【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append 作:家葉 テイク
そこは、『異世界』としか言いようのない領域だった。
見渡すばかりの草原に、雲一つない青空。絵画の中のような風景ではあるが──よく見るとその各所に、
まるで出来の悪いコラージュ画像をそのまま現実に映し出したような景色は、じっと見つめているとこちらの精神をおかしくしそうな『深さ』があった。
「此処が……
「ああ。良いところだろう?」
エリーミンが、故郷を自慢するような調子で胸を張る。
内部には魔法の行使が可能な『魔物』が生息しているほか、神秘の力を帯びたアイテム『魔具』が転がっている。そして──
「
──
というか、
確か、背景のイラストを描くときにシナリオのAvintyrさんが通話で熱心に話していたのを聞いて『何やねん』って思った記憶がある。この世界が『あまちょ』の世界だと気付いてから思い出した情報なので、正直なところ、正確性には自信がないけれど……。
詳しい原理とか経緯は忘れたけれど、要するに、
だから、
「此処は……自然が多いし、フィル系かしら?」
「いや、フィル系の要素も強いが、大枠はヴィーン系だ。その証拠に──ほら」
エリーミンは軽く言って、草原の向こう側──茂みに隠れた小さめの綺麗な沼を指差す。
膝くらいの高さの草に囲まれた沼は、底の様子まで正確に見通せるくらい
不意に、透明な湖の水面がゆっくりと持ち上がった。
──いや、
正確には──それは、『透明な水で出来た、大型犬くらいの大きさの生き物』だった。
「『スライム』だ。ヴィーン系の
今回は討伐依頼でやって来たわけではない私達は、沼を迂回して先へと進んでいく。
そうしながら、『あまちょ』のダンジョンもシンボルエンカウントだったから、面倒な雑魚モンスター戦はこうやって迂回してたなぁ……と、ふと思い出した。もう今世含めると二〇年ちょっと昔の記憶だから、かなりうすぼんやりとしているけれど。
「わっ!?」
進んでいると、アディが唐突に悲鳴を上げて大きく身体を傾げた。
多分、流れる土に足を取られたのだろう──特に気にせず、私はアディの腰に手を回して支えてやる。
ゲーム的にはこれが
──
『規律の』フィルマトと『恐怖の』ヴィーンティオと『鍛錬の』ビーアルプス……といったように複数の女神の影響が入り混じっているのが大半だ。
そして
農耕──即ち木の権能を司る『規律の』フィルマトの影響を受けた
航海──即ち水の権能を司る『恐怖の』ヴィーンティオの影響を受けた
開拓──即ち土の権能を司る『鍛錬の』ビーアルプスの影響を受けた
あとは、性交──即ち淫堕の権能を司る『堕落の』トーレイラの影響を受けた
そうした『複数の女神の影響による歪み』が、木目の空や流れる土のような異常な風景として表出しているのだ。
……うん。
「ってことは、あんまり奥まで進むと厄介ね。水辺は足場が悪いし」
「いや、そこは安心してくれていい。基本的に、この先は川がある以外で水辺はほぼないからな。ヴィーン系の色が強くなるのは第二層からだ。モナッポルは第一層にもあるから、採集依頼に問題はない」
「…………あ、そうなの」
……見て分かる通り、その
複数の女神の影響を受けることが多いということは、それだけたくさんの影響を考慮しなければならないということ。ガッツリ探索をメインにする探索者業というのは、なかなかに大変なのである。
だからこそ──
「……あれ?」
──『楽をして稼ぐ』という方向を目指す者も、当然出てくる。
茂みの陰、沼の側に座り込んでいる男を見つけて、アディは不思議そうに声を上げた。
「あそこにいる人は……探索者さんですよね? 何をしているんですか?」
「ああ。あれは
「魔具屋……って、街でたまに露店を開いている探索者の人ですよね。なんで此処に……?」
「魔具屋ってのは、ああして魔具を集めているんだよ」
エリーミンのように
しかも、それだけの危険を冒しても得られるのは討伐依頼の報酬とか、偶然見つけた魔具とかだけ。『氾濫』を回避する為には絶対必要な仕事だけれど、だいぶ運任せなところもある上に、前提として確かな実力がなければ成立しないやり方なのだ。
つまり……、
「ハイリスクな深層での魔具探索や魔物討伐よりも、ローリスクな浅層での魔具収集をメインで安定収入を目指してるって訳。腕に自信がないならそっちの方が賢明よね」
「彼らの仕事も馬鹿にはできないぞ。そういう探索者のお陰で私達のような『深層勢』は探索に必要なアイテムに困ることがないのだし」
確かに、その通りなんだけどね。
私達が当たり前のように使っている『回復薬』や『移動結晶』だって、浅層で魔具集めをしている探索者のお陰で安定供給がされているわけだし。
「なるほど……。……なんだか、色んな人がいて成り立っているんですね。探索者って」
「………………何か脱力感のある感想だが、まぁ、そうなんだ」
アディののほほんとした総括に、エリーミンはちょっと肩を落とす。
「心配要らないわ。語り甲斐のないリアクションだけど、これでちゃんとアディは全部頭の中に入ってるタイプの子だから」
「ちょっとエヴァ! それどういう意味ですか!?」
憤慨するアディに、笑う私。最初の
「…………待て」
不意に、エリーミンが低い声で私達の動きを制する。
──進んでいってくれたら、良かったんだけどねぇ。
流石に、そういう訳にはいかないか。
| 支援イラスト紹介 | |
|---|---|
| 描いてくださった方 | Karasuba【ノドグロ】さん |
| Karasuba【ノドグロ】さんよりアディのイラストを頂きました!ありがとうございます!! | |
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Avintyrと書いて『エイヴィンティル』さんと読みます。