなヨシトラおじさん、恐らく俺がそっちに帰属するってのはキツイから別の方向でいずれ話をつけよう。
この国の気に入らないこととか気にかかることがどうしても多すぎて、陰で暗躍は当分続ける必要がありそうだからな。
「とりあえず、俺たちについてはこれで雨降って地固まるとしよう。奇行起こしまくりな癖にどこか面倒な方向に行きがちな姉を俺が許し、自分軸全開のやりたい放題をかましている俺を姉上は許す。んでもって、せめて俺の前では王族とか一切抜きにして溜め込んだもんは吐き出せ。これでいいな?」
弟としてそんな約定が無いと危なっかしくて見てられんからな。
まだ15なのに何人の保護者役やってるんだろうな俺ってやつは……。
あれ、これ真面目にシスコンの域入ってねえか?
……いやいや、ここは家族愛の領域ってことで見逃してくれ。
「私もこれからはちゃんと姉として……ううん、血の繋がった家族としてちゃんとマッドくんと向き合うよ。この15年の出遅れ、ちゃんと取り戻すから」
「その手の実験に付き合わせようってんなら安全確認はちゃんとしとけよ?壁に突っ込むとか勘弁願うぞ」
「って何で今私の黒歴史が出てくるのさ!ああもう、やっぱりマッドくんは鬼畜だね!」
「いやしょうがねえだろ。初めて聞いた時のインパクトが一番強くて大笑いしたのがこれだったんだからな」
何はともあれ、ようやく調子が戻ってきたようだな。
ちょっとばっかし微笑ましくなって、半ば無意識に姉上の頭に手を置いていた。
……あれ、姉弟でもこういうのってデリカシーに欠ける行為に当たったりするのか?
それに姉上って童顔寄りだから、犬とか猫っぽく見えてしまってついやってしまってるんだが。
「あ、これ癖になるかも……他の人にされるのは想像しただけで嫌なのに。弟相手だからかな」
……まあ本人が文句言ってないならいいのか?
何かこんな格好じゃ締まらねえが、とりあえず同盟締結は済ませねえとな。
奇天烈と主役ねえ……やりたい放題が加速しそうな組み合わせだ。
もういっそのこと天災も混ぜてハチャメチャやりたくなってくるな。
「姉弟でこういうのもおかしいかもしれないが……この時を持って関係は再構築ということで。改めて色々よろしくな」
「……うん!これからも面倒かけちゃうかもしれないけど、色々よろしくねマッドくん!」
よーしそれでこそ姉上、奇天烈全開ないい笑顔だ。
面倒をかける前提って点にはひとまず目を瞑ってやるとしよう。
だからな……そろそろ離れて欲しいんだ。
セラの生暖かい視線がとんでもなく辛いんだよ!
何だそのジェスチャー、もっと頭撫でてやれってか!?
あれ絶対に『実の姉君との禁断のなんちゃらかんちゃら』って思ってる顔だよな!?
折角危ない橋を1つ渡ったというのに、何でこういうことになっちゃってるのかね俺!
っていうかこんなんユフィリアにもこんなことされたことがないから離脱方法が分からねえ!
誰でもいいから名案を寄越せ!言い値で買うから!
というわけで、抱かなくてもいい罪悪感からは解放。
ただ、まだ根幹は踏み込めていません。
そこは距離感の取り方が慎重なマドラーシュ、賢明な判断です。
時にはリバースカードへの警戒も必要と言うこと。
Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)
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転天キャラでのNLとか他絡みを所望
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グランサガの二次がレアすぎて
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バトルハードモードに釣られた
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ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
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その他(そもそもの作風とか)