【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append   作:家葉 テイク

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第二二話 川辺の小屋の情報屋

「……アタシは何も知らないッス」

 

 

 経緯を説明してから『貴方、これどういうこと?』と質問を投げかけてみたところ、レルオーティエの回答はそんな使えないモノだった。

 なんだよ何も知らないって。お前はそれでも裏の情報屋か?

 やや不満に思っていると、レルオーティエは自分の発言がどう受け取られるのか悟ったらしく、慌てて手を振って注釈した。

 

 

「あ……知らないってのはそういう意味じゃなくて! ()()()()()()()()()()()()って意味ッス。一応断片的な情報は仕入れているッスけど……。……だから、誰が裏で糸引いてるとかまでは追い切れてねぇッス」

 

 

 そこまで言い終える頃には、レルオーティエの表情はすっかり落ち着きを取り戻していた。……まぁ、私もコイツが今更私のことを裏切るとは最初から思っていない。

 完全なる部外者という立場だと、そりゃあ得られる情報も少ないか。下手に首突っ込んだら私から敵認定されかねない訳だしな。

 

 

「……そう」

 

 

 ひとまず状況を把握して、私は背もたれに体重を預けた。

 

 ──レルオーティエから情報を聞くにあたって、マグノリアは席の後ろに控えさせている。

 現在は、石造りの小屋に女が二人と男が一人。私とレルオーティエがテーブルを挟んで互いに向き合っている状況だ。一応、盗聴対策に扉の前で『クアゲル』の水塊を張ってあるので、外の人間にこの会話が聞かれる心配はないだろう。

 この空間にマグノリアを招き入れるということはつまり、私が()()()()()()()()()()()()()に巻き込むという意思表明でもある。ここまで来たからには、もうマグノリアを逃がす訳にはいかなくなった。まぁ、最初から逃がすつもりは無いけれど。

 

 

「あの、司祭長サマ? これどういうこと? アンタ査察の為に此処に来たんじゃなかったのか?」

 

「ああ、それは建前。嘘ね」

 

「嘘ォ!?」

 

 

 状況に追いついていけないマグノリアに真相を伝えてやると、彼はさらに目を丸くした。面白いリアクションするな、コイツ。

 

 

「えーとね、あー、……かくかくしかじか」

 

「説明が面倒臭くなってんじゃねえ!! ……っつか、経緯の説明は聞いてたよ。なんか地下(ヤミ)の探索者に襲われてて、そこに此処の連中が関わってんじゃねえかって話だろ。……実際には関わってねえらしいけど」

 

 

 お、意外とちゃんと理解している。置いてけぼりにしていたつもりだったのに。

 

 

「でも、だったらなんでわざわざ査察なんて嘘をついてスラムに来た? 普通に事情を説明して、警邏騎士を動かせばよかったじゃねえか。その方が安心だろ」

 

 

 マグノリアが、きわめて常識的な見解を述べる。

 私は首を横に振って、

 

 

「身の安全は欲しいけれど、身動きが取れなくなるのは勘弁したいわね。警邏騎士の守りは重厚だけど、その分盾としての取り回しは悪い。作戦行動には強いけどね。今回の場合、敵は搦め手を多用してくる傾向がありそうだから、下手に警邏騎士で周りを囲んだらこっちの首を絞める可能性の方が高いわ」

 

「これでも、俺も一応は警邏騎士なんだがよ。そこは別にいいのか?」

 

「貴方はその点、警邏騎士の軍規とかは二の次なタイプでしょ。組織としての護りは要らないけれど、小回りの利く盾は欲しいのよ。それに、貴方なら個人的にも信頼できるし」

 

 

 少なくとも、コイツが悪に手を染めていることはまずないとは断言できる。

 この世界とは違う歴史とはいえ……絶対にこの世界では迎えさせない歴史とはいえ…………アディに選ばれた未来(エンド)も存在する男なのだ。私の存在程度で発生する歴史のブレで、善性が損なわれるとは到底思えない。そこだけは、大変遺憾ながら確信できる。

 

 

「…………ったく、今日初めて会ったばかりだってのに買い被られたもんだなぁ」

 

 

 呆れたように頭を掻くマグノリアだけれど、その口元に笑みが滲んでいるのを私は見逃さなかった。

 ……ま、こういうタイプはこんな風に煽ててやれば勝手にやる気になってくれるのである。便利なもんだねまったく。

 

 

 


 

 

STAGE_02 / ダンジョン日和の昼下がり

[in マニカナ教区 スラム街]

 

第二二話 川辺の小屋の情報屋

 

 


 

 

 

 すっかり私の協力者という立場に納得したマグノリアは、そのまま直立不動の態勢になって、レルオーティエに言う。

 

 

「話を遮って悪かったな。続けてくれ」

 

「はいはい。……で、流石にアタシも通り一遍はスラム界隈の動きを調べたんス。そうしたら──気になる人の流れが()()

 

 

 そう言うと、レルオーティエは必要もないのに声を落として、テーブルに肘をついて身を乗り出してくる。

 重要な情報を伝える時に身を乗り出して顔を寄せてくるのは、彼女の癖だった。情報の特別感を出すための情報屋としてのセルフプロデュースとしての意味もあるのだろう。最初は面食らったものだけれど、慣れた私は黙って話の続きを促す。

 

 

「一つは、『表』の方ッス。素行の悪い探索者を対象にした依頼が短期間で幾つも。一応名義はバラバラッスけど、依頼のクセからして同一人物なのは間違いないんで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が奥の方にいるッスね。……こっちは今回の姐さんの襲撃には関係ねぇッス」

 

「ああ……。そっちについては何となく当たりがついてるわ」

 

 

 『あまちょ』では、トレイルソン本部長は主にゴロツキ崩れの探索者を使っていた。アディに『淫魔の恩寵』を付与しやがったクソボケもそうだし、メインクエスト①でアディを襲った輩もそうだし、深層でドラゴンの魔性化を行った連中もそうだ。

 正規の探索者ギルドと地下(ヤミ)探索者ギルドは重ならないから、正規の探索者ギルドの本部長であるトレイルソン本部長では地下(ヤミ)探索者ギルドの人員を引っ張って来れなかったというのもあるけれど。

 そして正規の探索者ギルドの連中にアングラな依頼を幾つも受けさせられる人材と言えば、それはトレイルソン本部長をおいて他にはいまい。どうやら、図らずもトレイルソン本部長のクロが証明出来てしまったな。

 

 

「ウチのアディが襲われた件が、多分そっち側でしょ」

 

「お嬢が……? 姐さん、別件にも巻き込まれてるんスか。ややこしいッスね」

 

「大丈夫よ。そっちの始末は別で考えているから。で、他は?」

 

 

 トレイルソン本部長がクロなら、始末はエリーミンに任せればいいだろう。彼女ならトレイルソン本部長が『堕落の』の魔具を使ってエロ触手怪人になったとしても速攻で始末できるし。

 適当に流した私に少し怪訝そうな表情を浮かべながら、レルオーティエはさらに続ける。

 

 

「次なんですが、どうも他の教区の地下(ヤミ)探索者ギルドからマニカナ教区に人が流れているっぽくて……。ウチのスラムの人間は、そんなものに手を出してないッスよ。そんな女神様に割って入るような真似するバカは此処じゃ生きていられないッスから」

 

「おべっかはよろしい」

 

 

 心配しなくても、疑わしきは船にするような怖い女じゃないからね、私は。

 しかし、ふむ……。外部の地下(ヤミ)探索者ギルドの人員が、マニカナ教区に入ってきている、か……。マニカナ教区の地下(ヤミ)探索者ギルドが解散されたから、計画の手駒が足りなくなった黒幕が補充しているとか、か?

 私を狙ったのは、スラムを掌握している私が計画の邪魔になったからとか……。

 ……一応辻褄は合うけれど、なんか違う気がするな。

 仮に私が邪魔になったから始末する目的で襲撃したんだとしたら、エリーミンを連れた状況では襲撃しないだろう。私達とエリーミンが途中で別れるという保証もないのだし。

 

 だとすると……今回の襲撃を裏で糸引いていた人間は、エリーミンという駒の強力さを理解していない人間? ということは、トレイルソン本部長やその上司である黒幕連中は容疑者から外れる──つまり今回の私を狙った地下(ヤミ)ギルドの襲撃は『あまちょ』とは全く別の黒幕が他にいることになるけれど……。

 

 

「で、アタシもこんなんで縄張りが荒らされるのは勘弁なんで、色々と探りを入れてみたんス。そうしたら、これが」

 

 

 そう言って、レルオーティエは一枚の紙をテーブルに差し出す。

 

 その紙は──一枚の、()()()だった。

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