【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append   作:家葉 テイク

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第一九話 探索を終えて

 その後の説明は、そこまで必要はないだろう。

 ボコボコにした男達の上着を脱がせて捕縛用の縄を作り、その縄で男達を縛り上げつつ尋問した。流石にすべての武装を奪われ上半身裸で拘束された状態で、大量の水もあるのに反抗する気は起きなかったのだろう。尋問は非常にスムーズに行えた。

 幾つか興味深い話も聞けたが……まぁそれは良いだろう。

 

 総じて、今回の襲撃もチョロいものだった。

 アディと一緒の時に来られたのは初めてだから焦ったが、まぁ何ということはない。単純に私の身に降りかかる命の危険というのであれば、素直に打ち払ってやればいいだけの話だからね。

 まぁ、このあたりは此処がヴィーン系埋蔵神殿(ダンジョン)でそこそこの川があったというのも大きかったと思うけれど……。

 

 アディと合流できたのは、それから二〇分ほどした頃だった。

 想定していた合流時間よりも時間がかかっていたので、ひょっとしてアディも成長して警邏騎士の方へ助けを求めに行ってくれたのか──なんて考えていた、矢先のことだ。

 

 アディは、埋蔵神殿(ダンジョン)の入り口ではなく、()()()()()()()()()()。それも、エリーミンを伴って。

 

 

「……え、アディ? 何でそこから……」

 

「エヴァっっっ!!!!」

 

 

 困惑した私が何か言うよりも先に、私の姿を認めたアディは叫びながら私の胸へと飛び込んでくる。ウオッ……となりながらもしっかりとアディを抱き留めると、私の胸元からアディの嗚咽が聞こえてきて心臓が止まるかと思った。

 ついでに、私の思考も止まった。

 なんで奥側(そっち)から? とかなんでエリーミンと一緒に? とか、そういう思考は全部外に追いやられて、『アディが泣いている』『私の胸に縋りついて泣いている』というところに集約されていく。

 

 

「アディ、ど、どうして、」

 

「心配したんですよっ!!」

 

 

 泣き叫ぶアディの声で、私の思考はまたしても揺さぶられてしまう。

 先程まで男達の行動を冷静に制御して盤面を操作していた私は今はもう見る影もなく、ただ目の前で泣きじゃくる想い人に狼狽える一人の女と化していた。

 

 

「だ、大丈夫。大丈夫だから。私、無傷だし……全然余裕だったし……」

 

 

 必死になって呼びかけながら、私はアディの背中に両手を回そうとして……躊躇する。これ、抱きしめちゃって大丈夫なやつ? アディ、なんか怒ってるっぽいし、そういうんじゃないって言われたら本気で傷つく。

 でも、明らかに弱っているアディに何もしないのもなぁ……という私の不安の表れは、アディの背中に触れるか触れないかくらいのところで両手をふわふわさせているというあまりにも情けない絵面として出力されてしまう。

 

 ただ、一つだけ言えることはある。

 

 

「本当にっ、心配したんですからっ……。アディ、嘘ついてっ、すぐ行くってっ、言ったのにっ、全然っ、来なくてっ、あの時っ」

 

「…………うん」

 

 

 私は、アディのことを傷つけた。

 必要なことだったとしても、それがアディの身を守る最適解だったとしても、それでも私はアディに嘘をついて、そして悲しい思いをさせてしまった。心配させてしまった。それは一つの事実だ。

 

 

「ごめんね、アディ」

 

 

 宙を彷徨わせていた両手を下ろし、それから右手でアディの頭を撫でる。少しでもアディの心を癒せるように。

 

 

「心配させたわよね。ごめんね……」

 

「──アディちゃん。そこはな、探索者の流儀で言えば『助けてくれてありがとう』って言うところだ」

 

 

 と。

 そこで、横で所在なさげにしていたエリーミンが口を挟んで来た。

 

 顔を上げたアディは、そのままエリーミンの方へと向き直る。

 横顔から見える目尻は真っ赤になっていて、こっちに来るまでにも泣いていたであろうことが見て取れた。

 

 

「エヴァちゃんは、自分の身も省みずにアディちゃんのことを守ったんだ。此処は、感謝しないとエヴァちゃんの頑張りが報われないし……助けてもらった筋が通らない」

 

「……う、はい。そ、そう……ですね」

 

 

 エリーミンの叱責に、アディは縮こまりながら頷いた。

 エリーミンの言う事は尤もだと思うけれど……私は別に気にしない。アディのことを心配させて悲しませたのは事実な訳だし、そもそも私がアディを助けるのは当然のことだ。私がやりたくてやっているんだし、別にそこに感謝の念が生まれなくたって、別に……。

 それに、アディは普段の色々では感謝の気持ちを忘れない優しい子だって、私は分かっているからね。

 まぁ。

 

 

「……エヴァ、助けてくれて、ありがとう」

 

 

 ……上目遣いで少し顔を赤くして私にお礼を言うアディの姿を見られるのは大変うれしいので、その点ではエリーミン超GJと言うべきか。

 うん。別に命の危険があったわけじゃないけど、命を張った報酬としては十分すぎる。思わず抱きしめたくなるくらい可愛い。

 

 

「どういたしまして」

 

「その、ごめんなさい……。助けてくれたのに、責めるようなこと……」

 

「別に気にしないわよ、そんなの。お互い、無事でよかったわね」

 

 

 そう言って、私はアディに微笑みかける。アディもまた微笑み返してくれて──それで、少しだけ二人で笑い合っていた。

 どれくらいそうしていただろうか。

 多分一〇秒くらいだと思うけれど、それから私は再び所在なさげにしていたエリーミンの方へ視線を向ける。

 

 そう。アディの涙によって諸々の問題は完全に先送りされてしまっていたが──一番大きな疑問点は全く解消されていない。

 即ち。

 

 

「……それで、エリーさん。どうしてアディと一緒にいたのかしら?」

 

 

 という疑問である。

 

 


 

 

STAGE_02 / ダンジョン日和の昼下がり

[in イーガシア森林神殿 浅層]

 

第一九話 探索を終えて

 

 


 

 

 

「……最初に言っておくが、私もこうなるとは全く思っていなかった」

 

 

 そう言って、エリーミンはゆっくりと息を吐いた。

 

 

「わたしが、『移動結晶』を使ったんです」

 

 

 そしてそんなエリーミンの説明を引き継ぐように、アディが予想外の回答を返してきた。

 ……いや、どこの『移動結晶』を使ったのかは分かる。埋蔵神殿(ダンジョン)の入り口には大量の『移動結晶』があるから、そのうちの一つを拝借して使ったのだろう。

 だが、エリーミンのところまでやって来れる理由が分からない。エリーミンは知り合いの魔具屋のところに行っていたはずで、精々進んでいたとしても五層やそこらだろう。位置は特定できないし、そもそもアディはそこまで進んだことはないはずだ。

 つまり、『移動結晶』のマーキング手段は存在しな……、いや、待てよ?

 

 

「ほら、埋蔵神殿(ダンジョン)に入る前、エリーミンさんが『移動結晶』を見せてくれたことがあったじゃないですか。あれ、多分エリーミンさんはまだ使ってないと思って……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 アディはどこか気まずそうに言う。

 ……それは、その通りだ。『移動結晶』のマーキングは、基本的に一度直接視認すれば完了する。仲間内で『移動結晶』を使うケースなんてほぼあり得ないから、まず考えつくこともないけれど……。

 ……そうか、確かにそう考えればエリーミンのところへ移動する方法自体はあったわけだ。

 そしてアディの視点で一番私を助けてくれそうな人材であるエリーミンのところに助けを求めた、と……。…………うわ、一番合理的じゃん。それも、私も思いつかなかった手だ。

 

 アディ……こういう突飛な解決策をパッと思いつくというか、咄嗟の思考の爆発力がある子なんだよね。

 だからこそ予測ができなくて怖いというところもあるんだけど……。分の悪い賭けを独自のロジックで躊躇なくしそうというか。

 

 

「……本当に、大した有望株だよ。アディちゃんは」

 

 

 感心したような呆れたような、複雑な調子でエリーミンは呟く。

 まぁ、まさかアディがあんな小さな手がかりから『エリーミンに助けを求める』という選択肢を選ぶなんて思わないもんね。私ですら思いつかなかったくらいだし。

 

 

「今日は……もう疲れただろう。私も正直、こんなことが起こるなんて……と混乱している部分はある。……コイツらの取り調べもしないといけないから、今日は私がギルド本部まで送るよ」

 

「ありがとう。正直走りまくったから疲れたわー……」

 

「わたしの『回復薬』、使う?」

 

「こんなの『回復薬』使う必要もないわ。司祭長の健脚ナメんじゃないわよ?」

 

 

 適当なことを言い合っていると、エリーミンが苦笑しながら話を進めてくれる。

 エリーミンはポーチから『移動結晶』を取り出しながら、

 

 

「司祭長サマの健脚ぶりは感心するが、時間も惜しい。私の手持ちの『移動結晶』を貸すから、ギルドまで行こうか」

 

「あ、それなら大丈夫……というか、これ使って」

 

 

 それを制するように、私は『クアゲル』で水を操作し、地面に転がっている『移動結晶』を集める。

 先程の戦闘で、私が持ち歩いていたガラス瓶は全部粉々に砕いて、それを全部『移動結晶』に変えたからね。軽く五〇はありそうなくらいの予備ができているのである。

 せっかく作ったのだから、使わないと勿体ないだろう。

 

 

「………………エヴァちゃん、これどうした?」

 

「作ったのよ。私の魔法で神殿模倣(ロア=ミメティクス)をやって」

 

「……………………」

 

 

 私の回答に、エリーミンは天を仰ぐ。

 

 

「……本当に、お前らは司祭にしておくには勿体ない逸材だよ」

 

 

 それはありがとう。

 でも、司祭の方が安定しているのよね。




 『あまちょ』でも、アディは基本アホの子なのにたまに超人的な閃きで事件を解決したりしていたので、当SSでも随時その冴えを見せていきたいですね。
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