【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append   作:家葉 テイク

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STAGE_03 / ボス戦は××の底から
第二五話 城主の留守に城を攻める


 翌日。

 

 私は、朝日も登り切らないうちに、再度歓楽街にやってきていた。

 隣には、簡略化された騎士甲冑のような鎧を身に纏った、茶髪の刈り上げ男。

 ……警邏騎士の甲冑を見るたびに思うけど、いくら簡略化されているとはいえ兜の装備を丸ごと省略しているのは防具としてどうなんだろう? なんか前に別の警邏騎士に聞いたら、警邏中に熱中症になるのがイカンとかって話だったけど……。

 

 

「しかし、本当に大丈夫かぁ?」

 

 

 横を歩くマグノリアが、吐瀉物の()()()臭いに鼻をつまみながら不安そうな声を漏らした。

 私は首をかしげて、

 

 

「何が?」

 

地下(ヤミ)探索者の居所だよ。あのレルオーティエとかって女に教えてもらったのはいいが、下手に見に行ったら普通に襲われるんじゃねえか?」

 

「そりゃ見物客みたいなノリで行ったら、怪しさ満点だしまず襲われるでしょうけど」

 

 

 それはもう、向こうが警戒しているとかそういう次元の話じゃないと思う。私だって、そんな変なヤツが礼拝堂に現れたら警邏騎士に通報する。裏街道を歩く人間なら、挨拶代わりに殺しにかかっても何ら不思議じゃない。

 

 

「此処は繁華街よ。変に騒ぎを立てなければ大丈夫でしょ」

 

 

 そう言って、私はくるりと回った。

 冒険者にありがちなラップスカートが、ひらりと翻った。

 

 

「……テメェだけしっかり溶け込みやがって……」

 

 

 そんな私の姿を見て、マグノリアが悪態を吐いた。

 

 私の今の格好は、常の修道服ではない。あんなもん常に自己紹介しながら歩いているようなもんだからね。公的なお題目がある活動ならともかく、なるべくお忍びで行きたい今回のような目的ではNGなのだ。

 ではどういう格好かと言うと、端的に言えば──探索者風の服装だった。

 黒いタートルネックのストレッチジャージに、ベージュのラップミニスカート。その下に黒のレギンスを穿いている。ブーツについては修道服のものと同じだ(仕込みナイフの機構がある為)。髪は長ったらしくて鬱陶しいのでポニーテールにしている。

 春でもそれなりに暑いかと思いきや、ストレッチジャージの方はノースリーブなので意外と涼しかったりする。冬なんかはこの上にジャケットを羽織るのが、ヒラ司祭時代の定番だった。

 

 ──やや地味だけれど、あまり埋蔵神殿(ダンジョン)で目立つことを好まない探索者はこのくらいの格好をすることが多い。強者になると、独自の拘りで奇抜な格好をすることもあるけどね。

 エリーミンは例外的に、小さな体へのコンプレックスで『順当すぎるほど順当な冒険者風』を踏襲していたっけ。デザインをしたときに意識した部分だったので、何となく憶えてる。

 

 

「むしろ、警邏騎士こそどこにいたっておかしくないでしょ? 警邏中ですって言えばいいんだし。それに、下手に襲えば警邏騎士全体が敵に回るでしょ。そういう盾としての性能を見込んでる部分もあるんだから、逆に変装なんてしたら私が怒るわよ」

 

「ちなみに、地下(ヤミ)探索者ギルドなんてもんに参加してる野郎が警邏騎士って看板に怖気づく確率ってどんくらいだよ?」

 

「それより、そろそろレルオーティエの情報の場所の近くよ」

 

「この女今しれっと話逸らしやがったぞ!」

 

 

 


 

 

STAGE_03 / ボス戦は××の底から

[in マニカナ教区 西区歓楽街]

 

第二五話 城主の留守に城を攻める

 

 


 

 

 

 適当に言い合いながら歓楽街を歩いていると、目的の場所が見えて来た。

 そこは、何の変哲もない安宿屋だ。西区の歓楽街の中でも、外向けの門がある南区にほど近い。その為、外部から来る旅人や遠出してきた探索者なんかが主な客層だった気がする。安宿屋なもんなんで、けっこう喧嘩が絶えなかったりと治安の悪いあたりだったはず。

 現にほら、宿屋の前で酔い潰れているんだか喧嘩に負けて気絶してるんだか分からない男が一人──

 

 と。

 

 そんなことを確認していたちょうどその瞬間、ドォン!!!! と宿屋の二階あたりの壁が盛大に吹き飛ばされた。

 ガラスのシャワー、どころの話じゃない。壁を形作る土くれや木材までバラバラに吹き飛ばされている。

 

 

「なっ、なんだなんだ!?」

 

「……ワイド!」

 

 

 私は声を落として呼びかけると、すぐさま物陰に隠れた。二階の穴から、()()をやった張本人が出てくると踏んだからだ。

 物陰に隠れた私は『クアゲル』を唱えて、ポーチから掌で掬える程度の水を取り出す。そしてそっと水で平たい板のような形を作り、角度を調節する。

 

 

「……何やってんだ?」

 

「水でレンズを作ってるのよ。こうすれば物陰に隠れながら角の向こうの景色が見えるでしょ」

 

「器用なことやってんなあ……」

 

 

 川とかの水場がないところだと、こういう小技を使わないとやっていけないのよね、『クアゲル』って。

 さて、角の向こうでは何が起きているかというと──

 

 ──すたっ、と。

 一組の男女が、二階の穴からまるで猫のような身のこなしで降り立っていた。

 

 一人はロングスカートの古き良きメイド、もう一人は燕尾服を着こなした執事だ。どちらも若く、線が細い。──粉塵が立ち込めているので、それ以上の情報は分からない。

 ただし、私にはそれだけの情報で彼女達が誰か分かっていた。

 

 彼女達の名前は、メイドがスライカ、執事がナーディ。

 彼女達は黒幕に雇われている敵キャラで、二人とものちのち仲間となり、アディのことを手助けしてくれるようになる。アイツらのCGも描いたことがあるから、よく覚えている。──二人とも。

 というのも、メイドの方はもちろん、執事の方も男装女子で、アイツらは両方とも女なのである。しかも、デキてる。描いた当時はその設定を聞かされたお陰で大分滾っていたし、二人の絡みシーンもノリノリで描いたので印象深い。まぁ、その後で任務失敗して黒幕に折檻と称して男どもにマワされるんだけどな。

 …………余裕があったら、そうなる前に自陣営に引き込むかの検討くらいはしてやっても悪くはないか。アイツらがアディのこと犯すシーンはなかったし。味方になったら心強いし。黒幕の戦力も早いうちに削げるし。……別に深い意味はないけど。

 

 

「……冷静だな。俺はわりと叫びそうになっちまってたんだがよ」

 

「ある程度は予測していたからね。あと、叫んだら詰所で反省会だから」

 

「お前が俺にツッコミを入れたくさせなけりゃあ大丈夫だよ」

 

 

 互いに言い合ってから、私たちは息をひそめる。緊張感はそんなにない。二人とも『移動結晶』は持っているので、不測の事態に陥ったら詰所の『移動結晶』に転移する手筈なのだ。

 

 

 私がこの事態にも大して動じていないのは、本当にこうなることを予測していたから──というより、こうなるように状況を操作したから、といった方がいいかもしれない。

 

 昨日、ギルドに戻った私はアディとエリーに状況説明をするように見せかけて、トレイルソン本部長に地下(ヤミ)探索者ギルドが私()()()()を殺そうとしているという情報を伝えた。

 アディを我が物にしたがっている黒幕の手駒からしたら、アディのことを殺そうとしている連中なんて絶対に相容れないだろう。本当に殺された場合、下手をしたら『お前がちゃんとしてないせいでアディが殺された』みたいに責任を追及されかねない訳だしね。

 とすると、トレイルソン本部長としては『大事な獲物を横で無駄に殺そうとして来るバカを消したい』という発想になる。

 

 誰が出るかは、正直分からなかったが──メインクエスト③で出てくる黒幕の子飼いの部下が出て来たということは、だいぶ本腰を入れた敵対姿勢ということらしい。私としては願ったり叶ったりだ。

 

 そして、敵の方も馬鹿ではない。自分の手下がやられたという情報から、敵対者の情報を探ることだろう。そうなれば、もう地下(ヤミ)探索者を斡旋したバカと黒幕をやってるバカの対立構造は確定的なものになる。

 そうして二勢力が削り合って疲弊している横を、私はすいすい泳ぐという訳だ。これを『留守の城攻め』という。この世界で言う『漁夫の利』みたいな諺だ。

 

 

「…………行ったか?」

 

 

 物陰に隠れて息を潜めていると、二人はそのまま現場を足早に去って行った。

 足音がなくなったのを確認すると、私は『クアゲル』を操作して道の向かい側まで移動させ、物音を立てさせる。……特に反応がないな。本当に帰ったか。

 

 

「……何してんだ?」

 

「本当にいなくなったかの確認。足音を偽装して隠れている私たちを炙り出したりしてくる可能性もあったからね」

 

「けっこう便利じゃねえか? エヴァの魔法」

 

「便利な魔法じゃなくて、便利に使ってるのよ。私が」

 

 

 言いながら、私は物陰から出る。

 同時に、大きな物音に歓楽街の住民たちがざわざわと起き出してきた。現場に駆け寄って見ると──そこには既に数人の野次馬が立っていた。さっき寝ていた男は、騒ぎに驚いてどこかへ逃げて行ったらしい。……案外、二人の注意はあの男の方に行ってた可能性もあるな。

 

 

「ちょうどいいわ。混乱に乗じて宿屋に入りましょう。止められたら警邏騎士の看板よろしく」

 

「了解司祭長サマ!!」

 

 

 マグノリアの『ふざけんな』を背に聞きつつ、私は宿屋の中へ駆け込んだ。




 エヴァは慣れてしまっているので言及すらしていませんが、ストレッチジャージもレギンスも肉抜きされているのでほどほどに肌色成分はあります。ぴっちりスーツ風味。
 ちなみに、エリーミンもそんな感じです。
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