ありふれぬ狩人は祝福をその手に   作:カチカチチーズ

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5.星の祝福

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 湊メグミ 17歳 男 レベル:1

 天職:狩人

 筋力:200

 体力:80

 耐性:150

 敏捷:150

 魔力:60

 魔耐:70

 技能:星の祝福『狩人』・巡狩の運命・愛の狩人・アビサルハンター・狩猟具百般・状態異常耐性・斬撃耐性・空間魔法・言語理解

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 ソレを視た瞬間、メグミの思考は一瞬にして硬直した。

 ステータスの数値、これは実際の他のクラスメイトらの数値が明確にわかっていないためにどういうモノなのかは分からないが、少なくともメグミの中にある知識と照らし合わせれば、少なくともこの筋力の数値は間違いなく高いモノだという自覚はあった。

 天職に関しても、最初は分からなかったが、自身の技能を見れば自ずと理由も分かる。

 星の祝福『狩人』、少なくともこれがあの時、メグミが選んだ運命であるのは間違いない。

 

 

「(…………ああ、そうだな。それは、まあいい。でだ、どの後の三個が、祝福なんだろう。うん、三つ目が『体』だろう。わかる、わかる。自分の身体がそうなのは遠くの昔から分かっていたし、ゲームもやってた。うん。

一つ目はまあいい、『心』か?だが、二つ目?二つ目、おい。愛の狩人とは????)」

 

 

 一体いつから俺はそんなキザったらしいモノになったというのか!?

 そんな叫びを胸中でしながら、流石に書いてあることが特殊すぎるという自覚があるのか極めて冷静に、ステータスの表示を一度終える。視線のみを動かして周囲を探れば、隣に立っていた永山は自分のステータスを確認しており、遠藤や野村といった友人もこちらを見るよりも自分のに集中している様子だった。

 とっさに隠せるために少し距離を取りつつ、改めてステータスを確認すれば先ほどのモノと一切変わらない数値や技能が並んでいるのみである。

 メルド団長のステータスに関する説明を流し聞きしながら、軽く目じりを揉む。

 平凡を望むわけではないが、少なくとも目立ちかねないソレにメグミはどう反応すればいいのか、わからなかった。

 

 

「……愛の狩人って、なんだ、本当に」

 

 

 狩人と聞いて真っ先に思い浮かぶのは某血濡れな狩人だが、あれに愛があるかと聞かれれば口を濁すほかない。流石に、『体』の祝福からして、他の祝福もそういう何らかの作品から持ってきていると予測をたてつつメグミは自分の知識から狩人らしいモノを探していくが、てんで分からない。

 

 

「トライスター……いや、あれを愛の狩人扱いしていいのか、ちょっとわからないな」

 

 

 もしも、前世で知らない作品であったら、それこそ何かわからず手探りをするしかない。

 戦争に参加することに前向きなわけがないが、それでもこれからの事を考えれば、メグミは自分の持つ手札について知らないなんていう状況を作るわけにもいかない。

 もしも、自分が何らかの理由で、保証されていた衣食住を手放さざるを得ない状況に陥れば、頼れるのは自分だけというのもある。

 何よりも

 

 

「使える手札は何枚あってもいい」

 

 

 リソースに寄りけりだが。

 そう呟きながら、ふと視線を周囲に戻せば何やらメルド団長へと自分のステータスを報告しに行くらしい。

 メグミは、今から自分のステータスを見せる事に何とも気落ちしながらも、会ってたった一日程度しか知らずとも、メルド団長が徒に個人の情報を吹聴するような人間ではないmというのを感じ取っていた為、少なくとも技能に関しては周囲に言わないでくれるだろうと信じながら大人しくメルド団長へと報告に向かった。

 

 

 

 

 結果として、メルド団長はメグミのステータス、特に筋力や耐性、敏捷といった100を超えた数値に関して驚きながらも技能に触れることはなかった。

 勇者である天之河のステータスがオール100であったのに対して、メグミの天職が狩人という既存のモノであるにも関わらず、天之河よりも高い平均値のステータスであった事は間違いなくメルド団長にとって驚愕程度では表せないモノであったにも関わらず、そして普通に考えればその原因が技能にあるだろうと考え付く筈だったというのに、彼はそれを指摘することはなかった。

 また、数値自体は口にせず、あくまで狩人と言う天職の基準で高い数値と言っていたのもあって、メグミの中でメルド団長に対する信頼はかなり高くなっていた。

 それこそ、何か悩みがあれば相談しに行こうか、と考える程度には。

 そんなステータス報告を終えた後、永山や野村らと話し合っている間に、例のクラスメイトらと同調しなかった男子生徒の報告の際にひと悶着があったが、それはメグミにとって至極どうでもいい事だった。

 

 よくあってはいけないが、それでもままあるいじめっ子がいじめられっ子のモノを周囲に晒しあげて嘲笑する、そういう見ていて聞いていて気分のいいものではなかったのは間違いなかった。

 だからと言って、いまさらそれに首を突っ込む気にもならない。

 結局のところ、メグミにとって対岸の火事でしかない。自分にその火の粉が降りかかるならともかく、いままで全く認識してなかったクラスメイトの諸々に今更関われるほどメグミは正義ぶれない。

 晒された彼を嘲笑する周囲から離れた片隅で、メグミは自分の技能について思考を回す。なお、この時、初めてあのクラスメイトの名が南雲ハジメという事をメグミは知った。

 

 

 

 

◇─────◆

 

 

 

 

 

 技能もとい祝福の内容を理解して、早二週間。

 訓練と座学ばかりの二週間だが、他のクラスメイトと違う点は俺自身の天職が狩人というどう考えても戦士や勇者、騎士、魔術師だのといったモノとは住みわけが異なる天職という事もあり、単純に武器の練習や魔法の練習をすればいいというモノではなかったことだろう。

 例えば武器一つとっても、騎士や戦士なら剣や槍、斧などがあるだろうし、軽戦士だったら弓も選択に入る、魔法系統ならそれこそ基本は杖の筈だ。だが、俺はあくまで狩人。狩人の武器とは?なんてこのトータスの人間、それこそ騎士連中に聞いたところでどう考えても弓以上のものは出ないだろう。と言うより、普通は弓だ。

 

 

「弓で獣を狩ろうとは……圧倒的にゲームの影響だよ、そんなもん」

 

 

 だが、思った以上に弓は使えた。が、残念ながら、勇者一行の為に大開放した、とメルド団長が言っていた宝物庫から探した弓はどれもこれも、絶妙に微妙だった。

 いや、どれもいいモノには違いない。違いないが、俺の身体は『アビサルハンター』であり、当然その膂力はクラスメイトのどのステータスと比べても高い。随一であり頭一つ抜けている。

 勇者らしい天之河はこの二週間でレベルを10まで上げてそのステータスを初期の倍、つまり筋力を200まで上げたようだが、残念ながら俺のレベルはまだ8程度でしかないがそれでもまだ俺の筋力は越えられていない。そうステータスで分かったことだが、どうやら俺のステータスは特に筋力と耐性、敏捷が伸びていく傾向にあるらしい。

 これにはメルド団長も首を傾げていた。なんなら、城に召集されたという凄腕の狩人らのステータスと見比べても、同じ狩人と言う名の別の天職なのでは?という結論が出るぐらいには違った。普通は体力と敏捷が中心らしい。

 まあ、これは俺が世間一般でいう狩人よりも、アビサルハンターみたいな怪物を狩る方向の狩人だからだろう。

 

 

「……丸ノコ作ってくれたりしないかね。ワンチャン国抱えの錬成師に作って……いや、無理か」

 

 

 流石に複雑なモノは作れないらしい、し。そんな独り言を呟きながら、俺は宝物庫で一人アーティファクトのリストを片手に俺の武器になるモノがないかを探している。

 さっきも言ったが、弓はなんとも短弓であったりで、俺の筋力だとどうしても弓の方が悲鳴をあげてしまう。ちなみにその事実に、弓の扱いを教えてくれていた老狩人や騎士団の先生方は天を仰ぐばかりか、一部の人はこの世界の神に祈り始める始末だった。

 俺が何をした、と……

 

 

「いや、アーティファクトの弓に悲鳴をあげさせてたな」

 

「……和弓みたいなのないかね。それか、ノコ鉈か、仕込み杖……そこになければないですね」

 

 

 訓練や座学の傍らでこの宝物庫探しを始めて、もう三日目。

 相変わらず、戦争なんてやってられないがソレはそれとして武器は欲しい。あと、ついでに追放された時の為に何か役立てるアーティファクトとかあると、なおよし。ちなみに水が湧き出る水袋は見つけた。

 

 

「もう最悪、大剣振ってればいい気もしてきたわ。ダーッと行って、ドンッと倒して、パパッと片付ける、でいいんだよ。殴れば殺せる」

 

 

 そんな世迷言を吐きつつ、俺はまたアーティファクト探しを再開する。

 願わくば、何かある前に武器が見つかってほしい。

 

 

 

 

 

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