もしも一週目の時点でスバル君が死んでエミリア様が死ななくて、でも物語が続いて、そんな世界があったなら。の序章
続かんけど

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思い付きと勢いで書いた初投稿の駄文です。
続きません。そんな価値微塵もないので。


絶望の始まり

 

 

 

 

 

愛してる

 

 

 

 

1週目の『腸狩り』になす術もなくしばかれたスバル君が地に伏してから一体どれだけの時間が経ったのだろうか。

 

お世辞にもかっこいいとは表現できない顔を引きつらせながら、日本からの転生者アヤトは悪態をつく。

「あの〜サテラさん?そろそろ仕事してもらってもいいっすかね?」

冷や汗は止まらないし、徐々に顔が青ざめて行くのを感じる。

 

「あれか?助けれるにもかかわらず、一切助けようともせず、あまつさえ死に顔拝んでやろうとか性格の悪いことしたから怒ってるのかな?でもさ、せっかく転生して名シーン見れるチャンス来たら誰だってそうするもんだろーー」

徐々に早くなるか細い独り言は次第に過激さを増していく。

 

その場に頭のおかしい腸大好き系お姉さんがいることを知っていながらも、現実から目を背けウダウダ言い始めてすでに、3分は経とうとしていた。

 

「さっきボソッと仕事って聞こえてきたのだけれど、もしかしてあなた同業者さんかしら?」

不意にアヤトに声がかかる。

先程自分が入ってきたドアの方からの声にアヤトの方は大きく一度跳ねる。

「ヒッ」

男のものとは思えない情けない気持ちの悪い声が響く。

「何をそんなに怯えているのかしら。急に震えて出しちゃって、随分と可愛い同業者さんね」

「えっと〜その〜」

両手を胡麻をするように動かしながら後ろを振り向かんとする。

少し前までは冷や汗だったものが今では脂汗へと変貌しダラダラと全身をぐっしょり濡らす。

 

(し、死ぬこのままじゃ絶対に...!)

そう確信したアヤトはエルザがこれまで自分に対し何もしてこなかった事に活路を見出す。

(や、やるしかないのか!)

ゆっくりとドアの方へと振り返りきり...

「そ、そうだ!俺は同じ依頼人から仕事を頼まれ、」

「わたし、なにも聞いていないのだけれども」

アヤトの声を遮るようにエルザが静かに喋る。コツコツと少しづつ前に進みながら。

「あ、後から依頼されたからな。お前は知らないかも知れないが、俺はお前のことを知っている。エルザ、エルザ・グランヒルテだろ?」

 

死のカウントダウンが止む。

 

「でも、私依頼主にここに来た人は全員生きて返すなって言われたのだけど」

歩を止め、ほんの少しの迷いを感じさせる彼女に可能性を感じる。

(ここが押しどきってことか!アナスタシアはん!)

そしてここぞとばかり声を張る。

「わからねー奴だな!それはお前が先に雇われたからだ!依頼人は、お前を雇ったのはいいが、殺し方から犯人が『腸狩り』であるのを騎士団が悟り、万一にも自分がバレるのを避けたがって、遺体処理として俺を雇ったんだ!」

その声は先ほどまでの震えや怯えを一切感じさせない自信に溢れたものだった。

ー実際心のうちではちびりってしまいそうではあったが。

それを冷静に聞いたエルザは一考の余地あり、と考える素振りを見せる。

(か、勝った!我ながら完璧な理由だ!目の前のスバルからしっかり口先の魔女因子を受け継いでいたんだ!今の俺は無敵だ!)

 

アヤトはひどく調子に乗りやすいタイプであった。

 

「あなたの言い分は分かったわ。「っ!それなら!」

「でも」

そう言い出したエルザは先ほどまでのゆっくりな歩調とは違い、人間のものとは思えない恐ろしい速度で木の床を蹴り進む。

そして、その動きに一切の反応ができずにいたアヤトの耳元で、

 

「わたしが最後に4つの死体を片付ければいいじゃない」

 

そう聞こえた瞬間アヤトの身体はくの字に折れ、壁へと叩きつけられた。

 

壁に叩きつけられたアヤトは胃の中の物全て吐き出しながらも問う。

「どう...し...て...」

そう問われたエルザは、ニィっと口角を上げ静かにー

 

「ずうっと匂ってたわよ。自信に溢れた事を言っても、どんなに強い言葉で罵っても、私が話しかけた時からずうっと恐怖の匂いが」

 

(わ、忘れてたああああ!そういや、こいつこんなキモい能力持ってたああああ!)

 

否、アヤトは間違っていた。

 

「でもね、そもそもそんな事最初からどうでもいいの。今日は本当にいい日だわ。」

 

ようやくアヤトは気付く

 

この頭のおかしい女は、否。

 

この、血に飢えた化け物はそもそもー

 

「俺と会話する気なんて無かったってことかよ...!」

「たまにはお話しも、いいものね。あなたのお腹はどんな綺麗な色かしら!」

ゆっくり近づいてくる。

「あなた」

死が、アヤトにとって2度めの死が。

アヤトは思う。

「この状況で」

ああ、本当にごめんスバル。お前はこの世界で『死に戻る』ことはできないだろう。

「どうして」

俺がお前を殺したんだ。でも、だからこそ

「笑っているの?」

月夜に化け物達の笑みが2つ。

 

お前の代わりに

 

「ここから先は俺が!全部!上手いことやってやるさ!」

「頭がおかしくなってしまったのかしら!」

 

途端、再度地面が爆ぜるように抉れる。

エルザの加速力によって。倒れる力を推進力変え、えげつないスピードで前出たエルザにーー

この世界が失ってしまった主人公として生きると、決意を固めた少年は吼える。

「知ってるか?奴はこの国ならどこで名前呼んでも駆けつけるらしいぜ。」

足下に転がるエルザに向かって棍棒を蹴り上げる。

「クッ.⁉︎」

先程までの、ビビリで情けない生きるのを諦めた少年の思わぬ反撃に足を止める。

彼の気概に足を、止めてしまった。

 

いくらエルザといえでも、爆発的な推進力をゼロにするのには時間がかかる。それに加え再加速など以ての外だ。

 

故に、彼にもう一度行動するチャンスを与えてしまった。

 

彼に躊躇いはない。

 

「助けてっ!ラインハルト様!」

 

余計なカッコづけをせずに最初から『剣聖』の名を呼んでいればその時点で勝ちであった。でも

(アイツならそうはしないからな!)

 

空から飛来した燃える炎のような真っ赤な髪

仕立てたばかりを思わせる真っ白な騎士の装い

腰に下げた騎士剣が彼を当代の『剣聖』だと周囲に知らしめる。

 

「やあアヤト、今朝ぶりだね。エミリア様をありがとう」

「もう俺を友とは呼んでくれないのか?ラインハルト」

「去り際にあんなことされたら、さすがにね」

 

たんたんと、これまでの危機を匂わせない会話が起こる。

しかし2人とも目の前の化け物から目を一切逸らさない。

 

アヤトがそうする意味は既にないのだが。

(ラインハルトがここにきたという事は、エミリアもじき帰ってくることだろう)

 

そうすれば2人は助かる...!

 

「ラインハルト!俺はこの2人の手当をする!治療が終わるまで、頼むぞ...!」

「ああ、言われなくてもわかってる」

 

「ああ...ああ...本当に、ほんっとうに今日は素晴らしい日だわ!まさかあの有名な『剣聖』とやり合う機会がいただけるなんて」

 

エルザは心底嬉しそうに言い放つ。

 

そうしてしばらくして

犠牲者はスバルのみでなんとか辛勝を得た。

 

全てが終わり、下らない談話をするエミリア、ラインハルト、アヤトの3人。

 

「にしても、助かったぜラインハルト!」

「あんまり僕をこき使う様だともう助けてあげないよ?アヤト」

「え、なんでそんな酷いこと言うの?ラインハルトは騎士様でしょ?」

 

それ聞いた2人はニヤッと笑い合う。

「それは、友達だからだ。」

「もちろん、友達だからさ。」

 

その2人の姿はまさに悪友。

 

英雄となるしかなかった男。その責を背負い世界を救う騎士となると心に誓った男。

そして、

主人公を見殺しにしたと、自らを呪い主人公の代わりになると決めた転生者。

2人の笑みを月が明るく照らしていた。

 

 

しかし差し出したグーが重なり合うことはなく、投擲されたククリナイフが...

 

「..........狙いは、腹ァッ!!」

「ほんっとあなた、最後まで気に入らないわ、でも...首よ」

「えっ」

 

掠れる視界に、どんどん遠くなる声。

 

 

スバルごめん、俺、死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バッと目を開ける。目の前には知らない天井。そして背中には柔らかいベッドの感触。

こういう時に言うセリフは一つと決まっている。

「知らない、天井だ」

 

「あら、目覚めましたね、姉さま」

「そうね、目覚めたわね、レム」

 

生きてたのか、だったら、だったら、全部、全部全部、全部!俺が救って見せる。

持てる能力も人物もすべての記憶を使って

 

「おはよう。メイド姉妹。俺は『星詠み』のアヤトだ。迷惑かけてごめんね」

満面の笑みであいさつをする。

 

「お客様が聞いてもいない自己紹介と挨拶を気味の悪い顔で耳を犯したわ、レムの」

「お客様が聞いてもいない自己紹介と挨拶を気持ちの悪い顔で脳内を凌辱したわ、姉さまの」

 

「お前ら毒強すぎだろ!!」

 

こうして俺のReもゼロもクソもない一回ですべてを救う異世界生活が始まった。




いつか、stay alive流しながら読んだら自然と泣けるリゼロ二次創作かけるようになりたい。

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