転生疑惑な破天荒の彫魂革命   作:スダホークを崇める者

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じわじわ近づくグランサガ2.5周年。
それと共に多分メインストーリーも更新来るだろうから、それもまた楽しみ。
なお超越降臨、未だシンヤ1までしか出来てない模様(怠惰なだけです)


84. 主演の始動はごゆるりと

 

……どうやら、色々な意味で間に合ってはくれたようだ。

色々はっちゃけて登場したはいいが、状況は思ったよりかはマシだがある意味紙一重。

──まあ、戦場ってのは大体そういうもんだがね。

しかも今回は相手の出方を知ってたとはいえ、物量差を質の適切配置でゴリ押す必要があったら尚更な。

まずは、そんな面倒を真っ向から被ってくれた面々をねぎらわねばな。

 

「ラス、カルト、ナマリエ。あっちとは違って現場判断だらけ、その挙句比重がかかることを任せっきりにして悪かった。んでもってマジで感謝してる」

「今更水臭いことはナシだよ。これまでの無茶振りに比べれば優しいくらいだったし」

「お前のことだ、それなりには読めてたんだろ?ならその想定を超えてやるのが俺達の仕事だ」

「今回の件は後の為、要するに私達にも利はある。──そういう面では信用してるんだから、上役のアンタはしゃんとしてればいいのよ」

 

ああー、このちょいとトゲがある言葉が暖かいナリ。

しかもどこか余裕ぶりやがって、少しでも採点上げようと必死かおい。

さて、後は……セラが見てくれている最新の弟子に一言かけてやらないとだ。

魔石を抜き取られてこそいるが、セラの治癒術と自身で行う魔力逆変換で危篤は脱しているな。

 

「せ、せんせい……わたし……」

「抉られてるんだから無理して喋るなっての。とりあえず、これでも飲んどけ」

 

こうなることは想定してあったからこその臨時輸血ってな。

俺の血を直に抽出して飲ませるだけなんだが……今のレイニにとっては最も手っ取り早い回復手段だ。

手持ちで持てる量、それこそ一口レベルだが……それでもあるのとないとでは大違いのようで。

一気に飲み干すと、その生気は瞬く間に回復していく。

やはり現物が一番ってか、分かりやすくて実に助かる。

 

「……すみません先生、私自分の持つ魔石すら守れなくて……」

「魔力の残滓で爪痕は見させてもらった。俺の仕込みとその意図を見抜き、姉上との共闘戦線まで張って──初陣としては言うことなしだよ」

 

そう、レイニはむしろよく抵抗した。

短いながらも俺が叩き込んだことをきっちり発揮して、まさか姉上の補佐までするのは完全に想定外。

そのお陰でより拮抗に近いところに持っていけたのだから、むしろ勲章でもやりたい気分さ。

 

「俺の不手際に比べれば、弟子の不始末なんざ可愛いものだ。師匠らしく取り返してきてやるから、後は見学してろ」

「……わ、分かりました。気を付けてくださいね……?」

 

ひとまずは俯かなくなったからヨシとしておこう。

さーてお次は……っと、さっきから随分と怖い顔をしてるのが一名いやがるね。

 

「大一番でノコノコと出てきて主役宣言。無慈悲なまでの自分勝手っぷりは健在ですね?」

「おいおいユフィ、開口一番から容赦なさ過ぎだ。主役兼陰の功労者を労わる気ってのはないのか?」

「その場にいなくても全体を引っ掻き回し、いたらいたでやりたい放題……そんなバカな人にかける労いなんて持ち合わせていません」

 

その強調するような『無慈悲』という言葉回し……明らかに大体の事情を察してやがるな。

事前に最近の事は聞いていたが……どんだけなりふり構わずなんだかな、この公爵令嬢は。

姉貴分2名はまだしも、イグノックス兄さんまで動かす辺りどんな頼み方したんだ?

ガチで動くとなった時の行動力の高さは父親譲りだな……ったく、いいのか悪いのか分からんね。

んでもって売り言葉に買い言葉ときたら、いつぞやのようなやり取りをかましたくなるのが筋ってものだよな?

 

「お前だってさっきの講演会ではメチャクチャしてたじゃねえか。姉上まで度肝を抜かすとか、奇天烈公爵令嬢にでもなる気かお前さんは」

「予知した上で反対しなかったのですから、マッド様も同罪ですよ。ご自分の可動領域を過大評価して雑務まで並行する方がよほどメチャクチャですから一緒にしないでくれませんか?」

 

あー?こんの、いつにも増して口が回るな。

さては場酔いしてんなコイツ……じゃなきゃもう少しおとなしいはずだからな。

まあそういうノリを本格的に理解しつつあるのはいい兆候だが、ちょい調子に乗りすぎじゃね?

 

「裏方も兼ねて二歩、いや三歩先を睨むのが俺の平常運転だ。そのお陰であの場に来られたんだ、それでも文句あるのかおい」

「確かに駆けつけて頂いたことは感謝していますよ、ええ。でもそれで一睡もせず駆けずり回るなんて滅茶苦茶して、何かあったらどうするおつもりだったのでしょう」

 

──なんて言いながら即座に接近される。

この、謎の加速しやがるせいで対処が遅れ……。

 

「いつもいつもそんなノリで……こうして苦言を呈するのは一体何度目でしょうね?」

「痛い痛い何でそこで抓るんだよ!?そもそもそんなの、いちいち数えるわけねえだろ!?」

「ちなみにこれで記念すべき20回目ですのでどうぞお喜びください。いつもより強烈にして差し上げますので」

「嬉しくねえよボケ!八つ当たりならいっそ毒手突きでもしろや!」

 

以前より魔力の使い方が巧妙になってやがって、真面目に痛覚に来るんだが!?

このやり方、まさにクリスティーナ姉さんそっくり……って、また余計な事仕込みやがったなあの酔いどれ聖女!

ああそうか、さっき妙に嫌な笑み向けられたけどそういうことかよ!

 

「もはや夫婦漫才ねえ……塩投げたくなってきたわ。これからは常備しておくべきなのかしら」

「お陰で俺たちにも色々被害が及びそうだね……ウィンやオルタにも注意喚起しておかないとだ」

「特別近衛騎士としての仕事が増えますってか?勘弁してくれ……」

「何だかんだテンション引っ張り上げられて勢いづくユフィリア様、まさにGJ。そして抓られて対等な口喧嘩してるマッド様マジ尊い。プリシラがいないことが悔やまれますね……」

 

そこの4人、生暖かい視線向けてねえでこの空気を何とかしやがれ!

こらレイニ、お前は回復に専念しろこっち見て苦笑しないでいい。

全く、折角ハイテンションでカッコつけて登場したのが台無しになっちまったじゃねえか!

 

「ったく、開演早々グッダグダじゃねえか……どうしてくれんだよユフィ」

「むしろ冷却になったのですから感謝してほしいくらいですね」

 

まあ確かに、もう一人の警護対象の様子を考えれば悪手じゃないんだろうがな……?

というわけで、懸念ありありな最後の一人の方を見ると……案の定混乱状態のようだ。

俺の裏事情やら何やら情報過多だ、まあ多少は仕方ない──

 

「考えてみれば、あの謁見の間での出来事で気付くべきだったよ……あの威圧感、今思い返せば新種のドラゴンそのものだったじゃん。そんなことが出来るのは私と同じく託されたケルビムだけ……何で見落としてたのさ私」

 

……こっちはこっちで流石に刺激与え過ぎたか?

魔力切れとか刻印の使い過ぎのダメージもあるんだろうが……いや、それにしたって妙だな。

実際ユフィも最近知ったってのにいつも通り……っていうか、もはや開き直ってる感が凄まじいくらいだってのに。

……とりあえず、壊れた蓄音機みたいな様子をいつまでも眺めるのは忍びないか。

 

「あー……姉上様?とりあえず、選手交代の了承だけ頂きたいんですが」

「ふえ!?あ、選手交代ね……いや違うそうじゃなくて!何かもう色々尋問したいというか、答えないとぶっ飛ばすよっていうか……」

「それについては目の前の事実が全てってことで。──悪いが時間がなさそうだ」

「そのようですね。──どうやら、あちらも空気を読まずに立ち直ったようで」

 

ユフィの辛辣発言には同調するように笑みを浮かべておく。

実際のところは姉上へのフォローを入れたいというのに、ものの見事に邪魔してくれてるからな。

まあ、いい加減空気を引き締めておかねえとだから……そういう意味では、いい感じでクールタイム取ってくれてありがとさんってか?

 

「いつまでもくだらない雑談に興じて ……流石は歴代でも特筆すべき品の無さを誇る王族だ」

「はっはっは、気持ちの良い悪意をどうもありがとう。狂信者のそれならいくらでも貰ってやるから、有り難くアンチ活動してな」

 

頭ごなしに叩くような誹謗中傷あっての名優、そういうのも糧にしてなんぼってな。

誰が言ったかは忘れたが、図太さマジ大事。

 

「……改めて、救いようのない性根と理解しましたよ。無に帰す前に多少は教育し直す必要がありそうだ」

「猿山の大将が貴族の貴さをタダで講義してくれるって?そりゃあいい、睡眠学習し放題だ。講師をこちらの麗しき公爵令嬢に変えるってんなら、真面目に聞いてやってもいいがね」

「今の言葉、きっちり言質を取らせて頂きましたからね?ほんの多少は品を身に着けたほうがいいという点は私も同意しているのですので」

 

やっべ、また墓穴掘っちまった。

イカンイカン、もうちょいクールダウンしろさっきからオーバーレブしてばっかりじゃねえか。

ケルビムであることとか、顕魂術とかもう隠さなくて良くなったからって明らかに調子に乗り過ぎちまってる。

テンションってのは高くてなんぼだが、何事もやりすぎは厳禁。

──何を今更って視線がいくつか浴びる気がするが、そんなの知らねえな。

 

「それで?ご自慢の肉なしトカゲは土に還ったわけだが……まさかお前とその首を忘れたうっかり者だけで講義する気なのか?」

「……そうだ。冷静に考えてみれば、ドラゴンの方は王女殿下の魔力残滓を無理やり組み上げたものだから脆かっただけのこと。対するこちらは我々の貴き信仰心だけが純粋に混ざり合っている超越種!だから貴様はこちらを狙わなかったのだろう!?」

 

ふーん、思ったよりは頭は冴えてんのな。

さっきのスカルドラゴンとデュラハン、あえて格を付けるならば……デュラハンの方が3枚は上手と言ってもいい。

えーっと、モーリッツだっけ?

アイツの言う通り、核の強度がまるで違うからな。

しかもデュラハンのベースって、俺の愛読書籍の1つである異界魔物辞典にも載っていた『点火する偶像』(イグナイト・アイドル)だろ?

ここでアンデッドやってるってことは、オルタ率いる足止め撃退組が余裕で倒したんだろうが……それは力の担い手がヘッポコだったってところが大きい。

本来ならそれこそウンハと大差ないレベルだろうからな……。

それがアンデッドとなったら、色々な制約含めてもまあそれなりのものにはなるだろうよ。

──だが、あのアホは1個だけ勘違いしている。

 

「確かに弁当と共に首を忘れただけあってそいつはなかなか食いごたえはある。──が、別にやれないって話じゃあないぜ?単にやらなかったってだけさ」

「やらなかった?これまた随分と怠惰で酔狂な……自ら状況を悪化させたと?」

「だからてめえらは視野狭窄なんだよ。主役っていうのは、盤面をきっちり見つつ他も輝かせてこそだ──こいつらは分かってるみたいだがね」

 

ずっとついてきた物好きな連中を忘れるようなロクデナシに堕ちた覚えはないんでね。

今回は助演たちもほぼ主役扱いされる、なかなか豪勢な舞台だ。

きちんとそこは分かっているようで、3人は揃って踏み出てくれていた。

 

「そうこなくっちゃね。俺たちが片付ける分まで倒してたら、それこそ拳を飛ばすところだったよ」

「正騎士に上がる時に箔が付きそうなちょうどいい的ね。キュイじゃないけど、追加報酬も期待しちゃおうかしら」

「オルタ達が一度倒したって言うなら、俺たちに出来ない道理なんかねえよ。むしろ少人数でやった分俺達のほうが分前は上だよな?」

 

これでようやく終わるからか、やる気も十分のようだ。

なら、最後の一押しを掛けるのが旗印の役目ってもの。

 

「我が近衛たちに命ずる。忘れ物をした悪い子に一発お灸を据えてやれ、徹底的にな!」

「「「了解!」」」

 

漢字二文字、とっても簡潔な返事と共に3人はデュラハンの元に駆けだした。

あー、ここはやっぱイエスマイロード辺り言わせた方が良かったか?

……いや、やっぱ止めだ止め。

そればかりは流石に言われる俺が恥ずかしくなるわ。

さて、俺はあのイタい王様気取りと遊ぶとしますかね……

 

「……マッドくん達はずっとあんな敵と戦ってきたの?」

 

っと、ここでか細い声で呼び止められた。

……それどころじゃねえんだが、置いてけぼりにしてきた罪悪感がこの場では勝るようで。

それくらいなら答えてやるかと、仇敵を見据えながら俺は口を開いていた。

 

「恐らく、この世に生を受けた時から決められた不倶戴天の仇があの狂信者共なんだろうよ。行い云々以前に気に食わない、だから潰す……それだけさ」

「……そっか。加勢したいけど、今こんな体たらくだからさ……こんな不甲斐ない姉の代わりに、後始末任せていいかな」

「ああ、姉上の分も仇は打ってやる。──ユフィ、引き続き姉上を頼んだぞ」

「事が終わったら私の方からも色々ありますので無事に帰ってきてくださいね?さもないと……」

 

……終わったらとんずらこいた方がいいかもなこれ。

ユフィ、それは殺し合いに向かう人間を見送るような目じゃないと思うんだが。

相変わらず変なところでトンチキっぷりを発動させやがる……見てて飽きないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの陣営の旗印が夜空の下で相対する。

片や権能を示すついでとばかりに空を浮遊する精霊信仰者。

もう片や地に足がついていると言わんばかりに空を足場とする精霊不信者。

物理的な立ち位置こそ同じであれど、その実情はまさに対極的とすら言えよう。

 

「全く、エアドラ……でしたか?あれもまた珍妙で、貴重なドラゴンの素材の無駄遣いですが……貴方様のそれは加えて傲慢極まりない。立てる位置を同じくしただけで、叡智を授かった我々と同等の地平に立ったつもりでいるのなら、随分おめでたいことだ」

「お高く留まってるお山の大将と同等だって?鳥肌が立つから勘弁してくれよ気持ち悪い……祈るだけ祈ってその場に坐してるだけの能無しと同類とか死んでもごめんだね」

「毎度毎度我らの信仰を愚弄してくれたが、今日こそは天罰を下してやるっ……『フレイムナーガ』!『ブラッドフリーズ』!」

 

激昂と共にモーリッツは2つの魔法を即座に放った。

炎で構成された蛇、そして血流をも凍てつかせる風圧。

亡者の王(アーリマン)と化しただけあり、威力だけならばマドラーシュが見てきた中でも上位に位置する。

これがただの魔法使いであれば、威力と圧だけで縮み上がるところだろうが……。

 

「まあ、威力頼りで無様極まりねえのが悲しい所だがな!」

 

その実は先ほどの悪態通り。

大精霊に類するだけの魔力を得たことと、マドラーシュへの嘲笑もあってのことだが……あまりに堂々としすぎている。

そんな精神の粗を見極めてしまえば、出だしの兆候を掴むのは赤子の手をひねるが如くだ。

そもそも魔法の打ち合いというのは魔力という要素が介在する分読み合いが発生するのが常……というのがマドラーシュの持論。

使えないながらも補う術を常に探究し、そこで発生した不足もまた補って……そんなセルフイタチごっこを12年間繰り広げてきた末の一つの答え。

レオン、カルシオン、イグノックスをはじめとする、人魔問わずの曲者混じりの強者と寝ても覚めても戦ってきた破天荒にとってはあまりにもお粗末な初撃である。

結果から言えば、『ブラッドフリーズ』が発動するのとモーリッツに接近しきったタイミングが完全に一致。

そこから最小限の魔力と共に、すれ違いながら千紫万紅とセイリオスで斬りつける。

細かい技巧が張り巡る効率重視の二閃は、まるで躊躇なくモーリッツを三枚おろしにする。

……そのあっけなさには、当然すぐに違和感を覚えることなるわけだが。

 

「腐っても新種のドラゴンの討伐者、悪くない挨拶でしたよ。だがそれも無駄無駄無駄!」

「あー、そういや姉上からその辺聞くのを見事に忘れてた……まあ、キーストーンの影響が強くなってるから無駄なことか」

 

そもそも手応えを感じていなかったので、落胆すらしていなかったわけで。

視覚的には確かに斬れているが、まるで空を切ったが如くで。

暫くすると、マドラーシュは苦々しい表情を浮かべることなった。

──分かたれて破棄された2つの肉塊が、新たな生物として成り立ちを変えていたのだから。

 

「うわ、雑魚量産とかめんどくせえことしてくれやがって。取り込んだ因子をそのまま再利用かよ……」

「再利用とは言っても、王子殿下が行った貧相なものとは大違いですがね。元々亡者共を生み出すためにあらゆる魔石を融合させたから、何が出て来るかはお楽しみということで」

「ミココロが聞いたらさぞ嫌な顔すんだろうな。──俺としては、もう悪趣味と思うのもかったるいが」

 

早い話、モーリッツをただ斬りつけるだけでは悪戯に雑兵を増やすだけということだ。

アニスフィアと泥試合を繰り広げていた時とは違い、その種類が半ばランダムであることが面倒さに拍車をかけていると言えるか。

勿論、キーストーンの力を強める前のモーリッツよりも弱い魔物が形成される可能性もあるにはあるのだろう。

しかし、マドラーシュはきっちりネガティブ思考も兼ねているが故に……そんな希望には縋ることはない。

まるで高揚感の無い抽選待ちの末、出てきたのは……マドラーシュにとっては見慣れた姿の群れであった。

 

「一見すればただのフリズベルグと一眼虫、後はレッサーデーモン……だが」

 

持ち前の魔力感知で、出現と共にその異変に感づく。

即座に放たれるのは、フリズベルグの突風に混ざった風刃と一眼虫の『エナジーボルト』、そしてレッサーデーモンの伸縮自在な爪。

攻撃そのものには特別おかしなところはない。

問題は詳細部分──早い話がその発生速度であった。

 

「おいおい、取り込むついでに品種改良ってか?」

「当然だ!キーストーンの力は構成する魔物の因子にも影響する、そしてこれもまた精霊契約に至る際に得た知見でもある!」

「どこまでも頼り切ってて気に食わねえが、生産性って意味では悪くないのかもな!」

 

とはいえ、初っ端だからかベースが弱く立ち回りやすい相手となっている。

最弱クラスに位置する一眼虫の群れは『エヴォリューション・レザルト・バースト』で纏めて塵に帰していく。

残ったところのフリズベルグとレッサーデーモンについても、そこまで対処に焦る必要は無かった。

突風の後にフリズベルグが接近してくる、このロジックに変化が無いことはすぐに確認できたのだから。

これまた本家よりも速度が増している突進ではあるが、気分高騰というバフ込みの『極獄に絶対独断』(アブソリュート・ヘル・ドグマ)でカウンターは容易。

普段ならここから素直に千紫万紅の一刀で伏せるのが定石だろうが……。

 

「折角だ、ちょいとばっかしラフに行かせてもらおうかね!」

 

ここで発動するは『せっかくだから』コンバット精神。

魔力障壁ごとスカルドラゴンを叩き落とした異形──炎魔の掌を再度展開したついでに殴り飛ばしたフリズベルグの尾羽根を器用に握る。

そこから周辺を巻き込むように仰々しく振り回しては、荒々しい熱風をも引き起こし──他の敵対者の行動を尽く妨げる。

それは同じく接近を図ろうとしたレッサーデーモン、そしてしれっと追撃の魔法を放つ構えでいたモーリッツも例外ではない。

 

「何と野蛮な戦い方を……っ!それでも王族なのですか!?」

「雑魚の陰に隠れてチマチマ打とうとしてる小心者がほざくな!この程度日常茶飯事だ!」

 

頃合いと見ては既に死に体のフリズベルグをレッサーデーモン目掛けて投擲……をしないのが今のノッている破天荒だ。

球代わりを放り投げては、セイリオスをバットかラケットかと言わんばかりに構えてそのまま一発打ち込む。

当然その行為にも凝縮魔力が込められ、さながら魔球を生み出していた。

本人の腕力はそこまででなくても(※グランナイツ比)、これならば効率よく球威を作り出せる。

結果、キーストーンで強化されたレッサーデーモンに風穴を開けるばかりか勢い余ってモーリッツにまで飛来する始末だった。

 

「ほれ、今度はお望み通り遠距離戦にしてやるからとっとと来な!」

「あくまで上から目線で語るかっ……せいぜい意地汚く立ち回るといい!」

 

セイリオスと千紫万紅でただ斬りつけるだけでは悪戯に雑兵を増やすだけで無駄が多い。

それならばと遠距離戦だが、これは元々モーリッツ側としては望むところで。

元々は地位相応の血筋にある魔法使いということで、ただの打ち合いならば問題はないと判断して挑発に乗ることに。

無論、この破天荒がそんな殊勝なことをするかと言われたら話は別なわけだが。

 

「キメラ肉でバーベキューなんざしたくねえが、状況が状況だからな!」

 

自身は宙に足をつけているので、安心して飛行形態を解除できる。

対人戦では嫌がらせ効果も強い使い魔、読んでそのまま『リトルグリフォン』をけしかけるのは至極当然の流れであろう。

 

「さっきの神獣もどきか──人間如きが模すなど、何と不敬極まりない」

「こちとらガチで殺し合った末の成果だっての。自分たちが出来ねえからって僻みとは……まさに嫉妬乙!ってか?」

 

安易に数に頼ることを否定することが多いマドラーシュだが、それは単に数さえ揃えていれば勝てるという妄信を嫌っているが故。

数を揃えた上でその質を高める努力を怠らない場合はその限りではない。

的確な役割分担を果たせば、この使い魔の有用性はどこまでも跳ね上がるもので。

 

「ちっ、電撃を打ってくるかと思ったらチマチマ突進とはまるで小兵とはこのこと!……そこに合わせる貴様はゴブリンか何かか!その卑しさは顕魂術ならではですかな!?」

「戦いに卑しいとか汚いなんてあるかっての。ままごとばかりのお花畑思考で殺し合いの場に立つな、気色悪い」

 

ちなみに、リトルグリフォンに合わせての攻撃は『ダーク・ウィップ』ないし『ダーク・スピア』程度で留めている。

安易に『エターナル・エヴォリューション・バースト』や『フル・ダークネス・バースト』などの大規模の使用に走らないのは、まだ見の段階ということだ。

相手の特性を見切り切れておらず、更に必要とされる状況でもないのに悪戯に使うことなど愚の骨頂。

切り札はきっちり取っておく、これまで色々な年長者から口を酸っぱくして言われてきたことでもあった。

 

「にしても、ゴブリンを比喩表現とは斬新ねえ……まるで悪い気はしねえけどな!」

 

ゴブリンを比喩表現に使われることについては何も言わない辺りがマドラーシュらしいといえばその通りで。

そもそものマドラーシュは、ありとあらゆる意味で良くて秀才でしか無い。

魔法が使えないことなど当然のことで、仮に王族として育てられたとしてもアルガルドにも劣ると自ら断じるほど。

その中で何が足りないか、そして埋めるためにはどうすればいいかを死に物狂いで考え続けてきたのがこの12年間。

今の人生の8割ほどをその思考のままに過ごしてきた狂気の第二王子からすれば、その才能に胡坐をかいているだけなど以ての外。

それが故に、彼は魔法至上主義を妄信する者と相容れるつもりなどあるはずがない。

 

「だが、その同時攻撃は墓穴のようだな……ほら、また雑兵が増えたぞ!」

「なーるほど、チクチク行くのはむしろ悪手ってわけか……これが本物だったらさぞ頭の働かせ甲斐がある相手だったろうに、実に勿体ねえ」

 

使い魔による地道なダメージは確かに蓄積していき、恐らく最初に斬りかかった時の同等のものに膨れ上がったのだろう。

同じようにモーリッツの身体のほんの一部が切り離され、また新たな魔物がその場で形成されていく。

仮に一気に畳み掛けたとしても、結局は同じ結果を招いていたことだろうが。

否、余計な切れ端を生み出して魔物の数を増やしてしまっていた可能性すらあったやもしれない。

そう考えると、強気で行くと見せかけての様子見は大正解だったと言える。

──もたらされた結果は、あまりいいものではないようだが。

 

「あらま、凶を引いちまったか……お前らこんなのまで持ってやがったのかよ」

「流石の狩猟者でも、この状況でドラゴン……それも新竜『アベリスク』と出くわすのはいい気がしないようだな?」

 

先ほどのスカルドラゴンで因子を打ち終えたと思っていたが、どうやらそうではなかったようだ。

恐らく先ほどはアニスフィアの残滓魔力で作られた急ごしらえでしかなく、今回のドラゴンはまるで別種。

黒の森で戦ったドレッド・ドラゴンよりは格下ではあるが、……取り巻きとしては上位に位置すること間違いなしだ。

早速招いた引きの悪さにモーリッツは悦に入るが、それはあまりにも早計である。

目の前で相対しているのは、王族だ顕魂術の始祖だ以前に──

 

「むしろ本体がしょっぱくてみみっちい分はこの辺で補わせてもらうとするさ。正真正銘の殺し合い、観客に見せる分も含めてせいぜい楽しませてもらおうじゃねえか!」

 

ただただ格上との命のやり取りを求めるだけの童に様変わりしているのだから。

全身から溢れる歓喜は童心に満ちているが、それが故の狂気も垣間見せている。

オルタがこの場にいたら、間違いなく妖怪やら妖魔王と遊んでいた頃を思い出しては遠い目をしたことだろう。

ただでさえ長い夜は、殺気入り混じる熱気によりあっさりと熱帯夜にでもなりそうな勢いで。

どこまで熱が加速するかは、もはや誰にも想像がつかないことであった。

 





選手交代、そして初っ端色々互いにやりたい放題なジャブやら牽制やら。
ユフィリア様、何だかんだ心配してたからこその裏返しでいつもより調子がいいです。
遂にあの竜の手だけでも模倣が出来るようになったことで掴んでは投げるが出来るように。
早い話がバスターですね……これであちらの主役3人要素がバトル面でも全足しになりました。
そしてモーリッツはどこぞの第十位のような状態になってしまうワケワカメっぷり。
まああちらに比べれば因子の数は少なかったり、同一じゃないので常時警戒態勢ってわけじゃないのが弱体化ポイントですね。
さて、お次は近衛騎士アタッカートリオの方も含めてですね。

Youは何を求めてこの作品を?(要するに需要調査です)

  • 転天キャラでのNLとか他絡みを所望
  • グランサガの二次がレアすぎて
  • バトルハードモードに釣られた
  • ちらほらある(?)デビルメイクライ要素
  • その他(そもそもの作風とか)
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